勘定科目「地代家賃」とは?事務所の賃料などの仕訳や注意点なども解説

地代家賃とは、貸借料を表す勘定科目です。企業として使用する土地や建物などに発生する賃料を指しています。また、個人事業主などとして自宅で業務をしている場合にも、賃料を地代家賃として計上可能です。

この記事では、地代家賃について解説します。仕訳方法や注意点なども解説するため、ぜひ参考にしてください。

経理の担当経験が浅い方向けの「虎の巻」

経理担当に役立つエクセルの関数・ショートカット集と、多用される勘定科目の一覧を収録しています。ChatGPTで活用できるプロンプト集も付録。

勘定科目「地代家賃」とは?事務所の賃料などの仕訳や注意点なども解説

家賃の仕訳に使用される主な勘定科目の一覧

家賃の仕訳で使用される勘定科目は主に4つです。ここでは、各勘定科目について詳しく解説します。

地代家賃

事業所や店舗として家賃が発生した場合には、「地代家賃」という勘定科目を使います。地代家賃は、建物や土地などを借りて賃料を支払う時に使う勘定科目です。

事務所だけではなく、トランクルームや倉庫などを借りているというケースでは「貸借料」や「保管料」という勘定科目も使えますが、一般的には地代家賃を使います。

前払費用

翌月の家賃を支払った場合には、「前払費用」という勘定科目を用いて仕訳をします。翌月になったら、前払費用を地代家賃として振り替えるという仕組みです。

短期前払費用の特例の要件を満たしている場合には当月分の経費として家賃を計上可能なため、地代家賃で仕訳をしましょう。

長期前払費用

礼金や更新料などといった返還されない保証金が20万円を超えている場合は、「長期前払費用」を用いましょう。長期前払費用とは、決算日後に1年を超えて費用となる金額を計上する際の勘定科目です。また、貸借期間に応じて償却処理をします。

償却期間は5年未満で更新時に支払いが決まっている場合は契約期間、それ以外のケースでは5年で償却処理しましょう。

支払手数料

礼金や更新料などのように、将来に対して効果がおよぶ支出は繰越資産として計上するのが一般的です。しかし、礼金や更新料が20万円未満の場合には一括計上も可能です。礼金などを一括計上する際には、支払手数料や地代家賃を用いましょう。

支払手数料とは、商品やサービスなどに発生する手数料などを支払った際に使う勘定科目です。

▶︎支払手数料になる経費と仕訳例5選|雑費や租税公課など迷いがちな勘定科目や注意点も解説

勘定科目「地代家賃」とは?

地代家賃とは、支払土地と支払家賃を組み合わせた勘定科目です。たとえば、事務所として建物を借りたり、事務所を建てるためや会社の駐車場として土地を借りたりした際などに発生した賃料を処理する際に使用します。

地代家賃には建物や土地などの賃料だけではなく、共益費や月極駐車場使用なども含まれていることが特徴です。事業で発生した土地や建物の貸借料を、地代家賃としてまとめて会計処理するケースもあります。

オフィスが入っている建物や駐車場などの賃料は、地代家賃として仕訳します。家賃だけでなく、オフィスの共益費や管理費、20万円未満の礼金や更新料も地代家賃として計上することが可能です。自宅兼事務所の場合は、事業用と私用の割合を算出したうえで、事業用分だけを経費とします。

地代家賃を計上する方法

地代家賃を計上する際には、前払費用として計上する方法と短期前払費用の特例で計上する方法があります。以下では、それぞれの方法を詳しく解説します。

前払費用として計上

まずは、前払費用として計上しておき、翌月に地代家賃として振替仕訳する方法です。翌月分の家賃を当月に支払うケースは多いでしょう。たとえば、毎月15日に翌月分の家賃を支払う場合です。家賃35万円が8月15日に口座から引き落とされたというケースでは、以下のように仕訳します。

 借方貸方
日付勘定科目金額勘定科目金額
8/15前払費用350,000普通預金350,000

その後、9月1日になったら前払費用として計上していたものを地代家賃へと振り替えます。地代家賃へ振り替える際には以下のように仕訳しましょう。

 借方貸方
日付勘定科目金額勘定科目金額
9/1地代家賃350,000前払費用350,000

短期前払費用の特例での計上

当月分を前払いする際には、前述の方法で費用を計上するケースが一般的です。しかし、短期前払費用に該当する場合には、支払った時点で損金に算入して構わないとされています。

短期前払費用とみなされる要件は以下のとおりです。

  • 支払日から1年以内に提供を受ける役務にかかわるもの
  • 支払った額に相当する金額を継続して、支払った日に属する事業年度の損金に算入すること

※参考:No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合 |  国税庁

短期前払費用の特例が適用される場合には、以下の方法で仕訳しましょう。

 借方貸方
日付勘定科目金額勘定科目金額
8/15地代家賃350,000前払費用350,000

自宅の家賃を経費計上するためには

個人事業主などの場合、自宅をオフィスとして使用するケースもあるでしょう。家賃を経費計上できるかどうかは、借りている物件で事業を行っているかどうかが関係します。たとえば、以下のようなケースでは自宅の家賃を経費計上できます。

  • 自宅を事務所として使っている
  • 事務所は別にあるが、自宅でも業務を行っている
  • 自宅の一部を倉庫として活用している

地代家賃を計上する際の注意点

地代家賃を計上する際には、注意したいポイントもあります。ここでは、4つの注意点について解説します。

経費に敷金と保証金は含めない

賃貸物件のほとんどは、契約の際に敷金や保証金などを支払います。敷金や保証金は契約した時点ではいずれ返金される費用とみなされるため、地代家賃として計上することはできません。

賃貸契約の解約時に敷金から原状回復費用を使われるケースもあります。原状回復分の費用は地代家賃として計上するのではなく、修繕費として仕訳しましょう。

礼金は金額によって仕訳方法が違う

不動産会社に支払う礼金については、金額によって仕訳方法が異なるため注意しましょう。前述したように、20万円未満であれば地代家賃として計上可能です。しかし、20万円以上の場合には繰越資産として計上しなければいけません。

繰越資産とは、支出する費用のなかで1年以上におよぶ効果がある資産のことで、礼金の場合はケースによって異なりますが5年をかけて償却処理します。

持ち家の元金は経費ではない

持ち家をオフィスとして使うという場合であっても、住宅ローンの元金を経費として計上することはできません。地代家賃は土地や建物の家賃に使われる勘定科目のため、注意しましょう。

自宅の住宅ローンのうち利息分は経費として計上できますが、この場合には地代家賃ではなく「利子割引料」の勘定科目で仕訳します。

一次的な利用料金は計上しない

社用車などの車両を駐車するために月極駐車場を契約しているという場合、その利用料は地代家賃として仕訳します。ただし、同じ駐車料金であってもコインパーキングなどの一時的に利用する駐車場などの利用料は地代家賃としては計上できません。

出張の際に社用車を使用し、コインパーキングに駐車した場合にかかる駐車場料金は旅費交通費に含まれます。業務のための駐車にかかった費用は、出張に必要な経費だと判断できるからです。駐車場料金が旅費交通費として認められるには、業務から逸脱していない必要があります。

なお、月極駐車場の料金は旅費交通費として計上できません。月極駐車場の料金は、地代家賃になります。

まとめ

地代家賃とは、貸借料を表す勘定科目のことです。事業で利用する土地や建物の賃料などは地代家賃として仕訳します。礼金や更新料などは金額によって仕訳方法が異なります。また、敷金や保証金は含まれず、一時的な利用料金も地代家賃として計上できません。金額や費用の種類などによって仕訳方法や勘定科目が異なるため注意しましょう。

バクラク請求書発行は、支払業務を自動化できる請求書発行システムです。仕訳や支払い、管理などの一連のフローがスムーズに連携できるため、業務効率化につながります。また、インボイス制度や電子帳簿保存法などにも対応しています。請求業務の効率化をお考えなら、お気軽にお問い合わせください。

AIが大量の領収書を秒速処理する「バクラク経費精算」

パソコン、スマホから手軽に経費精算が可能。領収書をアップロードするとデータが自動入力されるので、原本の回収・ファイリングが不要に。手間のかかるインボイス制度・電子帳簿保存法にも対応しています。簡単で正確な経費精算を実現するツールをぜひご体感ください。