広告宣伝費(広告費)には何が含まれる?取引金額に応じた注意点や仕訳の例を紹介
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-13
広告宣伝費とは、自社の商品やサービスを不特定多数の人へ向けて宣伝するために支払う費用です。広告宣伝費は経費として計上できますが、そもそも広告宣伝費に該当しないものもあるため、注意しましょう。
この記事では、広告宣伝費の概要に触れたうえで、広告宣伝費に含まれる支出や仕訳例などを解説します。
広告宣伝費(広告費)には何が含まれる?取引金額に応じた注意点や仕訳の例を紹介
広告宣伝費とは?
広告宣伝費とは、どのような費用でしょうか。ここでは、広告宣伝費の概要や他の費用との違いなどを解説します。
広告宣伝費とは広告・宣伝の経費
広告宣伝費は、商品やサービスなどの宣伝目的で使われた経費を指します。消費者に購入してもらうにはまず自社の商品やサービスについて知ってもらう必要があるため、広告宣伝費を負担する必要があります。広告宣伝費は、省略して「広宣費」とよばれる場合もあります。
また、商品やサービスの宣伝以外にも、会社のイメージアップを目的とした広報活動の費用も広告宣伝費です。さらに、決算公告にかかる費用も、広告宣伝費として計上できます。
広告宣伝費と販売促進費の違い
販売促進費とは、会社の商品やサービスの販売業務をスムーズに進めるための費用です。広告宣伝費と販売促進費は、どちらも損益計算書の「販売費及び一般管理費」に分類されています。それぞれの違いは費用を支払う目的です。販売促進費は商品やサービスの販売促進、広告宣伝費は広告や宣伝活動を目的として支出を行います。
広告宣伝費の摘要欄に記入するものとは?
勘定科目として広告宣伝費を使用する際は、摘要欄に記入すべき内容があります。摘要欄とは、取引に関する詳細を記入できる欄です。たとえば、ウェブサイトに広告を出した場合、摘要欄に「ウェブサイト○○ 広告料 ○月分」のように具体的な内容を記載します。摘要欄に記入すべき内容をまとめると、以下のとおりです。
- 時期
- 科目
- 金額
- 取引相手
- 取引の事由
摘要欄に詳細を記載しなければ、後から確認した際に広告宣伝費の内容が分かりません。費用の使い方や計上の仕方が適切か判断できないため、必ず摘要欄に詳細を記しておきましょう。
広告宣伝費に含まれる3つの費用
宣伝広告には、3つの費用が含まれます。以下でそれぞれ解説します。
1. 不特定多数へ向けた広告
広告宣伝費として計上できる支出は、不特定多数の人を対象とする宣伝活動にかかった費用だけです。特定の企業との関係性を維持向上させるために負担した費用や、宣伝活動に関連しない協賛金などは、広告宣伝費としては計上できません。
ただし、協賛金であっても、宣伝活動に関連するなら広告宣伝費として認められます。たとえば、認知拡大につながるイベントの費用を負担したケースなどです。
2. 会社の広報
会社の商品やサービスの販売促進のみならず、会社そのものを多くの人に知ってもらうために負担した費用も広告宣伝費になります。たとえば、社名入りのグッズや商品の見本品・試供品などを作成するためにかかった費用は、広告宣伝費として計上できます。また、雑誌、情報誌、新聞などの広告掲載のための費用も、広告宣伝費として計上可能です。
3. プロモーションにかかる費用
プロモーションにかけた費用も、広告宣伝費として計上できます。たとえば、以下が該当します。
- チラシやパンフレットの制作費
- カタログの制作費
- ポスターの制作費
- POP類の制作費
- ノベルティの制作費
- キャンペーンサイトの制作・運用費
- 試作品の制作費
- イベントへの出展料
- イベントのブース制作費
ただし、販売促進費に該当するものも一部あるため、それぞれを分けて計上しましょう。
広告宣伝費を活用して節税するメリット
広告宣伝費を活用して節税すると、メリットがあります。以下で詳しく解説します。
一括で計上しやすい
節税を意識して高額な商品を購入した場合、資産として減価償却する必要があります。一括計上できないうえに、年度の途中で購入した商品の減価償却は月割りです。たとえば、期末に購入すると1か月分しか計上できません。
しかし、広告宣伝費なら一括計上が可能です。期末に合わせ、節税対策のために活用できます。
投資にもなる
他の経費と異なり、広告宣伝費は将来にわたって成果が残ります。うまくいけば持続的な収益につながる可能性があり、「投資」のような効果を得られます。その点は、ウェブメディアやECモールなどの運営と同様です。
ただし、実際の効果は、企画や内容のクオリティによって決まります。広告宣伝費を使っても必ず成果が残るとは限らないため、綿密な計画に基づいて取り組む必要があります。
広告宣伝費の仕訳例は?
ここでは、会社で用いられる場合が多い内容について、広告宣伝費の仕訳例を紹介します。
名刺の作成費用
名刺を作成するためにかかる費用は、基本的に消耗品費として計上します。しかし、名刺で商品やサービスを紹介するなら広告に該当するため、広告宣伝費としての計上が可能です。デザイン会社に依頼してそのような名刺を作成する際も、広告宣伝費による仕訳ができます。
チラシの印刷費用
自社の商品やサービスを宣伝するためにチラシやパンフレットを作成すれば、広告宣伝費に計上できます。ただし、余ったチラシやパンフレットを未使用のまま保管する場合、貯蔵品として計上しなければなりません。チラシやパンフレットを作成して配布した後は、余りについても正確に把握しましょう。
ホームページの作成費用
自社のホームページの作成にかかる費用も、広告宣伝費としての計上が可能です。ただし、ECサイトのように多数のコンテンツを含むホームページはプログラムの一種とみなされるため、無形固定資産として計上する必要があります。作成にかかった費用や内容に合わせ、税務上の法定耐用年数で減価償却してください。
新聞広告の掲載費
自社の商品やサービスを宣伝するために新聞広告を利用した場合、かかった費用は広告宣伝費に該当します。ただし、協賛金を募る会社との関係の維持向上のために支出したときは、交際費で計上する必要があります。
広告宣伝費を仕訳する注意点
広告宣伝費の仕訳では、気をつけたいこともあります。注意点を具体的に解説します。
広告宣伝費は課税対象となる
広告宣伝費には消費税が課されます。そのため、仕訳の際は課税仕入の扱いで処理する必要があります。ただし、国外の取引については日本の消費税が課されません。外国の会社に対して広告宣伝費を支払った場合は非課税となります。
取引金額が10万円を超える場合は「固定資産」で計上する
広告宣伝費を仕訳する際には、取引金額の確認が必要です。看板の設置など広告や宣伝のために支出した費用が10万円に満たなければ、広告宣伝費による仕訳が可能です。ただし、取引金額が10万円を超えるなら固定資産として計上する必要があります。
ケースによっては広告宣伝費としての計上が認められない
内容によっては、広告宣伝費として計上できない可能性もあります。広告宣伝費として認められるには、不特定多数に向けた宣伝である必要があります。特定の相手に対するプロモーションや接待行為のための支出は広告宣伝費として計上できないため、要注意です。
商標登録は計上できない
商標登録をすると商品やサービスを差別化できるため、社名、商品名、ロゴマークなどを商標登録するケースはよくあります。ただし、商標登録にかかった費用は広告宣伝費には該当しません。商標登録したものは無形固定資産に分類されるため、減価償却が必要です。
まとめ
自社の商品やサービスを不特定多数の相手へ知らせるためにかかった費用は、広告宣伝費として計上できます。広告宣伝費の計上にはさまざまなメリットがあるため、適切に活用しましょう。
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