請求書の保管期間はいつまで?保管方法と期間を法人・個人事業主別にわかりやすく解説

企業経営をする上で増えていく請求書等の書類について、保存期間は所得税法や法人税法で定められており、税務調査にも関わるので慎重に判断したいところです。
本記事では、請求書の保管期間、方法や注意点を法人の場合、個人事業者の場合に分けて解説します。

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請求書の保管期間はいつまで?保管方法と期間を法人・個人事業主別にわかりやすく解説

請求書の保管期間

請求書は証憑書類に該当するため、法律によって保存期間が決められています。主に関係する以下の3つの法律から、基本的に個人事業主が5年間、法人では7年間請求書を補完しなければならず、保管期間中に破棄することはできません。

法人税法

法人税について、納税義務者や課税所得等の範囲、税額の計算方法及び申告、納付及び還付の手続き、これらの納税義務を適正に果たすために必要な事項を定めた法律。

所得税法

所得税について、納税義務者や課税所得等の範囲、税額の計算方法及び申告、納付及び還付の手続き、源泉徴収に関する事項、これらの納税義務を適正に果たすために必要な事項を定めた法律。

消費税法

消費税について、納税義務者や課税所得等の範囲、税額の計算方法及び申告、納付及び還付の手続き、これらの納税義務を適正に果たすために必要な事項を定めた法律。

関連記事:請求書は破棄していい?紙(原本)の保管や電子帳簿保存法のルールも解説

法人の場合

基本的には請求書の保管期間は7年ですが、平成23年12月には税制が改正され、法人において青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年となりました。それに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度に発行された請求書の保管期間も、9年間となっています。

さらに、平成27年度および平成28年度の税制改正によって、欠損金の繰越期間が10年となりました。そのため、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生じる事業年度に発行された請求書の保管期間は、10年間となりました。

〈法人〉請求書の保管期間の数え方

法人における請求書の保管期間の数え方としては、事業年度の確定申告書の提出期限翌日から7年間となります。そのため、たとえば6月末決算の企業の場合、8月31日が確定申告期限日にあたることから、令和3年7月1日から令和4年6月30日までに発生した請求書の保管期間は、令和11年8月31日までとなります。

請求書を発行した側の保管義務

もし、自社で取引先からの入金の有無を確かめるために、請求書の控えを発行している場合には、保管する必要があります。ただし、あくまで請求書の控えを作成している場合のみ保管義務が生じるため、控えを作成していなければ保管義務は生じません。

適格請求書の発行&控えの保存義務

令和5年10月1日から適用されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、適格請求書発行事業者においてインボイス(適格請求書)の控えを作成および保管する義務が生じます。控えの保管を怠ると消費税の仕入税額控除を受けることはできないので注意しましょう。

インボイス(適格請求書)を発行する側は控えを、インボイス(適格請求書)を受領する側は原本を、それぞれ7年間保管しなければなりません。

個人事業主の場合

基本的には請求書の保管期間は5年間となっていますが、年間の課税売上が1,000万円を超過する等の一定の条件を満たしている場合には、個人事業主であっても消費税課税事業者にあたります。消費税課税事業者の請求書保管期間は、7年間となるため注意しましょう。

〈個人事業主〉請求書の保管期間の数え方

個人事業主における請求書の保管期間の数え方としては、確定申告の期限日の翌日から5年間となります。令和4年の消費税の確定申告は3月31日が申告期限日となっており、令和3年1月1日から令和3年12月31日までに発生した請求書の保存期間に関しては、令和9年4月1日までです。

消費税の納税義務者の場合

年間の課税売上が1,000万円を超過する等の一定の条件を満たしている場合には、個人事業主であったとしても消費税課税事業者にあたるため、請求書の保管期間は7年間になります。

たとえば、令和4年の確定申告は3月31日が申告期限日となっており、令和3年1月1日から令和3年12月31日までに発生した請求書の保存期間に関しては、令和11年4月1日までです。

請求書発行側の「請求書控え」の保存義務

法人と同様、取引先からの入金の有無を確かめるために、請求書の控えを発行している場合には、保管する必要があります。個人事業主においても、あくまで請求書の控えを作成している場合のみ保管義務が生じるため、控えを作成していなければ保管義務は生じません。

請求書の保管方法

受領した請求書や取引先に発行および送付した請求書に関しての保管方法は、次の3つの方法があります。

  • 紙での保管
  • マイクロフィルムでの保管
  • 電子データでの保管

本項目では、上記3つの保管方法に関して、解説します。

紙での保管

紙媒体で受領した請求書および発行した請求書の控えに関しては、基本的に自社の規定に基づき(月別や取引先別等)ファイリングして保管します。

マイクロフィルムでの保管

一定の要件を満たすことで請求書をマイクロフィルムで保管することが認められています。

マイクロフィルムは、一般の写真フィルムとは異なり画像の粒子が細かく、新聞紙等の極めて小さい文字であっても鮮明に記録することが可能です。

ただし、必ず規定通りのマイクロフィルムリーダー、マイクロフィルムリーダープリンタの設置が義務付けられています。

なお、マイクロフィルムとして保管ができる期間は、法定保存期間における最後の2年間のみです。

電子データでの保管

電子帳簿保存法に定められているスキャナ保存要件を満たせば、紙の請求書を電子データにして保管ができます。

また、元々受領した請求書が電子データである場合や、自社から取引先に発行する請求書が電子データである場合には、電子帳簿保存法の要件を満たした上で電子データのまま保管する必要があります。

さらに、2022年1月に電子帳簿保存法が改正されたため、元々電子データである請求書をわざわざ紙に印刷して保管することは認められなくなっており、注意が必要です。

関連記事:電子帳簿保存法とは?2024年義務化の内容や注意点などわかりやすく解説

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