BSM(企業支出管理)とは?ビジネスにおける重要性と取り組みの意義を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-02-28

- この記事の3つのポイント
- 「BSM」とは企業の支出を包括的・戦略的に管理する手法やツールを指す用語
- BSMは、コスト管理・適正化やリスク低減などによって経営と組織力の向上に効果を持つ
- BSMの実践には部門横断的なチーム編成と適切なツール選定が不可欠
昨今、企業における支出の管理は、経営戦略やサプライチェーンマネジメントにおいて重要な要素となっています。その中で注目されているのが「BSM(Business Spend Management:企業支出管理)」です。
本記事では、BSMの概要や、その重要性、そして取り組む意義について解説します。
BSM(企業支出管理)とは?ビジネスにおける重要性と取り組みの意義を解説
「BSM(企業支出管理)」とは?
BSMとは「Business Spend Management」の略語で、企業が行うすべての支出を包括的かつ戦略的に管理する手法やツールを指すビジネス用語です。具体的には、調達・購買、経費精算、請求書管理など、企業活動にかかわる支出に対して一元的な管理を行い、コスト削減や業務効率化、コンプライアンス強化を目指すアプローチです。
従来、企業の支出管理は「購買部門が担当する購買管理」「経理部門が担当する経費精算」「財務部門が担当する支払い処理」といった形で、縦割りで実施されてきました。しかし、デジタル化が進む現在、迅速かつ的確な意思決定のためには、企業全体の支出を俯瞰して管理し、リアルタイムな分析やプロセスの可視化を行うことが求められています。
BSMは、このようなニーズに応える総合的な仕組みとして注目を集めています。
いまBSMが重要視されている背景
BSMが企業にとって重要だと着目されているのは、主に以下の背景があります。
コストの適正化と予算管理
企業が成長を続けるためには、コストを常に適正に保ちつつ、必要な投資も同時に行わなければなりません。BSMを導入することで、支出プロセスを一元管理し、部門横断での支出状況をリアルタイムに把握できます。
その結果、ムダなコストの発生源を早期に発見・排除でき、予実管理(予算と実績の管理)を正確かつ効率的に行うことが可能となります。
コンプライアンスとリスク管理
企業における支払いプロセスや調達プロセスは、さまざまな法律や規制の対象となります。また、グローバル化に伴い、より複雑なコンプライアンス対応が求められるケースも増えてきました。
BSMでは、支出に関するトランザクションデータを一元管理することで、審査・承認プロセスの透明性を高め、コンプライアンスのリスクを低減できます。さらに、支出データが蓄積されるため、将来的な監査対応や不正検知にも役立ちます。
組織全体の生産性向上
支出管理に関わるプロセスは、意外と多岐にわたり、担当部署同士でのやり取りや承認フローが煩雑になりがちです。
BSMを活用して支出管理システムを統合・自動化することで、担当者の入力ミスや重複入力といった手作業を減らせます。これにより、担当者はより付加価値の高い業務に専念できるため、組織全体の生産性向上につながります。
経営判断のスピードアップ
BSMにより、企業の支出に関する情報がリアルタイムで可視化されると、経営者や管理職は迅速に正確なデータを基にした意思決定を行えるようになります。従来であれば、部門ごとにバラバラなデータを照合・集計しなければならず、レポート作成に時間がかかることが多くありました。
BSMにより、これらの工程がシステム化・自動化されるため、経営会議などでの意思決定がよりスピーディーかつ正確になります。
BSMへの取り組み方と導入のステップ
実際にBSMへ取り組む際は、以下のステップに沿って実行していきます。
1. 現状分析と目標設定
BSMを導入する前に、まずは現状の支出管理プロセスを洗い出し、ムダや課題を把握する必要があります。購買から支払いまでのフローを可視化し、どのような改善が必要なのかを明確にしたうえで、コスト削減目標や導入による生産性向上目標などのKPIを設定します。
2. 部門横断的なチームの編成
BSMは、購買部門や経理部門など特定の部門だけで完結するものではありません。全社的な支出管理の最適化を図るためには、経営層、購買部門、経理部門、IT部門など、複数のステークホルダーの協力が不可欠です。部門間の連携を強化し、導入や運用をスムーズに進めるために、プロジェクトチームを編成することが重要です。
3. 適切なシステム・ツール選定
BSMを実現するには、支出管理を一元化・自動化できるシステムやツールが必要です。導入コストや機能面だけでなく、以下のような観点で選定すると良いでしょう。
- 拡張性・柔軟性:自社の業務プロセスに合わせやすいか、今後の事業拡大にも対応できるか
- UI/UXのわかりやすさ:現場担当者が使いやすいか、学習コストが高くないか
- セキュリティ・コンプライアンス対応:データ保護や規制対応がしっかりしているか
- 既存システムとの連携:ERPや会計ソフトとの連携がスムーズに可能か
4. 導入後のモニタリングと改善
BSMを導入して終わりではなく、定期的にモニタリングや評価を行い、必要に応じて改善を繰り返すことが大切です。導入したシステム上でのデータ分析を活用し、支出管理のプロセスが適切に運用されているかを確認しながら、継続的に最適化を図りましょう。
BSM導入の主な効果と成功事例
当社が提供する「バクラク」シリーズを用い、BSMに着手されたお客様の成功事例を紹介します。
中日ドラゴンズ様
中日ドラゴンズがバクラク導入で支払管理を一元化。経理と従業員の負担削減に成功した方法
中日ドラゴンズ様は、主に紙とExcel中心で運用していた経費精算フローの非効率を改善するためバクラクシリーズを導入し、BSMを実施されました。導入前は承認待ちや集計作業で時間がかかり、選手やスタッフの負担が大きかったのですが、クラウド上で一元管理することで承認プロセスをオンライン化し、拠点外や遠征先からでも申請や確認が可能となりました。
また、紙の使用を抑制することで業務効率とコンプライアンスが向上し、予算管理や経費分析の精度も向上できたとのことです。現場担当者が紙の書類作成や重複入力に追われることなく、本来の業務に集中できるようになり、働き方改革の推進にも寄与できています。
株式会社iCARE様
あらゆるワークフローをバクラクで一元管理。自由度の高い経路設定とSlack連携でスピーディな承認を実現
iCare様は、人事労務や健康管理といった専門領域に注力するため、経費精算をはじめとするバックオフィス業務の効率化を図る必要性をお持ちでした。そこで、従来は紙やExcelで行っていた煩雑な処理をバクラク経費精算へ移行し、申請から承認までをオンライン化することで、担当者の手間やヒューマンエラーを大幅に削減されました。
これにより、リアルタイムで支出データを可視化できるようになったため、経営判断の迅速化やコスト管理の精度向上にもつながったそうです。また、クラウド上で業務を完結できる点はリモートワークとの親和性も高く、柔軟な働き方の実現を後押ししました。こうしたBSMの取り組みにより、iCare様が本質的にリソースを割くべき事業領域により一層注力できる体制を作られています。
株式会社PeopleX様
創業初期にシステム投資を決断した理由とは?PeopleX CFOが語る、事業成長を加速するバックオフィス戦略
PeopleX様は、人と組織のパフォーマンスを最大化するソリューションを提供する中で、経費精算や請求対応といったバックオフィス業務の効率化に課題をお持ちでした。紙やスプレッドシートでの手作業が多く、データ整合性の確認にも手間がかかっていましたが、バクラクシリーズの導入によって申請から承認、集計までをオンライン上で一元管理できるように。
このBSMにより、申請の抜け漏れや承認待ちの遅延が解消され、リアルタイムで経費状況が把握できるようになっただけでなく、法令順守やデータ分析の精度も高まり、経営陣が迅速に意思決定を下せる体制が整備されました。また、クラウド上で業務が完結するため、出社を前提としない柔軟な働き方が実現し、従業員の負担も軽減されたことで、本来のコア業務に注力する時間とリソースが拡充されているとのことです。
「バクラク」はバックオフィスから全社の生産性を高めます

「バクラク」は、企業の経済活動のデジタル化を多角的に支援するツールです。法人支出に関する業務を高度に自動化することで、企業内の非効率な作業から従業員を解放し、コア業務への集中を可能にします。
請求書処理、経費精算、法人カード管理などの支出関連業務を最先端のAIがデジタル化することで、企業はリアルタイムで支出をコントロールし、可視化することが可能になります。これにより、無駄な費用の削減、決算の早期化、経営判断の迅速化、内部統制の強化が実現します。
また、バクラクはBSMの一部としてProcure to Payのプロセスをシームレスに連携させ、複雑な法対応や税務対応も簡素化します。データがデジタルで残ることでトレーサビリティが向上し、監査対応や税務対応も容易になります。
さらに、バクラクはSaaS郡のSMB領域におけるエントリープロダクトとして機能し、後続のBSMクロスセルに貢献することで、企業の「OS」となることを目指しています。単なる業務効率化ツールではなく、経済活動全体の最適化・BSM領域の発展をお考えの企業様は、ぜひバクラクをご検討ください。
