紹介料を支払うときの勘定科目と仕訳方法・もらったときの処理方法

紹介料の勘定科目や仕訳方法は、取引内容や支払先によって異なり、会計処理において適切な判断が求められます。

本記事では紹介料の主な勘定科目と仕訳例、紹介料の損金算入要件について解説します。紹介料を受け取った場合の処理についても解説しているので、ぜひご覧ください。

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紹介料を支払うときの勘定科目と仕訳方法・もらったときの処理方法

紹介料の仕訳に使用する主な勘定科目

紹介料とは、ビジネス上の取引で第三者に仲介や紹介を依頼した際に発生する費用です。紹介料は事務所の工事や土地・建物の売買の仲介、顧客や人材の紹介など、さまざまな場面で発生します。

紹介料の支払い先は企業に限らず個人や従業員に対しても行われる場合があるため、支払先の実態によって適切な勘定科目を選ぶことが重要です。紹介料の勘定科目には、接待交際費や支払手数料、給与手当などがあります。

紹介業者へ支払う場合は「支払手数料」が主に用いられますが、状況によっては販売手数料や広告宣伝費が適用されることもあります。一方で企業の取引先や関係者以外の個人に支払う場合は接待交際費が選ばれることが多く、従業員へ紹介料を支払う場合、給与手当として処理します。

紹介料の支払先ごとの勘定科目は以下のとおりです。

紹介料の支払先勘定科目
紹介業者支払手数料
紹介業者以外接待交際費
自社の従業員給与(給与手当)

紹介料の勘定科目選定については明確な基準が設けられていないため、取引や支払先の状況に応じての判断が重要です。

紹介料の仕訳例

紹介料の会計処理をする際は、支払先や取引内容に応じて適切な勘定科目を選ばなければいけません。紹介料の勘定科目には支払手数料や接待交際費、給与手当などがあり、場面に応じて区分けされます。

ここからは、それぞれの仕訳例を具体的に解説します。

支払手数料

支払手数料とは、情報提供や仲介を業務とする相手への支払いに使用される勘定科目です。たとえば人材紹介業者を通じて採用活動を行い、成果報酬として紹介料を支払う場合、この科目を使用します。

支払手数料を使用する場合、仕訳を明確にするために領収書などの証憑を発行してもらいましょう。人材紹介サービスを利用して採用が成立し、人材紹介業者に成果報酬として12万円(税込13万2千円)を当座預金から支払った場合(税抜処理)、以下の仕訳になります。

借方貸方
支払手数料132,000円当座預金132,000円

支払手数料になる経費や仕訳例について詳しくは、以下の記事で解説しているため、ぜひご覧ください。

関連記事:支払手数料になる経費と仕訳例5選|雑費や租税公課など迷いがちな勘定科目や注意点も解説

接待交際費

接待交際費とは、一般の取引先や個人などへの支払いに適用する費用のことです。人材紹介業者など情報提供を本業としていない相手が対象で、たとえば取引先の紹介により、新しい顧客を得た際の謝礼などが該当します。

接待交際費は法人税法上、経費を課税所得から控除する損金算入の制限を受けるため、税務申告時に注意しなければなりません。取引先から顧客を紹介してもらい、紹介料6万円(税込6万6千円)を現金で支払った場合の仕訳具体例は、以下のとおりです。

借方貸方
接待交際費66,000円現金66,000円

接待交際費についてどのような費用か、経費にできる範囲など詳しくは以下の記事で解説しているため、ぜひご覧ください。

関連記事:接待交際費とはどんな費用?経費にできる範囲(上限金額・内容)や仕訳を解説

給与(給与手当)

社内で企業が従業員から人材を紹介してもらい、その紹介を通じて採用をするリファラル採用制度を整備している場合、採用が成立した際は給与手当として処理します。雇用契約に基づき従業員に対する報酬と位置づけられるため、給与と同様に源泉所得税の控除が必要です。

従業員が知人を紹介し採用が成立したため、紹介料として3万円を現金で支給した場合、以下の仕訳となります。なお、源泉所得税3,000円を控除しています。

借方貸方
給与手当30,000円現金27,000円
預り金3,000円

紹介業者以外に支払った紹介料を支払手数料として損金算入できる要件

紹介業者以外に支払う紹介料は、通常は接待交際費として処理されます。これは法人税法上、得意先や関係者に対する贈与や接待などを目的とした支出が交際費に該当するためです。

接待交際費として処理すれば、資本金規模に応じて損金算入に制限がかかります。資本金1億円以下の法人では、最大800万円までしか損金にできません。

また1億円を超える場合、紹介手数料相当分は全額損金に算入されないこともあります。

しかし租税特別措置法に定められた一定の要件を満たせば、紹介業者以外の支払いでも接待交際費ではなく支払手数料として処理でき、全額を損金算入できます。以下の3つの要件を確認しましょう。

  1. 紹介料の支払いがあらかじめ締結された契約に基づいて行われていること
  2. 提供を受けるサービスの内容が契約に明記されていること、かつその内容どおりのサービスが実際に提供されているこ
  3. 支払った金額がそのサービス内容に対して適切であること

要件を満たしていることを証明するため、契約書や領収書などを保管し、税務調査の際に確認できる準備も重要です。また要件を満たしているかどうかは慎重な判断が必要で、誤った処理をすれば税務リスクを負う可能性もあるため、専門家への相談も検討してください。

紹介料をもらった場合の勘定科目と仕訳例

自社で紹介料を受け取る場合、その紹介業務が会社の運営に関しての基本事項を定めた書類である「定款」に記載されているかどうかで適用する勘定科目が異なります。

定款に記載されている場合は売上高として計上し、記載がない場合は本業外の収入とみなして雑収入または受取手数料としての処理が一般的です。

定款に記載がある場合の仕訳例を見てみましょう。

取引先に企業を紹介し、紹介料で税込2万2千円を受け取った場合、紹介業務が定款に記載されていれば、紹介料は本業収益で売上高として計上されます。

借方貸方
現金22,000円売上高20,000円
仮受消費税2,000円

仮受消費税とは、企業が取引先や顧客から消費税を預かり、一時的に計上する勘定科目のことです。企業は売上時に消費税を顧客から受け取り、税務署に納税する義務を負います。

この消費税分を一時的に記録するために、仮受消費税として処理します。

定款に記載が無い場合の仕訳例は以下のとおりです。

上記と同様に企業を取引先に紹介し紹介料を受け取った場合で、紹介業務が定款に記載されていない場合、紹介料は雑収入に計上されます。頻度が少なく少額であれば雑収入、金額が大きければ受取手数料などの勘定科目を新たに設けることも可能です。

借方貸方
現金22,000円雑収入20,000円
仮受消費税2,000円

紹介料を受け取る際には、その収入が本業かどうかを確認し、適切な勘定科目の選択が重要です。税務上の処理にも影響するため、状況に応じて科目の使い分けを徹底しましょう。

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企業が支払う紹介料の仕訳には、接待交際費や支払手数料、給与手当があり、支払先や内容に応じて勘定科目を使い分けなければいけません。また紹介料を受け取った場合、定款に紹介業務が記載されているかどうかで売上高または雑収入、受取手数料として処理します。

紹介料の勘定科目の管理は企業の会計処理において重要であるものの、処理が複雑になりがちで、手間がかかりミスも起こりがちです。経費精算業務を効率化し、正確な仕訳や税務官吏をするためには、経費精算ツールの導入もおすすめです。

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