自動車税の勘定科目は何を使う?仕訳例や会計処理時の注意点

業務を遂行するにあたり、多くの企業で自動車が使われています。自動車を所有していると自動車税などの税金が発生するため、適切な処理をしなければなりません。では、法人において、自動車税はどのような勘定科目を使用するのでしょうか。

この記事では、自動車税の勘定科目や仕訳例、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。

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自動車税の勘定科目は何を使う?仕訳例や会計処理時の注意点

自動車税の勘定科目は?

自動車税の勘定科目は、「租税公課」または「車両費」のどちらかを用います。それぞれ詳しくみていきましょう。

租税公課

自動車税の勘定科目として使用するのは、一般的に「租税公課」です。租税公課とは、税金や各公共団体に納める公的な目的で支払った経費を指します。租税の代表例としては、印紙税・自動車税・固定資産税・不動産取得税、公課の代表例としては商工会や町内会の会費・印鑑証明書・住民票の発行手数料が挙げられます。当然、都道府県税である自動車税も租税公課として経費処理が可能です。

車両費

自動車税に使える勘定科目として、租税公課のほかに車両費もあります。車両費は自動車の維持や管理にかかる費用、車検費用などに使える勘定科目です。車両費を使えば、自動車に関する費用をまとめて管理できるメリットがあります。どちらの勘定科目を使うか決まりはないため、自社の経理で管理をしやすいほうを使うとよいでしょう。

自動車税とは?

そもそも自動車税とはどのようなものか、まずは基本を押さえておきましょう。自動車税は、自動車の所有者に対して課される都道府県税です。毎年4月1日時点で登録されている自動車検査証の所有者に対して課税され、5月に納税通知書兼納付書が送付されてきます。なお、自動車税は普通自動車が対象で、軽自動車に課されるのは市区町村に対して納める軽自動車税です。

自動車税と自動車重量税との違い

自動車を所有していることに対してかかる税金には、自動車税のほかに自動車重量税もあります。自動車重量税は新しく自動車を購入したタイミングや、車検のタイミングで納める税金です。税額は自動車の重量のほか、自家用か営業用かによっても変動します。

以前は自動車の購入時に自動車取得税もかかっていましたが、現在は廃止されています。代わって2019年10月からは、環境性能に応じた「環境性能割」が導入されました。環境性能割は自動車の購入時や移転登録時に納めます。

法人は自動車税を経費にすることは可能?

そもそも経費は、事業活動によって生じた費用が対象です。事業目的で自動車を利用していれば、自動車税も経費として計上できます。では、個人事業主が個人所有の自動車を使った場合はどうなるでしょうか。

結論としては、業務を遂行するために使っているのであれば、個人事業主が個人所有の自動車を使っている場合も経費としての計上が可能です。ただし、プライベートで使用した分と事業用として使用した分は、後述する家事按分が必要になります。

自動車税の具体的な税額

2019年10月に税制改正が実施されて以降、営業用(トラック・貨客兼用車は除く)自動車の自動車税は以下のような税額になりました。

総排気量営業用(トラック・貨客兼用車は除く)の税額
1,000cc以下7,500円
1,000cc以上1,500cc以下8,500円
1,500cc以上2,000cc以下9,500円
2,000cc以上2,500cc以下13,800円
2,500cc以上3,000cc以下15,700円
3,000cc以上3,500cc以下17,900円
3,500cc以上4,000cc以下20,500円
4,000cc以上4,500cc以下23,600円
4,500cc以上6,000cc以下27,200円
6,000cc以上40,700円

※参考:自動車税月割税率表(営業用) |  東京都主税局

自動車税の仕訳例

ここからは具体的な自動車税の仕訳の方法をみていきましょう。自動車税を納付したケース(預金・現金・クレジットカード払い)と還付を受けたケースの例を以下で紹介します。

仕訳例1

営業用として排気量5000ccの自動車を所有、自動車税27,200円を預金から納付した場合の仕訳例です。借方の勘定科目は租税公課、貸方の勘定科目に預金を用いて、以下のようになります。

借方貸方
租税公課27,200預金27,200

上記と同様の自動車税27,200円を現金で納付した場合は、借方の勘定科目に租税公課、貸方の勘定科目には現金を用いて以下の通りです。

借方貸方
租税公課27,200現金27,200

仕訳例2

仕訳例1と同じく、自動車税の27,200円をクレジットカードで納付した場合は借方に租税公課の勘定科目、貸方には未払金の勘定科目を使用します。

借方貸方
租税公課27,200未払金27,200

クレジットカードで納付した場合、後日預金から引き落としがあります。クレジットカードの利用代金が引き落とされたら、借方に未払金、貸方に預金の勘定科目を使って仕訳し、未払金を消し込みます。

借方貸方
未払金27,200預金27,200

仕訳例3

自動車税納付後に自動車の登録を抹消した場合や、誤って二重に納付した場合などは税金が還付されるため、還付金を受け取ったタイミングでも仕訳が必要です。基本的には税金を納付したときとは逆の仕訳を行います。

借方貸方
現金27,200租税公課27,200

預金口座に振り込まれた場合は以下のようになります。

借方貸方
預金27,200租税公課27,200

なお、自動車税を支払った年度内に還付金を受け取れず、年度を越してから還付された場合、租税公課の残高がマイナスになるため、雑収入の勘定科目を使います。

借方貸方
現金(または預金)27,200雑収入27,200

カーローンやカーリースの自動車税の仕訳はどうなる?

カーローン返済中の自動車は所有権がディーラーなどになっていますが、自動車税に関しては利用者が納税者とみなされます。そのため、カーローンを組んで自動車を購入したケースでも、自動車税の仕訳に使う勘定科目は租税公課です。

一方でカーリースの場合、利用者は車を借りているだけで、自動車を所有しているわけではありません。自動車税は他の諸費用や保険料などとともにリース料金に含まれているため、利用者が支払った自動車税分はリース会社が納入する形になっています。利用者の会計処理としては、リース料金として経費計上することになります。

自動車税における家事按分の仕方

自動車をプライベートと業務遂行時の両方に使っているケースでは、自動車税の家事按分が可能です。以下で家事按分の仕方を解説します。

家事按分とは?

家事按分とは、事業用とプライベート用でかかった費用を区別して経費計上することです。特に個人事業主の場合は、1台の自動車をプライベートにも事業用としても使っていることがあります。自動車を兼用しているケースでも、業務用として使用した分については自動車税を経費計上することが可能です。

ただし、プライベートと事業用で兼用している場合は、かかった費用を区別する家事按分が必要になります。具体的にどのように家事按分率で計算すればいいのか、どう仕訳すればいいのか、仕訳例とともに次の段落で掘り下げて解説します。

支払手数料になる経費と仕訳例5選|雑費や租税公課など迷いがちな勘定科目や注意点も解説

家事按分率の計算方法・仕訳例

自動車税の家事按分比率は、走行距離や使用日数、使用時間などをもとに算出します。具体的には「自動車税額×事業で走行した距離の割合(事業で使った日数の割合)」です。例えば自動車税27,200円のうち、業務で走行した割合が70%だった場合、事業用の租税公課として計上できるのは「27,200円×70%=19,040円」になります。

事業資金からプライベートでの支出分を計上する際に使う勘定科目は「事業主貸」です。自動車税を現金で納付したとすると、仕訳は以下のようになります。

借方貸方
事業主貸8,160現金27,200
租税公課19,040  

自動車税の会計処理における注意点

自動車税を会計処理する際、気をつけておきたいポイントもあります。以下で解説する3つの注意点も踏まえておいてください。

勘定科目は統一する

自動車税の仕訳では、勘定科目として「租税公課」と「車両費」のどちらも使えます。だからといって、自由に使っていいわけではありません。

勘定科目設定において、企業内でルールを統一し、一貫性を維持することが重要です。特定の費用に対して一度勘定科目を定めたら、同じ勘定科目を使い続けましょう。仕訳が作業する人によって異なると、会計情報の信頼性が低下するリスクにつながります。

加算金・延滞金は経費で落とせない

自動車税を納付した分は経費として扱えますが、納税が遅れたことによって発生した加算金や延滞金は経費として計上することはできません。自動車が故障していたり、車検が切れていたりなど、実質的に走行できない状態だったとしても、登録を抹消するまでは納税義務があります。延滞金などがかからないよう、期限までに必ず納付してください。

軽自動車税は還付を受けられない

還付に関しては、普通自動車と軽自動車で制度が異なります。普通自動車が対象の自動車税は、年度の途中で廃車にすると還付を受けられます。しかし、軽自動車にかかってくる軽自動車税については、年間課税のみです。年度の途中で廃車にしても、月割で還付される仕組みがありません。事業用の車両として軽自動車を使用している人は注意しましょう。

まとめ

業務の遂行に自動車を使っている場合、自動車税の納税時に租税公課または車両費を使って経費を計上する必要があります。自動車税を経費として計上できるのは法人だけではなく、個人事業主も可能です。ただし、プライベートでも自動車を使用しているようなら、家事按分をする必要があります。

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