法人が経費で落とせるもの一覧|落とせないものや迷いがちな費用も紹介

経費管理において、何が経費で落とせるものなのかを把握しておくことは、経理担当者のみならず経費申請する従業員にとっても重要なことです。

本記事では、法人が経費で落とせるものを一覧表にして紹介しています。
また経費として落とせるのかの判断が難しい項目についても解説していますので、ぜひお役立てください。経費で落とせるものを正しく理解し、正確な運用を目指しましょう。

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法人が経費で落とせるもの一覧|落とせないものや迷いがちな費用も紹介

法人が経費で落とせるもの一覧

そもそも経費とは、事業を運営するために発生する必要経費や収益獲得のために使った費用のことです。

そして「経費で落とす」とは、これらの経費を法人の損金として計上することを示します。損金は会社の利益から差し引けるもので、利益を少なくすることが可能です。利益が少なくなれば支払うべき法人税も抑えられるため、節税のためにも経費で落とせる費用を把握しておくことは欠かせません。

ここでは、特に代表的な経費の勘定科目を17種類紹介します。

勘定科目内容
租税公課
  • 税金(租税)や公共団体に納付する際に支払った費用(公課)
  • 印紙税・自動車税・固定資産税・不動産取得税・町内会費・商工会費・印鑑証明書や住民票の発行手数料などが含まれる
地代家賃
  • オフィスや店舗、駐車場などの賃借料
  • 家賃・月極駐車料、公益費・管理費・礼金(20万円未満)・更新料などが挙げられる
  • バーチャルオフィス・シェアオフィスの利用料も対象
  • オフィスが住居も兼ねている場合は按分して事業用分を計上する
給与賃金
  • 従業員へ支払う報酬全般
  • 給与以外にも、ボーナスや退職金・役職手当・住宅手当といった賞与や手当も給与賃金となる
水道光熱費
  • 水道・ガス・電気料金など
  • 水道光熱費とまとめて仕訳することも可能
  • 項目ごとに補助科目を設けると、費用が何に使われているのかを把握できるためおすすめ
通信費
  • 事業に使った通信にかかる費用全般
  • 電話通話料・FAX費用・インターネット利用料金・携帯料金・郵送や宅配の送料・テレビ契約料などが挙げられる
  • クラウドサービスにかかる月額料なども通信費として計上が可能
福利厚生費
  • 企業が独自に設定する従業員の福利厚生に関する費用
  • 従業員の食事手当・健康診断費用・慰安旅行費用・レクリエーション費用・社宅賃料・新年会などの親睦会費・慶弔見舞金などが含まれる
  • 全従業員が利用でき、常識的な支給額であることが求められる
接待交際費
  • 取引先との関係性構築のために使われる費用
  • 取引先との会食における飲食代やゴルフ代・手土産などの贈答品費・慶弔費などが対象
  • 社内の従業員のみが参加する食事会の飲食代は社内交際費として計上する
交通費
  • 勤務に必要な移動費
  • 勤務地へ赴くために使った電車賃やバス代といった公共交通機関の利用料などが対象
  • 顧客訪問の際にかかった移動費も交通費に含まれる
旅費交通費
  • 出張に伴う経費全般が対象
  • 移動にかかる電車代・バス代・タクシー代・高速料金のほか、駐車料金・ホテル代・出張手当なども含まれる
広告宣伝費
  • 自社商品・サービス・企業自体の宣伝にかかる費用
  • 新聞雑誌への掲載料・チラシやパンフレットの制作費・テレビやラジオなどのCM広告費・インターネット広告費・ホームページ制作費・イベント出店費・試供品費・社名入りカレンダーなどの贈答品費が挙げられる
消耗品費
  • 備品や消耗品の購入費用。購入時の価格が10万円未満もしくは耐用年数1年未満のものが対象
  • インク代・コピー代・USBメモリなどの記録媒体・文房具費・清掃用具・名刺代・10万円未満のパソコンなど
雑費
  • ほかの勘定科目に当てはまらない費用や、少額で一時的に発生する費用が主な対象
  • ごみ処理手数料・クリーニング費用・単発の機材レンタル費用・引越し料金などが挙げられる
  • 定期的に発生する場合はほかの勘定科目を設定する
荷造運賃
  • 自社製品の出荷や輸送に関わる費用
  • 梱包に使う段ボール・ガムテープ・緩衝材のほか、宅配や郵送にかかる発送料なども対象
研究開発費
  • 新製品や新技術の開発や改良にかかる費用
  • 製品調査費用・実験費・新規開発のための設備費や原材料費・人件費などが該当する
修繕費
  • 固定資産の修繕やメンテナンスにかかる費用
  • オフィスや業務に必要な機材・社用車などの固定資産に対するメンテナンス維持費・修繕費用が対象
  • 例として、オフィスの壁紙張り替え費用やパソコンの修理代などが挙げられる
新聞図書費
  • 事業を円滑に運営するために必要となる情報収集費用
  • 新聞や雑誌の定期購読料・情報誌・専門書籍の購入費のほか、有料サイト登録料・メールマガジン購読料・データベース利用料なども対象となる
減価償却費
  • 償却資産の購入費用を耐用年数に応じて分割し、毎年計上する費用
  • 償却資産とは土地や建物以外で事業用に使う固定資産のことで、パソコンやソフトウェア・オフィス家具などが挙げられる
  • 耐用年数は国税庁によって資産ごとに定められている

経費を正しく仕訳する際のポイントについては、以下の記事で紹介しています。

関連記事:経費の主な勘定科目20選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

法人が経費で落とせないもの

経費として認められるのは、事業運営に関わるものだけです。

経営者や役員、従業員の個人的な支出は、経費として落とせません。経費にできないものの例としては、友人を交えた個人旅行にかかる費用や家族との飲食費、自宅で使うための家具や文房具の購入費などが挙げられます。

ただし自宅とオフィスを同じにしている法人の場合は、事業分とプライベート分の線引きを明確にできれば、事業用部分についてのみ経費にしてもかまいません。その際には、税務調査時にきちんと説明できるようにしておく必要があります。

プライベートな支出以外では、法人税や住民税といった税金、事業には関係のない個人の社会保険料、交通違反や申告漏れによる罰金などを経費には含むことができません。

経費で落とせるか否かの判断に迷いがちな費用

経費になるかならないか、判断に迷うものもなかにはあるでしょう。ここでは特に判断に迷いがちな4つの費用項目について、経費精算時のポイントを解説します。

役員報酬

役員報酬は、原則経費として認められません。

しかし、一定の要件を満たせば経費として計上することが可能です。

たとえば月額の固定報酬を支払うと決めておく場合や、事前に支給額を決めて税務署へ届け出ている場合には経費として損金算入できます。なお毎月固定報酬を支払う場合は、会計年度の開始から3カ月以内に定額とすることを決めておく必要があります。税務署へ事前に支給額を申し出る場合の期限は、会計年度の開始から4カ月以内です。

これらを満たせないと、役員報酬を経費にできないため注意しましょう。

接待交際費

接待交際費には、経費として計上できる金額に上限が設けられています。

この上限額(損金算入限度額)を超過した部分の交際費は、経費から除外しなくてはなりません。

全額を経費にできる金額は原則一人あたり5,000円までとされていますが、法人の資本金額によってこの限度額は変動します。また企業の親子関係によっては親会社基準となる場合もあるため、必ずしも自社の企業規模での限度額とならない点に注意しましょう。

社用車関連費用

社用車を保有する場合は、その購入費用について減価償却することが可能です。ローンを利用した購入であれば、利息分も経費として認められます。また購入費用以外にガソリン代や保険料、駐車代、税金、車検代といった関連費用も経費として計上してかまいません。

ただし車の名義が社長など個人の名義である場合は、経費として認められませんので注意が必要です。自社で購入した社用車を経費にするには、必ず車を法人名義にしましょう。

役員や従業員のスーツ購入費用

役員・従業員のために購入したスーツ費用は、経費に含まれます。

ただし、業務に必要であると税務調査の際に説明できるようにしておかなくてはなりません。スーツは税務調査時に特に指摘されやすい事項として知られており、業務以外にも使う目的がある場合には全額を経費にできません。

たとえば、毎日必ずスーツを着用して業務を行う営業担当者であれば、購入費用を経費にしても問題ないでしょう。一方で月の多くを在宅勤務で過ごす従業員が、月に数回出社するときのみ任意でスーツを着用しプライベートでも同じスーツを使っている場合には、業務に必要ないものと疑われるかもしれません。

そのためスーツを法人で購入する場合には業務用であると示せるよう、使用状況を明確にしておくことが重要です。

経費精算を正確かつ効率的に行うポイント

節税を求めるあまり業務に不必要なものまで経費にすると、税務調査で不正計上とみなされ、過少申告加算税や無申告加算税、重加算税といったペナルティが課せられる可能性があります。

正当性を持って経費精算を行い税務調査時にきちんと説明できるようにするためにも、経費計上時には領収書や請求書、レシート・クレジットカードの利用控えなど根拠となるものを正しく保管しておくことが大切です。

ここでは、正確かつ効率的に経費精算を進めるために取り入れたい3つのポイントを紹介します。

なお、実際に不正計上とみなされた事例について以下の記事で解説していますので、ご確認ください。

関連記事:領収書・経費精算の不正事例まとめ|原因や対策を解説

経費精算規定を設ける

経費精算規定を設けると、従業員による手続きミスや経費申請時の判断の迷いを防げます。経費精算規定とは、経費精算に関わるルールをまとめたもので、社内マニュアルのひとつです。

規定を設ければ各従業員がルールに沿って経費申請できるようになり、ミスや書類の不備を減らせます。また規定の周知によって従業員による経費の水増し請求や架空請求といった不正も抑制でき、正当性のある運用がしやすくなるでしょう。

経費精算規定を作成する際のポイントは、以下の記事をお読みください。

関連記事:経費精算規定(ルール)が必要な理由とは?作成のポイントや注意点を解説

法人クレジットカードを利用する

法人クレジットカードの導入も、不正利用防止やミスの軽減につながるでしょう。

法人クレジットカードがあれば各従業員の支出を一元管理できるため、誰が何にいくら使っているのかをすぐに把握でき、不正が起こりにくい環境を構築できます。また多くのカードが会計ソフトと連携させられるため、手入力での転記作業が不要となり経理担当者による人的ミスも軽減できるでしょう。経費精算全体の工数削減にもつながり、業務効率化も期待できます。

法人クレジットカードを導入するメリット・デメリットは、以下の記事をご確認ください。

関連記事:法人カードを導入するメリットとは?デメリットや実際の運用事例

経費精算システムを導入する

経理業務の効率化や不正抑制、紙による運用・管理からの脱却には、経費精算システムが有効です。経費精算システムは経費精算に関わる業務を効率化できるシステムで、ほとんどの工程を電子化できます。

たとえば経費申請から承認までのフローがスムーズになり手作業が減るため、計算ミスや記入漏れといった不備も発生しにくくなるでしょう。また、申請の確認や催促もしやすくなるため不正防止も期待できます。紙での保管が不要となり証憑書類の管理がしやすくなる点も、経費精算の正当性を保つのに役立ちます。

経費精算システムの概要は、以下の記事をお読みください。

関連記事:経費精算システムとは?導入するメリット・デメリットや選び方を解説

経費の仕訳作業を効率化するなら「バクラク経費精算」

法人が経費で落とせるものには、多くの項目があります。ただし、なかには判断が難しいものがあり、場合によっては不正計上と指摘されてしまうこともあるでしょう。経費精算を正確に行うには、経費精算規定を設けたり法人カードや経費精算システムを利用したりすることが有効です。

バクラク経費精算は、スマートフォンによる領収書の一括読み取りや申請・承認が可能です。二重申請を防止できる機能も搭載しているため、不正も防止できます。また仕訳学習機能により、経理担当者の手間も大幅に軽減でき、業務効率化に役立ちます。
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