法人カードの限度額の決まり方は?目安や引き上げ方法・個別設定の考え方も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-08-30
法人カードの限度額は、クレジットカード会社やカードのランク、審査内容といった要素から決まります。すぐに限度額に達してしまうことのないよう、毎月支払う経費の2〜3倍程度を限度額の目安として考えておくとよいでしょう。法人カードによっては、定常的または一時的な限度額の引き上げが可能で、利用実績を積み上げておくことで増枠しやすくなる傾向があります。
この記事では、法人カードの限度額の決まり方や目安の解説とともに、限度額の引き上げ方法や個別設定の考え方についてもご紹介します。
法人カードの限度額とは
法人カードを含むクレジットカードの限度額とは、そのカードで1ヶ月に利用できる金額の上限のことです。限度額に達すると、利用した分の支払いが完了するまでカードの利用ができなくなります。
法人カードでは会社関連のさまざまな経費を支払うことになるため、1ヶ月に使う金額も大きくなる傾向にあります。また支払いができなければ事業への影響も懸念されることから、個人向けのクレジットカード以上に、利用限度額を正しく把握しておかなければなりません。
法人カードの限度額の決まり方
法人カードの限度額は、クレジットカード会社、カードのランク、審査内容によって異なります。
限度額が決まる要素①:カード会社
法人カードの場合、カード会社によってそれぞれ限度額が異なります。一方でカードの発行会社とランクが同じあれば、VISAやMastercard、JCBといった国際ブランドが異なる場合でも、基本的に限度額は同額で設定されます。以下に主要なカード会社の限度額の一例をまとめました。
カード名 | 限度額 |
三井住友VISA | 10~500万円 ※大企業向けのコーポレートカードの場合は入会時に応相談 |
JCB | 10~250万円 ※JCB CARD Biz プラチナの場合は150万円以上 |
AMEX | HP非表示 ※入会時要確認 |
楽天 | ~300万円 |
SAISON | 9,999万円 |
UPSIDER | 1億円以上 |
バクラクビジネスカード | 1億円以上 |
freee Unlimitedカード | 1億円 |
限度額が決まる要素②:法人カードのランク
クレジットカードのランクには「一般カード」「ゴールドカード」「プラチナ(ブラック)カード」などがあり、ランクが上がるにつれて利用限度額も上がります。ただし、種類によってはランクに関わらず限度額が同じであるカードもあります。
なお、ゴールドカードやプラチナ(ブラック)カードを持つためには、通常の審査に加え、安定した収入の有無や住居の種類、家族構成などが各カード会社の水準で考慮されます。
一般的なカードのランクと限度額の目安は以下のとおりです。
カードのランク | 限度額目安 |
一般カード | 10〜100万円 |
ゴールドカード | 10〜300万円 |
プラチナ(ブラック)カード | 10〜500万円 |
限度額が決まる要素③:審査
法人カードの限度額を決める審査では、法人の経営実績や財務状況、申込者である法人の代表者の信用情報などが考慮されます。たとえば、過去の支払い遅延の経歴が残っている場合には、限度額の審査時に影響を与えることもあるでしょう。
カードの審査結果によっては、希望通りの限度額になるとは限りません。たとえば、限度額を50万円に設定していた場合も、カードの審査が終わった段階で30万円に設定されていることもあります。
法人カードの限度額の目安
法人カードの限度額は、1ヶ月に使用する経費の2〜3倍程度に設定しておくとよいでしょう。クレジットカードは、利用日から口座引き落としが完了するまでに、1~2ヶ月のずれが生じます。月々に使う経費が限度額と同額であると未払い金がたまり、限度額オーバーとなってカードを使用できない期間が生じてしまうのです。
また、法人カードは急な出費の支払いに対して使うこともあるため、限度額は余裕を持ち高めに申請したほうが安心です。経費の支払いを滞りなく行うために、毎月のカード利用額のシミュレーションを行い、余裕のある限度額の設定ができる法人カードを選択しましょう。
法人カードの限度額を引き上げる方法
法人カード発行後、カード会社に申請することで限度額の引き上げができる法人カードも多くあります。
継続または一時的な引き上げの2つがある
法人カードの限度額を引き上げる方法は、継続的に枠を引き上げるか、一時的に枠を引き上げるかの2つの方法があります。いずれの引き上げの申請にも審査が必要です。
継続的な枠の引き上げとは、毎月の限度額を引き上げることです。たとえば、社員を増やしたいときや新規出店をしたいときなど、長期的な経費の増額が見込まれるときに選択するとよいでしょう。
一方で、一時的な枠の引き上げとは、該当する月の限度額を引き上げることを指します。繁忙期の準備期間や事業拡大期など、短期的に経費の支出が増えるときに対応できる方法です。
カード会社の窓口やコールセンターで依頼すると限度額を引き上げてもらえる可能性があるため、必要に応じて依頼してみましょう。引き上げ申請時の審査には1週間程度の時間がかかるのが一般的です。
限度額を引き上げやすくするポイント
優良なカード利用実績を積み上げることで、カード会社からの信用度が高くなり、増額申請が通る可能性も高くなります。
また法人カードの利用状況がよいと、カード会社から限度額増額の提案をされることもあります。
毎月継続利用してカード会社からの信用度を上げる
法人カードを発行したばかりの頃は、限度額が低めに設定されていることがあります。毎月継続して法人カードを利用し、滞りなく支払いをすると、カード会社からの信用度が高くなり限度額が徐々に引き上げられる傾向にあります。限度額の引き上げが行われる期間はカード会社によって異なりますが、半年ほどの継続利用が目安です。
できるだけ法人カードで支払いをして利用金額を増やす
法人カードの限度額は、カードの利用金額が多いほど引き上げられる傾向にあります。細かい経費であっても積極的に法人カードを利用し、利用金額を増やしましょう。
使用する法人カードはできるだけひとつに絞る
接待費や交際費、光熱費などの用途ごとにカードを分けて支払いを行っている場合は、ひとつのカードに絞って支払いをするとよいでしょう。支払い実績を作りやすくなるため、限度額の引き上げにつながることがあります。
また、カードの限度額を引き上げたい場合は法人カードを増やしすぎず、少ない枚数で運用することも大切です。法人カードを増やしすぎると、カード会社に資金繰りに困っているという印象を与えてしまう可能性があります。
普段から支払い遅延がおこらないように注意する
法人カードの限度額を引き上げたい場合は、日頃から支払いの遅延なく使うことも大切です。支払いの遅延をすると、カード会社から支払い能力がないと判断される可能性があるためです。
信用情報のスコアが悪くなり限度額の引き上げが難しくなるだけでなく、限度額が引き下げられる可能性も生じます。また、カードの利用制限や解約事由につながることもあるため、普段から支払いが遅延しないように注意しましょう。
リボ払いを利用しすぎない
リボ払い機能が付いている法人カードの場合は、リボ払いを利用しすぎないように注意してください。毎月リボ払いを使っている会社は、資金繰りに困っている印象をカード会社に与えやすくなります。毎月滞りなく返済していても、リボ払いを多用しすぎると限度額アップにつながりにくくなる可能性があります。
個別に限度額が設定できる場合の考え方
法人カードの限度額はカード会社の審査によって決められるものですが、限度額の範囲内において、限度額の上限を利用者側で設定することもできます。(一部法人カードを除く)
利用者側で限度額の上限をどのように設定するかは、ビジネスや支出の種類によっても異なります。自身の会社の用途に合った限度額を設定することが大切です。
以下では、限度額の考え方や設定について、バクラクビジネスカード利用者の例をご紹介します。
支出を管理するためカード別に上限を設定する
個別の限度額の設定が可能な法人カードなら、カード(従業員)ごとに異なる上限額を設けて利用制限をすることで、支出を適切に管理することができます。
たとえば、バクラクビジネスカードを利用している株式会社withでは、4枚の法人カードを発行しています。そのうち1枚目をGoogle広告の費用に、2枚目を各種ソフトウェア利用料、消耗品の購入といった小口利用の支払いに宛て、管理していました。Google広告用のカードでは、実際の広告費が当初の予算を上回らないために利用限度額を定めて運用しています。
▶︎広告費用で限度額に。マッチングアプリのwithが新しいカードにバクラクを選んだ理由とは
急な支出にも対応できるよう上限を設定しない
一方で、とくに限度額の上限を設定しないで運用している企業もあります。限度額を最大限にしておけば、予期しない大きな支出が発生した際にも柔軟に対応することができます。
メタバースプラットフォーム「cluster」の開発・運営をしているクラスター株式会社は、AWSなどのクラウドサービスによる決済額が大きくなりやすい事業です。万が一決済でエラーがでてしまうと、サービスに大きく影響してしまうので、決済額に上限を設けない運用をしています。
バクラクビジネスカードの特徴
バクラクビジネスカードは、会社の規模に関わらず発行できる法人カードです。カードごとに利用限度額や支払い先を設定できること、利用明細速報ですぐに支払い状況を確認できる特徴があります。
これまではカード会社に連絡するしかなかったカード発行・停止手続きがWeb上で完結し、用途、部署ごとに何枚でも発行できることも特徴のひとつです。カードは非発行型のバーチャルカードとリアルカードの2種類から選べます。
また、仕訳の自動作成機能や、一括アップロードした領収書と利用明細の紐づけ機能があるため、これまで対応が必要だった経費精算業務の負担を軽減できます。
クレジットカードの不正と紛失のリスクを低減する方法
法人カードを従業員に配布する場合、考えておかなければならないのは不正な利用と、個人の管理による紛失のリスクではないでしょうか。また、小口現金や仮払いの運用の手間や、現金の管理の手間を削減したいという方も多いかもしれません。
法人カードを配布するリスクや事前対策については、下記の記事で解説しています。
▶︎法人カードの不正利用を防ぐには?事例・対策・運用ルールを解説
また。下記のご案内よりクレジットカードの不正と紛失のリスクを低減する方法についてまとめた資料をダウンロードいただけます。資料内では法人カードの機能の利用により、どのように内部統制を効かせることができるかを解説しています。
出張や会食などケースごとのカード発行例も資料内で掲載しております。ダウンロードし、煩雑な小口現金・仮払い運用の見直しの一助になれば幸いです。ぜひダウンロードしてみてください。