請求書をメールで送る場合の正しい方法とルールについて

請求書を取引先へ送付する際には、郵送での送付とメールによる送付の2つのパターンに分けられます。請求書をメールで送る場合、最低限のルール、ビジネスマナーなどについて、正しく知っておきましょう。

本記事では、請求書をメールで送付する場合の形式、確認事項やルールについて、詳しく解説します。

請求書をメールで送る場合の正しい方法とルールについて

請求書をメールで送付する行為について

PDFなどのデータファイルを送った後に改めて請求書の原本を郵送している企業は多く存在しています。原本の送付は必ず行うべきと考えている企業は多く「実際に取引があったことを証明するための証拠」としている企業も少なくありません。

そのため、請求書をメールで送付する場合、注意すべき2つの項目があります。それが「法的な可否」「印鑑の必要性」です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

法的の可否

「請求書をメールで送ることは法的に大丈夫なのか」と疑問に感じる方も多くいるでしょう。結論から言うと、法的には何も大きな問題はありません。請求書の発行そのものは、法律的に義務付けられている訳ではないため、極端に言えば「発行しなくてもいい書類」に分類されます。

しかし、企業として請求書の存在は不可欠な物と考えている場合も多く、発行をしないという事はあまりないでしょう。請求書をメールで送付する事は、取引の証明となるのであれば法的にも何ら問題はないと言えます。

印鑑の必要性

正式な書類として処理するために、請求書には印鑑を必須としている企業も多く存在しています。この印鑑ですが、メールで送る場合は一体どうなるのかと疑問に感じてしまうのではないでしょうか。

先程「請求書発行は法的に義務付けられていない」という話をしましたが、法律上絶対的なものではないため、請求書の印鑑も必要性が強いものではありません。ですが、印鑑があった方が有効性が高まるというのも事実です。

メールでの送付であっても印鑑を必要としている企業もあるでしょう。例えば取引先が印鑑のある書類のみしか受理しないというのであれば、送る側もそちらのルールに従わなければいけません。そのため、印鑑の必要性は取引先に事前に確認し、必要かどうかを把握しておくようにしてください。

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請求書をメールで送るメリット

まず、郵送より早く取引先へ届けることが出来るという点が挙げられます。郵送の場合、近場の取引先であっても最低1日は掛かってしまいます。しかし、メールは送った瞬間に相手に届くため、すぐに確認してもらえます。

郵送では起こりがちな宛先の間違いや切手不足による返送などのミスを防ぐことにも繋がります。さらに、紙媒体として出力する途中でプリンターが壊れてしまったり不具合が生じてしまった場合、更に時間がかかってしまいますが、メールでの送付であればこういった事を回避できます。

また、請求書を電子化しておけば、何かしらのトラブルや手違いがあった際にも、すぐに再発行や修正も可能ですので、時間をかけずに最小限の手間だけで迅速に対応する事も出来るでしょう。

このように、請求書をメールで送ることで得られるメリットとは数多くあり、迅速な対応やミスの回避、手間の削減などあらゆる恩恵を受けることができます。

請求書の送付をメールに変更するタイミング

請求書をメール送付に切り替えるのはどのタイミングで行うべきか、最適な時期はどのような場面となるのかという疑問を抱いている方も多くいるでしょう。

請求書の送付をメールに変更するタイミングとして適しているのは「料金の変更タイミング」「消費税の増税タイミング」「ペーパーレス化推進やリモートワークへの切り替え」の3つです。

料金の変更タイミング

国内の経済状況や物価の上昇のタイミングで、自社のサービスや料金に対する価格も上げざるを得ない状況の場合、メールでの送付となる旨を相談・説明する絶好のタイミングと言えるでしょう。

消費税の増税タイミング

頻繁に訪れるようなタイミングではありませんが、増税における価格変更を余儀なくされるという場合、上記のタイミング同様に状況説明を行い、取引先に理解してもらった上で変更するようにして下さい。

ペーパーレス化推進やリモートワークへの切り替え

新型コロナウイルスの影響などにより社内でリモートワークを導入する場合や、ペーパーレス化を進める上で電子化を行うなど、明確な理由をしっかりと取引先へ説明し、理解を得るようにして下さい。

上記のように、国内で大きな変更が行われるタイミングが特に最適です。どちらにも共通する事として挙げられるのは、しっかりと取引先へメール送付に変更する理由を明確に説明するという点です。

 
  • 郵送費用を削減する事で値上げ幅を最小限に抑えることが出来る
  • 環境問題への配慮としてペーパーレス化の配慮
  • メールに変更する事で得られるメリットについての説明

こうした事項を正しく説明し、取引先に納得してもらった上で請求書をメール送付へとシフトチェンジすることが出来、スムーズな移行に繋がるでしょう。

電子帳簿保存法改正への対応が必要

電子帳簿保存法は2022年1月に改正されました。請求書をメールで送付する場合、「検索機能」「訂正・削除防止のための事務処理規定」の2点の対応が必須となりますので、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

検索機能

まずは検索機能を準備しておく必要があります。税務署から提出を求められた場合、一括でダウンロードできるように、ファイル名を「取引金額」「取引先」「取引の日付」を含んだ名前に統一しておきましょう。さらに、エクセルなどで「取引金額」「取引先」「取引の日付」の入力をした一覧表を作成しておくと、いつでも検索可能な状態となるため効率的になります。

訂正・削除防止のための事務処理規程

請求書内容の訂正、もしくは削除などを防止するために、事前に事務処理における規定を定めておくようにして下さい。自社の運用にマッチした処理の方法を前もって明確にしておくことで、電子データの改ざんや不正行為を未然に防ぐことが可能です。規定は企業により細かな部分は異なりますので、自社の状況や業務の方向性、社員の負担など、様々な視点から考慮し決定させるようにして下さい。

メールの文面に記載すべき項目

取引先へメールで請求書を送る際には、メールの内容に記載すべき項目があります。以下の項目を正しく記載しておくことで、電子化した請求書であっても紙媒体の請求書と同じ効力を発揮します。

件名

何のためのメールなのかを記載し、メールを送る目的を明確に示します。

宛先

宛先は必ず誤りのないように記載して下さい。

挨拶

「いつもお世話になっております」などの挨拶や日頃のお礼などを入れることは最低限のビジネスマナーですので、必ず記載してください。

メールの要件

このメールをなぜ送ったのか、その要件について言及します。

添付内容(ファイル名)

添付したファイルについて記載してください。

請求金額

請求金額は添付する請求書のファイルにも記載されていますが、確認をしてもらうためメールの文中にも入れます。

支払期日

請求金額同様、確認のために支払期日もメールの文中に入れておきましょう。

送信者の連絡先

誰から送られてきたのかを明記しておくことで、何かしらのトラブルが起きた際も迅速に連絡をすることが出来ます。

宛先や請求金額、支払期日などに間違いがないよう必ず送付する前にチェックするようにすると安心です。

請求書をメールで送る場合の例文

上記の「メールの文面に記載すべき項目」に合わせてその例文をご紹介します。

(件名) 10月分請求書送付

(宛先) 株式会社〇〇
     担当〇〇様

(挨拶) いつもお世話になっております。株式会社△△の✕✕です。日ごろより弊社のサービスをご利用いただき、心より感謝申し上げます。

(メールの要件) 「◇◇◇」の件につきまして、10月分の請求書を送付させていただきます。内容をご確認いただき、期日までにお支払いいただけますようよろしくお願い申し上げます。

(添付内容) 添付ファイル【abcd_efg_2022.02.02.pdf】

(請求金額) ご請求金額:¥〇〇〇
(支払期日) お支払期日:〇〇年〇〇月〇〇日

(送信者の連絡先) ご不明な点がございましたら、お手数ですが〇〇までお問い合わせください。
Tel:〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇〇
mail:〇〇〇@〇〇.com

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

請求書をメールで送る場合の注意点

メールによる請求書送付をする場合、気を付けるべき4つの注意点があります。メールによる請求書の送付が初めての場合や、メール送付作業に慣れていない場合は、ここで解説する注意点を把握し、取引先とのスムーズなやり取りが行えるよう徹底した準備をしておきましょう。

取引先の承諾を得る

請求書をメールで送る場合、自社のみで完結して送ればいいという事ではありません。送る側の取引先の承諾を得ておきましょう。原本の存在を絶対としている企業もあります。

取引先に確認する際は、承諾を口頭で得たという場合は関係者や担当者にその旨が正しく伝わっていないという事も考えられます。そのため、今後請求書はデータ化してメールによる送付を行う事、原本の郵送は取りやめることなどを明記した取り決めなどを文書で作成するようにして下さい。

分かりやすい件名にする

メールを送付する場合、最初に担当者が見るのはそのメールの件名です。そのため、必ず分かりやすい件名にするように心がけて下さい。先程の例文にあるように「10月分請求書送付」など、一目見てどのような内容のメールなのかを把握できるようにしておきます。

件名で請求書の内容という事が判断できない場合、他のメールに埋もれてしまったり、確認を後回しにされてしまうという事もあります。また、件名を分かりやすくすることで、送った自社側でも管理がしやすくなるというメリットがありますので、何に関する請求なのか、何月分の請求なのかなどを懸命に正しく記載するようにしましょう。

ファイル形式はPDFにする

PDFはほとんどのパソコンで表示でき、かつ修正がしづらいという特徴があります。エクセルやワードなどで請求書の作成を行う場合、そのまま送付してしまうと、人的ミスにより数字を削除してしまったり、中には改ざんされてしまうというリスクがあります。

また、バージョンによってはファイルを閲覧できない、レイアウトが崩れてしまうという事もあります。セキュリティを強化するためにパスワードの設定を行い、ファイル形式をPDFにしてメール送付するという方法が一番確実で安全な方法と言えます。

押印形式を確認する

電子化した請求書に印鑑を押して送付する場合、電子印鑑を利用、もしくは書面に印鑑を押し、それをスキャンしてデータ化するという2つの方法があります。電子印鑑の場合、印影を画像化したもの、または印影に作成者や使用者、タイムスタンプなどの情報を保存しているものに分けられます。

電子印鑑の導入をする場合は、単純に印影を画像化したものを採用するか、様々な情報を保存したものを採用するか、それぞれの違いをよく理解し、印鑑の管理体制についても事前によく取り決めておくことが大切です。

まとめ

請求書は他の重要書類と違い、法的な義務付けがありません。しかしその重要性は多くの企業で非常に高い傾向となっています。そのため、業務の進行を妨げる事のないように事前に徹底的な準備を行うことが必須と言えます。

郵送をやめ、メールによる請求書送付を行う場合にチェックすべきポイントや気を付けるべき点について、本記事でそれぞれの内容を把握し、スムーズにメール送付へ移行できるように万全の備えをしておきましょう。

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畠山謙人税理士

監修 畠山謙人

2010年に公認会計士試験合格後、約10年間大手監査法人や事業会社で主に上場企業での財務経理業務に従事。現在は畠山謙人公認会計士事務所の代表及び税理士法人赤坂共同事務所のパートナーとして、税務顧問、スタートアップ支援、財務アドバイザリー等を行う。