総勘定元帳とは?目的や仕訳帳との違い、書き方(転記方法)を解説

総勘定元帳とは企業や個人が行った取引を勘定科目ごとに記録していく帳簿で、企業の経営状態を正確に把握し、決算書作成のための基盤となるデータを蓄積することが目的です。

本記事では総勘定元帳とはなにか、目的と仕訳帳の違いについて解説します。2種類ある記載形式や、実際に仕訳帳から転記する流れを具体的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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総勘定元帳とは?目的や仕訳帳との違い、書き方(転記方法)を解説

総勘定元帳とは?

総勘定元帳とは、企業や個人事業主のすべての取引を勘定科目ごとに記録していく帳簿です。仕訳帳に記入した各取引を勘定科目ごとに整理し、総勘定元帳に転記します。

総勘定元帳の主な目的は、企業の経営状況を正確に把握し、決算書作成のための基盤となるデータを蓄積することです。総勘定元帳を見れば、資金繰りの調整やコスト削減の方策など、経営に関する意思決定が効率的に行えます。

また税務申告や監査の際にも正確な財務データが提供できるため、法令遵守の面でも重要な役割を果たすといえるでしょう。

総勘定元帳を作成するメリットは、以下のとおりです。

  • 勘定科目ごとに残高管理ができる
  • 決算書残高が一致しない場合、原因を見つけやすい
  • 勘定科目ごとの金額推移を把握できる

総勘定元帳は、企業の財務状況を管理するために欠かせません。経費の主な勘定科目については以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。

関連記事:経費の主な勘定科目16選|正しく仕訳をするための注意点や間違えないポイントも解説

仕訳帳との違い

総勘定元帳は仕訳帳を基に作成するものですが、記録方法が仕訳帳と異なります。仕訳帳とは、企業のお金の動きを最初に記録していく帳簿で、日付ごとに情報が整理されているものです。

仕訳帳は「いつ、どのような取引が発生したのか」を詳しく記録していくもので、総勘定元帳は発生した取引を科目ごとに整理して記録する役割を担うものです。
総勘定元帳は仕訳帳にある取引データを「売上」や「経費」などの科目ごとにまとめていくため、企業全体のお金の流れを容易に確認できます。

仕訳帳は取引をすばやく記録するもので、総勘定元帳はその取引を整理・集計するものと認識するとよいでしょう。

総勘定元帳の書き方

総勘定元帳は事業のすべての取引を整理して記録する重要な帳簿で、作成は以下の流れで行います。

  • 記載形式を決める
  • 作成手段を決める
  • 仕訳帳から転記する

総勘定元帳は、適切に記入すれば自社のお金の動きを簡単に把握できるだけでなく、決算書の作成にも役立ちます。ここからは、総勘定元帳の書き方について見ていきましょう。

記載形式を決める

総勘定元帳には以下のとおり、2つの記載形式があります。

  1. 標準式
  2. 残高式

標準式は、取引ごとに「借方」「貸方」とその金額を記載していくもので、総勘定元帳の基となる仕訳帳と同じ形式です。各取引の明細を細かく記録できる点がメリットで、多くの取引が発生する企業に適した形式といえます。

▼標準式

記載項目内容
日付取引の発生日
借方科目勘定科目からみた相手の勘定科目
仕丁それぞれの取引が記載されている仕訳帳のページ数
借方金額取引によって増加した金額
貸方科目勘定科目からみた相手の勘定科目
貸方金額取引によって減少した金額

一方で残高式は、取引ごとに貸方残高と借方残高を記載していく形式です。残高式では常に残高の確認できるメリットがあるため、残高管理を重視する企業に適しています。

▼残高式

記載項目内容
日付取引の発生日
相手勘定科目勘定科目からみた相手の勘定科目
摘要支払先や相手先の名称など、取引における重要な情報
仕丁それぞれの取引が記載されている仕訳帳のページ数
借方金額取引によって増加した金額
貸方金額取引によって減少した金額
残高取引を行った際の残高金額

記帳方法は異なるものの「標準式」と「残高式」どちらでも、出される結果は同じです。記載方法の選択は、企業の会計方針や目的などに応じて判断されます。

作成手段を決める

記載形式を決めた後は、作成手段を決定しましょう。総勘定元帳の作成方法には、主に以下の3つの方法があります。

  1. 手書き
  2. 表計算ソフト
  3. 会計ソフト

手書きは、総勘定元帳を手書きで作成する方法です。総勘定元帳は記載項目さえ合っていればノートなどに書いても構わないため、表計算ソフトや会計ソフトなどと比較して、必要なときにすぐに取り出せる手軽さがあります。

手書きはヒューマンエラーによるミスのリスクはあるものの、実際に手を動かして記入していくため、経営状態が頭に入りやすい点もメリットです。

表計算ソフトは、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを用いる方法です。表計算ソフトはPC環境による仕様の違いも少なく、数式を利用して自動計算できるため、手書きよりも効率的に業務が進められます。

最初から表計算ソフトで総勘定元帳を作成するには、複雑な設定や関数の理解が必要です。しかし最初の設定さえ行ってテンプレート化してしまえば、複雑な帳簿も容易に行えます。

会計ソフトは専用の会計ソフトを導入し、利用する方法です。会計処理が自動化され、仕訳帳からの転記も容易です。

会計ソフトによってはコストがかかる場合もあるため、導入には慎重な検討が必要ですが、ヒューマンエラーのリスクもなくなったり、時間や手間の軽減によって業務効率化にもつながったりとメリットの大きい方法です。

仕訳帳から転記する

総勘定元帳の作成手段を決めたら、仕訳帳から転記していきます。転記は仕訳帳の取引を科目ごとに整理して記入する作業のことで、流れは以下のとおりです。

  1. 勘定科目の特定
  2. 転記の実行
  3. 残高の計算

ここからは通常の転記処理の場合と、相手勘定科目が複数ある場合の仕訳を解説します。

通常の転記処理の場合

たとえば10月2日に5万円の売り上げが発生した場合、仕訳帳には以下のように「借方:現金5万円」と「貸方:売上5万円」と記載します。

仕訳
日付借方貸方摘要
10/2現金5万円売上5万円広告作成料

上記の取引で使用された勘定科目は「現金」と「売上」になるため、総勘定元帳のそれぞれの勘定口座を開いて記載します。

総勘定元帳:現金
日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
10/2売上広告作成料15万円 5万円

 

総勘定元帳:売上
日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
10/2現金広告作成料1 5万円5万円

相手勘定科目が複数ある場合

一つの取引で複数の勘定科目が関わる場合もあります。10月2日に広告作成料5万円を売り上げ、現金で2万円を受け取り、残りを後払いにした場合を例に紹介します。

仕訳帳には以下のように、「借方:現金2万円、売掛金3万円」「貸方:売上5万円」と記載します。

仕訳
日付借方貸方摘要
10/2現金2万円売上5万円広告作成費
売掛金3万円

総勘定元帳の「現金」と「売掛金」、「売上」の勘定口座に転記していきますが、複数の勘定科目を使うときは「諸口」を用いて仕訳しましょう。

総勘定元帳:売上
日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
10/2諸口 1 5万円5万円

諸口は具体的な内容を示すものではありません。取引内容について具体的に知りたい場合は、同日の仕訳帳に戻って確認します。

総勘定元帳は法律で保存期間が定められている

総勘定元帳は、取引に関する証明書類や関連帳簿も含めて、法律によって一定期間の保存が義務づけられています。具体的には所得税法では確定申告書の提出期限の翌日から起算して7年間、会社法では10年間の保存が必要です。

総勘定元帳や他の会計帳簿の適切な保存は、税務調査や監査が行われた際など、企業の財務状況を正確に証明するために重要です。保存期間が定められているのは、将来的に税務署や監査機関から、確認が求められる場合があるためです。

調査において必要な帳簿や書類が保存されていない場合、ペナルティが課せられるリスクも否定できません。特に法人の場合、会社法によって定められている10年の保存義務は経理の安定や法的な対応を確実にする重要な要件であるため、適切に保存しましょう。

電子帳簿保存法については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

関連記事:電子帳簿保存法とは?2024年義務化の内容や注意点などわかりやすく解説

「バクラク経費精算」なら面倒な入力作業や仕訳を自動化

総勘定元帳とは取引を勘定科目ごとにまとめていく帳簿で、企業の経営状況を正確に把握するために欠かせないものです。
総勘定元帳の書き方は記載形式を決めて作成手段を決め、仕訳帳から転記していく流れで行います。日々の経費処理は手間がかかり、経理担当者の負担も大きくなります。

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