
宛名なしの領収書は有効?法律や経理上の取り扱いと対処法を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-08-05
- この記事の3つのポイント
- 宛名なしの領収書とは、受取人の氏名や会社名が記載されていない、空(から)の領収書のこと
- 税務調査において、宛名なしの領収書は証憑としての信頼性が低いと判断されることがある
- 領収書を発行する際は、基本的に宛名を記載し、必要に応じて発行理由や取引内容を記載する
受け取った領収書に宛名の記載がなかったり、領収書を発行する際に、宛名や金額を空欄にするよう求められたりした方も少なくないでしょう。
本記事では、宛名のない領収書の発行・受取に関する注意点や、インボイス制度との関連について詳しく解説します。
宛名なしの領収書は有効?法律や経理上の取り扱いと対処法を解説
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宛名なしの領収書とは?
宛名なしの領収書とは、受取人の氏名や会社名が記載されていない領収書のことを指します。
宛名のない領収書や、金額や日付・但し書きなどが空欄の領収書は「空(から)の領収書」と呼ばれ、不正利用のおそれがあるため注意が必要です。
法律上、宛名の記載に明確な義務はありませんが、インボイス制度の適格請求書の場合は、宛名(取引先の氏名または名称)の記載が必須のため注意しましょう。
宛名なしの領収書の有効性
宛名なしの領収書の有効性は、利用する場面によって異なります。
経理上における取り扱い
経理上においては、宛名なしの領収書でも経費計上が認められるケースがあります。
領収書の宛名が空欄であっても、支払いの事実や取引内容が明確であれば、通常は経費精算が可能なためです。
ただし、会社ごとに経費精算の規定が異なるため、社内ルールで宛名なしの領収書が経費として認められない場合もあります。また、領収書の金額が高額な場合や、内容が曖昧な場合は、経理担当者や監査時に追加の説明や証憑を求められることもあるでしょう。
経理処理上は、領収書の宛名の有無よりも、事業における支出の必要性や記載内容の正確性が重視されます。
経費精算時の領収証の宛名については、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
関連記事:領収書の宛名は経費精算の重要事項!宛名の基本からリスクなどを解説
消費税法上の取り扱い
消費税法上、仕入税額控除を適用するためには、原則として領収書に宛名の記載が必要とされています。宛名があることで取引の当事者が明確になり、取引の実態を証明できるためです。
領収書の宛名がない場合、控除の要件を満たさないと判断され、税務調査の際に否認されるリスクが高まります。
一方、小売業や飲食業、旅行業などについては例外です。不特定多数の顧客を相手にする事業では、日常的に宛名なしの領収書やレシートでも仕入税額控除が認められています。ただし、取引日や金額、発行者情報など他の必要事項の記載は必須のため、注意しましょう。
仕入税額控除や適格簡易請求書については、以下の記事でご確認ください。
関連記事:消費税の「仕入税額控除」とは?計算方法・仕組み・要件をわかりやすく解説
関連記事:インボイス制度における「適格簡易請求書」とは? 適格請求書との違いと交付の条件、発行方法について解説
税務調査上の取り扱い
税務調査において、宛名なしの領収書は証憑としての信頼性が低いと判断されることがあります。
特に高額な場合、宛名のない領収書は疑われる可能性が高いです。宛名が「上様」になっていたり、但し書きが「品代」になっていたりする場合も注意が必要です。
税務調査に備えるためには、なるべく宛名入りの領収書を保管し、必要に応じて補足資料を用意することが望ましいでしょう。
領収証を保存する際のルールについては、以下の記事で解説しています。
宛名なしの領収書を受け取った場合の注意点と対処法
宛名なしの領収書を受け取ったときは、慎重な対応が必要です。具体的な注意点について以下で解説します。
後から自分で記載すると不正利用とみなされる可能性がある
宛名なしの領収書に自分で宛名や金額を追記する行為は、税務上・法律上のリスクが非常に高いです。
領収書は発行者の責任で発行される証拠書類であり、第三者が内容を書き加えると「私文書偽造罪」や「私文書変造罪」に問われる可能性があります。
正しい金額や自分の氏名を記入しただけであっても、発行者の承諾なく手を加えた時点で不正とみなされる場合があります。税務調査では筆跡や記載の不自然さも確認され、不正と判断されると重加算税や行政指導の対象となる可能性があるため注意しましょう。
企業の信用低下だけでなく、個人にも重大な法的リスクをもたらすため、自ら書き加えることは避けてください。
宛名がない場合は発行元に記載を依頼する
宛名の記載漏れがある場合は、発行元に連絡し、正式な宛名入りの領収書を再発行してもらうのが安全です。
金額に関しても同じです。金額が記載されていない白紙の領収書は、経費の申請に使用できません。決して、自分で金額を記載しないでください。改ざんとみなされ、犯罪になる恐れがあります。
領収書を受け取ったら、宛名や金額の記載についてその場で確認しましょう。未記載の場合は、すぐに記載を依頼してください。正しい対応を徹底することで、将来的な税務リスクや不正と誤解される事態を防げます。
領収書の再発行を依頼された場合の対処法については、以下の記事で解説しています。
宛名なしの領収書の発行に関する注意点と対処法
領収書を発行する際は、基本的に宛名を記載するのが望ましいとされています。
宛名があることで、経理処理や税務調査時の信頼性が高まり、消費税の仕入税額控除や経費計上の際にもスムーズに対応できます。
ただし、法律上は宛名なしで領収書を発行しても違法ではなく、支払日や金額、発行者名など必要事項が明記されていれば有効です。しかし、宛名がないことで社内規定で経費申請が認められなかったり、税務調査で否認されたりするリスクがあるため注意が必要です。
やむを得ず宛名なしで発行する場合は、必要に応じて発行理由や取引内容を記載するなど、後々のトラブルを防ぐための対応を検討しましょう。
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宛名なしの領収書は法的には問題ありませんが、経理処理や税務上ではリスクがあるため、基本的には宛名を記載するのが望ましいとされています。
特に消費税の仕入税額控除を受ける場合や税務調査時には、宛名が未記載だと認められないケースもあるため注意しましょう。
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