【法人向け】所得税の源泉徴収は勘定科目「預り金」で!給与を支払う際の仕訳例

源泉所得税の勘定科目は預り金ですが、仕訳方法は複雑です。また、源泉所得税は給与所得だけでなく個人事業主が受け取る報酬でも発生するケースがあります。

この記事では、源泉所得税の仕訳例や個人事業主の源泉所得税の仕訳などについて解説します。仕訳例も紹介するので、所得税の仕訳をする際の参考としてください。

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【法人向け】所得税の源泉徴収は勘定科目「預り金」で!給与を支払う際の仕訳例

従業員の所得の源泉徴収に「租税公課」は使わない

租税公課とは、税金や各公共団体に納める公的な目的で支払った経費を指します。租税の代表例としては、印紙税・自動車税・固定資産税・不動産取得税、公課の代表例としては商工会や町内会の会費・印鑑証明書・住民票の発行手数料が挙げられます。

従業員の源泉所得税(源泉徴収)は税金ですが、勘定科目として租税公課を使用しません。また、個人事業主の源泉所得税も租税公課ですが、同じように扱います。これは、源泉所得税が経費としては認められないからです。

源泉所得税の勘定科目は「預り金」

源泉所得税も租税公課ですが、経費にはなりません。しかし、支出している限りは、会計処理が必要です。その場合の勘定科目が「預り金」です。源泉所得税のなかで最も多いのが給与所得税であり、企業であれば従業員のほとんどが対象となります。

給与所得税は毎月支払う給与から所得税を納めるために、一時的に源泉所得税を企業が預かる仕組みです。給与から源泉徴収する際に仕訳をしなければなりませんが、タイミングやケースによって仕訳方法が異なるため、詳細を事項で解説します。

源泉所得税(給与所得税)の仕訳例

源泉所得税では、タイミングなどによって仕訳が異なるため、2つのタイミングと2つのケースでの仕訳例を紹介します。

給与支給のタイミング

毎月の給与支払時には、従業員から徴収した源泉所得税を預り金として処理しなければなりません。同じく、給与から控除する社会保険料も預り金で処理します。以下は給与40万円、源泉所得税1万2,000円、社会保険料6万円とした場合の仕訳例です。

借方貸方適用
給与400,000円普通預金328,000円給与
預り金12,000円源泉所得税
預り金60,000円社会保険料

仕訳をする際は源泉所得税と社会保険料をそれぞれ分けて記載します。

源泉所得税の納付のタイミング

源泉所得税は原則として、給与支払の翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません。源泉所得税を納付した場合には、預り金の勘定科目で仕訳します。前項の仕訳例に応じた、納付時の仕訳例は次のとおりです。

借方貸方適用
預り金12,000円現金12,000円源泉所得税

年末調整時に還付金が発生するケース

年末調整時は、毎月の給与や賞与から控除した源泉徴収税額を精算する時期です。従業員から、源泉徴収した税額と、1年分の給与や賞与の合計額から計算した所得税との差額を精算する必要があります。還付や追加徴収が必要になることもあるでしょう。

ここでは、還付金が発生した場合の仕訳例を紹介します。還付金が1万5,000円発生した場合の仕訳例は次のとおりです。

借方貸方適用
給与400,000円普通預金343,000円給与
預り金12,000円源泉所得税
預り金60,000円社会保険料
預り金15,000円  年末調整還付金

年末調整時に追加徴収が必要なケース

年末調整時に追加徴収が必要となる場合は、12月に従業員の給与を支払う時点で天引きすることが一般的です。年末調整で1万5,000円の追加追徴が必要になった場合の仕訳例は次のようになります。

借方貸方適用
給与400,000円普通預金313,000円給与
預り金12,000円源泉所得税
預り金60,000円社会保険料
預り金15,000円年末調整不足額

個人事業主の源泉所得税の仕訳例

個人事業主であっても、源泉所得税を納めるケースがあります。ここでは、その仕訳例を紹介します。

売上を請求するケース

個人事業主が、源泉所得税の対象となる売上を請求する場合の仕訳例を紹介します。売上は勘定科目を売掛金として処理し、税込み経理が前提です。したがって、請求時に売掛金として計上する額は、総額(入金額ではない)となります。

仕訳例は、原稿料40万円、消費税4万円を発注企業に請求するときの仕訳です。

借方貸方適用
売掛金440,000円売上高440,000円原稿料

この請求に対する入金の仕訳例については、事項で紹介します。

売上が入金されるケース

前項で、請求した売上が入金された場合の仕訳例を紹介します。請求時に計上した売掛金を取り崩し、源泉所得税は勘定科目を仮払金や預け金として、仕訳することが一般的です。なお、源泉徴収税額は4万840円、請求額39万9,160円とします。

借方貸方適用
普通預金399,160円売掛金440,000円原稿料
仮払金40,840円  源泉所得税

源泉所得税に事業主貸を用いるケースもあります。しかし、決算や確定申告の集計作業があるため、勘定科目(仮払金や預け金)を使っておくほうが、集計しやすくなるでしょう。

まとめ

源泉所得税は、給与所得者だけでなく、個人事業主にも発生するケースがあります。源泉所得税は租税公課ですが、経費として認められないため、勘定科目としては使用できません。給与所得者の源泉所得税の勘定科目は預り金であり、個人事業主の源泉所得税の勘定科目は仮払金です。どちらも、タイミングによって仕訳方法が異なるため注意しましょう。

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