深夜手当の計算方法を解説!残業・休日出勤がある場合はどうなる?
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-08-05
- この記事の3つのポイント
- 深夜手当とは、深夜労働に対し、基本賃金の25%以上の割増賃金を支払う制度
- 深夜時間帯の残業や休日出勤など、重複する要件ごとに割増率を積み上げることが原則
- ケースごとに計算方法は異なるため、深夜労働の適切な管理は勤怠状況のリアルタイム把握が不可欠
繁忙期など、従業員の勤務が深夜に及ぶこともあるでしょう。深夜の労働には、定められた割増賃金を支払う必要があることをご存じでしょうか。
所定労働時間に深夜労働が含まれるときや、休日出勤が深夜労働時間帯に及ぶ際など、賃金をいくら支払うべきか混乱することもあるでしょう。
そこで本記事では、深夜手当の概要とともに、計算方法を解説します。残業・休日出勤があるパターンについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説
深夜手当の計算方法を解説!残業・休日出勤がある場合はどうなる?
深夜手当とは?
深夜手当とは、午後10時から午前5時(朝の5時)までの時間帯に労働した従業員に対し、基本賃金の25%以上の割増賃金を支払う制度です。厚生労働大臣の承認により、午後11時から午前6時(朝の6時)までとなることもあります。
たとえば時給1,000円のケースでは、深夜手当は1,000円×0.25=250円となり、深夜労働1時間あたり1,250円以上が支給義務となります。
この割増率は労働基準法第37条第4項で定められており、違反すると法的処罰の対象です。深夜労働は生活リズムの乱れや健康リスクを伴うため、割増賃金は従業員保護の観点から設けられています。
深夜手当の計算方法
月給制の場合「月給÷1カ月の平均所定労働時間」で、時給換算します。月平均所定労働時間は「(365日-年間休日数)×1日の所定労働時間÷12」で算出するのが一般的です。
たとえば月給25万円、月平均労働時間160時間なら時給1,562.5円となり、深夜労働1時間あたり1,953円(1,562.5円×0.25)が手当です。
月給計算時は家族手当や通勤手当を除外し、基本給のみを対象とします。もし日給制であれば「日給÷1日の所定労働時間」にて時給を求め、同様に25%を乗算しましょう。
月平均所定労働時間についての詳細のほか、計算方法や上限を知りたい方は以下の記事を確認してみてください。
残業時間の概要や計算方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:時間外労働とは?定義や法改正された上限規制内容、計算方法を解説
深夜時間帯における残業や休日出勤には追加の割増賃金が発生
深夜帯に残業(法定労働時間超の労働)が発生したら、時間外割増(25%以上)と深夜割増(25%以上)が加算され、合計50%以上の賃金支払いが必要です。
たとえば、時給1,000円で深夜残業した場合、1時間あたり1,500円以上の賃金支払いが求められます。
休日出勤の際は休日割増(35%以上)を手当として支給しなくてはなりません。ただし振替休日を提供すると、支給対象から外れるため注意しましょう。
なお、休日出勤が深夜帯に及ぶと、休日割増(35%以上)と深夜割増(25%以上)が両方適用され、合計60%以上の支給が義務付けられます。
重複する要件ごとに割増率を積み上げることが原則です。
割増賃金の計算例については、こちらの記事にも紹介しています。
深夜労働に関わる手当の計算方法
本章では、深夜労働に関わる手当の計算方法を解説します。
所定労働時間に深夜労働が含まれる場合、残業が深夜労働時間帯に及んだ場合、休日出勤が深夜労働時間帯に及んだ場合についてそれぞれ見ていきましょう。
所定労働時間に深夜労働が含まれる場合
所定労働時間内に深夜帯が含まれるケースでは、午後10時以降の部分のみに25%の割増を適用します。たとえば、定時が午後8時から深夜0時までの従業員に対しては、午後10時以降の2時間分のみが割増対象です。
具体的には、日給8,000円・労働時間8時間の従業員が深夜0時まで勤務するのであれば、22時以降の2時間は時給換算1,000円×0.25×2時間=500円が追加支給対象となります。
このようなケースでは、深夜時間帯の開始時刻を厳密に把握しなくてはなりません。打刻システムを導入するなど、正確な記録をとることが不可欠です。
残業が深夜労働時間帯に及んだ場合
定時終了後も業務が深夜帯に及ぶと、時間外割増と深夜割増が同時適用されます。
基本時給1,800円で午後9時から午前2時(深夜の2時)まで残業する例を見ていきましょう。
午後10時以降の4時間は「時間外割増(1,800円×0.25=450円)+深夜割増(1,800円×0.25=450円)」で時給2,700円となり、通常時給との差額900円×4時間=3,600円が追加支給義務となります。
特に午後10時をまたぐ残業では、時間帯ごとに計算方法が変わる点に注意が必要です。
休日出勤が深夜労働時間帯に及んだ場合
休日出勤が深夜労働時間帯に及ぶと、60%以上(休日割増35%以上+深夜割増25%以上)の割増が適用になります。
休日に午後9時から午前3時(翌朝の3時)まで6時間勤務した例を見ていきましょう。
上記のケースでは、休日割増(35%以上)と深夜割増(25%以上)が重複する午後10時〜午前3時(深夜の3時)の5時間分に合計60%以上の割増が適用されます。
たとえば時給2,000円なら、深夜時間帯の1時間あたりの時給は最低3,200円(2,000円×1.6)となり、5時間分で16,000円が支給対象となります。この計算では、休日と深夜の条件が重なる時間帯のみが対象となる点が重要です。
深夜労働に対する手当で注意したいポイント
深夜労働に対する手当で、注意したいポイントを4つ紹介します。
18歳未満の深夜労働禁止
満18歳未満の午後10時から午前5時(朝の5時)の深夜労働は原則禁止です。
労働基準法第61条において「満18歳に満たない者を午後10時から午前5時まで労働させてはならない」と決められているため、注意しましょう。
高校生を含む年少者の就労では、学業や成長への影響を考慮すべきとされています。深夜労働は健康被害リスクが高いため、違反すると罰則対象です。
ただし、災害その他の緊急時や交替制業務(16歳以上男性)、農林水産業や保健衛生の事業に従事しているケースなどの例外はあります。
裁量労働制における手当の支給
裁量労働制でも、実際に深夜帯に労働したなら、割増賃金の支払いが義務付けられます。
なお、裁量労働制とは、実際の労働時間が長時間に及んだとしても、あらかじめ労使間で決められた時間を労働時間とする制度のことです。
会社が裁量労働制を採用しており、みなし労働時間が適用されたとしても、実労働時間が深夜に及べば25%以上の割増が必要です。
ただし、管理監督職は対象外となるケースがあります。職種ごとの規定をあらかじめ確認しておきましょう。
裁量労働制において残業代が発生するケースの紹介と、計算方法については以下をご覧ください。
関連記事:裁量労働制は残業代が出ない?発生するケースと計算方法を解説
固定残業代制度における手当の支給
固定残業代制度はみなし残業代制とも呼ばれています。実際の残業時間に関わらず、あらかじめ決められた時間分の残業代を、毎月の給与に含めて支払う制度のことです。
固定残業代(みなし残業代)を導入していても、深夜労働分は別途割増賃金を支給する必要があります。
固定額に深夜分が含まれていない限り、実労働時間に基づく追加支給が必須です。制度設計時に深夜割増の扱いを明文化することが重要となります。
固定残業代制度(みなし残業代制)とよく似た言葉にみなし労働時間制があります。固定残業代との違いやメリット・デメリットもあるので確認しておきましょう。
関連記事:固定残業代とは?みなし労働時間制との違いやメリット・デメリットを解説
管理職への深夜手当の支給
管理監督職(課長以上)は時間外割増の対象外となります。管理職になると残業代は出ませんが、その代わりに基本給や手当が上がるのが一般的です。しかし、一般職の残業代込みの手取りのほうが多く、逆転が起こるケースも珍しくありません。
なお、深夜労働に対する25%の割増賃金の支払いは、義務であることに注意しましょう。これは健康保護の観点から例外なく適用され、未払いだと労働基準法違反となります。
「バクラク勤怠」で深夜労働時間の管理を効率化
深夜時間帯における残業や休日出勤には追加の割増賃金が発生します。所定労働時間に深夜労働が含まれる、休日出勤が深夜労働時間帯に及ぶなど、状況によって計算方法はさまざまです。
賃金の支払ミスをなくすためにも、従業員が何時から何時まで働いたか、確実に把握しなくてはなりません。深夜労働の適切な管理には、勤怠状況のリアルタイム把握が不可欠です。
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