租税公課とは?経費計上できるもの・できないものを徹底解説!
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-02-14
- この記事の3つのポイント
- 租税公課とは、国や地方公共団体に納める公的負担金のことである
- 経費として計上できる租税公課には、申告納税・賦課決定・特別徴収の3種類がある
- 経費計上できない租税公課の例には法人税や所得税などがあり、損金としての算入はできない
租税公課とは、企業活動において欠かせない税金や公的負担金を指します。本記事では租税公課とは何か、具体例を挙げて解説します。
経費計上できるものやできないもののほか、経費処理の注意点についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
租税公課とは?経費計上できるもの・できないものを徹底解説!
「租税公課」とは何?定義を解説
租税公課とは、税金や各公共団体に納める公的な目的で支払った経費を指します。租税とは国に納付する税金のことで、公課とは国や地方公共団体に支払う費用のことです。
すべての租税と公課が経費になるわけではなく、経費にできるものとできないものに分けられます。以下では、租税と公課の例を解説するので参考にしてください。
租税の例
租税は、国税や地方税などを指します。具体的な例としては以下のようなものが挙げられます。
- 印紙税
- 事業所税
- 自動車税
- 固定資産税
- 不動産取得税など
公課の例
公課とは、国や地方公共団体などに納める会費や手数料のことです。具体的な例としては以下が挙げられます。
- 商工会や町内会などの会費
- 印鑑証明書や住民票などの発行手数料
経費として計上できる租税公課
経費として計上できる租税公課は、主に以下の3種類に分けられます。
- 申告納税
- 賦課決定
- 特別徴収
また、経費計上できるのは「事業のために支払ったもの」であり、プライベートのものは経費計上できません。ここでは、各租税公課について解説します。
申告納税
申告納税とは、納税者が自身で税務署に税務申告を行い、税額を確定させて納付する仕組みです。申告納税が該当する租税公課は、申告を行った事業年度の必要経費として計上することが認められています。具体的な例としては、以下の税金が挙げられます。
- 事業税
- 事業所税
- 印紙税
これらの税金は「申告した日が属する事業年度」に損金として算入するものです。
事業税の場合、法人が地方自治体に対して支払う税金である「法人事業税」、個人事業主が対象で、主に事業所得に基づいて課税される「個人事業税」が該当します。
賦課決定
賦課決定とは、国や地方公共団体が独自にその税額を決定して通知する方法です。賦課決定としては、以下のようなものが挙げられます。
- 固定資産税、都市計画税
- 自動車税
- 不動産取得税など
賦課決定に該当する税金の場合には「賦課決定があった日が属する事業年度」に損金算入します。また、事務所や車など事業使用分とプライベートでの使用分がある場合には、按分して事業用のみを経費計上しなければいけません。
特別徴収
特別徴収とは、事業者を経由して間接的に税金を徴収することです。事業者が国や地方公共団体などに代わって税金を徴収し、納税するという仕組みです。経費計上が可能な特別徴収される租税公課としては以下のようなものが挙げられます。
- 軽油引取税
- ゴルフ場利用税
- 入湯税
特別徴収される租税公課については、前述した2つの方法とは異なり「納入申告書を提出した事業年度」に損金算入します。
経費として計上できない租税公課
経費として計上できない租税公課としては、主に以下の4種類に分けられます。
- 税引き前利益から支払われるもの
- 罰則に該当するもの
- 源泉所得税に該当するもの
- 個人に対して課されるもの
事業所の運営のために必要な支出ではなく、存在そのものにかかる租税公課や事業所のミスなどによって発生した支出は経費として計上できない租税公課です。
税引き前利益から支払われるもの
まずは、住民税や法人税などのように「所得」に対して課税されるものです。これらの税金については、経費として計上できません。たとえば、以下のようなものが例として挙げられます。
- 法人税
- 地方法人税など
これらの税金は、税引き前の所得に課税されるため、所得の利益処分であるとみなされます。そのため、経費ではないという考え方が一般的です。
また、法人税などを経費とすると税引き前の所得が減少していき法人税が増加するため、経費としては認めないという考え方もあります。
罰則に該当するもの
罰則的な税負担については、経費として計上できません。たとえば、本来は期限内に支払わなければいけない税金を支払わずに延滞した、手続きが遅滞してペナルティを受けたなどの場合です。
延滞税などの罰則的な税金も租税公課に含まれますが、罰則的な税金を経費として認めてしまうと、懲罰としての意味が薄くなってしまうため経費計上はできません。
罰則に該当する税金としては、以下のようなものが挙げられます。
- 延滞税(国)
- 延滞税(地方公共団体)
- 過怠税など
源泉所得税に該当するもの
源泉所得税に該当するものも、経費計上できません。源泉徴収とは、利息や配当金といった利益から直接所得税を控除することを指し、源泉徴収された所得税を「源泉所得税」といいます。源泉所得税については税金を前払いしているという考え方になるため、経費としては計上できません。
源泉所得税に該当するものとしては、以下のような税金が挙げられます。
- 利息にかかる源泉所得税
- 配当金にかかる源泉所得税など
個人に対して課されるもの
個人に対して課される税金は、租税公課として経費に計上することができません。事業の運営とは直接的な関連がなく、事業活動の必要経費とはみなされないためです。
具体例として、以下のような税金が該当します。
- 所得税
- 住民税
- 相続税
- 贈与税
個人事業主が支払う所得税や住民税は、個人の所得や居住に基づいて課税されるものであり、事業に関連する支出ではありません。また相続税や贈与税も、個人の資産や財産を移転する際に発生する税金であり、事業活動とは無関係です。
これらの税金を事業用の預金から支払った場合でも事業主貸として処理され、経費として計上することはできないため注意しましょう。
消費税は経理処理の方法によって租税公課になるか変わる
消費税の扱いは、経理処理を税抜で行うか、それとも税込で行うかによって扱いが異なります。どちらの方式を選択するかは自由に選択できるため、自社に合った方法を選択しましょう。
税込として経理処理する際には、必要経費として計上できます。ただし、税別として経理処理する際には仮受消費税と仮払消費税として仕訳することになるため、経費としては計上できません。税抜経理方式と税込経理方式では仕訳方法が異なるため、あらかじめどちらを採用するかを決めておき、担当者や担当部署に周知しておくとよいでしょう。
参考:国税庁「No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」
租税公課の経理処理に関する3つの注意点
租税公課の経費処理については、注意したいポイントが3つあります。ここでは、各注意点を解説します。
基本的に経費にできないものは損金としての算入はできない
必要経費以外に、資産の減少につながる原価や費用、損失などは「損金」に算入可能です。損金は課税所得金額から差し引くことができるため、節税につながります。しかし、どのようなものでも損金として算入できるわけではないため注意しましょう。
租税公課で必要経費にできないものは、損金としての算入ができないことが基本です。経費として計上できない租税公課は、損金としての算入はできないため注意しましょう。
参考:国税庁「No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」
租税公課の消費税区分は原則「不課税」である
不課税とは、消費税の対象外となる取引に用いられる消費税区分のことです。租税公課は原則として不課税のため、消費税の課税対象外です。課税される取引は、以下の4つの要件をすべて満たしていなければいけません。
- 取引が国内で行われること
- 事業として取引を行うこと
- 対価を得る取引であること
- 資産の譲渡、貸し付けもしくは役務の提供に該当すること
租税公課は、そもそも税金であり事業としての取引には該当しないため、消費税の対象にはなりません。
未払い租税公課の処理は翌年でもよい場合がある
前述したように「経費にできる3つの租税公課」については基本的に該当する事業年度に損金算入することとされています。
しかし固定資産税や自動車税、不動産所得税のように、賦課課税で納期が1回ではなく分割されているものは「実際に納付した日の属する事業年度」の必要経費として計上も可能です。たとえば、固定資産税は1期〜4期というように、納期が分割されておりそれぞれの納期までに納付することになります。
租税公課を損金算入するタイミングは納税方式によって異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
租税公課の経費計上は「バクラク経費精算」で効率化
租税公課とは、国や地方公共団体などに納める目的で支払った経費です。しかし、租税公課にも経費計上の対象となるものとならないものがあるため、計上ミスを防ぐためにも正確に処理をする必要があります。
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