出張旅費精算とは?混同しやすい経費や精算の流れ・ポイントを解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-10-11
従業員が出張すれば、必ず出張旅費の精算が必要です。この記事では、出張旅費の精算について確認したい経理担当者に向けて、手順や適切に精算するためのポイントなどを解説します。出張旅費精算を効率化するためにできる工夫についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
出張旅費精算とは
出張旅費精算とは、出張の際にかかった経費を精算する作業のことです。出張においては、出張先へ出向くための交通費がかかります。遠方であれば、宿泊費がかかるケースもあるでしょう。また、出張に際して物品を購入した場合は、購入費も出張旅費として計上できます。
ただし、出張に伴って発生したからといって、すべての費用を全額計上できるとは限りません。出張旅費と混同しやすい経費もあるため、注意して精算しましょう。
出張旅費と混同しやすい経費
出張旅費を適切に精算するには、そもそも何が出張旅費にあたるか理解しておく必要があります。ここでは、出張旅費と混同しやすい経費について解説します。
交際費
交際費とは、業務上の関わりのために社外へ出向く際に発生する費用です。たとえば、取引先との懇親会や親睦会などへ行く場合にかかる費用が該当します。目的地が遠方で交通費がかかる場合も、出張旅費ではなく交際費として処理する必要があります。
研修費
研修費は、従業員の研修のためにかかる費用です。研修のために遠方へ行けば、交通費が発生します。この場合、経費精算の勘定科目は出張旅費ではなく研修費です。交通費に加えて宿泊費がかかっているなら、交通費と宿泊費をあわせて研修費として計上しましょう。目的が研修であれば、移動や宿泊のためにかかった費用はすべて研修費としてみなされます。
▼研修費について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「研修費の勘定科目は?従業員への教育・講習にかかる費用の仕訳例と経費処理」
福利厚生費
社員旅行の交通費や宿泊費は、福利厚生費として計上されますが、旅行期間や滞在日数について条件を満たす必要があります。社員旅行の行き先が国内なら旅行期間が4泊5日以内、海外なら滞在日数が4泊5日以内でなければなりません。また、従業員の半数以上が参加する必要があります。福利厚生費として計上できる金額は、1人につき10万円程度までです。
出張旅費精算の流れ
出張旅費の精算は、どのように行うのでしょうか。ここでは、基本の流れを解説します。
1.出張の事前申請と承認
まず従業員は、出張前に上長や経理担当者に出張計画書や出張申請書を提出します。上長や経理担当者は申請内容を確認し、出張の承認を行います。申請内容の詳細は、各企業の出張旅費規程により異なるので確認が必要です。
2.出張中は経費を立替払いする
出張している間にかかった経費は、基本的に従業員が立替払いをします。立替払いした経費は、出張後の申請により精算できます。そのためには企業名が記された領収書が必要であるため、忘れずに受け取って保管しましょう。
ただし、出張前に一定額を仮払いで支給している企業もあります。仮払いに関しては、以下で詳しく解説しています。
▶仮払いの精算方法を解説!手間がかかりやすい仮払金の会計処理を効率化する方法とは?
https://bakuraku.jp/knowledge/knowledge-expense/temporary-advance/
3.旅費精算書を作成する
従業員は出張から戻った後、旅費精算書を作成します。旅費精算書には領収書の添付とともに、以下の項目を記載します。
・氏名/所属部署名
・旅費精算の申請日
・出張先
・出張目的
・出張期間
・宿泊料金
・日当
・交通手段
・旅行交通費
書類に記載した情報は、領収書に掲載されている日付や金額と一致している必要があります。精算書と領収書に相違がある場合は、経理担当者によって差し戻されてしまう可能性があるので注意しましょう。
4.上長の承認を得る
従業員は上長へ旅費精算書を提出します。当初の予定にはなかった大きな支出が発生している場合は、別途説明が必要です。上長は書類の内容を確認し、問題なければ承認印を押します。上長の承認を得た精算書は、経理部門へ回されます。
5.経理担当者に提出する
経理担当者は、不正を防ぐために旅費精算書の内容を細かくチェックします。具体的には、適正な計上金額かどうか、経費として適切ではない費用が含まれていないかなど、1件ずつ丁寧に精査します。経費担当者が、申請内容に問題がないと判断したら、出張旅費を精算します。
従業員への支払いは、翌月の給与を支払うタイミングで一緒に振り込まれる場合が多いです。なかには、都度現金で清算している企業もあります。
適切に出張旅費精算を行うポイント
適切に出張旅費精算を行うには、さまざまなことに気をつける必要があります。ポイントを解説します。
出張旅費規程を整備する
出張旅費規程とは、出張旅費について定めた社内の独自のルールです。具体的な規程を定めておけば、従業員はその内容に従って出張旅費を申請できます。余計な費用の申請を防げるため、経費の削減や節税の効果にも期待することが可能です。出張旅費規程の存在を従業員に認識させ、出張旅費の精算前に必ず確認してもらいましょう。
また、出張旅費規程を設けると、出張手当が非課税所得となります。
社内ルールを周知する
出張旅費精算を適切に行うためには、社内ルールの周知も重要です。具体的には、領収書の必要性、経費の対象、グリーン車を利用する条件など細かい内容をすべての従業員に理解してもらう必要があります。
確定申告への影響も考慮し、経費精算の期限についても周知するとよいでしょう。ルールを徹底的に周知すると書類の差し戻しが減り、経理担当者の負担も軽減できます。社内ルールがなかなか浸透しない場合は、ルールに違反した従業員に対してペナルティを科す方法も検討しましょう。
出張旅費が妥当なものか確認する
出張旅費の精算においては、妥当性を慎重に判断する必要があります。出張旅費は、他の経費と比べると高額になりやすいです。また、交通費はルートごとに金額が異なるため、不正が横行しやすくなっています。交通費は最短経路で申請されているかについて必ずチェックしましょう。また、宿泊費が高すぎないかについても確認が必要です。
出張旅費が高額すぎる場合、税務調査において指摘を受けるリスクがあります。そのような事態を避けるためには、日頃から出張旅費を適切に精算しなければなりません。
出張旅費精算を効率化する方法
出張旅費精算を効率化するには、さまざまな工夫が必要です。以下でくわしく解説します。
Excelのテンプレートを用意する
出張旅費精算の効率化のためには、Excelのテンプレートを用意する方法があります。自社の出張旅費精算のルールに沿ってテンプレートを作成しておけば、精算のたびにゼロから書類を作る必要がありません。社内の書類の書式を統一するためにも役立ちます。テンプレートには、以下の内容を含めましょう。
・出張のスケジュール
・日当
・宿泊費
・交通費
・出張中のその他の支出
出張時の申請・精算に対応した経費精算システムを導入する
出張時の申請や精算に対応した経費精算システムを導入もおすすめです。自社規定に応じた日当・手当の自動計算機能や、事前出張申請と合わせた仮払金の申請などに対応した経費精算システムなら、煩雑になりがちな出張申請の作業を効率化できます。さらにPCやスマートフォンとの連携により、社外でも出張旅費の申請と精算が可能です。
まとめ
出張旅費を精算する際は、出張旅費規程や社内ルールに則って適切に申請する必要があります。出張旅費と混同しやすい経費もあるため、各従業員にそれぞれの違いを理解してもらうことも大切です。効率化のためには、Excelのテンプレートの使用や、経費精算システムの導入も検討しましょう。
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