ペーパーレス化はなぜ重要?推進するメリット・デメリットや進め方も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-06-04
- この記事の3つのポイント
- ペーパーレス化とは、業務効率の改善のために、紙の使用を減らして文書や資料を電子化すること
- ペーパーレス化には、コスト削減や業務効率化、テレワークの推進など、多くのメリットがある
- 目的や必要性を社内で共有し、ITリテラシー教育を実施しながら段階的に進めることが重要
近年、業務のデジタル化や働き方の多様化が進んでいることから、社内のペーパーレス化を検討している方もいるでしょう。ペーパーレス化を実現するには、目的や必要性を社内で共有し、段階的に進めることが重要です。
本記事では、ペーパーレス化の重要性や推進のメリット・デメリット、具体的な進め方について解説します。ペーパーレス化に役立つシステムも紹介しますので、参考にしてください。
ペーパーレス化はなぜ重要?推進するメリット・デメリットや進め方も解説
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ペーパーレス化とは?重視される背景
ペーパーレス化とは、紙の使用を減らし、文書や資料を電子化することです。主な目的は業務効率の改善で、政府も取り組みを推進しています。
ペーパーレス化が重視されるようになった背景に、新たな法律の施行やテレワークの普及があります。2005年に「e-文書法」が施行され、これまで紙による保存が義務付けられていた法定文書の電子化が可能となりました。
また、2022年1月に改正法が施行された「電子帳簿保存法」では、国税関連帳簿・書類の保存要件が大幅に緩和されています。
コロナ禍におけるテレワークの普及も、企業のペーパーレス化が重視されるようになった背景の一つといえるでしょう。
電子帳簿保存法については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法とは?対象書類・保存要件・改正内容・対応策を一挙に紹介
以下の記事では、インボイス制度の概要や影響を図解で解説しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説
ペーパーレス化の具体的な方法
ペーパーレス化の具体的な方法は、以下のとおりです。
- 紙の書類をスキャナーで取り込み、電子データ化する
- 書類を電子文書として作成し、パソコンやタブレットでやり取りをする
- 専用のシステムやツールを導入し、業務をデジタル化する
紙の請求書や領収書は、スキャナーで取り込み、電子帳簿保存法に則って電子データ化・保存すればペーパーレス化を実現できます。WordやExcelで作成した電子文書を印刷せず、メールやチャットツールでデータを共有する方法も有効です。
自社のニーズに合った専用のシステムやツールを導入して、業務の一部をデジタル化する方法もあります。書面の回覧・押印のほか、経費精算や請求書発行などの業務をシステム上で完結できるものなど、機能性はさまざまです。
ペーパーレス化の対象となる書類は?
ペーパーレス化のポイントは、業務効率の改善が見込めるか否かに着目して、対象の書類を見極めることです。ペーパーレス化の対象となる書類の例として以下が挙げられます。
- 請求書や見積書、契約書などのビジネス文書
- 経費精算書など、社内申請に使用する書類
- 会議資料
- 自社の商品・サービスのパンフレットやチラシ
ビジネス文書をペーパーレス化すると、取引先とのやり取りを効率化できます。ただし、取引先が電子文書のやり取りに対応しているか、事前に確認が必要です。
経費精算書や会議資料をペーパーレス化する場合は、共有や閲覧のしやすさに重点を置くことがポイントです。申請・承認業務やWeb会議が可能なシステムを導入すれば、ペーパーレス化との相乗効果が期待できます。
自社のパンフレットやチラシも、ペーパーレス化の対象です。掲載情報のアップデートがしやすく、ノートパソコンやタブレットの持ち運びのみで営業などに行けるなどのメリットがあります。
請求書や経費精算のペーパーレス化について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
ペーパーレス化を推進するメリット
ペーパーレス化を推進すると、企業にさまざまなメリットがもたらされます。代表的な4つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
コストの削減
ペーパーレス化の推進により、以下のようなコストの削減効果が期待できます。
- 紙代・トナー代
- 印刷機器のリース費・修理費
- 書類の配送費
- 書類の廃棄費
- 書類の整理・保管に必要な人的コスト
印刷に必要な紙代やトナー代のほか、使用するプリンタの台数が減ることで、印刷機器の保有・管理に伴うコストの削減効果が見込めます。パンフレットなどの印刷を外部に委託している場合、外注費用も抑えられます。
また、書類の郵送や宅配にかかる費用、書類の廃棄に使用するシュレッダー代や廃棄物処理費用も削減可能です。これまで書類のファイリング作業や保管スペースの確保に必要とされていた、人的コストもカットできるでしょう。
業務効率化
ペーパーレス化を進めると、社内のあらゆる業務を効率化できます。
たとえば社内用の回覧文書を電子化した場合、印刷やファイリングの手間を省けます。場所や時間を問わず閲覧できることから、社内の情報共有がスムーズに行える点もメリットです。
電子文書はファイル名で容易に検索ができるため、過去の書類を膨大な量のファイルから探す必要もありません。
また、電子文書は会計ソフトや経費精算システムとの連携が可能なため、DX推進にも寄与します。DXとはデジタル技術によるビジネスや生活の変革のことで、実現には書類の電子化が必要不可欠といえるでしょう。
内部統制・セキュリティ体制の強化
ペーパーレス化は、内部統制・セキュリティ体制の強化にも効果的です。
紙の書類には紛失や盗難のリスクがあり、重要書類は金庫に保管するなどの対策が必要です。その点、電子文書は閲覧制限やアクセス制限を文書ごとに設定・管理できるため、物理的なセキュリティ対策を講じる必要はありません。
置き忘れなどの人為的ミスによる盗難・紛失のリスクも低減でき、リスクコントロールがしやすくなるでしょう。
パソコンやサーバーの不具合で万が一データが消失した場合も、バックアップをとっておけば、情報を復元できるため安心です。
テレワークの推進
ペーパーレス化は、テレワークの推進も後押しします。書類の電子化が実現すれば、紙媒体の書類を扱う必要がなくなるため、毎日オフィスへ出社しなくとも自宅や外出先で業務を進められます。
移動中や商談前などの合間を縫って業務を遂行できれば、さらなる業務効率化が可能です。専用システムやチャットツールを導入することで、テレワークにおける利便性向上も期待できるでしょう。
環境への配慮・企業イメージ向上
CSR(企業の社会的責任)が求められる昨今、環境への配慮は欠かせない取り組みの一つです。ペーパーレス化による紙の使用量の減少は、廃棄物の削減や森林資源の保護といった社会全体の利益に寄与します。
ペーパーレス化の取り組みを自社のホームページなどでアピールすれば、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
ペーパーレス化で考えられるデメリット
ペーパーレス化をスムーズに進めるには、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。考えられる4つのデメリットを紹介しますので、あらかじめ理解を深めた上でペーパーレス化に取り組みましょう。
紙のほうが扱いやすい書類もある
ペーパーレス化のデメリットとしてまず挙げられるのが、視認性の問題です。以下のようなケースでは、電子データではなく紙に印刷するのが望ましいといえます。
- 確認する際に拡大が必要な書類
- 複数枚を同時に確認しなければならない書類
- 書き込みが必要な書類
- 会議などで、複数人が同時に確認する書類
使用する機器や用紙のサイズ設定によっては、文字が読みにくいと感じる可能性があります。文字の読み取り自体は拡大すれば問題ありませんが、内容の把握に時間がかかるでしょう。
複数枚を同時に確認しなければならない書類や、書き込みが必要な書類も、ペーパーレス化には不向きです。
ペーパーレス化の目的は業務効率の改善であることを踏まえて、紙と電子データのいずれが適しているかを書類ごとに見極めることが重要です。
導入のコストがかかる
ペーパーレス化が難航する理由の一つに、導入コストの問題があります。スキャナー代やセキュリティ対策ソフトの導入費用のほか、リモートワークも進める場合は電子機器の準備が必要です。
専用システムを導入する場合、サーバー・インフラ整備のコストも発生します。従業員が電子機器の操作に慣れるまでは、人件費の高騰も懸念されるでしょう。
長期的視点ではあらゆるコストの削減が期待できますが、導入コストの問題でペーパーレス化に失敗するケースは少なくありません。無理のない範囲で、徐々に進めることがポイントです。
システム障害などの影響を受ける
災害や停電によるシステム障害で、ペーパーレス化した書類が閲覧できなくなる可能性があります。従業員の操作ミスなどによる、データ消失のリスクも否定できません。
しかし紙の書類にも、災害などで紛失や破損が起こるリスクはあります。データのバックアップ・復元が可能な点では、電子データの方が対策を講じやすく有利といえるでしょう。
ITリテラシーがないと使いこなせないことがある
パソコンやタブレットの操作に不慣れな従業員が多いと、ペーパーレス化に難航する可能性があります。業務フローの変更に対応できない従業員が紙媒体でのやり取りを続けて、ペーパーレス化の断念を強いられる企業は少なくありません。
セキュリティ意識の欠如が情報漏洩などの問題を引き起こす恐れもあるため、ITリテラシーや電子機器の操作方法に関する研修は必須です。操作しやすいシステムを導入するなどの工夫を凝らして、円滑なペーパーレス化を目指しましょう。
ペーパーレス化を推進する際の注意点
ペーパーレス化を推進する際、注意すべきポイントがいくつかあります。これから紹介する4つのポイントを理解し、スムーズなペーパーレス化を実現しましょう。
社内の理解を得る
ペーパーレス化を滞りなく進めるには、目的や必要性を従業員にあらかじめ周知し、理解を得ることが重要です。情報共有が不十分な状態で進めると、ペーパーレス化に対応できない社員の反発によるトラブルを招きかねません。
ペーパーレス化は導入して終わりではなく、定着させるための工夫も必要です。削減できた紙の量や人件費をデータにまとめて、社員に周知しましょう。ペーパーレス化に成功した部署などを取り上げて、コツやスキルを共有する方法もおすすめです。
効果を可視化することで社員がメリットを理解でき、ペーパーレス化が浸透しやすくなります。
対象の業務・部署を限定して推進する
ペーパーレス化を一斉に導入せず、業務や部署を限定して進めるのも効果的です。たとえば「会議用の資料のみ電子データ化する」「経理部で試験的に導入する」といった進め方です。
一部の業務・部署から取り組みを開始することで、従業員の抵抗感を軽減し、混乱を防げます。浮き彫りになった問題点や課題について、改善を図りながらペーパーレス化を推進できるメリットもあります。
社員に負担がかからないように配慮しつつ、導入しやすい部分から段階的にペーパーレス化を進めましょう。
自社に合ったシステム・ツールを選ぶ
ペーパーレス化の際に専用のシステムやツールを導入する場合は、自社に合ったものを選ぶことが重要です。機能の豊富さやコストの安さのみで選定すると、ペーパーレス化の失敗や業務効率の低下を招く可能性があります。
まずは自社の課題や業務フローを整理して、解決につながるシステム・ツールを導入しましょう。ペーパーレス化したい文書の種類から、最適なシステムを選ぶのもおすすめです。
たとえば、請求書のペーパーレス化を進めたい場合は、請求書の作成・発行に特化したシステムの導入が望ましいでしょう。
社員向けの研修を実施する
社員のITリテラシー不足が懸念される場合は、研修を実施して知識・スキルの向上を図るのがおすすめです。社内での対応が困難であれば、外部講師に依頼しても問題ありません。
対象社員の役職や必要なスキルを考慮しつつ、効果的な研修を実施しましょう。研修の際に社員が抱える悩みや疑問を聴取し、解消を図ることもポイントです。
ペーパーレス化に役立つシステムの例
最後に、ペーパーレス化に役立つ3つのシステムを紹介します。それぞれの特徴やメリットを理解して、自社に合ったシステムを導入しましょう。
ワークフローシステム
ワークフローシステムは、社内の申請や承認手続きを電子化するシステムです。申請から承認までの業務フローをシステム上で完結でき、ペーパーレス化の推進に役立ちます。
申請後は決裁の進捗をシステム上で確認できるため、承認が滞っていても即時に状況を把握できます。タブレットやスマートフォンで申請・承認ができるシステムもあり、自宅や外出先で業務を進められる点も強みです。
ワークフローシステムのメリットや導入メリットについて理解を深めたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。タイプ別の比較表も掲載しています。
関連記事:ワークフローシステムの徹底比較【バクラクvs.他3タイプ】とおすすめポイントの紹介
電子契約システム
電子契約システムは、ペーパーレスで契約手続きができるシステムです。契約書の送付や受領のほか、電子サインや電子証明書を用いた契約の締結も可能なため、紙の契約書は不要です。紙の契約書を、電子データとして保存できるシステムもあります。
作成した契約書には書面の契約書と同等の法的効力がありますが、電子契約ができない一部の書類に注意が必要です。たとえば、事業用定期借地権設定契約書や農地賃貸借契約書は、書面での作成が義務付けられています。
請求書管理
請求書管理システムは、請求書の作成や送付、受領、保管などの請求業務全般を効率化できるシステムです。たとえば、システム上で作成した請求書を適切なファイルに変換し、メールで送付できます。
多くの取引先とやり取りをする企業の場合、紙代や郵送代、人件費などの大幅なコスト削減効果が期待できます。インボイス制度や電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、法令遵守の観点でも役立つでしょう。
ペーパーレス化を推進するなら「バクラク請求書発行」
ペーパーレス化とは、紙の使用を減らして、文書や資料を電子化することです。ペーパーレス化には業務効率化やコストの削減、内部統制・セキュリティ体制の強化、テレワークの推進など多くのメリットがあります。
一方で、視認性や導入コストの問題、システム障害のリスク、ITリテラシーが低い社員への教育といった課題もあります。専用システム・ツールの導入も視野に入れて、対応可能な範囲で徐々にペーパーレス化を進めましょう。
請求業務のペーパーレス化を実現したい方には、バクラク請求書発行の導入がおすすめです。請求書や見積書、納品書などのあらゆる帳票をシステム上で発行できるほか、作成・稟議・送付・保存をデジタルに一本化できます。
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