見積書と請求書の違いは?取引の流れや役割、発行タイミングの観点から解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-03-07
- この記事の3つのポイント
- 見積書と請求書は発行のタイミングと目的が異なる
- 見積書と請求書の金額が異なる場合、請求書を再発行する
- 法人の場合7年間、個人事業主の場合は5年間保存しなくてはならない
見積書と請求書は、取引の円滑な進行と透明性の確保に重要な役割を果たしています。しかし、似ているように見える見積書と請求書の書類には、実は明確な違いがあります。
本記事では、見積書と請求書の違いを、取引の流れや役割、発行タイミングの観点から詳しく解説していきます。違いを理解することで、ビジネスにおける文書管理がより効率的になり、取引先とのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。
見積書と請求書の違いは?取引の流れや役割、発行タイミングの観点から解説
見積書と請求書の違い
- 受注側が見積書を提示
- 発注側が見積書を確認し、発注書・注文書を発行
- 受注側が商品を納品し、納品書を発行
- 発注側が商品を受け取り、受領書を発行
- 受注側が商品を検品し、請求書を発行
- 発注側が代金を支払う
発行のタイミング | 目的 | |
見積書 | 契約前 | 取引内容と予想される費用を確認するため |
請求書 | 取引完了後 | 実際に発生した代金を請求するため |
見積書の役割と書き方
本章では、見積書の役割と書き方を解説します。
見積書の役割
見積書の役割には、主に以下の2つがあります。
- 認識の齟齬を防止するため
- 取引先から信用を得るため
取引内容や条件を明確に示すと、発注者と受注者の間でお互いの認識をすり合わせることができます。口頭での合意だけでは「言った言わない」の争いが生じる可能性がありますが、見積書があれば取引内容が可視化され、双方で確認できる記録として残るでしょう。
後々のトラブルを未然に防ぐことができ、円滑な取引につながります。また、見積書に具体的な内容や条件を提示すると、事業者の誠実さや専門性を示すことができ、取引先からの信頼を得られます。
見積書の書き方
見積書には、以下のような項目を記載する必要があります。
- タイトル(「見積書」「お見積書」など)
- 発行日
- 見積書番号
- 宛名(発注者の情報)
- 発行者(受注者の情報)
- 発行者の押印
- 見積金額
- 商品・サービスの明細(品目名、単価、数量など)
- 納期
見積書の作成にあたっては、次の点に注意しましょう。
タイトルは見積書であることが一目でわかるよう、文書の上部に大きく記載します。発行日と見積書番号は、後の管理や問い合わせに備えるためにも、できるだけ記入しましょう。
宛名には取引先の正式名称を使用し、敬称を適切に付けます。発行者の情報には、会社名、住所、電話番号などを記載し、必要に応じて社印を押印しましょう。
見積金額は目立つように大きめのフォントで記載し、明細欄には商品やサービスの詳細を明確に記入することが必要です。小計、消費税、合計金額の計算には特に注意を払い、間違いがないよう確認しましょう。
見積書の書き方と注意点について詳しく知りたい方は、関連記事をご参照ください。
請求書の役割と書き方
本章では、請求書の役割と書き方を解説します。
請求書の役割
見積書の役割には、主に以下の3つがあります。
- 対価を請求するため
- 取引の証明をするため
- トラブル防止のため
請求書は、商品やサービスの対価を正当に求めるための公式な文書です。請求書には取引内容、金額、支払い条件などが明記されるため、取引の透明性を高めることが可能です。
請求書は税法上、取引の事実を証明する証憑書類として扱われます。請求書の発行側にとっては売上の計上や債権管理の基礎となり、受取側にとっては支出の証明や経費処理の根拠となるでしょう。
万が一取引先との間で金額や支払い時期などについてトラブルが生じた場合、請求書は法的な証拠として活用できます。このため、請求書の発行と保管は、将来的なトラブル防止や解決の手段としても重要です。
請求書の書き方
請求書には以下のような項目を記載する必要があります。
- 発行日
- 請求書番号
- 宛名(取引先の名称)
- 自社の名称と住所
- 請求金額(税込)
- 支払期限
- 支払方法
- 取引内容(商品名やサービス内容、数量、単価)
- 振込先の口座情報
請求書の作成にあたっては、次の点に注意しましょう。
発行日は請求書を作成した日付を記入し、請求書番号は取引を識別するための固有の番号をつけます。宛名は取引先の正式名称を使用し、敬称をつけるのが一般的です。自社の情報は、会社名、住所、電話番号などを明記し、必要に応じて社印を押印しましょう。
請求金額は税込みの総額を大きく表示し、その内訳として消費税額を別途記載します。支払期限は通常、発行日から30日以内です。取引内容の欄では、提供した商品やサービスの詳細を明確に記述し、数量や単価を明記しましょう。
請求書の記載すべき項目や注意点について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:請求書の書き方とルールを具体例付きで解説(テンプレートあり)
関連記事:適格請求書とは?概要や書き方(見本付き)をわかりやすく解説
見積書と請求書の金額が異なる場合の対処法
見積書と請求書の金額が異なる主な理由には以下のようなものがあります。
- 商品の価格変動や予想外の工数増加
- 納期の変更や依頼内容の追加
- 仕入れ価格の高騰
- 請求書作成時のミス
- 値引きの適用漏れや価格改定の反映ミス
見積書と請求書の金額が異なる場合、請求書を再発行することで対処できます。まずは、ミスに気づいた時点ですぐに取引先に連絡し、状況を説明しましょう。次に、取引先との話し合いを通じて修正した請求書を発行し、取引先の承認を得ます。
再発防止のため、請求書作成プロセスの見直しやチェック体制の強化、必要に応じてシステムの導入なども検討すべきでしょう。
見積書と請求書は適切に保管する必要がある
見積書と請求書は、企業の取引記録として重要な文書であり、適切な保管が法律で義務付けられています。法人の場合、見積書と請求書を含む取引関連書類は原則として7年間の保存が必要です。一方、個人事業主の場合は5年間の保存義務が課せられています。
2024年1月1日以降、電子取引で受け取った見積書や請求書については、改正電子帳簿保存法により、電子データのまま保存することが義務付けられました。取引の透明性を確保し、税務調査の効率化を図るためです。
電子データで保存する場合は、改ざん防止措置を講じ、検索機能を確保するなど、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、タイムスタンプの付与や、日付、金額、取引先で検索可能な状態での保存が求められます。
電子帳簿保存法の義務化や注意点について知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
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見積書と請求書は、取引の異なる段階で重要な役割を果たす文書です。見積書は取引前の合意形成と価格交渉のツールとして機能し、請求書は取引完了後の代金請求と支払いの根拠となります。
発行タイミングも、見積書が契約前、請求書が納品・検収後と明確に分かれています。
効率的な文書管理を行うには、必要に応じてシステムを導入し、電子データでの管理体制を整えることが重要です。
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