経理業務はAIでなくなる?代替される・残る業務と必要なスキルを解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-08-10
- この記事の3つのポイント
- AIにより代替される業務もあるが、分析業務や専門知識に関してはなくなる可能性が低い
- 経理担当者が身につけたいスキルは、会計等の専門知識やIT・DX知識、データ分析スキルなど
- AIで経理業務を効率的に進めるには、課題を洗い出した後、最適なAIツールを導入し改善する
経理業務はAIでなくなる?代替される・残る業務と必要なスキルを解説
AIの進化により、経理の仕事がなくなると不安を感じている方もいるでしょう。AIによって変わるのは仕事そのものではなく、経理担当者に求められる役割です。
本記事では、AIに代替される業務・残る業務や、AI時代に必要なスキルやポイントを解説します。
経理業務はAIでなくなる?
経理業務はAIの普及によって変化していますが、仕事そのものが完全になくなる可能性は高くありません。AIが得意なのは、データ入力や請求書・領収書の読み取り、仕訳候補の作成、照合・集計などルール化しやすい定型業務です。
上記のような作業は今後さらに自動化が進み、経理担当者の負担軽減につながるでしょう。
一方で、取引内容の妥当性の判断や税務・会計処理の最終確認、監査対応などは、人間が責任をもって対応する必要があります。また、企業によっては、経営分析や財務戦略の立案などに経理担当者が関わる場合もあり、経験や状況に応じた柔軟な判断が欠かせません。
今後はAIを活用しながら、分析や判断を担う経理担当者の重要性が一層高まっていく可能性が高いでしょう。
AIによってなくなる可能性が高い経理業務
AIはすべての経理業務を代替するわけではありませんが、ルール化しやすく繰り返し発生する定型業務は、自動化が進む可能性が高い分野です。
本章では、AIによる効率化が期待される代表的な経理業務を紹介します。
請求書や領収書のデータ化
請求書や領収書のデータ化は、AI-OCRを活用しやすい業務です。AIが取引先名・請求日・金額・税額などを自動で読み取り、会計システムへデータを取り込むため、手入力や転記の手間削減が期待できます。
紙やPDF、メール添付など複数の受領方法にも対応できるため、データ化から保存までの業務を効率化しやすい点もメリットです。入力ミスの防止にもつながり、担当者は確認や承認など、より重要な業務に時間を充てられるようになります。
AI-OCRの仕組みや活用ポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:請求書のデータ化を効率的に!AI-OCRの仕組みや活用ポイントを解説
定型的な仕訳入力
定型的な仕訳入力も、AIによる自動化が進んでいる業務の一つです。過去の取引データや勘定科目のルールを基に、AIが仕訳候補を自動作成するため、担当者は内容を確認・承認するだけで済むケースが増えています。
ただし、新規取引や例外的な契約、税務判断を伴う仕訳は、人が内容を確認し適切に処理する必要があります。AIと人が役割を分担することで、作業効率を高めながら仕訳の正確性も維持しやすくなるでしょう。
仕訳についての基本ルールや手順については、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
関連記事:簿記における「仕訳」とは?初学者向けに基本ルールとわかりやすい手順を解説
経費精算の確認作業
経費精算業務では、金額・日付・領収書の有無・社内規定との整合性など、定型的な確認項目をAIがチェックできます。申請内容に問題がないものは効率的に処理できるため、担当者の確認負担を軽減できるでしょう。
一方で、交際費や福利厚生費など勘定科目の判断が必要な申請は、人による確認が欠かせません。AIが一次確認を担い、人が例外案件を確認することで、業務全体のスピードと品質の向上が期待できます。
経費精算について、詳しくは以下の記事で解説していますのでご一読ください。
関連記事:経費精算とは?やり方や必要書類、経費対象となる費用について解説
支払い照合や入金消込
支払い照合や入金消込は、請求金額・入金額・取引先名などの情報を照合する業務であり、AIとの相性が良い分野です。一致するデータは自動で照合し、差額や未入金など例外がある取引だけを担当者が確認する運用が可能です。
件数が多い企業ほど業務効率化の効果が大きく、確認漏れや入力ミスの防止にもつながるでしょう。担当者はイレギュラー対応や取引先との調整など、人にしかできない業務へ注力しやすくなります。
入金消込の流れや仕訳例については以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:入金消込とは?作業の流れや仕訳例、効率化する方法を解説
AIが普及してもなくならない経理業務
AIは定型業務の効率化に優れていますが、すべての経理業務を代替できるわけではありません。特に、専門知識や状況に応じた判断、社内外との調整が必要な業務は、今後も人が担う重要な役割として残り続けるでしょう。
本章では、AIが普及してもなくならない経理業務について解説します。
経営判断を支援する分析業務
経理担当者には、財務データを分析し、経営層へ改善策やリスクを提案する役割があります。AIはデータの集計や傾向分析を支援できますが、数字の背景にある市場環境や事業状況を踏まえて経営判断につなげるには、人の知見が欠かせません。
数字を読み解き、課題の発見や具体的な改善策を提案する力は、AI時代においてさらに重要になるでしょう。
イレギュラーな業務への対応
経理業務では、請求書の記載内容に不備がある場合や通常とは異なる支払条件、社内規程にない支出の申請など、例外的なケースが発生します。イレギュラーな場面では、取引の背景を確認し、関係部署や取引先と調整した上で適切な処理方法を判断することが必要です。
AIは確認項目の整理には役立ちますが、最終判断は人が担う業務です。状況に応じて柔軟に対応し、適切な解決策を導き出す力は、AIには代替しにくい能力といえるでしょう。
税務・会計に関する専門的判断
税務・会計処理では、税法や会計基準を踏まえ、適切な勘定科目や税区分を判断する必要があります。AIが処理候補を提示することは可能ですが、法改正への対応や例外的な取引、大きな金額が動く案件では、専門知識をもつ経理担当者による確認が欠かせません。
最終的な処理の妥当性を判断する役割は、今後も人に求められるでしょう。AIの提案をそのまま採用するのではなく、根拠を確認して適切に判断する姿勢が重要です。
社内外とのコミュニケーション
経理業務では、経営層・他部門・税理士・取引先などとの調整が必要です。また、法定監査対象の企業においては、監査法人への対応も必要になります。
申請内容の確認や監査対応、支払条件の交渉では、相手の状況を理解しながら説明や合意形成を進める力が求められます。
AIは文書作成や情報整理を支援できますが、信頼関係を築きながら円滑に調整する役割は、人だからこそ担える重要な業務です。相手の意図をくみ取り、状況に応じて対応するコミュニケーション能力は、今後も経理担当者に欠かせないスキルといえます。
AI時代に経理担当者が身につけるべきスキル
AIの活用が進むほど、経理担当者には単純作業ではなく、専門知識や判断力を活かすスキルが求められます。
本章では、AI時代でも市場価値を高め、経理として活躍し続けるために身につけたいスキルを見ていきましょう。
会計・財務・税務に関する知識
AI時代でも、会計・財務・税務に関する専門知識は経理担当者に欠かせないスキルです。財務や税務まで含めた総合的な知識があれば、複雑な取引や法改正にも柔軟に対応でき、適切な判断を下せます。
AIは処理候補を提示できますが、最終的な判断には人の知識が必要です。日頃から制度改正や会計基準の最新情報を学び、専門性を高め続けることが重要でしょう。会計や財務、税務などの知識は経営企画や財務戦略など、幅広い業務でも活かせます。
IT・DXに関する知識
AIやクラウド会計ソフトなどのITツールを使いこなせる人材の価値は、今後さらに高まります。経理業務を効率化するには、AIの仕組みや各種システムの特徴を理解し、自社業務に適した活用方法を考えることが大切です。
新しいツールやDXに関する情報を継続的に学び、業務改善へ活かせるスキルを身につければ、経理としての活躍の幅も広がるでしょう。変化を前向きに受け入れる姿勢も、重要なスキルの一つです。
データ分析スキル
AI時代の経理担当者には、数字を集計するだけでなく、経営判断につながる情報として分析する力が求められます。BIツールやExcelの高度な機能を活用し、売上や利益、コストの変化を分析することで、経営課題の発見や改善提案につなげられるでしょう。
AIが分析を支援する場面は増えますが、結果を読み解き、意思決定に活かす役割は人が担うことになります。数字の背景まで説明できる力が、経理担当者の価値をさらに高めるでしょう。
コミュニケーション能力
経理担当者は、さまざまな関係者と連携しながら業務を進めるため、分析結果や会計処理の内容をわかりやすく説明し、合意形成を図るコミュニケーション能力が重要です。
AIは資料作成を支援できますが、相手の立場を理解しながら信頼関係を築き、円滑に調整する役割は今後も人に求められるでしょう。部門間の橋渡し役として活躍できる人材は、企業内でも高く評価されます。
AIを活用して経理業務の効率化を進める方法
AIを効果的に活用するには、ツールを導入するだけでは十分ではありません。自社の課題を整理し、目的に合ったツールを選定した上で、継続的に改善を重ねることが、経理業務の効率化につながります。
本章では、AIを活用して経理業務の効率化を進める方法を見ていきましょう。
AIを導入する目的を明確にする
AIを導入する際は、まず解決したい課題や導入目的を明確にすることが重要です。「経費精算にかかる時間を短縮したい」「請求書の入力ミスを減らしたい」など、具体的な目標を設定すると、導入効果を検証しやすくなります。
また、現在の業務時間やミスの発生件数などを数値で把握しておけば、AI導入後の改善効果も客観的に評価しやすくなるでしょう。目的が明確であるほど、導入するツールや運用方針も決めやすくなります。
自社に合ったAIツールを導入する
AIツールは、自社の課題に合わせて選定することが大切です。たとえば、請求書処理にはAI-OCR、経費精算には経費精算システム、仕訳入力にはAI搭載の会計ソフトが適しています。
機能だけでなく、導入コストやサポート体制、他社での導入実績も比較し、自社に適したツールを選びましょう。可能であればトライアルを実施し、実際の業務で使いやすさを確認することも重要です。
現場で無理なく運用できるかどうかも、重要な選定基準の一つといえるでしょう。
継続的に改善を行う
AIは一度導入すれば終わりではなく、継続的に改善することでより効果を高められます。
企業の規模や体制によっても異なりますが、一部の業務や部署など、小規模な範囲で導入し、成果や課題を確認するのがおすすめです。その後、AIの設定や業務フローを見直しながら適用範囲を広げれば、より高い効果が期待できます。
現場の意見を取り入れながら改善を繰り返すことが、AI活用を成功させるポイントです。定期的に運用状況を見直すことで、より高い業務改善効果を維持しやすくなります。
AIによって「仕事がなくなる」のではなく「役割が変わる」
AIの普及によって経理業務は大きく変化していますが、経理という仕事そのものがなくなるわけではありません。これからの経理担当者にはAIを恐れるのではなく、AIを活用して生産性を高め、分析や判断、提案といった付加価値の高い業務へ力を注ぐ視点が求められます。
定型業務をAIに任せ、経営に貢献する役割へとシフトできることが、これからの経理部門の理想的な姿といえるでしょう。AIを使いこなす力を身につけることが、今後の市場価値向上にもつながります。
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