業務委託費は消費税の課税対象?源泉徴収が必要なケースや仕訳例を解説

業務委託契約を結ぶ際に、報酬に消費税はかかるか疑問に思う方も少なくないでしょう。フリーランスや外部企業への発注が増える中で、消費税の取り扱いは正確に理解しておく必要があります。

本記事では、業務委託費が消費税の課税対象となる基本的な考え方から、具体的な仕訳例まで、詳しく解説します。正しい知識を身につけスムーズな業務委託を進めるために、ぜひお役立てください。

インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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業務委託費は消費税の課税対象?源泉徴収が必要なケースや仕訳例を解説

業務委託費に該当する費用とは

業務委託費とは、企業や個人事業主が特定の業務を外部の法人や個人に委託し、対価として支払う費用のことです。具体的な例としては、以下のものが挙げられます。

  • コンサルティング費用
  • システム開発・運用保守費用
  • Webサイトや広告などのデザイン制作費
  • 記事作成や翻訳などのライティング費用
  • 清掃や警備などのアウトソーシング費用

専門性が高い業務や、一時的に人手が必要な業務などを外部に依頼する際に、業務委託費が発生します。

業務委託の契約形態は、請負契約や委任契約などさまざまです。いずれの契約においても、外部へ業務を委託した際の対価を業務委託費として扱います。

インボイス制度について詳しくは以下のページで解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説

業務委託費は消費税の課税対象になる

業務委託で支払われる報酬には、基本的に消費税がかかります。消費税の課税対象者になるのは、仕事を受ける側が法人、個人事業主に関わらず原則として同じ扱いです。

なぜなら、業務委託は事業者が行うサービス提供にあたり、消費税の課税対象となる取引だからです。したがって、発注者側は支払う報酬に、消費税分を上乗せして支払う必要があります。

たとえば報酬が税抜で10万円だった場合、消費税率が10%であれば1万円を加え、合計11万円を支払います。

インボイス制度による業務委託費への影響

2023年10月1日に開始されたインボイス制度は、業務委託費の消費税にも影響を及ぼしました。特に影響を受けるのは、発注側が仕入税額控除を受ける場合です。

受注側が課税事業者であり、適格請求書発行事業者として登録している場合は、インボイスを発行してもらうことで、発注側は仕入税額控除を適用できます。

一方、受注側が免税事業者の場合、インボイスを発行できません。発注側は取引にかかる消費税額について、原則として仕入税額控除を受けられなくなるため、免税事業者との取引を検討する必要があります。

ただし、一方的な取引条件の変更や取引停止は、下請法に抵触する可能性もあるため慎重な判断が求められます。

インボイス制度の影響や下請法については、以下の記事をご参照ください。

関連記事:インボイス未登録事業者との取引における消費税や支払の注意点

関連記事:インボイス制度で注意すべき下請法とは?違反となるケースを解説

業務委託契約で消費税に関するトラブルを回避するには

業務委託契約において消費税に関するトラブルを防ぐために、契約書に報酬額と消費税の取り扱いを明確に記載しましょう。

報酬額が税込・税抜か曖昧な場合、支払い段階になって双方の認識にずれが生じ、トラブルに発展する可能性があります。消費税の扱いは、慎重な確認が必要です。

契約を結ぶ前に、消費税の負担について双方で十分に協議し、合意した内容を書面で残すことが、将来的な認識の齟齬や金銭的な問題を未然に防ぐことにつながるでしょう。

業務委託契約で源泉徴収が必要なケースとは

業務委託契約では、消費税のほか源泉徴収の理解も大切です。すべての業務委託契約が対象ではありませんが、徴収漏れはペナルティにつながる場合もあります。

ここでは、源泉徴収の目的や対象となる報酬、計算方法を解説します。

源泉徴収の目的

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う側が所得税などをあらかじめ差し引き、本人に代わって国に納付する制度です。

源泉徴収の主な目的は、国が税金を効率的かつ確実に徴収するためです。納税者にとっても、一度に大きな金額を納める負担が軽減される利点があります。

会社員であれば、毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。同様に、業務委託における特定の報酬についても、源泉徴収の手続きが必要です。

源泉徴収された税金は、報酬を支払った発注者が責任をもって国に納付します。税金を徴収して納める義務が報酬の支払い側にある点が、源泉徴収制度の大きな特徴といえるでしょう。

源泉徴収の対象となる報酬

業務委託で支払われる報酬のすべてが、源泉徴収の対象となるわけではありません。源泉徴収が必要かどうかは報酬の内容と、支払い相手が個人か法人かによって異なります。

個人に対して支払う報酬のうち、源泉徴収が必要となる主な例は、以下のとおりです。

  • 原稿料
  • 講演料
  • 弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など特定の資格をもつ人へ支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、プロサッカー選手、モデル、外交員などに支払う報酬・料金
  • 芸能人や芸能プロダクションへ支払う出演料などの報酬・料金
  • 宴会等で接待を行うホステスやコンパニオンなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手などに一時的に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金
  • 馬主に支払う競馬の賞金

一方、法人に対する報酬で源泉徴収の対象となるのは、馬主である法人に支払う競馬の賞金のみです。

業務委託契約を結び報酬を支払う際は、委託する業務内容が源泉徴収の対象となるかを確認するとともに、支払う相手が個人なのか、法人なのかを必ず確認するようにしましょう。

参考:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

源泉徴収の計算方法

源泉徴収が必要な所得税の金額は、報酬額に一定の税率を掛けて算出します。同一の個人に対して1回に支払われる報酬額が100万円以下の場合、計算方法は以下のとおりです。

支払金額×10.21%=源泉徴収税額

100万円を超える部分については20.42%を乗じて計算します。計算式は、以下のとおりです。

(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円=源泉徴収税額

請求書などで報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、消費税額を含まない報酬金額のみを源泉徴収の対象として計算して構いません。

参考:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき

業務委託費の仕訳例

業務委託費が発生した際の仕訳例を紹介します。

外部の法律事務所に相談料として、4万円を普通預金から支払った際の仕訳例は以下のとおりです。

借方

貸方

業務委託費

40,000円

普通預金

35,916円

預り金

4,084円

弁護士資格を持つ個人に対する報酬には、源泉徴収が発生します。したがって、源泉徴収額を差し引いた35,916円を報酬として支払います。源泉徴収分の4,084円は「預り金」の勘定科目で計上してください。

続いて、支払相手が法人の場合も見てみましょう。デザイン事務所へチラシ制作料として、6万円を普通預金から支払った際の仕訳例は以下のとおりです。

借方

貸方

業務委託費

60,000円

普通預金

60,000円

デザイン制作を個人に依頼すると源泉徴収の必要がありますが、今回は法人への業務委託のため、源泉徴収は発生しません。

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業務委託費は消費税の課税対象となるため、正確な計算が必要です。さらに、インボイス制度への対応や源泉徴収の要否判断など、業務委託費の処理には注意すべき点が多く存在します。

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