勘定科目「荷造運賃」とは?混同しやすい科目との違いや経理処理の注意点

荷造運賃とは、商品の発送にかかる梱包費や運送料を含む費用を指します。通信費など間違えやすい勘定科目もあり、違いを知っておくと便利です。

本記事では、荷造運賃について詳しく解説します。荷造運賃に分類される経費の具体例や、注意すべきポイントにも触れるので参考にしてください。

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勘定科目「荷造運賃」とは?混同しやすい科目との違いや経理処理の注意点

「荷造運賃」とは?

荷造運賃は、自社の商品や製品の出荷にかかる包装と輸送に関連する包括的な費用です。例えば、商品発送の際の梱包に必要な段ボールやガムテープ・緩衝材などの資材を購入する費用や、運送会社や郵便局に支払う発送費用などが該当します。

運賃のほか、商品の包装材料費、荷造りのための賃金なども、荷造運賃に含まれます。

荷造運賃と「発送費」「運送費」などの呼称との関係性

荷造運賃は「発送費」や「梱包運賃」とも呼ばれます。これらの用語は、商品の発送に関連するすべての費用を包含するものです。

企業によっては「運送費」や「配送費」としても扱われることがあるでしょう。勘定科目は企業が自由に設定することも可能なため、企業で慣習的に使われている費目があるならば、それが荷造運賃に該当します。

荷造運賃の区分表示

荷造運賃は、「販売費及び一般管理費」の一部として表示されます。「販売費及び一般管理費」は、商品の販売時にかかる経費を指す区分です。これにより、企業の経費構造の透明性が確保されます。

なお、財務諸表においては、他の営業経費と荷造運賃とを区別して表示すると明確でしょう。

荷造運賃の具体例

荷造運賃とは先述のとおり、商品の配送に関わる費用です。配送に関わる費用といっても多岐にわたるため、ここでは、荷造運賃には具体的にどのようなものがあるかを、もう少し掘り下げて解説します。

段ボールや梱包材の購入費

商品を安全に配送するために必要な段ボール箱や緩衝材、テープなどの包装材料費用は、荷造運賃の一部です。これらの資材は、商品が輸送中に破損しないように保護する役割を果たします。

例えば、壊れやすい商品を送る際に使用するバブルラップや、複数の商品をまとめて送るための大きな段ボール箱、あるいは個包装のための小さな箱などが、梱包材に該当します。一方、ブランドをアピールするためのオリジナルのラッピング材や箱なども、梱包材の一種です。

配送業者への運送料

宅配便やトラック便を利用して商品を顧客に届けるための配送サービス利用料は荷造運賃として計上されるものです。この費用には、通常の運送料に加えて、急ぎの配送の場合には追加料金が含まれることもあります。

例えば、遠方の顧客への商品配送や、大量の商品を一度に配送する際のトラック便の運送料などが、これに該当します。

発送手数料

発送手数料は、配送センターや郵便局での手続きにかかる手数料です。具体的には、商品の発送準備や処理にかかる人件費、または手数料などのことを指しています。配送そのものではなく、配送に至るまでにかかる費用と考えると良いでしょう。

例えば、郵便局での小包の発送手続きにかかる手数料や、物流センターでのピッキングおよび梱包作業にかかる費用などが該当します。

荷造運賃の仕訳例

荷造運賃の仕訳には以下のようなケースが考えられます。それぞれの仕訳例を解説します。

1.段ボールを購入した場合

段ボールを現金で購入した場合、仕訳の方法は次のとおりです。

借方科目:荷造運賃 5,000円 貸方科目:現金 5,000円

借方の「荷造運賃」は購入費用、貸方の「現金」は支払い手段を示しています。この場合、現金で購入しているため、貸方科目は「現金」です。段ボールは梱包材ですから、借方科目「荷造運賃」への計上となります。

2.宅配便で商品を発送した場合

宅急便による商品の発送は、以下のように仕訳を行います。

借方科目:荷造運賃 8,000円 貸方科目:未払金 8,000円

借方の「荷造運賃」は運送料、貸方の「未払金」は未払いの負債を示しています。宅配便の料金は1カ月分まとめて支払うことが多いため、実際の支払い時に未払金の消し込みを行うようにしましょう。

3.物流業者に保管料を支払った場合

物流業者に保管料を支払った場合も、荷造運賃で仕訳をすることができます。具体的には次のとおりです。

借方科目:荷造運賃 10,000円 貸方科目:普通預金 10,000円

借方の「荷造運賃」は保管料のこと、貸方の「普通預金」は支払い元を示すものです。普通預金から引き落とし、あるいは振込で処理を行ったことがわかります。

荷造運賃と間違えやすい勘定科目

荷造運賃と間違えやすい勘定科目に次のようなものがあります。それぞれ荷造運賃との違いを解説します。

通信費

「通信費」とは、業務の範囲内で必要とされる通信や配送にかかわる費用の勘定科目です。

通信費には主に以下の費用が仕訳されます。

  1. 電話料金・FAX代
  2. インターネット料金・プロバイダ料金
  3. 郵送代・宅配代
  4. テレビ・有線放送の受信料

通信費には郵便物の発送費用が含まれるため、荷造運賃と混同してしまいがちです。しかし通信費は、荷造運賃とは異なり、物品(商品)の発送には直接関係しません。

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消耗品費

「消耗品費」とは、使用すると消耗または摩耗するものの購入にかかる費用です。事務用品や備品の費用のほか、使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の什器備品の購入費も該当します。

一般的に消耗品費として扱われているものは、以下の通りです。

  1. 事務用品
  2. パソコン用品
  3. 日用品
  4. 医療用品

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支払手数料

支払手数料とは、商品やサービスそのものではなく、取引に付随して発生する経費を指します。

具体的には、銀行振込手数料、代金引換手数料、クレジットカード手数料など、金融機関や支払いサービスに対する手数料などを含む科目です。

これらの費用は、手数料と名前がついているため荷造運賃と混同しやすいでしょう。しかし商品の発送にかかる費用とは異なるため、荷造運賃ではありません。

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荷造運賃の経理処理で注意すべきポイント

荷造運賃を経費処理する際は、以下のようなポイントに気をつけると良いでしょう。

通信費や消耗品費と混同しないようにする

先述した通り、荷造運賃をほかの経費項目と正確に区別することが大切です。

とりわけ通信費、消耗品費などは、荷造運賃と似た部分があります。しかしいずれも、自社の商品を顧客へ送るための荷造運賃とは明確な違いがあるため、通信費や消耗品費と混同しないようにしましょう。

未使用の梱包材は「貯蔵品」として振替える

貯蔵品とは、未使用のまま保管されていたものを使用する際に使う勘定科目です。

期末に未使用の梱包材がある場合、その分は「貯蔵品」として振替える必要があります。これにより、実際に使用された分のみが費用として計上され、正確な経費処理が可能になるでしょう。

また「貯蔵品」は企業の資産となるため、資産としての在庫管理も重要です。

商品の仕入れに伴う配送費は「仕入高」で計上する

商品の仕入れに伴う配送費は「仕入高」として計上し、荷造運賃とは別に扱わなければなりません。

仕入高とは、販売する商品の売上高に対応する原価の仕入分を表しています。

荷造運賃はあくまでも、商品を販売する際の費用です。仕入れに関連する費用と販売に関連する費用を明確に区別することで、正確な原価計算が可能となります。

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まとめ

荷造運賃は、自社の商品を顧客へ配送する際にかかった経費を会計処理する際の勘定科目です。通信費など、いくつか混同しやすい科目もあるため注意してください。仕訳を行う際は、借方科目がいずれも荷造運賃となりますが、貸方科目はケースバイケースで選択しましょう。

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