旅費交通費は非課税?課税対象になる状況や節税する方法を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-06
出張の際に発生する旅費交通費は、課税対象になるのでしょうか。この記事では、旅費交通費の定義を示したうえで、非課税になるか解説します。課税されるケースや基準などについても解説するため、旅費交通費の経費精算についてくわしく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
そもそも旅費交通費とは?
旅費交通費とは、勤め先から指示を受け、業務の一環として普段とは異なる場所を訪れるためにかかる交通費や経費などのことです。普段とは異なる場所への訪問は「出張」とよばれています。一般的には、片道100km以上の距離の移動を出張とよぶ場合が多いです。旅費交通費には移動にかかる交通費や宿泊費に加え、出張手当(日当)も含まれます。
なお、通常の勤務地の周辺を移動するためにかかる費用は「交通費」として仕訳することが一般的です。
旅費交通費と交通費の違いについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
旅費交通費に含まれるもの
旅費交通費には、さまざまな費用が含まれます。ここでは、具体的にどのような費用が該当するのか解説します。
駐車場料金
出張の際に社用車を使用し、コインパーキングに駐車した場合にかかる駐車場料金は旅費交通費に含まれます。業務のための駐車にかかった費用は、出張に必要な経費だと判断できるからです。駐車場料金が旅費交通費として認められるには、業務から逸脱していない必要があります。
なお、月極駐車場の料金は旅費交通費として計上できません。月極駐車場の料金は、地代家賃になります。
宿泊費
出張先で宿泊した際にかかった宿泊費も、旅費交通費に該当します。ただし、旅費交通費として認められる料金は、部屋代のみです。朝食やルームサービスなどにかかった料金は、旅費交通費として計上できません。また、部屋代のみでも、明らかに相場より高額であれば旅費交通費として処理できない可能性があります。
移動費用
出張の間に発生した移動費用も旅費交通費に含まれます。たとえば、ホテルから出張先へ移動した際に利用した公共交通機関、高速道路、有料道路などの料金が該当します。また、ガソリン代やタクシー代なども計上可能です。
定期券を利用した場合も、一定の範囲内なら旅費交通費として認められます。また、自宅から出張先へ直接向かった場合も、移動費用が旅費交通費になります。
レンタカーの料金
出張の際にレンタカーを借りて移動した場合、レンタカーの料金が旅費交通費に該当します。レンタカーで利用した高速道路の料金、ガソリン代、NOC補償への加入費なども旅費交通費として計上可能です。ただし、そのためには領収書が必要であるため、忘れず保管しておく必要があります。
海外への出張費
従業員や役員が海外へ出張した際にかかる飛行機代やホテル代なども、旅費交通費として計上できます。海外への出張費の相場は、国内での出張費の相場よりも高額です。ただし、計上できる内容は、あくまでも業務に必要な範囲に限られます。海外出張のためにビザやパスポートなどを申請した場合は、それらにかかる費用も旅費交通費に含められます。
なお、国内で発生した費用は課税対象になりますが、海外で発生した費用は非課税で処理が可能です。
旅費交通費は課税されるか
旅費交通費に対する課税は、どのようになっているのでしょうか。以下でくわしく解説します。
基本的には非課税
出張にかかる旅費交通費は、基本的に非課税です。出張には飛行機代、新幹線代、ホテル代などの費用がかかります。いずれも業務に必要な経費であるため、基本的には所得税の課税対象にはなりません。
出張が行われる場合、一般的には従業員が一旦費用を立て替え、出張を終えた後に実費精算されるケースが多いです。実費精算は企業にとって経費となるため、通常の経費と同じく処理する必要があります。
企業のなかには、出張手当(日当)として一律の金額を支給しているところもあるでしょう。出張手当(日当)についても、高額でない限り非課税です。
高額であれば課税されるケースもある
旅費交通費は、税務調査の際に経費と認められなければ課税対象になります。たとえば、飛行機のエコノミークラスの料金や新幹線の普通車指定席の料金などは一般的に経費として認められており、課税対象にはなりません。
しかし、必要以上に高額な料金が計上されていると、課税される恐れがあります。たとえば、飛行機でファーストクラスを利用したり、新幹線でグリーン車を利用したりすると課税対象になる可能性があります。そのような出費は業務に必要な経費として認められにくいからです。
旅費交通費が非課税対象となる基準
旅費交通費が課税対象となる基準は、法律で厳格に決められているわけではありません。一般的には、高額な旅費交通費は課税対象となります。具体的な基準については、企業が社内規定で設定することが可能です。
ただし、「役員や従業員を含めて全体的にバランスがよいか」「同業他社の基準とかけ離れていないか」という、2つの基準に配慮する必要があります。以下でくわしく解説します。
1.役員や従業員を含めて全体的にバランスがよいか
ある程度なら役員を優遇できますが、役員と従業員の基準に極端な差があると適切ではないと判断されます。たとえば、宿泊費の上限について、一般の従業員は一泊9,000円まで、役員は一泊10万円までとした場合は、バランスが悪いと判断されるでしょう。日当について、たとえば一般の従業員は2,000円、役員は4万円とした場合も同様です。
2.同業他社の基準とかけ離れていないか
確実に非課税にするには、同業他社と自社の基準を寄せると安心です。反対に、同業他社の基準とかけ離れた基準にすると、課税対象になる可能性が高くなります。たとえば、宿泊費の基準が同業他社は1万円であるのに対し、自社は10万円である場合、課税対象になるでしょう。
産労総合研究所が、各社における出張費の平均値の調査結果を公表しているため、同業他社の基準を知りたい場合は活用してください。
旅費交通費の社内規定の作り方
旅費交通費を適切に設定するためには、社内規定を設ける必要があります。基本的には独自の内容を定められますが、一般の価値観や同業他社の基準も考慮したうえで適切な社内規定にしなければなりません。また、なるべく具体的な内容にしましょう。旅費交通費の社内規定の作り方をまとめると、以下のとおりです。
- 目的を決める
- 範囲を定める
- 定義を決める
- 旅費交通費の項目と金額を決める
以下では、それぞれについてくわしく解説します。
1.目的を決める
旅費交通費の社内規定は「出張旅費規程」とよばれています。出張旅費規程は、各企業が定めている旅費交通費のルールです。出張旅費規程を作成する際は、企業がもともと定めている就業規則をもとにする必要があります。
2.範囲を定める
出張旅費規程では、経費に算入できる範囲を具体的に定める必要があります。経費を削減して利益を確保するには、無駄な支出が発生しないようルールを定めなければなりません。出張旅費規程は全従業員が対象となるため、策定後は周知を徹底することも大切です。
3.定義を決める
旅費交通費の社内規定においては、出張の定義も決めましょう。企業によって出張の定義は異なるものの、一般的に「片道100km以上」や「宿泊を伴うもの」といった基準が定められています。また、出張の交通手段として、飛行機や新幹線などのうちどれを認めるかについても、決めなければなりません。
4.旅費交通費の項目と金額を決める
旅費交通費には交通費や宿泊費などさまざまな項目があり、それぞれ金額を設定します。役職ごとに、上限を決めておきましょう。実費精算を行うケースが多いですが、定額支給も選択肢の1つです。
まとめ
旅費交通費は出張のために必要な経費です。移動費用や宿泊費のほかにも、駐車場料金やレンタカーの料金などが該当します。旅費交通費を適切に処理するには、自社の基準を明確にしたうえで対応することが重要です。
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