贈答品やプレゼントは経費計上できる?勘定科目や仕訳例、上限額を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-03-07
- この記事の3つのポイント
- 経費対象となる贈答品には、お中元、お歳暮、お祝い品、返礼品、謝礼品、手土産がある
- 贈答品を経費計上する際は、接待交際費・広告宣伝費・福利厚生費のいずれかの勘定科目を用いる
- 経費対象外になりやすいものは、事業に無関係の贈答や私的利用、高額品、換金性の高い物品がある
取引先や顧客など社外関係者に対し、贈答品を贈ることがあります。贈答品は、経費として計上することが可能ではあるものの、内容によっては認められないこともあるため気をつけなくてはなりません。
本記事では、経費の対象にできる贈答品の種類や経費計上する際の勘定科目、実際の仕訳例、経費として認められないケースを解説します。贈答品について理解を深め、適切に経費計上できるようになりましょう。
贈答品やプレゼントは経費計上できる?勘定科目や仕訳例、上限額を解説
経費計上の対象となる贈答品
贈答品とは、行事やお祝いごとの際に贈る物品のことで、感謝や祝福の気持ちを込めて贈るものです。企業では、取引先や顧客、従業員が贈答の送付先とされます。
贈答品は経費として計上が可能で、一般的に以下に当てはまるものが対象です。
お中元・お歳暮
お中元やお歳暮は、夏・冬の半期ごとに取引先へ感謝を伝えるために贈るものです。今後も円滑な関係を構築できるように付き合いのある取引先へ送付するケースが多いでしょう。
なお、お中元やお歳暮では取引先の人が職場で分け合えるように、常温で日持ちのするジュースやお菓子の詰め合わせを選ぶ企業がよく見受けられます。
お祝い品・返礼品
冠婚葬祭の贈り物やそのお返し、お祝い品も経費の対象です。たとえば、従業員への結婚祝いとしてお花を贈る場合や葬儀での香典が挙げられます。反対に、これらを受け取った際の返礼品も贈答品として扱うことが可能です。
また、取引先への開業祝いや周年祝い、顧客への快気祝いにおける贈り物もお祝い品として認められています。
謝礼品
謝礼品は、商品やサービスの販売促進や営業活動に対応してもらったお礼として渡す贈り物です。
現金、ギフト券、ポイントなど金銭的なものもあれば、自社商品やノベルティ、優待サービス、カタログギフトなど物理的な物品を選択するケースもあります。ただし、金銭的な贈り物は経費として認められない場合もあるため、注意が必要です。
謝礼品の注意点については以下の記事で解説していますので、あわせてお読みください。
関連記事:謝金(謝礼金)に消費税はかかるのか?報酬との違いや勘定科目についても解説
手土産
手土産は、取引先・営業先への訪問時や来客時に手渡す贈り物で、相手への感謝や心遣いを表現するのに有効です。
手土産に選ばれるものとしては、高級感のあるお菓子の詰め合わせや個包装で日持ちするもの、自社や取引先がある地域の名産品などがよく挙げられます。取引先に応じてふさわしいものを選定することが求められます。
贈答品を経費計上する際の主な勘定科目
贈答品を経費として計上する際には、接待交際費・広告宣伝費・福利厚生費のどれかを使って計上するのが一般的です。
ここでは、各勘定科目の概要と仕訳例を解説します。
接待交際費
接待交際費とは、取引先など事業関係者に対して関係構築や維持のために行った贈答や接待などの費用です。そして贈答品は、事業関係者に贈るため接待交際費として計上できます。
接待交際費として計上できる具体例としては、先に紹介したお中元やお歳暮、お祝い品、手土産の他、お詫びの品なども挙げられるでしょう。
ここでは、取引先に5,000円のお中元(菓子詰め合わせ)を現金で準備した場合の仕訳を紹介します。
借方 | 貸方 | ||
接待交際費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
接待交際費として認められる費用の例は、以下の記事で紹介していますのでご確認ください。
関連記事:接待交際費とはどんな費用?経費にできる範囲(上限金額・内容)や仕訳を解説
広告宣伝費
広告宣伝費は、特定の取引先ではなく不特定多数の顧客や一般消費者に対し、商品や企業の宣伝目的で物品を購入した際の支出のことです。
イベントでカレンダーやタオル、うちわなどのオリジナルグッズを配布した場合や、店舗を訪れた顧客に店名入りの粗品を渡した場合には、広告宣伝費として計上するのがよいでしょう。
例として、企業名入りのタオルを50枚用意し総額13,000円を普通預金口座から振り込んだ際の仕訳を見てみましょう。
借方 | 貸方 | ||
広告宣伝費 | 13,000円 | 普通預金 | 13,000円 |
広告宣伝費に含まれる費用の例は、以下の記事でも解説しています。
関連記事:広告宣伝費(広告費)には何が含まれる?取引金額に応じた注意点や仕訳の例を紹介
参考:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」
福利厚生費
福利厚生費は、従業員に対して支払われる給与・賞与以外の費用のことです。
福利厚生費として認められる例としては、全従業員が参加する懇親会の景品代や、従業員の冠婚葬祭に支給した出産祝・香典などが挙げられます。
ただし、福利厚生費はすべての従業員を贈答の対象とし、一定の支給基準を設けなくてはなりません。出産祝や香典などは特定の従業員を対象とした贈答にあたるため、給与として扱われる可能性がある点に留意しておきましょう。
ここでは、従業員全員参加の新年会で使用するビンゴ大会用の景品30,000円を、現金にて用意した場合の仕訳例を紹介します。
借方 | 貸方 | ||
福利厚生費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
福利厚生費の詳しい仕訳例や範囲については、以下の記事でご確認ください。
贈答品として経費計上が認められないケース
取引先や顧客、一般消費者への贈答だったとしても、経費として認められない場合もあります。具体的には、以下に該当するケースです。
事業目的から外れる贈答品
贈答品の送付先が事業に関係のない相手であったり、従業員個人用や家族用、友人用のものであったりする場合には、経費にはなりません。
たとえば、自分用に購入したお土産や友人のためのお祝い品などは贈答品の意味合いはあっても、事業に関係のないものとなるため、経費の対象外です。もし私的な費用を接待交際費・福利厚生費で計上した場合には、税務調査で指摘を受けるため注意しましょう。
税法上の基準を超える高額な贈答品
金額が高すぎる贈答品も、経費として認められない可能性があります。たとえば、ブランド品やアクセサリー、貴金属などです。これらを贈った場合には、換金目当てやプライベート用の支出だと疑われ、税務調査で否認されるでしょう。
贈答品の金額目安としては、1件あたり1万円以内にするのが妥当です。高いものを贈る場合でも、5万円以内に抑えるようにしましょう。
商品券などの換金性が高い贈答品
換金目的だと疑われるような金券や商品券、ブランド品なども経費になりにくいです。換金性の高い贈答品は、高額品と同様に税務調査で否認されます。
お中元やお歳暮で商品券を選択する場合もあるかもしれませんが、枚数が多いと調査で指摘される可能性が高いでしょう。そのため、可能であればお菓子やジュースといった定番品を選定しておくのが安心です。
贈答品として経費計上できるのはいくらまで?
贈答品として計上できる上限額は、法人と個人事業主で異なります。
特に、接待交際費で計上する場合、法人では以下のように上限額が定められています。
法人の種類 | 上限 |
資本金100億円以上 | 経費計上不可 |
資本金1億円以上 | 接待交際費のうち飲食費のみ50%まで |
資本金1億円未満 | 接待交際費のうち飲食費のみ50%まで、もしくは800万円まで |
一方個人事業主は、法人と異なり上限が特にありません。正当性のある支出であると証明できれば、贈答品の全額を経費として計上することが可能です。
参考:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
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企業が取引先に贈る贈答品は経費として計上でき、内容に応じて接待交際費や広告宣伝費、福利厚生費のいずれかで仕訳処理します。ただし、事業に関係のない相手への贈答や高額品、換金性の高いものを選定したやり取りは経費対象外のため、注意しましょう。
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