財務会計とは?目的や役割、管理会計との違いをわかりやすく解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-27
- この記事の3つのポイント
- 財務会計とは、社外の利害関係者に対して、企業の財務状態や経営成績を報告するための会計である
- 財務会計の役割は、利害関係者への情報提供と、株主等に対する利害調整の2つがある
- 財務会計におけるルールには、会計公準と会計原則、国際財務報告基準(IFRS)の3つがある
財務会計とは、企業が外部の利害関係者に対し、経営状況や財務状態を報告するための会計です。
本記事では財務会計の目的や役割を解説し、管理会計や税務会計との違いについて詳しく説明します。企業の信頼性や透明性に関わる重要な会計を理解するため、ぜひご覧ください。
財務会計とは?目的や役割、管理会計との違いをわかりやすく解説
財務会計とは?
財務会計とは、社外の利害関係者に、企業の財務状態や経営成績を報告するための会計です。具体的には株主や投資家、金融機関、税務署など外部関係者に対し、企業の経済活動結果を財務諸表として示します。
財務諸表は、企業が一定期間に得た利益や資産・負債状況をまとめた貸借対照表や損益計算書、資金の流れを示すキャッシュフロー計算書などが含まれた決算書です。決算日にはこれらの書類を作成し、公表することが義務付けられています。
財務会計の目的は、こうした情報を外部関係者に適時適切に提供することです。財務会計により投資家は企業の将来性を評価して出資の可否を判断し、金融機関は融資の可否を検討します。
また財務会計は経営者が現状を把握し、経営改善や資金管理の計画を立てるための基盤となる重要なものでもあります。
管理会計との違い
財務会計と混同しやすい言葉に、管理会計があります。財務会計と管理会計の主な違いは、対象とする利用者と目的です。
以下に財務会計と管理会計の違いについて、以下にまとめたので参考にしてください。
管理会計 | 財務会計 | |
作成目的 | 企業の経営者や管理者が意思決定をするための情報提供 | 法律や規則に則った企業の財務状態の報告 |
報告対象 | 企業の経営者や管理者 | 企業外部のステークホルダー(株主、政府機関、顧客、供給業者など) |
形式 | 会社毎に決める | 法律や規則に則る |
対象期間 | 任意の期間 (年・月・週など) | 会計期間 (1年・半年・四半期など) |
財務会計は、企業外部のステークホルダーに対し、企業の財務状態や経営成績を報告する「社外向けの会計」です。株主や金融機関など外部関係者に対して企業の透明性を保つため、法律や規則に基づいた会計基準で情報を提供します。対象期間も年次や四半期といった決まった期間に設定され、法令に則って行われることが特徴です。
管理会計は、企業の経営者や管理者が意思決定や経営管理に活用する「社内向けの会計」といえます。報告の対象は社内に限られるため法律の規制はなく、会社独自の形式で運用が可能です。
管理会計は対象期間も経営に応じて柔軟に設定でき、月次や週次での分析にも対応可能です。また、経営改善のための意思決定支援を目的としており、外部に報告する義務はありません。
管理会計について詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:管理会計とは?基本と財務会計との違いをわかりやすく解説
税務会計との違い
管理会計のほかに、税務会計も財務会計と混同しやすい言葉です。財務会計と税務会計は、いずれも企業の経済活動に関連する会計ですが、目的と基準が異なります。
財務会計は外部の利害関係者に対し、企業の経営成績や財政状態の報告を目的としているのに対し、税務会計は、企業の税額の確定が主な目的です。税務会計は法人税法などの税法に基づき課税所得を算出し、税務署への申告に必要な計算書類を作成します。
このため、財務会計でいう「利益」が税務会計では「課税所得」と呼ばれ、計算方法も異なります。税務会計は税制改正などに迅速に対応する必要があるため、外部の専門家やツール活用が推奨される場面も多いです。
財務会計が果たす役割
財務会計の役割は大きく、「利害関係者への情報提供」と「株主等に対する利害調整」の2つに分けられます。ここからは、財務会計が果たす2つの役割について見ていきましょう。
利害関係者への情報提供
財務会計の最も基本的な役割の一つが、企業の経営状況や財務状態の提供です。
外部の利害関係者である金融機関や投資家が企業に対する融資や投資を判断する際、財務諸表のような公表された情報が大きな判断材料となります。
具体的には外部の利害関係者が銀行の場合、企業が提出する貸借対照表や損益計算書をもとに財務の健全性や返済能力を評価して、融資の可否を決定します。また投資家の場合も、企業の財務諸表を通して収益性や成長可能性を見極めるため、財務会計は大きな意義を持つのです。
株主等に対する利害調整
財務会計のもう一つの役割は、株主や債権者といった利害関係者の異なる立場の調整です。たとえば株主はできるだけ多くの配当を期待する一方で、債権者は企業の資金が適切に管理され、返済能力が維持されるかを重視します。
財務諸表を開示すれば、株主は企業の収益性や資金状況を確認でき、債権者は返済計画の信頼性の確保が可能です。株主や債権者はそれぞれの利益や安全性を考慮しながら意思決定ができるため、企業の経営において透明性と公正性が高まります。
財務会計における3つのルール
財務会計には、会計公準と会計原則、国際財務報告(IFRS)の3つのルールが存在します。ここからは、それぞれの概要について見ていきましょう。
1)会計公準
会計公準とは、企業が会計処理をする際の基礎的な前提条件や考え方を示すものです。会計公準には、構造的な枠組みを示す「構造的公準」と、会計の目標を定めた「要請的公準」の2つの側面があります。
構造的公準に含まれる要素は、以下のとおりです。
- 企業と所有者を区別して、企業を独立した実体とする「企業実体」
- 企業が継続して活動するものとし、会計を一定期間で区切る「継続企業」
- 貨幣を会計の測定尺度とする「貨幣的」
一方、要請的公準には、以下の要素が含まれます。
- 利害関係者にとって有用であることを示す「有用性」
- 公平性を保ちながら偏りのない情報を提供する「公正性」
これらの公準は、財務会計を通じて信頼性のある情報を提供するための基本的な考え方であり、すべての企業に共通するルールとして尊重されるものです。
2)会計原則
会計原則とは、財務諸表を適正に作成し、信頼性のある情報を提供する基準です。日本では1949年に旧大蔵省の審議会において「企業会計原則」が制定され、現在も会計ルールの基本とされています。
会計原則には真実性の原則、継続性の原則、保守主義(安全性)の原則といった7つの一般原則が含まれ、企業の会計処理における判断基準となっています。
会計原則は法律による強制力が働いているわけではありませんが、遵守しなければ処罰の対象となる場合があるため、知っておくべき知識の一つです。
会計原則については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:企業会計原則とは?7つの一般原則や企業会計基準との違いを解説
3)国際財務報告基準(IFRS)
国際財務報告基準(IFRS)は、経済のグローバル化に伴い、異なる国の会計基準を統一するために策定された国際的な基準です。各国の会計基準は、経済や法律の違いによって独自に発展してきましたが、企業の国際的な活動が増えたことから、統一基準へのニーズが高まりました。
IFRSは国際会計基準審議会(IASB)によって策定され、世界各国で多くの大手企業が導入しています。日本でも、海外売上比率が高い企業や国際的に展開する企業を中心に、IFRSの適用が増加しています。
IFRSの適用により、投資家は異なる国の企業を比較しやすくなったほか、海外投資家にとって馴染みのある基準に沿った財務報告が可能になりました。その一方で、IFRSの導入には移行の手間やコストもかかるため、企業はその利便性と負担を考慮して導入を判断する必要があります。
スムーズな決算業務を実現する経費精算システム「バクラク経費精算」
財務会計とは、企業が利害関係者に対して経営状況や財務状態を報告するための会計です。財務会計には利害関係者への情報提供と株主等に対する利害調整をすることが必要で、役割を果たすために適切な決算業務が重要といえます。
特に経費精算は決算期間内の経費を、その期間内で計上することが求められますが、手間がかかりがちな業務です。経費精算システム「バクラク経費精算」は、申請から承認、支払いまでのプロセスを効率化し、財務データの正確性を向上させて決算作業がスムーズに進むよう支援します。
入力ミスを防ぎながら業務を効率化できる「バクラク経費精算」について詳しくは、以下のページをご覧ください。
収入印紙に対する割印は、法律で義務付けられています。また、収入印紙の不正な再利用を防ぐためにも、割印は必要です。割印なしなど収入印紙への対応に不備がある場合、ペナルティとして過怠税が課される可能性があります。ペナルティを避けるため、収入印紙の適切な貼付と割印について理解し、適切に対応しましょう。
バクラク請求書発行は、支払業務の自動化により、スムーズな経理業務に貢献します。稟議・仕訳・支払・管理などの一連のフローをなめらかに連携し、インボイス制度や電子帳簿保存法にも簡単に対応可能です。経理業務の効率化をお考えの人は、ぜひバクラク請求書発行をご検討ください。