支払利息の仕訳で使う勘定科目と経理処理の注意点

支払利息は、借入金や社債などの負債に対して支払う利息を記録するための勘定科目です。しかし、具体的にどのような費用が支払利息に該当するか、イメージがつかない人もいるかもしれません。この記事では、支払利息の詳細や、仕訳の注意点や事例などを解説します。ぜひ参考にしてください。

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支払利息の仕訳で使う勘定科目と経理処理の注意点

支払利息の仕訳に関する注意点

支払利息の仕訳に関する注意点を解説します。発生主義に基づき利息の発生時期と支払時期の関係に着目して、前払利息や未払利息などの適切な勘定科目を使用しましょう。

支払利息を前払いするケース

支払利息を前払いする場合は、決算時に適切な会計処理が必要となる点に注意しましょう。企業会計では発生主義を採用しているため、実際に費用が発生した時点で帳簿に記載する必要があります。前払いした利息については、決算時に費用化されていない部分を「前払利息」や「前払費用」という勘定科目に振り替えなければなりません。

振り替えを行うと、当期に発生した費用のみを正確に計上し、財務諸表に適切に反映できます。前払利息は、将来の期間に対応する費用として扱われ、会計上で費用として認識すべき時期が到来するまで資産として計上されます。

来期以降に利息を支払うケース

支払利息の支払が来期以降になる場合、当期末時点では「未払利息」や「未払費用」として負債に計上します。未払利息は、利息の支払予定はあるものの、現時点で支払が完了していない場合に使用する勘定科目です。

借入期間全体にわたって発生する支払利息は、決算時点で適切に期間按分し、当期に対応する部分のみを費用として認識しなくてはいけません。そのため、来期以降に利息を支払う場合でも、企業会計の発生主義に基づき、当期に発生した費用は適切に計上する必要があります。

支払利息の仕訳に関する事例

支払利息の仕訳例を見ていきましょう。正確な会計処理のためには、返済期限に応じた適切な勘定科目の選択が重要です。また、決算期をまたぐ場合の処理にも注意が必要です。

1.返済期限が1年に満たない場合

支払利息の返済期限が1年に満たない場合は、短期借入金と支払利息の勘定科目を用いて仕訳します。

例えば、借入期間半年で銀行から借り入れていた300万円のローンを、年利率1.5%に相当する利息(4万5,000円)とともに、現金で一括納付した場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方摘要
短期借入金3,000,000円現金3,045,000円◯◯銀行借入金返済
支払利息45,000円

2.返済期限が1年を超える場合

返済期限が1年を超える借入金の場合は、長期借入金と支払利息で仕訳します。

例えば、借入期間2年で銀行から借り入れていた300万円のローンを、年利率2%に相当する利息(12万円)とともに現金で一括納付した場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方摘要
長期借入金3,000,000円現金3,120,000円◯◯銀行借入金返済
支払利息120,000円

3.未払利息を計上する場合

決算時点で未払利息があるときは、未払利息と支払利息で仕訳して費用計上します。

例えば、借入金80万円を当期の10月1日に期間1年、年利率2%で借り入れたとしましょう。利息は満期日に元金とともに一括返済するものとします。

条件に基づき状況を整理すると、以下のようになります。

  • 年間利息:80万円×2%=1万6,000円
  • 決算日までの期間: 6か月
  • 未払利息: 1万6,000円×(6/12)=8,000円

決算時の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方
支払利息8,000円未払利息8,000円

4.前払いした支払利息を計上する場合

前払いした支払利息については、決算時に前払費用と支払利息で仕訳します。来期の開始日には、支払利息を前払費用に振り替えてください。

例えば、来期の運転資金を借り入れ、利息50万円を前払いした場合、決算時は以下のように仕訳します。

借方貸方
前払費用500,000円支払利息500,000円

来期の開始日には、以下のように処理を行います。

借方貸方
支払利息500,000円前払費用500,000円

借入条件から支払利息を計算する方法

借入条件が分かれば、以下のように支払利息を計算可能です。

支払利息=借入金額×年利率×返済期間÷12

例えば、中小企業が事業拡大のため、以下の条件で銀行からローンを借り入れたとしましょう。

  • 借入金額:100万円
  • 年利率:1.5%
  • 返済期間:10か月

支払利息は、100万円×1.5%×(10か月÷12か月)を計算して、1万2,500円となります。

なお、同じ借入金額でも、年利率が2%、返済期間が6か月のときの支払利息は1万円です。借入金額が同じでも、年利率や返済期間が変わると支払利息の額は変わります。

支払利息の使用が一般的ではない費用

支払利息の使用が一般的ではない費用を紹介します。信用保証料、手形割引料、附帯税、ファクタリング手数料などは、特有の勘定科目を選択して処理してください。

1.信用保証料

信用保証料の勘定科目には、通常「支払保証料」を使用します。信用保証料は、信用保証協会から信用保証を受けるために支払う手数料のことです。支払利息は借入金に対する利息であるため、信用保証料とは意味合いが異なります。また、支払保証料を支払利息として処理すると、税務申告時に追加の手続きが必要となり煩雑化する可能性があります。

2.手形割引料

手形割引料の勘定科目には、支払利息ではなく「支払利息割引料」や「手形売却損」を使用します。

手形割引は、企業の資金調達方法の1つです。手形割引では、支払期日が到来する前の約束手形を金融機関や第三者に譲渡します。譲渡した企業は、手形の額面金額から手数料(手形割引料)を差し引いた金額を即時に受け取れます。

3.附帯税

附帯税の仕訳には「租税公課」の使用が一般的ですが、状況によっては支払利息を使用する場合もあります。

附帯税は、本来の税金に付随して課される税金です。主な附帯税には、以下が挙げられます。

  • 利子税:追加納税が必要になった場合に課される
  • 延滞税:ペナルティとして、納付期限後に税金を納付する場合に課される
  • 加算税:ペナルティとして、過少申告や無申告があった場合に課される

租税公課については、以下の記事も参考にしてください。

租税公課とは?経費として計上できるもの・できないものを徹底解説!

4.ファクタリング利用時の手数料

ファクタリング利用時の手数料は、一般的に「売上債権売却損」を用いて仕訳されます。売上債権売却損は、売上債権の売却によって生じた損失に関する勘定科目です。状況によっては、支払利息を使用して、ファクタリング利用時の手数料を仕訳する場合もあります。

ファクタリングは、企業が保有する売掛金(売掛債権)を、ファクタリング会社に譲渡して資金化する資金調達方法です。ファクタリングを利用すると、企業は支払期日を待たずに現金を得られます。

まとめ

支払利息に関する勘定科目を選定するポイントは、利息の発生時期と支払時期です。正確な財務報告と適切な税務処理のために、各費用の特性を理解し、適切な勘定科目を選定しましょう。

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