電子帳簿保存法の改正で変わる現場の対応と法人カード導入企業の注意点
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-26
2022年1月に電子帳簿保存法が改正されました。電子帳簿保存法とは、これまで紙での保存が義務付けられていた帳簿書類が、一定の要件を満たせば電子データによる保存を認められる法律です。
しかし、電子帳簿保存法にもとづいて電子データを保存する場合でも、一定の要件を満たさなければなりません。この記事では、法人カードを導入している場合、社内の手続きはどのように変わるのか、何をすべきかについて解説していきます。
※2023年10月から開始するインボイス制度に関する職場の対応については、こちらの記事で解説しています。
制度の改正に伴い、経理担当者のワークフローは何が変わる?
電子帳簿保存法の改正に伴って変更される経理担当者の主なワークフローは、「電子データの受領時」「電子請求書の発行時」「データの保管時」の3つです。
電子データの受領時
これまで電子データを受領した際に、紙に印刷して保存することが認められていました。しかし2023年の改正以降は、電子データを受領した際は電子取引を行ったとみなされ、電子データでの保存が義務付けられています。
この電子取引にかかわる電磁的データは、営業担当者が上長の承認を得て、経理担当者が仕訳入力を行い、データを適切なかたちで保存する必要があります。
データの保存方法の詳細は、国税庁HPをご覧ください。
電子請求書の発行時
電子帳簿保存法に則ったかたちで電子請求書を発行する場合は、請求書発行システム上の請求データに会計ソフトをインポートして仕訳入力し、その電子データを保存する必要があります。なお、会計ソフトに仕訳入力する際は、請求書の項目を勘定科目や税区分と紐づける必要があります。
データの保管時
データの保管要件は、「取引年月日」「取引金額」「取引相手先名称」での検索ができることです。証憑収集・保管システムを活用するか、自社のサーバー上にフォルダをつくって保存します。
自社のサーバー上に保存する場合、規則性のある名称をつけるか、Excelで索引簿を作成する必要があります。規則性のある名称をつける場合は、例えば2023年10月10日にAAA株式会社という取引先から受け取った15万円の見積書であれば、「231010_AAA株式会社_150000_見積書.pdf」などとなります。
制度の改正に伴い、変わる領収書の保存方法
2023年の電子帳簿保存法の改正に伴い、職場で留意すべきことは領収書の保存の仕方です。お店で品物などを購入した場合は、スキャナで読み取った領収書のデータを保存します。また現行の電子帳簿保存法では、会計処理の際、領収書の他にクレジットカードの利用明細の保存が義務付けられています。
ネットショッピングの場合、領収書をPDFで出力して保存します。これまで領収書を紙で出力してきたところは、改めてスキャンする手間が増えるので、運用の見直しが必要そうです。
法人カード導入企業のメリットと注意点
電子帳簿保存法に適応することで、ペーパーレス化によるミスが減少し、業務効率化が進むことが期待されています。
法人カードをはじめとしたキャッシュレス決済の場合、決済データが領収書の代わりとなるため、紙での領収書をスキャンしていたときと比べると保存にあたっての手間が軽減されます。また、クレジットカードの利用明細の情報を経費精算システムにインポートするよう設定すると、日付や金額といった入力の手間が減り、経理担当者の負担が減ることもメリットです。
ただし、クレジットカード明細には、消費税率や税額、本体価格、購入した商品やサービスの名称は記載されていません。例えば以下のケースだと、クレジットカード明細だけで会計処理が行えないこともあります。
- 軽減税率対象の取引(混在含む)
- 勘定科目(経費の用途)の適切性が判断できない取引
会計処理をする際には、必要な情報が書かれた書類を別途用意し、保存する必要があります。