謝金(謝礼金)に消費税はかかるのか?報酬との違いや勘定科目についても解説

協力や貢献をしてくれた人に対して支払う謝金(謝礼金)は、内容によって消費税が発生する場合としない場合があります。

本記事では、消費税が発生する場合の謝金やしない場合の謝金、国外取引の場合などはどうなるかなどを解説します。また、謝金と報酬の違いや勘定項目についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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謝金(謝礼金)に消費税はかかるのか?報酬との違いや勘定科目についても解説

謝金(謝礼金)に消費税は発生するのか

謝金とは、なんらかの協力や貢献をしてくれた相手に対して、感謝の気持ちを示すために支払う金銭のことで、主な内容例は以下のとおりです。

  • 講演やセミナー
  • 調査や研究協力
  • 寄付やチャリティー活動 など

謝金は内容によって、消費税が発生するものとしないものがあります。対価性があるものとないもの、国外取引についての謝金について見ていきましょう。

講師依頼など対価性があれば消費税がかかる

謝金が消費税の対象となるかどうかは、謝金に対価性があるかで決まります。講演やセミナーの講師などで出演者・登壇者に支払う謝金は、時間や労力への対価と扱われるため、消費税がかかります。

アンケート調査の協力者に支払う謝礼なども、調査協力という具体的な労働の対価として扱われるのであれば、消費税の適用対象です。役務の提供に対する対価として支払う謝金には、消費税がかかることを覚えておきましょう。

お礼など対価性がなければ消費税はかからない

対価性があれば消費税がかかると前述しましたが、お礼などの意味として渡した対価性がない謝金の場合、消費税はかかりません。

対価性がない例として、企業が従業員の家族に対してお礼として金銭を送る場合や、寄付やチャリティー活動をした人に対して送られる感謝状や記念品などが挙げられます。

消費税がかかるのは、役務の提供などの「対価性がある場合」のみです。感謝の意を表すものに関しては、対価性がないため消費税がかからないことに注意しましょう。

国外取引は対価性があっても消費税はかからない

対価性があっても、国外取引の場合は消費税が発生しません。たとえば日本企業が国外在住の講師に講演を依頼し、公演自体も海外でおこなわれるのであれば、国外取引とみなされます。

なお、役務の提供場所が具体的に特定できない場合には、契約書に記載された役務提供場所で判断します。そのため、役務提供場所を契約書で明確にしておくことが重要です。

参考:国税庁「第7節 国内取引の判定

謝金と報酬の違い

謝金にかかる消費税について解説しましたが、謝金と報酬は混同しやすいため、違いについて確認しておきましょう。謝金と報酬には、以下の意味があります。

謝金感謝として支払う場合が多いもの
報酬役務に対しての対価で支払うもの

謝金は特定の行為や協力に対して、感謝の意を表すために渡す金銭や物品です。必ずしも契約に基づくものではなく、たとえばアンケートに回答してくれた人へのお礼や、講演を引き受けてくれた講師に対してお礼として渡すものが謝金の例として挙げられます。

一方で報酬は、特定の仕事やサービスに対して支払われる金銭です。報酬は契約に基づき、労働やサービスの対価として支払われます。しかし実際は講演料や原稿料を謝金といいつつ報酬として支払うこともあり、線引きが難しい場合もあります。

謝金と報酬を区別することは会計上重要なため、あらかじめ謝金として扱う範囲を決めておくとよいでしょう。

謝金は源泉徴収が必要な場合もある

個人に対する謝金で「支払手数料」に該当するものは源泉徴収が必要です。報酬や料金の支払いを受ける人が個人の場合、源泉徴収の対象となる範囲には、以下のものが挙げられます。

  • 原稿料や講演料など
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金 など

参考:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金とは

一方で謝金のうち「交際費」として計上するものは、源泉徴収はかかりません。源泉徴収制度について詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。関連記事:源泉徴収制度について|対象となる事業者や計算方法、税金の納付方法などを解説-バクラク

謝金の勘定科目

謝金を支払った際は、事業に関わる内容であれば経費計上が可能です。どのような意味合いで支払ったのかによって交際費や支払手数料、広告宣伝費など勘定科目が変わるため、正しく理解しておきましょう。

交際費お礼として支払ったもの
支払手数料報酬として支払ったもの
広告宣伝費・販売促進費宣伝や販促のために支払ったもの

支払う相手が個人の場合は源泉徴収がかかり、報酬として支払った支払手数料に関しては消費税がかかることを考慮して計上しましょう。

また謝金を支払う場合、領収書がなければ経費処理が難しくなるため領収書が必要です。謝金を受け取る側も領収書がなければ確定申告の際に面倒になるため、領収書は発行した方がよいものと考えておきましょう。

領収書が無い場合、銀行振込で謝金を支払ったときは「振込明細書」、直接手渡しで支払ったときは「出金伝票」などが領収書の代わりになります。支払った証拠として、保管しておくことを忘れないようにしましょう。

免税事業者への支払いは仕入額控除ができない

免税事業者などの適格請求書発行事業者ではない相手に対する支払いは、謝礼で経費計上の該当であったとしても仕入額控除ができません。免税事業者とは、消費税の納税が免除されている事業者のことで、小規模の事業者に対して消費税法で設けられた特例です。

一方で仕入額控除とは、消費税の二重課税を防ぐための仕組みのことです。インボイス制度では適格請求書の交付がない取引では、仕入額控除ができません。

インボイス未登録事業者との取引について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

関連記事:インボイス未登録事業者との取引における消費税や支払の注意点-バクラク

まとめ

謝金は報酬の意味合いが強いと消費税が発生し、対価性がないと消費税が発生しません。また、個人に支払う謝金の場合、源泉徴収が必要になるケースもあります。
ひと言に謝金といっても、お礼としての謝金なのか、報酬としての謝金なのか、意味合いによって勘定科目も異なり、消費税や源泉徴収がかかる場合がある点には注意しなければなりません。

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