【建築・建設業向け】請求書の適切な書き方と必要な記載項目
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-12
- この記事の3つのポイント
- 建築業専用の請求書フォーマットはないが、記載項目やインボイス制度への対応が必要
- 建築業界の請求書では、宛名、品目、単価、数量、消費税額などの詳細な記載が重要
- 建設業の「2024年問題」を考慮し、従業員の人件費が適正に請求書へ反映されているかに要注意
建築業における請求書は他の業種と違って少し特殊な面があり、人工費という建築業ならではの項目も用いられるため、作成方法が難しいと感じている方もいるかもしれません。
本記事では、建築業の請求書の特徴を解説します。作成方法や送付方法もあわせて解説するので、請求書の作成に役立ててください。
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【建築・建設業向け】請求書の適切な書き方と必要な記載項目
建築業の請求書にフォーマットは存在しない
建築業に限らず、すべての請求書には法的に決められたフォーマットは存在しません。
ただし、請求書としての機能を果たすために記載すべき項目がいくつかあるため、漏れのないようチェックしておきましょう。
建築業の請求書を発行する際のポイント・注意点とは
建築業の請求書を発行する際、押さえておきたいポイントと注意点は以下のとおりです。
項目を漏らさず記載する
請求内容を特定するため、建築業の請求書で必要とされる項目を漏れなく記載しましょう。
- 請求先の宛名、送付先住所、担当者名など
- 請求書の発行日、請求書番号
- 請求書発行者(自社)の企業名、住所、電話番号、担当者名など
- 請求金額の振込先口座情報
- 請求金額の総額
- 請求明細(納品日、内容、数量、単位、単価、消費税、小計)
「人工代」が含まれるケースでは、後述する書き方を参考にしてください。また登録番号は、取引先から求められた場合に記載します。
登録番号の記載を求められる場合がある
インボイス制度の関係で、取引先から請求書にインボイス登録番号を記載するよう求められるケースがあります。必要に応じて、請求書に登録番号を記載しましょう。登録番号の記載方法に決まりはありませんが、発行事業者名の直下に記載する、請求書右上に発行日と並べて記載する、といった例が多くみられます。
登録番号を取得するためには、国税庁へのインボイス発行事業者の登録が必要です。登録後は消費税の課税事業者になる点に注意してください。
2024年問題について理解しておく
「2024年問題」とは、2024年3月末に働き方改革関連法の猶予措置が終了し、時間外労働の上限が原則として月45時間、年360時間に制限されたことを指します。建築業界でも、従業員の労働時間を確認し、必要に応じて対策を講じなくてはなりません。
2024年問題により、労働時間の上限規制が厳格化される中、労働時間管理は請求書作成にも影響を及ぼします。従業員数の増加や作業効率化が求められる状況下では、人件費が適正に計上されているかどうかを確認する必要があります。労働時間に基づいて算出された人件費が請求内容に正確に反映されていることは、法令遵守の観点からも重要です。
また、労働時間の制約を守るために工期が延長した場合、その遅延に伴うコストが請求内容に正しく含まれているかを慎重に確認することが求められます。
人工代の書き方に注意する
建築業の請求書では、人工代の書き方に注意しましょう。人工代とは、1人の施工従事者が1日仕事することで発生する人件費です。建築業では1日単位で費用が発生する仕組みになっています。
例えば、1日5万円の費用で1人が現場で勤務した場合、1人工代は5万円です。請求書に記載する際は、単位を「人工」とし数量に人数を記載します。さらに単価や消費税、小計を記載しましょう
建築業の請求書の書き方
ここでは、建築業の請求書について、項目ごとの書き方を細かく解説します。
書き方1:宛名
請求書の宛名の欄には、請求書を受け取る会社名、個人名、屋号のいずれかを記載しましょう。1文字分のスペースを空け、会社名には「御中」、個人名には「様」と敬称をつけます。宛名の次の行に郵便番号、その次の行に住所を記載してください。
請求書の宛名として、実際の発注者とは異なる会社名などを指定される場合もあるため、請求書を作成する際は確認しておきましょう。
書き方2:請求内容
請求内容は、該当する工事の内容や資材の詳細です。具体的には、以下の項目に細分されます。
書き方3:品目
品目では、作業内容や材料、サービスの名称をできるだけ具体的に記載しましょう。人工代の場合も、品目として記載します。例えば、以下のようなものが品目に該当します。
- コンクリート打設
- 配管材
- 人工代(1人) など
品目を詳細に記載することで、何に対して費用がかかっているのか明確になります。このとき、工程や範囲ごとに品目を分けると請求書が見やすくなるでしょう。
書き方4:単価
単価の欄には、項目ごとに価格を記載します。また単位をつけるか、単価の右横に単位の欄を作成し、わかりやすいように整えましょう。単位の欄は、材料ならkgや立法メートルなどの単位、労働なら時間などの単位で表記します。
また、特定の作業について異なる単価が適用される場合は、各条件を明確に区分して記載すると分かりやすくなります。例えば、以下のように記載すると良いでしょう。
- ××施工費(5m未満) 単価30,000
- ××施工費(5m~7m未満) 単価100,000
書き方5:数量
数量の欄には、品目ごとに数量を記載します。材料であれば実際の使用量、労働の場合は作業時間数や日数などを記載します。
前出の単価と、ここで記載した数量を掛け合わせたものが実際の請求金額となるため、数量は正確な情報を記載しなくてはなりません。作業日や時間帯なども併記すると、進行状況を細かく反映できるでしょう。
例えば、直下の1行を備考に使い、以下のように記載することができます。
- ××施工費(5m未満) 単価30,000 数量:2 単位:式
- ××材料費(1m) 単価15,000 数量:6 単位:m
※3m×2箇所 施工日時:6月1日14時
書き方6:消費税
請求書では、消費税の金額の明記も必要です。消費税の欄は、軽減税率の対象になるものと、そうでないものを分けて記載します。
建築業の請求書では軽減税率の対象となるものがあまりないため、税「8%対象」の欄は「対象額0円」となることがほとんどです。
書き方7:発行日
請求書の発行日は、発注者との間で決まっている締め日を記載することが一般的です。したがって、必ずしも請求書の作成日が発行日となるわけではありません。日付の取り決めがある場合は、請求書の作成日としないよう注意しましょう。
書き方8:支払の期日
支払期日は、月末や翌月末とするケースが多いです。基本的には取引先のルールに合わせるため、事前に確認したうえで記載しましょう。ただし、月末や翌月末の日付では金融機関が振込に対応していない場合、日付の変更が必要になる可能性もあります。
支払期日は、事前に決めた支払期日を記載します。必ずしも期日を記載しなければならないわけではありませんが、記載することで支払遅延の防止に役立つでしょう。
書き方9:発行者
発行者は、請求書を発行する側の情報を記載します。例えば、会社名、担当者名などです。
書き方10:振込先の情報
口座振り込みで支払いを希望する場合は、振込先の情報も記載します。取引先がスムーズに振り込めるよう、「金融機関名」、「支店名」、「口座種別」、「口座番号」、「口座名義」を正確に記す必要があります。
振込先情報には、振込手数料をどちらが負担するかもあわせて記載すると良いでしょう。
書き方11:特記事項
請求に関する特記事項がある場合は、その旨を記載します。
特記事項を記載するのは、支払期日が変更になるケース、分割払いが適用されるケースなどです。普段の支払いと違うことがあれば記入しておきましょう。
書き方12:請求書番号
請求書番号とは、請求書を発行した側が管理しやすくするためにつける通し番号です。請求書番号は、作成者名の近くに記載する場合が多いです。初めて請求書を作成する際にフォーマットを決め、請求書番号を記載する箇所も決めましょう。
請求書の作成システムなどでは、自動で請求書番号を付与できるものもあり便利です。
書き方13:適格請求書(インボイス)の場合
インボイス制度に対応する適格請求書である場合は、以下の項目がすべて含まれるように請求書を作成します。
- 事業者名(国税庁に登録しているもの)
- 請求書の宛名(氏名または名称)
- インボイス登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(請求内容)
- 適用税率ごとの合計額と、その額に適用される税率、税額
- 税込か、税抜か
まとめ
建築業の請求書では、必要な項目を漏れなく記載することが大切です。適格請求書の場合は記載事項が多いため、一つひとつ注意して請求書を作成しましょう。
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