フランチャイズ加盟金の勘定科目は?仕訳方法・消費税の扱いや解約時の返金についても解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-27
- この記事の3つのポイント
- フランチャイズ加盟金は、長期前払費用もしくは支払手数料の勘定科目で計上する
- 加盟金にかかる消費税は、支払った年度に一括計上する
- 加盟金が返金されるのは稀だが、返金は「償却残高との相殺」及び「差額を雑収入」として計上する
フランチャイズに加盟している法人や個人オーナーが支払う加盟金について、どのように計上すべきか判断に迷うことがあるでしょう。
加盟金を計上する際の勘定科目は、加盟金の額によって異なります。
本記事では、加盟金の勘定科目について仕訳方法と合わせて解説します。また、消費税の扱いや加盟金を返金された際の対応についても載せていますので、ご活用ください。
フランチャイズ加盟金の勘定科目は?仕訳方法・消費税の扱いや解約時の返金についても解説
フランチャイズ加盟金の税法上の扱い
フランチャイズ加盟金の税法上の扱いは「繰延資産」です。
そもそもフランチャイズに加盟することは、本部からノウハウや商標利用といった恩恵を受けることにつながります。つまり加盟金は、支払った時点だけでなく、支払い後もその効果が継続するものとして判断されます。長期的にベネフィットが得られる資産であることから、繰延資産として扱われているのです。
なお繰延資産は、効果を得られる期間にわたって償却する決まりです。ただし償却期間については定めがあり、一般的に5年とされています。
加盟金が繰延資産になることや償却が5年間であることは、国税庁でも回答がなされています。
“当該加盟一時金は、繰延資産に該当し、その償却期間は5年となります。
(理由)
1 本件の加盟一時金は、「役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用」であり、しかも、その支出の効果が1年以上に及ぶものですから、繰延資産に該当します(法人税法施行令第14条第1項第6号ハ)。
2 この種の繰延資産の効果の及ぶ期間は、一定の契約をするに当たり支出するものについては、原則としてその契約期間を基礎として適正に見積ることとされていますから(法人税基本通達8-2-1)、本件の繰延資産の償却期間は20年とすべきとも考えられますが、建物を賃借するために支出する通常の権利金、ノーハウの設定契約に際して支出する一時金等の償却期間については、一般的には5年とされていること(法人税基本通達8-2-3)、協会等同業者団体等への加入金については、その償却期間は5年として取り扱われていることから、本件の一時金についてもその償却期間を5年として取り扱うのが相当と考えられます。“
出典:国税庁「ホテルチェーンに加盟するに当たり支出する加盟一時金」
加盟金の詳しい仕訳はこのあと解説しますが、20万円以上かどうかで仕訳方法が異なる点に注意しましょう。
フランチャイズ加盟金が20万円以上の場合
加盟金が20万円以上の場合は「長期前払費用」の勘定科目を使って仕訳します。
先ほど加盟金は繰延資産だとお伝えしましたが、会計処理上の繰延資産に加盟金は含まれていません。繰延資産と認められるのは、創立費や開業費、開発費などです。
そのため、代わりに長期前払費用を使って減価償却の処理をします。
実際の仕訳例を見てみましょう。
<フランチャイズ加盟金を支払ったときの仕訳>
フランチャイズ加盟金200万円を銀行口座から支払ったのであれば、借方に「長期前払費用」、貸方に「普通預金」と記載します。
借方 | 貸方 | ||
長期前払費用 | 2,000,000円 | 普通預金 | 2,000,000円 |
このとき、加盟金の支払いだとわかるように摘要欄に「加盟金支払い」などと記載しておくと見返したときに何の支払いかすぐにわかっておすすめです。
<期末に行う減価償却処理の仕訳>
加盟金の減価償却は原則5年と定められているため、200万円を5で除した額(ここでは40万円)を償却します。契約が5年未満であれば、その期間で減価償却してください。
仕訳は、借方に「減価償却費(長期前払費用償却)」、貸方に「長期前払費用」と記載します。
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 もしくは 長期前払費用償却 | 400,000円 | 長期前払費用 | 400,000円 |
減価償却時も、支払時と同様に摘要欄に「加盟金支払い」と入れておくとよいでしょう。
フランチャイズ加盟金が20万円以下の場合
国税庁によると、繰延資産が20万円未満であれば少額の扱いとなり、減価償却をせずにその全額を計上することが認められています。
“支出金額が20万円未満の場合には損金経理により全額損金算入することができます。“
出典:国税庁「No.5382 同業者団体等の加入金と会費の取扱い」
仕訳時に使用する勘定科目は「支払手数料」です。
では、実際の仕訳例を確認しておきましょう。
<フランチャイズ加盟金(少額)を支払ったときの仕訳>
ここでは、14万円の加盟金を銀行口座から支払った際の仕訳を紹介します。
借方に「支払手数料」、貸方に「普通預金」と記載すれば仕訳完了です。
借方 | 貸方 | ||
支払手数料 | 140,000円 | 普通預金 | 140,000円 |
20万円以上のときと同じく、摘要欄へ「加盟金支払い」と記載しておくと安心です。
支払手数料の詳細や仕訳例については、以下の記事で解説していますので合わせてお読みください。
加盟金にかかる消費税の扱い
加盟金は繰延資産として減価償却が可能ではあるものの、消費税に関しては繰り延べるといった概念がありません。
したがって、役務が提供されたタイミング(加盟金の支払い時)に一括で計上するのが原則です。
具体的には、加盟金を支払った事業年度に消費税額の全額を課税仕入れとして計上します。
解約時に返金された場合はどう処理する?
フランチャイズ加盟金は、原則返金されません。特に加盟店による都合で契約を解除する場合は返金されないうえに、違約金などペナルティが課される可能性もあることをまずは理解しておきましょう。
しかし、なかには加盟金が返金される場合もあります。返金されるケースとしては、加盟店による一方的な契約違反や、契約終了時に返金することを先に約束していた場合などが挙げられます。
もし返金された場合には、償却残高と相殺することが可能です。それでも、返金分が余る際は、雑収入として計上します。
ここでは200万円の加盟金を支払い、減価償却を1年分したあとに加盟金が全額返還されたことを想定して、仕訳例を見てみましょう。
<加盟金支払い時の仕訳>
加盟金は、20万円以上のため勘定科目は長期前払費用を使用します。
借方 | 貸方 | ||
長期前払費用 | 2,000,000円 | 普通預金 | 2,000,000円 |
<期末に行う減価償却処理の仕訳>
5年を減価償却期間とすると、1年あたりの償却額は40万円です。
減価償却費や長期前払費用償却の勘定科目を使って仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 もしくは 長期前払費用償却 | 400,000円 | 長期前払費用 | 400,000円 |
<加盟金返金時の仕訳>
銀行口座に200万円が振り込まれたのであれば、借方に「普通預金」貸方に「長期前払費用」を記載します。
1年分償却しており償却残高は160万円のため、差額は40万円です。40万円は雑収入として記載します。
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 2,000,000円 | 長期前払費用 | 1,600,000円 |
雑収入 | 400,000円 |
上記はあくまで一例であり、返金時の状況によって仕訳方法も変わるため、具体的な処理方法については税理士などに相談しながら進めるのがおすすめです。
経費処理を効率的に進めるなら「バクラク経費精算」がおすすめ
フランチャイズ加盟金は、その金額によって仕訳方法が異なります。20万円以上であれば、長期前払費用として計上し減価償却が必要です。20万円未満であれば、支払手数料として全額計上します。
ここで特に注意したいのが、減価償却処理です。減価償却は年度をまたぐ処理となるため、ミスが起こりやすいといえます。
加盟金を始め、事業運営にかかる経費をミスなく管理したいのであればバクラク経費精算がおすすめです。バクラク経費精算では、領収書の一括読み取りや自動仕訳が可能で、手入力による処理ミスを軽減できます。無料トライアルもご用意しておりますので、お気軽にお試しください。
収入印紙に対する割印は、法律で義務付けられています。また、収入印紙の不正な再利用を防ぐためにも、割印は必要です。割印なしなど収入印紙への対応に不備がある場合、ペナルティとして過怠税が課される可能性があります。ペナルティを避けるため、収入印紙の適切な貼付と割印について理解し、適切に対応しましょう。
バクラク請求書発行は、支払業務の自動化により、スムーズな経理業務に貢献します。稟議・仕訳・支払・管理などの一連のフローをなめらかに連携し、インボイス制度や電子帳簿保存法にも簡単に対応可能です。経理業務の効率化をお考えの人は、ぜひバクラク請求書発行をご検討ください。