請求書と領収書の違いは?インボイスにおける対応方法も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-10-16
ビジネスの取引においては、請求書や領収書をよく使用します。そのため、それぞれの特徴をよく理解しておくことが大切です。この記事では、請求書と領収書の違いについて解説します。請求書や領収書をそれぞれの代わりとして利用できるのかも解説するため、取引の参考としてぜひ役立ててください。
請求書と領収書の違いは?インボイスにおける対応方法も解説
請求書と領収書の違い
請求書と領収書は、いずれも支払いを求める側が支払う側に対して発行する書類です。両者の違いとしては、おもに以下の4点が挙げられます。
- 発行する目的
- 発行するタイミング
- 法律上の発行義務
- 収入印紙の取り扱い
以下から、それぞれ解説します。
発行する目的
請求書と領収書は発行する目的が異なります。請求書は支払いに関するトラブルを未然に防ぐことが目的であり、代金を請求するために発行するものです。一方で領収書は、代金のやり取りがあったという事実を証明する目的で発行します。
発行するタイミング
書類を発行するタイミングも異なります。請求書は相手に代金を請求する書類のため、発行するタイミングは支払い前です。一方、領収書は代金を受け取ったことを証明する書類のため、支払いが行われたあとに発行します。
法律上の発行義務
請求書には法律上の発行義務がありませんが、トラブルを防ぐため発行するのが一般的です。一方で領収書は、支払う側が請求した場合には代金を受け取る側に発行義務が生じます。
収入印紙の取り扱い
書類には収入印紙の貼り付けが必要な場合がありますが、請求書と領収書では取り扱いが異なります。請求書は、記載されている金額にかかわらず基本的には収入印紙が不要です。ただし、請求書兼領収書として発行する場合は領収書の性質も含まれるため、領収書の内容次第では収入印紙の貼り付けが必要になります。
領収書は、収入印紙が必要な場合と不要な場合があります。収入印紙が必要になるのは、原則として5万円以上の取引についてです。印紙税の金額は取引金額に合わせて変動します。
▼収入印紙については、以下の記事で詳しく解説しています。
請求書と領収書はどちらかの代わりに利用可能?
請求書と領収書はいずれも取引に関する書類です。それぞれ代わりに利用してもよいのでしょうか。以下で詳しく解説します。
領収書なしでも問題ないケース
領収書は、取引の状況次第では発行しなくても問題ありません。具体的には、銀行振込やクレジットカード払いなどで、商品やサービスの代金を支払った場合です。請求書と明細書があれば、領収書がなくても経費精算対応ができます。特にインターネットショッピングでは領収書を発行しにくい状況も多くありますが、発行しなくても問題ありません。
ただし、請求書を発行しないなら、領収書の発行が必要です。小売業・旅行業・飲食業などとの取引に関しては、レシートを領収書の代わりとして利用可能なため、あらためて領収書を発行せずに済みます。
請求書兼領収書が発行されるケースも
請求書兼領収書とは、請求する金額と提供した商品やサービスの内容をまとめて記載した書類です。請求書と領収書が1枚にまとまっており、それぞれを同時に発行します。請求書兼領収書は、一般的に請求書の書面の一部に、領収書の欄が設けられているパターンが多くなっています。支払いが済んでいる事実がわかる内容であれば、そのような請求書でも領収書として認められます。
ただし、会社同士のビジネスの取引において、請求書兼領収書が使用されるケースは稀です。請求書兼領収書は、一般的に病院で利用されています。
請求書も領収書も保管義務があるため注意
請求書と領収書は、いずれも取引について証明するための証憑書類です。証憑書類には、一定期間の保管の義務があります。法人の場合、確定申告書の提出期限の翌日から7年間は、請求書と領収書を保管しなければなりません。
個人事業主の場合も、青色申告なら7年間の保管が必須です。ただし、支払総額が300万円以下であれば、保管の義務は5年間となります。白色申告なら、支払総額にかかわらず一律で5年間の保管が求められます。ただし、青色申告と白色申告のいずれについても、帳簿の保管期間は7年間です。実際には、税務に関するすべての書類をまとめて、7年間保存するケースが多いでしょう。
インボイス制度における請求書・領収書の取り扱い
インボイス制度における請求書・領収書の取り扱いの違いにも注意が必要です。
インボイス制度における請求書の取り扱い
インボイス制度では、請求書に以下3つの項目を記載することが義務付けられています。
- インボイス発行事業者の登録番号
- 税率ごとに区分した消費税額
- 税率ごとに区分した合計金額と適用税率
従来の区分記載請求書では、税率ごとに請求の合計金額が書かれていることが一般的でした。しかし、適格請求書ではこれに加えて、税率ごとの税抜金額と税率ごとの税額が記載される点に注意しましょう。
インボイス制度における領収書の取り扱い
インボイスは「適格請求書」とも呼ばれますが、請求書だけではなく、領収書や納品書などの書類も制度の対象になります。インボイス制度においては、経費精算のたびに、インボイス対象の領収書やレシートかどうかを判断・確認しなくてはなりません。また、領収書がインボイスの記載要件を満たしているかもチェックする必要があります。
たとえインボイス発行事業者が発行した領収書などでも、必要な要件が正しく記載されていなければインボイスとして取り扱うことができず、控除対象外になってしまいます。このため、以下の項目について記載漏れがないか、領収書ごとにチェックしなければなりません。
〈 「適格請求書(インボイス)」の必須項目 〉
- インボイス発行事業者の氏名、または名称と登録番号
- 取引内容(軽減税率対象品目であるという旨)
- 実際の取引の年月日
- 税率ごとに区分して合計した対価の額、および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額など(端数処理は税率ごとに1回ずつ)
- 書類交付を受ける事業者の氏名、または名称
なお、一部の事業者(不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等にかかわる取引)については、項目が少ない「適格簡易請求書(簡易インボイス)」を交付することが認められています。
▼インボイス制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
「バクラク請求書発行」の活用事例
ここでは、「バクラク請求書発行」を導入し、業務効率化に成功した法人様の事例をご紹介します。
公益社団法人 青年海外協力協会様
公益社団法人 青年海外協力協会様では、拠点ごとにExcelで帳票マスタを管理しており、非常に手間がかかるという課題を抱えていました。そこで、帳票発行サービスを導入してみたものの、使い勝手が悪く全拠点への浸透が難しい状況でした。
そこで、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も踏まえ「バクラク請求書発行」の導入に踏み切ります。その結果、システム上で簡単に帳票を作成できるようになり、約50名の担当者の作業工数と経理での確認工数の削減に成功しました。特に入金確認業務では、これまで各拠点の担当者に確認をしていたため完了に2〜3営業日かかっていたものが、数時間で済むようになったとのことです。
まとめ
請求書と領収書は、ビジネスの取引において重要な書類です。発行する目的や法律上のルールなど、両者の違いを正しく理解して取り扱う必要があります。
インボイス制度における取り扱いの変更点なども踏まえ、ビジネスをスムーズかつ着実に進めるために、請求書・領収書の正しい考え方や扱い方をしっかり理解しておきましょう。