法人カードはすべての企業にとって必要?事業規模や業態別に解説!

法人カードがあると、事業のために必要な経費精算の効率化が可能です。経費に関する業務が素早く進むようになり、ミスやコストの削減にもつながります。この記事では、法人カードの必要性とともに、メリットやデメリットなどを解説します。法人カードを適切に活用するためにぜひ役立ててください。

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法人カードはすべての企業にとって必要?事業規模や業態別に解説!

【事業規模別】法人カードの必要性

法人カードとは、法人または個人事業主を対象としているクレジットカードです。カードそのものは個人名義、引き落とし口座は法人名義となります。たとえば、ビジネスにおける仕入れ、出張、交際費などの支払に利用できます。

法人カードの必要性【一般企業】

ここでは、一般企業における法人カードの必要性について解説します。

大手企業

大企業向けに発行されている法人カードは、一般的にコーポレートカードです。大手企業にとっての法人カードの必要性は、ガバナンスの強化につながる点です。現金のやりとりが少なくなり、経費の流れを透明化できます。また、経費精算システムと併用すれば会計処理も円滑になります。

中小企業

中小企業向けに発行されている法人カードは、一般的にビジネスカードです。決済日と支払日にタイムラグがあるため、キャッシュフローの改善に役立ちます。また、ポイント還元の活用によりコストを削減できる点からも、法人カードの必要性は高いといえます。

法人カードの必要性【スタートアップ企業】

スタートアップ企業とは、大きな成長を目指して事業に取り組む企業です。事業規模が小さく、従業員の数もまだそれほど多くありません。そのため、将来的に体制が大きく変化する可能性が高いです。後から法人カードを導入するには仕組みを改めて変更する必要があり、余計な手間がかかります。よって、スタートアップ企業は、法人カードの早めの導入がおすすめです。

法人カードの必要性【個人事業主】

個人事業主は、個人向けのクレジットカードを使っているケースもあるものの、経費を計上する際に混乱が生じやすいです。法人カードがあると事業と私的使用の支払を明確に区別でき、適切かつスムーズに管理できます。使用している会計ソフトと法人カードを連携すれば、会計処理がより効率化します。

【業態別】法人カードの必要性

法人カードの必要性は業態によっても異なります。以下で詳しく解説します。

不動産業

不動産業界は、弁護士、税理士、建築業者、修理業者など、さまざまな関係者と協力しながら業務を進めています。不動産業界における法人カードの必要性は、多様な取引を明確に記録し、支払の漏れを防ぐ点にあります。支払を法人カードにまとめると、結果として良好な関係性を維持しやすいでしょう。

また、不動産売買が可能な法人カードを選択すれば、支払のために現金を用意する必要がありません。手元に現金がなくても契約を交わせます。

飲食業

飲食業で法人カードを導入すると、食材を購入する手間や事務作業にかかる時間を減らせます。それにより、レシピ開発や現場における接客に集中しやすくなります。また、法人カードで店舗の光熱費を支払えば、キャッシュフローの改善も可能です。飲食業ではさまざまな側面で法人カードの必要性が高いといえます。

製造業

製造業では部品調達が急遽必要になるケースがあるものの、現金対応だけでは決済までに時間がかかりがちです。法人カードを使用すれば、部品をスムーズに調達できます。また、海外出張が多い企業の場合、法人カードの決済通貨を出張先の国の通貨に限定すると、不正利用の防止につながります。

医療業

医療業においても、医療機器、医療材料、消耗品の仕入れについて法人カードを導入するとスムーズな決済が可能です。また、研修の出張にかかる費用も法人カードで決済できるため、経理ミスの削減と業務効率化につながります。

法人カードの普及状況

日本クレジット協会が公開しているデータによれば、法人カードの普及は拡大しています。2014年から2023年の9年間において、法人カードの発行枚数は約90%も増加しました。2022年3月末から2023年3月末までを比べても、発行枚数は約5%増加している状況です。多くの企業が法人カードの必要性を感じ、実際に導入していると分かります。

※参考:クレジット関連統計|日本クレジット協会

法人カードは法人格を問わずに作成可能

法人カードは、法人格の種類を問わず申し込めます。そのため、フリーランスや個人事業主でも法人カードを作成できる可能性があります。また、株式会社、合同会社、合資会社のいずれであっても、法人カードを作成することが可能です。

法人カードのメリット

法人カードにはさまざまなメリットがあります。ここでは、法人カードのメリットについて具体的に解説します。

経理業務が効率化できる

法人カードを導入すると、各社員が使用した法人カードの利用データを法人の支出としてまとめて計上し、経費精算が効率化できるというメリットがあります。

そもそも経費精算をする際は、まず現場担当者が経費を立て替えて、あとから経理担当者が精算して振り込みを行うのが一般的です。しかし、手入力での申請や振り込み作業が必要となるため、従業員の負担が大きく、ヒューマンエラーが発生しやすくなる点でリスクがありました。

多くの法人カードは会計ソフトと連携しており、利用データを経費精算システムに自動で取り込めます。また、インボイス制度に対応している法人カードであれば、適格請求書発行事業者を自動判別してくれるため、税区分の仕訳の手間がかかりません。電子帳簿保存法対応の法人カードなら、領収書の原本提出も不要です。

このように、法人カードは経費精算のステップを自動化してくれるため、手入力の誤りを防ぎ、現場の作業負担を大きく軽減できます。

▼法人カードを使った経費精算については、以下の記事でも詳しく解説しています。

「法人カードで経費精算するメリット・デメリットとは?流れや注意点も解説」

ビジネスに役立つ特典が受けられる

法人カードには、ビジネスをするうえで便利なサービスや特典がランクごとに付帯しています。例えば、出張時の旅行保険の補償や、世界各国の空港ラウンジを使えるプライオリティ・パスやコンシェルジュデスクの利用などです。また、カード名義人になった従業員への福利厚生を兼ねて、提携飲食店やスポーツジムの利用料割引を受けられることもあります。

<法人カードに付帯するサービス・特典>

  • カード付帯保険
  • 空港ラウンジの利用
  • ETCカードの発行
  • 福利厚生代行サービス
  • 優待サービス
  • コンシェルジュデスク
  • 会計ソフトとの連携 など

▼法人カードの付帯サービスについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

「法人カードで利用できる付帯サービスとは?主な種類と注意点を解説」

キャッシュフローに余裕が生まれる

法人カードは一定期間の経費を後日まとめて支払う「クレジットカード」であることがほとんどです。経費精算をカード払いにすることで、実際の支払日までに猶予を持たせることができるため、キャッシュフローの調整に役立ちます。

法人カードは個人カードに比べて、利用可能枠が大きく設定されていることが多く、まとまった額の支払を先延ばしにできるというメリットがあります。

締め日によっては支払が2ヵ月後になるケースもあり、支払日まで現金を手もとに残しておくことが可能です。支払金額の大きい大型のプロジェクトに携わった場合にも、現金の工面をしやすくなるでしょう。

また、法人税などの税金は「国税クレジットカードお支払いサイト」からクレジットカードでの納付が可能です。納税に法人カードを利用すれば、納付期限から約1ヵ月後まで現金を出さずに済み、その間に運転資金や投資に回すことができます。このように、法人カードは企業の資金繰りを柔軟にするための有効な手段となります。

コスト削減できる

法人カードを導入することで、無駄な支出を精査しやすくなり、経費削減につながる可能性があります。なぜなら、法人カードは支払履歴をWebサイト上で一元管理できるためです。

Webサイト上では、誰が、いつ、どこで、何のために経費を使ったのかが一目でわかります。支出の多い部門やプロジェクトが可視化され、追跡・監査がしやすくなるのが大きなメリットだといえるでしょう。

また、カードごとに決済先を制限できる機能が備わっていれば、意図しない決済を防止できます。こうした機能は法人カードの不正利用の抑止にも役立ち、企業の透明性向上や内部統制強化にもつながります。

法人カードのデメリット

法人カードにはデメリットも存在します。以下では、法人カードの具体的なデメリットについて解説します。

年会費がかかるカードが多い

多くの法人カードは、年会費がかかります。年会費のコストを抑えたいと考えている人にとっては、年会費のかかる法人カードはあまりメリットを感じられないかもしれません。ただし年会費は一時的な出費にはなりますが、経費での計上が可能なので、節税対策になります。また法人カードのなかには年会費無料のものもありますので、そういった法人カードを選ぶこともおすすめです。

管理の手間がかかる

従業員用の法人カードを複数枚発行している場合、従業員が法人カードをプライベートで利用していないか、経費として計上できない品目を購入していないかなど、事業主側での管理が必要です。法人カードの管理を怠ると、事業に関係のない費用も会計処理される可能性があり、そのため仕訳修正の手間が発生します。

利用可能枠が不足する場合がある

法人カードを導入する際、運用ルールを明確に規定しておかないと、1ヵ月当たりの支出が利用限度額を超えてしまい、資金繰りに影響するなどの不都合が生じるため、注意が必要です。

社内で規定しておくべき運用ルールの一例としては、どのようなものが経費として計上されるのかといった「利用品目のルール策定」や、社員ごとに利用限度額を定める「社員別支払額の策定」などです。

まとめ

法人カードを利用すれば、支払や経理業務の効率化が可能です。ガバナンスの強化やキャッシュフローの改善にもつながります。実際に多くの企業が法人カードを有効活用しており、幅広く使われている状況です。

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