売掛・買掛の相殺領収書の書き方や会計処理と「どちらが発行すべき?」を解説

相殺とは、同じ取引先に対して債権と債務を持つ場合に同額を消し合うことです。相殺を行うとさまざまな手間が省け、キャッシュフローの安定にもつながります。この記事では、相殺処理の仕組みや相殺領収書の書き方などについて解説します。相殺処理により業務をスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてください。

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売掛・買掛の相殺領収書の書き方や会計処理と「どちらが発行すべき?」を解説

相殺領収書の概要と発行目的

相殺領収書とは、相殺処理を証明するための書類です。発行に義務はないものの、発行すれば相殺に対する合意を示す証拠として役立ちます。相殺金額や債権・債務が明確になるため、二重請求や二重払いといったトラブルの防止にも効果的です。

相殺領収書があると、後から相殺処理の時期を確認したい場合も役立ちます。相殺処理では実際の入出金はないものの、相殺領収書は相殺の証拠になるため、税務調査もスムーズになります。

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売掛と買掛の相殺処理と必要性

掛取引は、商品やサービスを先に提供し、代金を後日まとめて支払う仕組みのことです。売掛金とは、提供した商品やサービスについてまだ代金を受け取っておらず、今後金銭を受け取る権利を指します。一方、買掛金は代金を支払う前に商品やサービスを先に受け取り、今後金銭を支払う義務がある状態です。

これらを分類すると、売掛金は売上債権、買掛金は仕入債務に該当します。掛取引には売掛と買掛の両方が関与しています。取引している両者に売掛金と買掛金が生じている場合、相殺処理を行えば現金をやり取りする手間を省くことが可能です。全額を相殺できなくても、やり取りする現金の額を減らせます。

また、売掛金の額が高ければ、未回収のリスクもあります。相殺処理ができると回収が必要な売掛金の額を減らせるため、未回収のリスクを軽減することが可能です。

相殺領収書は必要?メリットとデメリット

相殺処理を行えば支払うべき金額が減るため、キャッシュフローを安定させられます。すでに触れたとおり、現金の移動が不要になり、資金管理の手間を軽減できます。万が一、売掛金を回収できなくなっても、相殺処理を行えば回収の手間や損失を抑えることが可能です。

ただし、相殺処理をする際は双方が領収書や請求書を発行する必要があり、事務処理が増えます。毎月の債権・債務を確認しなければならず、手間もかかります。また、支払日が異なれば資金繰りが苦しくなる恐れもあるでしょう。債権が複数あるならトラブルにつながる可能性もあります。

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相殺領収書の書き方

相殺領収書は、どのように作成すればよいのでしょうか。ここでは、基本的な相殺領収書の書き方について解説します。

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日付

相殺領収書に記載する日付は、金銭の受け渡しの有無によって異なります。金銭の受け渡しがなければ、自社で相殺処理をした日付を記載しましょう。一方、金銭の受け渡しがあるなら、受け渡した実際の日付を記載してください。なお、相殺領収書の日付は、取引先とそろえると混乱を防げます。

宛名

相殺領収書に記載する宛名は、相殺の対象となる相手の事業者の名称を記載しましょう。

金額

相殺領収書の金額の記載方法も、金銭の受け渡しがあるかどうかで異なります。金銭の受け渡しがない場合、相殺した金額をそのまま記載すれば問題ありません。一部相殺を行う場合、領収書には相殺後の金額を記載し、但し書きに相殺額を示す方法があります。また、相殺金額と差額分についてそれぞれ別の領収書を作成し、分けて発行する方法もあります。

但し書き

但し書きには、その領収書が相殺領収書だと分かる記載をしましょう。たとえば「上記金額を相殺しました」や「上記金額を売掛金と相殺しました」などと記載します。相殺の旨が記載されていないと通常の領収書とみなされるため、相殺について必ず言及する必要があります。

発行者

相殺領収書に記載する発行者は、実際に領収書を発行する事業者の名称を記載しましょう。

相殺領収書はどちらが発行するべき?

相殺領収書を発行する際は、原則として双方が発行し合うのが一般的です。相殺処理を行ったという証拠を双方が持つことで、トラブル防止につながります。片方のみが発行した場合、取引の透明性が失われる恐れがあり、注意が必要です。

ただし、相殺領収書の発行自体は法的に義務付けられているわけではありません。相殺処理の際に領収書を発行するかどうかは、取引先との取り決めや社内ルールによることが多く、発行の必要がないと判断される場合もあります。また、相殺の場合は金銭の授受がないため、印紙税は不要です。

相殺領収書に収入印紙は不要

実際に金銭の受け渡しが行われるわけではないため、相殺領収書を発行する際に収入印紙を貼付する必要はありません。印紙税法第17号文書で定められている課税文書に相殺領収書は含まれず、印紙税の対象外です。よって、たとえ相殺金額が5万円以上になる場合も、収入印紙の貼付は不要です。

内容によっては収入印紙が必要

相殺領収書には基本的に収入印紙を貼らなくても問題ないものの、一部相殺と金銭の受領を1つの領収書にまとめる場合は、収入印紙が必要になる可能性があります。収入印紙が必要になる条件は以下のとおりです。

  • 一部相殺による金銭の受領がある
  • 相殺と金銭受領を1つの領収書にまとめて記載する
  • 受領金額が5万円以上である

相殺領収書とインボイス制度

インボイス事業者は、相手の求めに応じてインボイス対応の相殺領収書を発行する必要があります。記載すべき内容をまとめると、以下のとおりです。

  • 税率ごとに区分した税抜または税込の価格
  • 適用税率と税率ごとの消費税額
  • インボイス発行事業者の登録番号
  • 軽減税率を適用する旨(軽減税率を適用できる場合のみ)

また、相殺に関しては以下の内容を記載する必要があります。

  • 相殺前の請求額
  • 相殺金額
  • 相殺後の金額

相殺領収書は義務ではない

相殺領収書の役割は、通常の領収書とは異なり、現金のやり取りを伴わない取引を証明することです。また、二重請求が発生した場合の反証や社内における支払いの確認のために利用し、二重払いを防止する役割もあります。

相殺領収書がなくても、税務調査の際に問題にはなりません。ただし、大企業では、内部統制の一環として相殺領収書の発行を必須としているところもあります。相殺領収書があると、仮に取引先から未払いを指摘されても自社の取引状況を明確に示せるため、紛争を防止できます。

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まとめ

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収入印紙に対する割印は、法律で義務付けられています。また、収入印紙の不正な再利用を防ぐためにも、割印は必要です。割印なしなど収入印紙への対応に不備がある場合、ペナルティとして過怠税が課される可能性があります。ペナルティを避けるため、収入印紙の適切な貼付と割印について理解し、適切に対応しましょう。

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