
賃金と給与の違いや支払い期限、未払い時の罰則について解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-06-03
- この記事の3つのポイント
- 賃金、給与、給料はいずれも労働に対して支払われるお金だが、定義や使われ方が異なる
- 賃金は労働基準法の5原則に基づく必要があり、守らなければ企業は罰則を受ける可能性がある
- 賃金未払いは刑事罰が科される可能性があり、企業の社会的信用に深刻な影響を与える
賃金と給与の違いや支払い期限、未払い時の罰則について解説
賃金とは労働者が受け取るすべての報酬のことです。本記事では賃金と給与・給料の違い、賃金支払いの原則や期限、未払い時の罰則について詳しく解説します。適切な賃金管理のポイントや法令遵守の重要性についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
1.賃金と給与・給料の違い
賃金と給与・給料は、いずれも労働に対して支払われるお金を指しますが、それぞれの定義や使われ方が異なります。
まず賃金は、労働基準法第11条で「労働の対価として支払われるすべてのお金」と定義されており、基本給だけではなく各種手当や賞与、通勤費など、従業員が受け取るすべてを含むものです。
次に給与は、企業や雇用主が労務に対して支払うお金のことで、基本給と残業代や手当、現物支給も含まれます。最後に給料は、給与のうち毎月一定額で支払われる基本給のことです。
それぞれの違いのポイントは「視点」と「範囲」です。賃金は労働者目線での広範な概念であり、法律上も労働者を守る目的で使われ、給与は雇用主側の視点で企業の経費管理や給与所得など、税務や保険の枠組みで使われます。
また給料は給与の一部である基本給を指すため、さらに狭い範囲の概念です。たとえば基本給が20万円で手当が5万円の場合、給料は20万円、給与は25万円、賃金にはさらに賞与や通勤費が含まれる場合もあります。
2.賃金にあたるものとあたらないもの
賃金は労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのお金のことを指すと前述しましたが、具体的には「賃金にあたるもの」と「賃金にあたらないもの」が区別されています。
賃金にあたるものは、以下のような基本報酬および割増金、各種手当てです。
基本報酬 | 時給 日給 月給 など |
|---|---|
割増金 | 時間外労働 休日労働 など |
各種手当て | 技能手当 在宅勤務手当 など |
さらに賞与なども労働契約や就業規則で定められている場合には賃金に該当し、通勤手当や定期券などの現物支給も賃金と認められることがあります。
一方で賃金にあたらないものは、恩恵的な支給や実費弁償的な支給です。具体的には以下のような恩恵的な支給は労働の対価では無いため、賃金には該当しません。
- 結婚祝金
- 死亡弔慰金
- 災害見舞金 など
同様に出張旅費や宿泊費、作業服代などの実費弁償的な支給も労働の対価とはみなされません。さらに役員報酬や傷病手当金も、労働基準法上の賃金には含まれないことも覚えておきましょう。
賃金か否かを判断する際は労働の対価であるかどうか、また労働契約や規則に基づいて支払われるかどうかがポイントです。
3.賃金の支払い期限について
労働基準法では、賃金の支払いについて「一定期日に毎月1回以上支払う」ことを原則としています。
これは賃金支払日、つまり給料日を労働者に明示し、遅延なく支払う義務を企業に課すもので、給料日に賃金が支払われなければ罰則が科される可能性があるため、注意が必要です。
この「毎月1回以上支払う」原則は、年俸制のように給与が年額で定められている場合も同様で、月ごとに分割して支払う必要があります。月の途中で入社した場合も、翌月に2カ月分をまとめて支払うことはできません。
賞与や退職金など算定期間が1カ月を超える手当などは、企業ごとに定められた支給日が設けられるため、この「毎月1回以上支払う」という原則の例外です。
4.賃金の未払いがあった場合の罰則について
労働基準法第24条では、賃金の支払いに関する5つの原則が定められています。この原則に違反する場合企業は法的責任を問われ、罰則が科されることがあります。
賃金支払いの5原則は、以下のとおりです。
- 通貨払の原則:賃金は現金で支払う原則(ただし労働者の同意があれば銀行振込も可能)
- 直接払の原則:賃金は、第三者を介さずに労働者本人へ直接支払う原則
- 全額払の原則:賃金は、法令や労働契約で認められた控除以外全額を支払う原則
- 毎月払の原則:賃金は、毎月1回以上支払う原則(年俸制であっても分割払いが必要)
- 一定期日払の原則:賃金の支払い日は明確に定められ、その期日に支払う原則
賃金支払いの5原則に違反すると労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科されます。また時間外労働や休日労働に対する割増賃金の未払いが発覚した場合、労働基準法第37条違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の刑事罰が課される可能性も否定できません。
さらに賃金未払いが原因で労働者から訴訟を起こされると、企業は民事上の責任を問われるだけでなく社会的信用を失い、事業継続に支障をきたす場合もあります。企業は賃金支払いの原則を遵守し、適切な管理を行うことが重要です。
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賃金と給与・給料の違いや支払いに関するルールの理解は、労働者の権利を守り、企業の法令遵守を徹底する上で重要です。賃金には「毎月1回以上」「一定期日に全額支払う」などの原則があり、これらに違反すると企業は罰則や社会的信用の損失といったリスクを負います。
また支給内容が労働の対価に該当するかどうかも明確にすることが必要で、適切な賃金管理は、労働者の安心と企業の円滑な運営につながります。賃金や給与の支払い管理は労働基準法を遵守しつつ正確に行うことが求められると同時に、手当や交通費などの経費精算も迅速かつ正確であることが重要です。
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