仕訳帳の書き方をわかりやすく解説!記入例や簿記の注意点も紹介
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-20
仕訳帳は、企業のすべての取引を日付順に記録する会計帳簿です。企業経営には欠かせない帳簿ですが、書き方が分からない、またはおさらいしたいという担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では仕訳帳の書き方について詳しく解説します。記入の具体例や、書く際のポイントを挙げるので、参考にしてください。
仕訳帳の書き方をわかりやすく解説!記入例や簿記の注意点も紹介
仕訳帳とは
仕訳帳は、企業が作成すべき帳簿のなかでも、お金の流れを日付順に逐一書き留めたもののことを指します。
すべての取引が記録された仕訳帳は、複式簿記における主要簿の一つで、財務データの基礎を形成するものです。記載項目には日付、借方・貸方の勘定科目、金額、摘要が含まれます。
仕訳帳の目的
仕訳帳の目的は、企業の財務状況を正確に把握することにあります。取引の記録を日付順に行うことで、会計データの一貫性と正確性を保てることが、仕訳帳の特徴です。
また、それぞれがどういった理由の入出金であったのかが記録され、分類できるようになっているため、財務諸表の作成や経営判断に役立ちます。
仕訳帳の保存期間
仕訳帳の保存期間は、通常7年間です。仕訳帳は税務署による調査や法的な監査に対応するため、「作成年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間」の保存が義務付けられています。
仕訳帳には適切な保存が求められますが、保存のためのスペースが必要で、紛失にも注意しなければなりません。現在では、電子帳簿保存法に基づくデジタル保存も推奨されています。
仕訳帳の書き方と記入例
仕訳帳の書き方について不安に感じている方は多いでしょう。ここでは具体的な記入例を挙げて、仕訳帳の書き方を解説します。
資産勘定を含む仕訳例
資産勘定は、会社の資産を購入した場合の勘定科目です。例えば、オフィス用のパソコン(備品)を現金支払いで購入した場合は以下のように仕訳を行います。
・仕訳例:
日付:2023年7月15日
借方:備品 150,000円
貸方:現金 150,000円
摘要:パソコン購入
オフィス用パソコンを購入したため、資産勘定の「備品」が増加し、借方に計上されます。一方、代金は現金で支払われたため、現金勘定の「現金」が減少し、貸方に計上されます。
負債勘定を含む仕訳例
負債勘定は、買掛での購入品や、金融機関への債務を記載する項目です。
例えば、建物の購入代金5千万円を△△銀行から借り入れた場合は以下の通りとなります。
・仕訳例:
日付:2023年7月20日
借方:普通預金 50,000,000円
貸方:長期借入金 50,000,000円
摘要:△△銀行長期借入金借入
この場合、長期借入金を借り入れたため、負債勘定の「長期借入金」が増加し、貸方に計上されます。その分、普通預金に借入金が入金されたため、資産勘定の「普通預金」が増加し、借方に計上されます。
収益勘定を含む仕訳例
収益勘定は、本業での売上高、もしくは本業以外の事業で得た営業外利益や、事業以外で特別利益のあった場合に記載される項目です。
例えば、自社製品を◯◯社へ2,500,000円で販売したものの、代金は後日入金される場合には、次のように仕訳帳を記載します。
・仕訳:
日付:2023年8月1日
借方:売掛金 2,500,000円
貸方:売上 2,500,000円
摘要:◯◯社製品売上
自社製品を販売したため、収益勘定の「売上」が増加し、貸方に計上されます。また代金は後日入金となるため、資産勘定の「売掛金」が増加し、借方に計上されます。
費用勘定を含む仕訳例
費用勘定とは、仕入れにかかった金額や広告宣伝費、従業員への給与、交際費、家賃や租税公課などを記載する項目です。
例えば7月分の従業員給与を振込で支払った場合、仕訳帳の記入方法は以下の通りとなります。
・仕訳:
日付:2023年8月5日
借方:給与 3,500,000円
貸方:普通預金 3,500,000円
摘要:7月分従業員給与
給与を支払ったため、費用勘定の「給与」が増加し、借方に計上されます。これに対して、代金は振込で支払われたため、資産勘定の「普通預金」が減少し、貸方に計上されます。
売掛金の回収
売掛金は、いわば後払いの代金です。売掛金の回収は、商品やサービスの代金が入金された際に行います。
顧客から売掛金500万円を回収し、銀行口座に入金した場合は以下のように仕訳帳を記載しましょう。
・仕訳:
日付:2023年9月10日
借方:普通預金 5,000,000円
貸方:売掛金 5,000,000円
摘要:売掛金回収
顧客から売掛金を回収したため、資産勘定の「普通預金」が増加し、借方に計上されます。同時に、売掛金の減少を反映させるため、売掛金勘定の「売掛金」が減少し、貸方に計上される形です。
仕訳帳に記載する項目
仕訳帳には、以下の4つの項目を記載します。
- 日付:取引が発生した日付
- 借方・貸方の勘定科目:取引内容に対応する勘定科目
- 金額:取引金額
- 摘要:取引の詳細や相手先の情報
また、仕訳帳に記載するタイミングは「取引」が発生したときです。
企業の財産や資本が増減するとき、つまり、売上げや経費の支払いが具体的に発生したときに記載を行います。
契約時や発注時は資産の増減がないため、「取引」には含まれません。
仕訳帳へ記載する日付については、以下のページも参考にしてください。
仕訳帳と総勘定元帳の違い
総勘定元帳とは、仕訳帳に記載されたすべての取引を勘定科目別に整理した帳簿です。
仕訳帳は日付順に取引を記録するのに対し、総勘定元帳は勘定科目ごとに取引を記録します。書き方の違いはありますが、総勘定元帳も仕訳帳と同じく主要簿の一つです。
仕訳帳のデータを総勘定元帳に転記することで、各勘定科目の取引金額や、予算に対する残高を把握できます。さらに、総勘定元帳は財務諸表作成の基礎となる点も特徴です。
勘定科目とは
勘定科目とは、収入や支出の内容を示すための項目です。帳簿上で企業の財産や収益、費用などを管理するために使用されます。
例えば、「現金」「売上」「広告宣伝費」などが、勘定科目に該当するものです。経費だけでなく収入に対しても該当する勘定科目があります。
経費の勘定科目について詳しくは、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
経費の主な勘定科目16選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説
勘定科目の分類方法
勘定科目は、大きく資産、負債、純資産、収益、費用の5つに分類されます。
資産は増加を借方(左側)に、負債と純資産は増加を貸方(右側)に記載するのが特徴です。なお純資産が減少するときは借方(左側)に記載します。
また収益と費用はそれぞれ逆の位置に記載されることに注意しましょう。収益が増えるときは貸方、減るときは借方です。費用は逆に、増えるときに借方、減るときに貸方となります。
仕訳帳に書く際のポイント
仕訳帳に記入を行う際は、以下のポイントに注意しましょう。
正確な日付を必ず記入する
仕訳帳は日付順に取引を記録するため、各取引の正確な日付を必ず記入する必要があります。
日付が正確であることで、取引の順序や時期を明確にすることが可能です。また日付の記録は、後で確認や監査を行う際に役立ちます。
日付があいまいになるのを防ぐため、仕訳帳の記載は毎日行うのが基本です。
借方と貸方の金額を必ず一致させる
仕訳帳では、各取引において借方と貸方の金額が必ず一致するように記入する必要があります。これにより、会計記録のバランスが保たれ、複式簿記の基本原則が守られるのです。
複式簿記では、資産がどのように調達されたか、その資産がどう使われたかを、左右に分けて記録します。したがって貸方と借方の金額が一致しない場合、誤記入や漏れの可能性があるため、再確認が必要です。
複数の勘定科目がある場合は2行以上に分ける
1つの取引に複数の勘定科目が関与する場合、仕訳帳には2行以上に分けて、勘定科目ごとに記載を行います。
例えば、商品購入時に振込手数料を支払う場合、以下のように、正確に記入することが大切です。
- 1行目:借方に商品購入金額、貸方に現金
- 2行目:借方に振込手数料、貸方に現金
これにより、勘定科目ごとの取引が明確になり、詳細な財務状況を把握しやすくなるでしょう。
まとめ
仕訳帳の書き方は、いくつかのポイントを押さえれば難しいものではありません。日付と勘定科目を正確に記録すること、左右の金額が一致することが基本です。ただ勘定科目の種類は多く、どこに何を記載したら良いのか迷ってしまうことも多いでしょう。不安な場合は、仕訳帳の記載を助けてくれるシステムを導入するとスムーズです。
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