
謝礼金の勘定科目は?支払い側・受け取り側それぞれの仕訳例も解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-02-16
- この記事の3つのポイント
- 謝礼金を支払った場合は、内容に応じて交際費・支払手数料・広告宣伝費のいずれかで仕訳する
- 謝礼金の受け取り時には、報酬であれば売上高、お礼であれば雑収入の勘定科目を用いて計上する
- 謝礼金に対価性があると消費税の対象だが、国外取引の場合は対価性の有無に関わらず対象外となる
謝礼金の勘定科目は?支払い側・受け取り側それぞれの仕訳例も解説
謝礼金(謝金)は、業務において何かしらの協力をしてくれた相手に対し、お礼の気持ちを伝えるために支払うものです。 謝礼金の計上は、内容によって使用する勘定科目が異なるため、仕訳時は注意が必要です。 本記事では、謝礼金の勘定科目や仕訳例を支払い側・受け取り側に分けて解説します。消費税が発生する謝礼金の例や注意点も紹介していますので、仕訳処理に不安のある担当者様は、ぜひご活用ください。
1.謝礼金を支払ったときの勘定科目
謝礼金を支払った際は、事業に関わる内容であれば経費計上して構いません。ただし、内容に応じて「交際費」「支払手数料」「広告宣伝費」と使用すべき勘定科目も変わります。本章でそれぞれの違いを正しく理解しておきましょう。
1-1.交際費
感謝の意を伝えるために支払うものは「交際費」に区分されます。交際費は、得意先や仕入先との関係を深める目的の接待や贈答に用いられる科目で、直接的な労務の対価や請求に基づく支払いは含みません。
たとえば、イベント出演者へ謝礼を渡したり、顧客紹介を受けた取引先にお礼をしたりする場合が典型例です。売上に直結せず、あくまでビジネス上の関係維持や感謝を示す行為に伴う費用として扱われます。
ただし、第三者から見て「報酬」と判断されるような支払いは交際費には該当しません。区分を誤ると不適切な処理となるため注意が必要です。
1-2.支払手数料
謝礼を「報酬」として位置付ける場合は、「支払手数料」で処理するのが原則です。支払手数料は、専門家への業務依頼やサービス提供に伴う報酬・手数料を記録するためのもので、単なる感謝ではなく労務の対価としての意味合いをもっています。
たとえば、外部講師を招いて講演を依頼した場合や、専門的なアドバイスを受けた際の支払いが当てはまるでしょう。
法人への支払いなら借方に支払手数料、貸方に現金を計上します。一方、個人や個人事業主に支払う際は源泉徴収が必要になり、貸方に「預り金」も併せて記載します。なお、報酬としての謝礼金は労働の対価に当たるため、消費税の課税対象となる点にも注意が必要です。
1-3.広告宣伝費・販売促進費
宣伝や販促活動の一環として支払われる場合は「広告宣伝費」または「販売促進費」で処理します。
広告宣伝費は、不特定多数の人に商品やサービスを知ってもらうための費用で、一般消費者へのアンケート協力謝礼などが該当します。一方、販売促進費は、購買につながる個人や法人に対して用いられ、商品モニターや試供品提供に伴うお礼が代表例です。
いずれも取引先との接待などに使用する交際費とは区別され、広報や販売拡大を目的としているのが特徴です。謝礼金の支払先や目的を明確にし、適切な方を選択しましょう。
2.謝礼金を受け取ったときの勘定科目
謝礼金を受け取った際は「売上高」もしくは「雑収入」の勘定科目を使用します。
2-1.売上高
謝礼金であっても業務の成果に直結する報酬であれば「売上高」で処理します。売上高は、商品販売やサービス提供による収益を計上する科目です。具体的には、商品・サービスの販売につながる講演の依頼や業務委託料としての謝礼金が該当します。
2-2.雑収入
本業とは直接関係のない謝礼金を受け取った場合は「雑収入」で処理します。雑収入は、営業外収益をまとめる科目で、少額の謝礼や臨時的なお礼が典型例です。
3.謝礼金に消費税は発生するのか
謝礼金は、内容によって消費税が発生するものとしないものがあります。対価性の有無や国外取引について、消費税の課税対象か否かを確認しておきましょう。
3-1.講師依頼など対価性があれば消費税がかかる
謝礼金が消費税の対象となるかは、内容に対価性があるかで決まります。
講演やセミナーの講師などで出演者・登壇者に支払う謝礼金は、時間や労力への対価と扱われるため、消費税がかかります。アンケート調査の協力者に支払う謝礼なども、調査協力という具体的な労働の対価として扱われるのであれば、消費税の適用対象です。
役務提供の対価として支払う謝礼金には、消費税がかかることを覚えておきましょう。
3-2.お礼など対価性がなければ消費税はかからない
お礼などの意図が大きく対価性がない謝礼金の場合は、消費税がかかりません。
具体的には、企業が従業員の家族に対してお礼として金銭を送る場合や、寄付やチャリティー活動をした人に対して送られる感謝状・記念品などが挙げられます。
消費税がかかるのは、あくまでも役務提供がメインで対価性が認められる場合のみです。感謝の意を表すものは対価性がなく、消費税が発生しないことを押さえておきましょう。
3-3.国外取引は対価性があっても消費税はかからない
対価性があっても、国外取引であれば消費税は発生しません。たとえば、日本企業が国外在住の講師に講演を依頼し、公演自体も海外で行うのであれば、国外取引とみなされます。
なお、役務の提供場所が具体的に特定できない場合には、契約書に記載された役務提供場所で判断するため、役務提供場所を契約書で明確にしておくことが重要です。
参考:国税庁「第7節 国内取引の判定」
4.謝礼金に関する注意点
謝礼金の支払い・受け取り時には注意すべき点があります。特に理解しておきたい3つのポイントについて見ていきましょう。
4-1.謝礼金と報酬の違い
謝礼金と混同しやすいものとして「報酬」が挙げられます。それぞれの違いを確認しておきましょう。謝礼金と報酬の意味は、以下のとおりです。
- 謝礼金:感謝として支払う場合が多いもの
- 報酬:役務に対しての対価で支払うもの
謝礼金は特定の行為や協力に対して、感謝の意を表すために渡す金銭や物品です。必ずしも契約に基づくものではなく、アンケートに回答してくれた人へのお礼や、講演を引き受けてくれた講師に対してお礼として渡すものが該当します。
一方で報酬は、特定の仕事やサービスに対して支払われる金銭です。報酬は契約に基づき、労働やサービスの対価として支払われます。しかし、実際は講演料や原稿料を、謝礼という名目で報酬として支払うこともあり、線引きが難しい場面もあります。
謝礼金と報酬を区別することは会計上重要なため、あらかじめ謝礼として扱う範囲を決めておくとよいでしょう。
4-2.謝礼金は源泉徴収が必要な場合もある
個人に対して支払う謝礼金が「報酬」と判断される場合は、源泉徴収を行わなくてはいけません。たとえば、講演料や原稿料、弁護士や公認会計士など専門家への報酬などが該当します。名目が「謝礼金」であっても実態が労務対価であれば課税対象です。
源泉徴収税率は、支払額が100万円以下であれば10.21%、100万円を超える部分には20.42%が適用されます。
また、消費税を含む請求では原則として税込額を対象に源泉徴収しますが、報酬額と消費税額が明確に区分されていれば税抜額で計算することも可能です。
参考:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金とは」
源泉徴収の仕組みや詳しい計算方法については、以下の記事をお読みください。
関連記事:源泉徴収制度について|対象となる事業者や計算方法、税金の納付方法などを解説
4-3.免税事業者への支払いは仕入額控除ができない
免税事業者など適格請求書発行事業者ではない相手に支払うときは、経費計上の該当であったとしても仕入額控除ができません。免税事業者とは、消費税の納税が免除されている事業者を指し、小規模の事業者に対して消費税法で設けられた特例です。
また、仕入額控除とは、消費税の二重課税を防ぐための仕組みのことです。インボイス制度では適格請求書の交付がない取引において、仕入額控除が認められません。
インボイス未登録事業者との取引について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:インボイス未登録事業者との取引における消費税や支払の注意点
5.謝礼金の仕訳例
本章では、謝礼金の具体的な仕訳方法を確認しましょう。支払う側・受け取り側に分けて紹介します。
5-1.支払ったときの仕訳例
取引先に顧客を紹介してもらったお礼として、現金30,000円を支払う際は「交際費」で仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
交際費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
法人に所属する外部講師を招いて講演をしてもらった場合は「支払手数料」の勘定科目を使用するのが望ましいです。30,000円の謝礼金を現金で支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
支払手数料 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
個人の講師に講義を依頼した場合は、源泉徴収を行う必要があります。同じように30,000円の謝礼金から源泉徴収税を差し引いたうえで現金払いする際は、謝礼に「支払手数料」、源泉徴収額に「預り金」を用いて計上すれば問題ありません。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
支払手数料 | 30,000円 | 現金 | 26,937円 |
預り金 | 3,063円 | ||
実際に支払う額を30,000円ちょうどにして小銭の支払いを避けたい場合は、謝礼金である「支払手数料」を調整して仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
支払手数料 | 33,063円 | 現金 | 30,000円 |
預り金 | 3,063円 | ||
5-2.受け取ったときの仕訳例
次に、謝礼金を受け取った場合の仕訳例を確認しましょう。
たとえば、売上に直結しない内容で謝礼金30,000円を現金で受け取った場合は「現金」と「雑収入」を使用します。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
現金 | 30,000円 | 雑収入 | 30,000円 |
現金ではなく、商品券で謝礼を受け取った際は「商品券」で計上しましょう。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
商品券 | 30,000円 | 雑収入 | 30,000円 |
個人が謝礼を受け取る場合は源泉徴収されるため、徴収額を「事業主貸」で計上します。税金が差し引かれる前の謝礼金額が30,000円だった場合の仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
現金 | 26,937円 | 雑収入 | 30,000円 |
事業主貸 | 3,063円 | ||
6.「バクラク経費精算」で経理業務を効率化
謝礼金の勘定科目は、お礼か報酬かなど意図によって変動します。
取引内容によっては消費税が発生したり、取引相手が個人だと源泉徴収が必要になったりする点にも留意しなくてはいけません。個人相手の取引だと仕訳も複雑になるため、確認を徹底し、ミスのない処理を心がけましょう。
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