領収書の再発行を依頼された時に「二重発行」のリスクを避ける書き方と対応策
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-12
領収書の再発行は、法的に義務付けられていないため、無理に応じる必要はありません。そのため、重要な取引先から領収書の再発行を依頼されたとしても、安易に引き受けることは避けましょう。
しかし、取引の関係的に領収書の再発行に応じざるを得ない場合もあります。本記事では、領収書を再発行する際の書き方や、従業員が領収書を紛失した場合の対処法を解説します。
インボイス制度への対応方法も解説 !そのまま使える領収書テンプレートのご紹介
インボイス制度の要件を満たした領収書のテンプレート3点セット(明細あり、明細なし)をダウンロードいただけます。
インボイス制度対応の留意点と対応のポイントについても記載しています。
領収書の再発行を依頼された時に「二重発行」のリスクを避ける書き方と対応策
領収書の再発行は「原則NG」と捉えておく
領収書の再発行自体は可能ですが、原則NGと捉えておきましょう。なぜなら、領収書を再発行すると、二重発行として扱われる可能性があるからです。
また、領収書の再発行自体に法的な義務がありません。発行側は、二重発行のリスクや企業としての信頼喪失を避けるためにも、再発行を拒否することが一般的です。
領収書の再発行の依頼を受けるべきではない理由
領収書は、原則として1回の取引ごとに1枚のみ発行可能です。そのため、領収書の二重発行は禁止されています。
領収書の再発行は、さまざまな問題に繋がりかねません。たとえば、領収書の不正使用による二重計上によって、税金を減らすことが挙げられます。不正使用が認められると、追加の法人税や延滞税などの税金が課されてしまいます。
また、再発行した側は私文書偽造罪として、罪に問われる可能性があることにも注意が必要です。不正に領収書を再発行して使用までした場合は、有印私文書偽造で起訴される可能性があります。
領収書の再発行を依頼された場合の対処法
取引に伴い、顧客から領収書の再発行を依頼されることも珍しくありません。しかし、前述の通りさまざまなリスクがあるため、領収書は再発行するべきではありません。ここからは、領収書の再発行を依頼された場合の対処法を解説します。
再発行ができない旨を丁寧に伝える
領収書の再発行自体に、法的な義務はありません。そのため、原則として再発行を要求されても、拒否することができます。
不正利用のリスクや税務署からの指摘を避けるためにも、再発行はしないことが一般的です。取引相手から再発行を依頼されたとしても、再発行できない旨を丁寧に伝えて断りましょう。
また、あらかじめ領収書自体に再発行に応じない旨を記載しておくと、トラブル防止に役立ちます。注意を促す効果も期待できるため、おすすめの手段です。
再発行以外の方法を提案してみる
領収書の再発行を依頼されても、対応するべきではありません。しかし、顧客との関係性や特定の要求に応じて、別の手段で代替することも検討しましょう。
領収書の再発行が難しい場合に有効な手段が、支払証明書の発行を提案することです。支払証明書は、取引や支払いに関する実績を公式に証明する文書です。そして、支払証明書に以下の項目を記載することで、領収書と同様の効力を持つことができます。
- 支払先
- 日付
- 領収書の但し書きに相当する内容説明
- 金額
領収書を再発行する場合の書き方
領収書の再発行を断れなかったり、再発行以外の方法を受け入れて貰えなかったりした場合は、やむを得ず再発行することもあります。
再発行した領収書には、再発行したものである旨が分かる工夫を施しましょう。代表的なのは、再発行と記載できる赤いインクのスタンプを用いて、一見するだけで識別可能にする方法です。
また、但し書きに詳細な説明を加えるのも1つの手です。たとえば、○○代として(○○年○月○日の再発行分)と明記すると、オリジナルの領収書と区別がしやすくなります。
金額が5万円以上の場合は収入印紙も忘れずに
領収書に5万円以上の金額が記載される際は、金額ごとに適切な収入印紙と割印が必須です。そして、上記の条件と対応は再発行される領収書にも適用されます。
最初の領収書を発行した際に印紙代を払っていたとしても、再発行時には改めて印紙代を支払うことが求められます。
なお、金額が5万円を超える領収書に収入印紙を貼っていないと、印紙税法違反になるため注意が必要です。印紙税法違反になると、過怠税の金銭徴収が行われます。
領収書を再発行する際の注意点
領収書を再発行する際は、いくつか注意するべき点があります。以下は、具体的な注意点とそれぞれの詳細です。
紛失の経緯を記録しておく
領収書の再発行に伴う注意点として、紛失の経緯を記録しておくことが挙げられます。取引先が紛失を理由に再発行を依頼してきても、紛失の理由の真偽は分かりません。再発行を依頼する理由が、二重発行からの不正使用を目的としている可能性もあります。
将来的なトラブルに備えたり、税務署からの疑いを晴らしたりするために、再発行に至った理由を正確に説明できるようにしましょう。
具体的には、紛失した旨の申し出があったことや、オリジナルの領収書を回収できなかったことを記録すると効果的です。
「再発行」と明記しておく
再発行した領収書には、再発行と明確に記載しましょう。再発行である旨を記載することは、既に同じ内容の領収書が発行された事実を示します。
上記の手段によって再発行されたことが明白になり、透明性が担保されます。そして、領収書の不正使用を防ぐことが可能です。また、発行した側も不正に加担したと疑われるのを防げます。
元の領収書は返却してもらう
以前発行された領収書があるなら、それを返却してもらってから再発行しましょう。領収書を回収するのは、領収書を悪用されたり不正利用されたりするのを防ぐためです。
返却された領収書は、証拠として機能するため保存・保管しておきましょう。再発行した領収書についても、番号や日付を記録しておくと管理しやすくなります。これらの対応によって、再発行の過程で正確な記録を付けたり、整合性を保持できたりします。
従業員が領収書を紛失した場合の対処法
経理担当として領収書の処理をしている際、領収書を紛失したと従業員から言われるケースも珍しくありません。以下は、従業員が領収書を紛失した場合の、具体的な対処法とそれぞれの詳細です。
領収書の再発行を依頼してみる
領収書を紛失した際は、領収書の再発行を依頼してみましょう。しかし、領収書の再発行を承諾するかどうかは、事業者の判断に委ねられます。なぜなら、領収書の再発行に法的な義務はないためです。
基本的に、領収書の再発行は拒否される傾向にあります。理由は、経費の水増しに繋がりかねなかったり、脱税の加担を疑われたりする可能性があるからです。
なかには、悪用を防ぐための手順を施した上で再発行に応じてくれる会社もあります。そのため、再発行の依頼が失礼に当たる相手でなければ、まずは再発行の可否について聞いてみましょう。
購入証明書・支払証明書を請求してみる
一部の事業者は、購入証明書や支払証明書の発行に対応しています。購入証明書や支払証明書は、領収書と同じく支払いの証明としての機能を持ちます。
そのため、購入証明書や支払証明書は領収書を紛失した場合に、領収書の代替として使用可能です。しかし、購入証明書や支払証明書を発行する際は、一定の費用が発生することが一般的です。
レシートがないか探してみる
従業員が領収書を紛失した場合の対処法として、レシートを探すことが挙げられます。レシートは、領収書と比べると証憑書類としての信頼性は劣ります。
しかし、レシートには取引に関する情報が記載されているため、領収書の代用として使用することが可能です。領収書の発行に応じてもらえなかった場合は、レシートを探すことを検討しましょう。
カード明細を確認してみる
従業員が領収書を紛失した場合の対処法として挙げられるのが、クレジットカードの利用明細を確認することです。
支払いにクレジットカードを利用していれば、利用明細の記録そのものが領収書として機能します。なぜなら、クレジットカードの利用明細は、第三者による公式記録として税務調査にも対応しているからです。
出金伝票に記録する
出金伝票を活用することで、領収書の紛失に対応できる可能性があります。出金伝票を領収書の代わりとするためには、以下の項目を書きましょう。
- 支払先
- 日付
- 領収書の但し書きに相当する内容
- 金額
- 領収書を紛失した旨
なお、出金伝票の一般的な使い方は、領収書が発行されない支払いを証明するために用いられます。具体的には、香典や自動販売機での購入などです。
まとめ
領収書の再発行は禁止されている訳ではありません。しかし、税務上の懸念や手続きの手間などから、再発行が求められる事態を防ぐことが望ましいです。
再発行が必要になる原因として、領収書の紛失や破損が挙げられます。そのため、領収書を電子データとして保管・管理して、原本の紛失や破損によるトラブルを防ぐことがおすすめです。
バクラク請求書発行は、書類を発行する前後の業務を一元管理できます。また、複数の部署や拠点を跨ぐ業務にも対応しています。
さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法など、法制度の変更にも対応しやすいです。請求書の発行の担当者は、ぜひバクラク請求書発行の導入を検討してみてください。