ファクタリングとでんさい(電債)の違いは?メリット・デメリットを解説

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ファクタリングとでんさい(電債)の違いは?メリット・デメリットを解説

売掛金の早期資金化や決済手段として、ファクタリングやでんさい(電債)が活用されることがあります。両者はしばしば混同されますが、複数の違いがあるため、事前に理解を深めておくことが重要です。

本記事では、ファクタリングとでんさいの違いを整理したうえで、それぞれの仕訳方法や、でんさいのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。でんさいのメリット・デメリットも紹介しますので、参考にしてください。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(売掛債権)を譲渡し、現金化(資金化)する資金調達の方法です。取引先から売掛金が支払われる前に現金化できるため、現金を早急に必要とする場合に役立つでしょう。

ファクタリングは買取型と保証型に大別されますが、一般的には買取型を指す場合が多いです。買取型ファクタリングは、売掛金の早期資金化を目的としており、契約方法や現金化までのスピード、手数料などが異なる以下の2種類があります。

  • 2者間ファクタリング:利用者とファクタリング会社の2者間で契約を行う
  • 3者間ファクタリング:利用者・ファクタリング会社・取引先企業で契約を行う

保証型ファクタリングは、売掛債権の貸し倒れリスクを軽減するために利用されることが多い取引です。取引先の倒産などが起きても、売掛金の回収が保証されているのが特徴です。

売掛金の早期現金化が目的の場合は買取型、貸し倒れリスクに備えた保証をかける場合は保証型が適しているでしょう。

でんさい(電子記録債権)とは?

でんさい(電子記録債権/電債)とは、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録を行うことで発生する金銭債権です。売掛金などの決済手段として利用されます。でんさいは、円滑な資金調達や取引の安全性確保を目的として、2008年12月1日に施行された電子記録債権法で創設されました。

でんさいは、電子債権記録機関である株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)の記録原簿に電子記録が行われることで発生します。従来の手形や売掛債権がもつ課題を克服しており、企業がでんさいネットの記録原簿に電子的な記録をすることで、債権の権利内容が定められる仕組みです。

でんさいは電子データによるやり取りや債権の分割が可能で、紙の債権譲渡よりも手続きを簡素化しやすい点が特徴です。

ファクタリングとでんさいの違い

ファクタリングとでんさいは、いずれも売掛金を利用した資金調達の手段ですが、相違点もいくつかあります。両者の主な違いは、以下のとおりです。

  • 償還請求権
  • 取扱機関
  • 審査基準
  • 手数料
  • 契約の手間
  • 売掛先への周知

各項目について、詳しく見ていきましょう。

償還請求権

償還請求権とは、債務者が支払い不能となった場合に、債権を譲渡した者など、前の当事者に対して支払いを請求できる権利です。ファクタリングは、契約内容によっては償還請求権がない形で利用されることが一般的です。一方、でんさいは譲渡時の保証記録の有無などによって、債務者が支払不能となった場合に譲渡人へ遡求が及ぶことがあります。

ファクタリングは売掛金の売買契約のため、契約後はファクタリング会社に権利が移行する仕組みです。償還請求権がない契約の場合、債権者が支払い義務を負う必要はなく、貸し倒れのリスクを回避しやすいといえるでしょう。

一方、でんさいは債務者が支払い不能になった場合、債権者が支払い義務を負うことになります。特に「でんさい割引」を使用した場合は注意が必要です。

でんさい割引は、期日よりも早くでんさいを現金化できるシステムですが、債務者が支払不能となった場合、保証記録があると金融機関から遡求を受ける可能性があります。ただし、でんさいを譲渡する際、償還請求権を意図的になしとする対応も可能です。

取扱機関

ファクタリングとでんさいは、取扱機関も異なります。ファクタリングはファクタリング会社を通じてやり取りをし、でんさいは株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)を介してやり取りを行う仕組みです。

具体的に、ファクタリングは、ファクタリング会社に売掛金を譲渡して現金化します。売掛金を譲渡する際は、都度契約の締結が必要です。

2者間ファクタリングは利用者とファクタリング会社で契約を締結しますが、3者間ファクタリングは、取引先も加わって直接やり取りすることも理解しておきましょう。

でんさいの取扱機関は、でんさいネットに登録している信用金庫や銀行などの金融機関のみです。開設している口座の金融機関が登録していれば、でんさいの利用開始時に新たな口座を開設する必要はありません。

審査基準

ファクタリングとでんさいは、審査基準も異なります。ファクタリングの審査では売掛先の信用力を重視し、でんさい割引の利用で融資を受ける場合は、利用者の信用力を重視する傾向があります。

ファクタリングは、利用者が譲渡した売掛金をファクタリング会社が買い取り、その後、売掛先から回収する仕組みです。そのため、自社の経営状態が悪化傾向でも、売掛先の経営状態に問題がなければ、利用できる可能性が高いといえます。

でんさい割引を利用して早期資金化を行う場合は、赤字が続いているなど、自社の経営状態によって審査に通りにくくなることがあります。債権の信用力に加えて、利用者の財務状況も審査結果に影響することを理解しておく必要があります。

手数料

ファクタリングとでんさいはどちらも手数料が発生しますが、料率が異なります。

ファクタリングの手数料は契約形態ごとに違いが見られ、2者間ファクタリングは10%〜20%、3者間ファクタリングは1%〜9%が相場です。

3者間ファクタリングは売掛先から直接売掛金を回収する方式のため、債権の存在を確認しやすいことから、低めの手数料が設定されていると考えられるでしょう。

でんさいの発生記録手数料は、金融機関ごとに異なりますが、数百円程度に設定されているケースが一般的です。また、でんさい割引の場合は1.5%〜5.5%が相場の目安です。

契約の手間

ファクタリングは譲渡のたびにファクタリング会社との契約が必要で、見積もりをとる、手数料を比較するなどの手間がかかります。一方、でんさいは、一度加入しておけば比較的容易に契約手続きができます。

ただし、ファクタリングは売掛金を扱うサービスのため、相手の支払い形態は原則として問いません。制限がないことから、比較的自由度が高い選択肢といえます。

その点、でんさいは、でんさいネット上で支払いのやり取りを行うため、双方がでんさいネットを利用している必要がある点に留意しましょう。

売掛先への周知

ファクタリングは、2者間ファクタリングであれば、売掛先への周知が不要です。一方、でんさい割引は、電子記録に履歴が残るため、利用したことが売掛先に知られる可能性があります。

でんさい割引の利用履歴は消去できないため、取引先に知られることなく早期に現金化したい場合は、2者間ファクタリングが有効です。3者間ファクタリングは、利用時に売掛先の承諾を得る必要があるため注意しましょう。

ファクタリングの仕訳例

続いては、ファクタリングの仕訳例を紹介します。買取型・保証型に分けてわかりやすく解説しますので、今後の実務にお役立てください。

買取型ファクタリング

取引先に商品・サービスを販売して売掛金が発生した際は、仕訳の際に「売掛金」の勘定科目を使用します。

また、買取型ファクタリングでは、契約締結時とファクタリング会社からの入金時にも、それぞれ仕訳が必要です。

契約締結時は「未収入金」で計上し、ファクタリング会社からの入金時は、入金金額を「普通預金」、手数料を「売上債権売却損」として仕訳を行います。ただし、実務上は、契約時ではなく入金時にまとめて処理するケースも少なくありません。

たとえば、8万円の売掛金をファクタリングする際は、以下のように仕訳を行います。なお、ファクタリングには10%の手数料(8,000円)が発生したと仮定します。

<商品・サービスの販売時>

借方

貸方

売掛金

8万円

売上金

8万円

<ファクタリングの契約締結時>

借方

貸方

未収入金

8万円

売掛金

8万円

<ファクタリング会社からの入金時>

借方

貸方

普通預金

7万2,000円

未収入金

8万円

売上債権売却損

8,000円

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングは、取引先から売掛金を回収できた場合と、回収不能になった場合とで仕訳の方法が異なる点に留意が必要です。

売掛金が入金された場合、手数料に「支払手数料」の勘定科目を使用して仕訳を行います。売掛金を回収できなかった場合、貸し倒れ分を「貸倒損失」、保証金を「雑収入」として計上する必要があります。

例として、10万円の売掛金をファクタリングする場合の仕訳方法を見ていきましょう。なお、保証型ファクタリングに2%の手数料(2,000円)が発生したと仮定します。

<商品・サービスの販売時>

借方

貸方

売掛金

10万円

売上金

10万円

<取引先から入金されたケース>

借方

貸方

普通預金

10万円

売掛金

10万円

支払手数料

2,000円

普通預金

2,000円

<売掛先の倒産で回収不能になったケース>

借方

貸方

貸倒損失

10万円

売掛金

10万円

普通預金

10万円

雑収入

10万円

でんさいの仕訳例

でんさいの会計処理は手形債権に準じた形で行うことになっており「電子記録債権」「電子記録債務」の勘定科目を使用するのが一般的です。具体的な仕訳方法は、債権者と債務者とで異なります。

債権者は、商品・サービスの販売時に「売掛金」として仕訳を行い、電子記録債権の発生時に、売掛金を「電子記録債権」に振り替えます。その後、債務者の金融機関からの入金を確認したら、現金に振り替える処理を行うのが一般的な流れです。

たとえば、10万円の商品をでんさいで取引した場合、債権者側は以下のように仕訳を行います。

<商品・サービスの販売時>

借方

貸方

売掛金

10万円

売上

10万円

<電子記録債権の発生時>

借方

貸方

電子記録債権

10万円

売掛金

10万円

<債務者の金融機関からの入金時>

借方

貸方

普通預金

10万円

電子記録債権

10万円

債務者側の仕訳も、流れは債権者側と同様です。まずは「仕入」を計上し、買掛金を電子記録債務に振り替えます。その後、送金などによる支払いが完了したら、電子記録債務を借方に仕訳するのが一般的な流れです。

債務者側の具体的な仕訳方法は、以下をご覧ください。

<商品・サービスの購入時>

借方

貸方

仕入

10万円

買掛金

10万円

<電子記録債務の発生による振替時>

借方

貸方

買掛金

10万円

電子記録債務

10万円

<電子記録債務の支払時>

借方

貸方

電子記録債務

10万円

普通預金

10万円

でんさいのメリット

でんさいには、さまざまなメリットがあります。代表的な3つのメリットを、詳しく見ていきましょう。

事務負担が軽減される

でんさいを利用することで、企業の事務負担が軽減されます。一般的な手形取引は、紙を使用した発行・郵送・振込準備といった業務が必要でしたが、でんさいはオンライン上で業務を完結できます。

あらかじめ譲渡記録をしておけば、取引先への支払いが支払期日に自動で行われるため、担当者の手間がかかりません。取引先が増えた場合も、でんさいネットへの登録があれば、契約の再締結は不要です。

債権者はスマートフォンやパソコンから口座の確認ができるため、取引先のもとへ出向く必要がない点もメリットといえるでしょう。

印紙代などのコスト削減につながる

印紙代などのコストを削減できる点も、でんさいのメリットです。

一般的な手形取引の場合、手形を振り出す際に印紙税が発生します。取引件数が多い場合、印紙代だけで膨大なコストとなるでしょう。印紙税額は契約金額ごとに設定されているため、取引金額が大きい場合も注意が必要です。

でんさいは印紙税の課税対象外であるため、印紙税は発生せず、コスト削減につながります。

債権の紛失や盗難を防ぐことができる

売上債権で保有した手形を銀行に持ち込んで現金化する場合、手形の紛失・盗難が発生するリスクを否定できません。すぐに現金化できない場合、会社の金庫などで厳重に保管する必要があり、手間もかかるでしょう。

でんさいはオンライン上でデータを管理するため、電子機器のセキュリティを強化するなど、データの取扱いが万全であれば紛失・盗難のリスクは基本的にありません。郵送トラブルや、災害による遅延の心配もないでしょう。

でんさいのデメリット

でんさいには多くのメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。でんさいのデメリット3点を、詳しく見ていきましょう。

相手もでんさいを利用していないと使えない

でんさいを活用するには、債権者・債務者の双方が利用者でなければいけません。でんさいは手形取引などに比べて開始時期が新しいため、利用経験のない企業も多くあるでしょう。

なお、契約先の金融機関は、債権者・債務者で異なっていても問題ありません。それぞれが取引を行う金融機関で、でんさいネットへの契約をしていれば、支払い・受け取りが可能です。

審査を通過する難易度が高い

でんさいは、利用開始時やでんさい割引を利用する際、金融機関による審査があります。

融資を受ける際と同様の審査があり、一般的には取引先の経営状態の信用度のほか、自社の経営状態や財務状況も審査の対象です。割引料や割引信用枠も、自社の信用度に基づいて決定される仕組みです。

審査に不安がある場合は、でんさい割引以外の資金調達手段も含めて比較検討するとよいでしょう。

未回収のリスクを負う必要がある

でんさいは、譲渡時に保証記録が付く場合、債務者が支払不能となると譲渡人に支払い義務が及ぶ可能性があります。関係者からの承諾が確認できれば、保証がない状態で譲渡するケースもありますが、必ずしも応じてもらえるとは限りません。

近年では、でんさいを活用した資金化サービスの中には、償還請求権を伴わない形で提供されるものもあります。ファクタリングに比べて手数料を抑えやすいメリットもあるため、未回収責任を負うことに不安がある場合は、利用を検討するとよいでしょう。

「バクラク債権管理」で煩雑な債権管理業務を効率化

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を譲渡し、現金化する方法です。でんさいとは、売掛金などの金銭債権を電子的に記録して管理・譲渡できる電子記録債権のことです。

ファクタリングとでんさいは、取扱機関や審査基準、手数料、契約の手間などが異なります。どちらにもメリット・デメリットがありますが、でんさいを利用する場合、未回収のリスクを負わなければいけないことを理解しておく必要があります。

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