
有給休暇の繰り越しとは?日数の計算方法や時効をわかりやすく解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-02-17
- この記事の3つのポイント
- 有給休暇の時効は2年であり、有給を消費できなかった場合、一回のみ翌年に繰り越せる
- 正社員だけでなく、所定の要件を満たしているパート・アルバイトにも有給休暇は付与される
- 従業員の有給休暇においては、適切な管理と取得しやすい環境づくりをすることが大切である
有給休暇の繰り越しとは?日数の計算方法や時効をわかりやすく解説
年次有給休暇(有給)は、従業員の心身の疲労を回復するために、取得が法律で義務付けられている休暇です。しかし、業務の都合などで1年の間にすべての有給を消化できないケースもあるでしょう。 消化しきれなかった有給休暇は、次の年に繰り越しても問題ありませんが、法律上のルールにより、無限に繰り越せるわけではありません。 本記事では、有給休暇の繰り越しに関する基本的なルールをわかりやすく解説します。付与日数の計算方法や、繰り越しによって発生する最大保有日数の考え方、注意点についても詳しくご紹介します。 繰り越しのルールを正しく理解したい人事・労務担当者は、ぜひ参考にしてください。
1.消化しきれなかった有給休暇は繰り越しされる
労働基準法では、有給休暇の権利について2年間の時効を定めています。従業員が、付与された日から1年以内に有給を消化しきれなかった場合、残った日数は原則翌年に繰り越されます。
繰り越しは正社員だけでなく、所定の要件を満たしているパートやアルバイト、派遣社員といった短時間労働者も適用対象です。繰り越しは労働者の権利のため、企業は拒否できません。繰り越しを認めない場合、労働基準法違反となる可能性があります。
有給休暇の消滅日数の数え方や繰り越しルールを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:有給休暇のリセットはいつ?消滅日数の考え方や繰り越しルールを解説
2.有給休暇の付与日数
有給休暇は、雇い入れの日から6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対して付与されます。
本章では、通常の労働者(正社員)の基本的な付与日数と、パート・アルバイトなどの短時間労働者への付与日数について確認しましょう。
【通常の労働者の付与日数】
継続勤務年(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数(日) | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
【週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数】
週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数※ | 継続勤務年数(年) | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 | |||
付与日数(日) | 4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 | |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 | |
1日 | 48日~72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 | |
※週以外の期間によって労働日数が定められている場合
出典:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
有給休暇の付与要件である「継続勤務」とは、形式的な雇用契約の有無ではなく、事業場における在籍期間を意味します。たとえば、定年退職者を嘱託社員として再雇用した場合なども該当します。
有給休暇について、さらに理解を深めたい方は、以下の関連記事をご確認ください。
関連記事:有給休暇とは?法律上の最大付与日数やタイミング・ルールについて解説
3.有給休暇の最大保有日数と時効
有給休暇の権利は、時効が2年と法律で定められています。なお、有給休暇を繰り越せるのは、原則として1度のみです。
通常の労働者が継続勤務6年6カ月を超えると、1年間の最大付与日数は20日になります。20日を1日も消化せずに翌年に繰り越した場合、最大付与日数は以下のとおりです。
最大保有日数=前年度の未消化分(20日)+今年度の新規付与分(20日)=40日
したがって、有給休暇の最大保有日数は40日となるのが一般的です。
4.有給休暇の繰り越しが発生するときの日数の計算方法
本章では、正社員を例に、入社から3年目までの有給休暇の日数と繰り越しが発生する際の計算方法を解説します。以下で詳しく見ていきましょう。
4-1.1年目
入社から6カ月が経過した時点で、最初の有給が付与されます。
- 入社6カ月時点の付与日数:10日
- 1年目末の保有日数:10日
1年目の間に3日消化した場合、1年目末の保有日数は残り7日です。
4-2.2年目
繰り越し分と、2年目の新規付与分が以下のように合算され、保有日数が決定します。
2年目スタート時の保有日数:前年繰越分+2年目の新規付与分
たとえば、前年繰越分が7日、2年目の新規付与分が11日の場合、計算式は以下のとおりです。
前年繰越分(7日)+2年目の新規付与分(11日)=保有日数(18日)
この18日のうち、2年目の間に従業員が12日を取得したとしましょう。
取得した12日は、まず前年度繰越分の7日から消費され、残りは5日です。残り5日の取得分が、本年度の新規付与分11日から消費され、残りは6日となります。
このケースでは、前年度付与の7日分はすべて消化されたため、時効で消滅する有給はありません。
4-3.3年目
前年度から繰り越された日数と、3年目の新規付与分が合算されます。
3年目スタート時の保有日数:前年繰越分+3年目の新規付与分
たとえば、前年繰越分が6日、3年目の新規付与分が12日の場合、計算式は以下のとおりです。
前年繰越分(6日)+3年目の新規付与分(12日)=保有日数(18日)
加えて、3年目末の繰越と消滅する繰越分についても確認しましょう。
たとえば、3年目の間に5日を消化した場合、前年繰越分の6日から5日消費し、残りが1日となり3年目末で時効により消滅します。なお、3年目に付与された12日分は4年目に繰り越されます。
5.有給休暇の繰り越しに関するポイント
本章では、繰り越しのルールを適用するにあたり、企業が知っておくべき重要なポイントを見ていきましょう。
5-1.繰り越した有給休暇は先に消化されるのが一般的
従業員が有給を取得する際、一般的には、時効が迫っている繰り越し分を優先して消化させるのが慣習です。古い有給を先に使わないと時効で消滅してしまうため、労働者の権利保護の観点からも合理的な方法といえるでしょう。
ただし、法律で消化順序を定めているわけではないため、取得ルールは就業規則に明記しておくのがおすすめです。
5-2.繰り越しをしないのは法律違反
労働者は、2年の時効まで有給を請求する権利をもっています。
労働者の権利を無視し、企業が「繰り越しは認めない」と一方的に定めることは、労働基準法に違反する行為です。従業員に取得させられなかった残日数は、必ず翌年に繰り越しましょう。
5-3.パートから正社員になっても有給休暇は消滅しない
雇用形態が途中で変わった場合でも、有給休暇の権利は継続します。
たとえば、パートから正社員へ登用された場合、パートとして勤務していた間に付与された有給休暇の権利は消滅せず、形式的に退職手続きをとったとしても引き継がれます。正社員からパートに変更した場合も同様です。
勤続年数も通算されるため、注意しましょう。
6.有給休暇の扱いについて企業が気をつけたいこと
有給休暇の適切な管理は、法律遵守(コンプライアンス)と、従業員の健康を守るうえで非常に大切です。ここでは、有給休暇の扱いについて気をつけるべきことを解説します。
6-1.年5日の取得義務がある
2019年4月より、企業にはすべての従業員に対して、年間で最低5日の有給休暇を取得させることが義務付けられました。
有給休暇の取得義務は、繰り越しによって有給残日数が増えても変わりません。企業は、従業員の取得状況を把握する必要があります。取得が5日未満の社員には、本人の希望を考慮したうえで時季を指定し、取得させるなどの措置をとらなければいけません。
6-2.付与日の統一は労働者の不利益にならないようにする
企業は、有給休暇の付与日(基準日)を独自に設定することが可能です。
本来、有給休暇は、従業員の入社日から6カ月が経過した日を最初の付与日とし、以降は1年ごとに所定の日数を与えるのが原則です。
しかし、従業員の入社日ごとに有給を付与すると管理が煩雑になるため、企業側で付与日を全社員統一することが認められています。
なお、付与日を統一する際に、本来の付与日より遅く設定することは、労働者の不利益になるため認められません。付与日を統一する場合は、就業規則にその旨を規定し、従業員の不利益にならないよう配慮する必要があります。
6-3.最大保有日数を超えて付与しても問題ない
労働基準法上の最大保有日数は40日ですが、企業が独自に設ける特別休暇などで、40日を超えて有給を付与・保有させることは、法律上問題ありません。法定を超える有給は企業の福利厚生と見なされるためです。
特別休暇の例として「傷病休暇」や「リフレッシュ休暇」が挙げられます。2年間の時効が成立して消滅した有給を、従業員のために特別休暇として積み立てる仕組みです。
上記の制度があれば、従業員は病気や怪我などで長期の療養が必要になった際に、有給休暇がなくても、積み立てた休暇を使って安心して休めます。
従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
6-4.正確な管理と取得しやすい環境づくりを行う
法律違反を避けるためには、付与・繰り越し日数の正確な管理が重要です。また、従業員が「仕事が忙しいから」と有給を諦め、時効で消滅させてしまう事態を避ける必要もあります。
計画的付与制度の導入や、適切な人員配置による業務分担の見直しなど、従業員がスムーズに有給を取得できる環境づくりを行いましょう。結果的に、企業のコンプライアンスを守ることにつながります。
なお、計画的付与制度とは、企業側が従業員の有給取得日をあらかじめ割り振れる仕組みのことです。年次有給休暇のうち、従業員が自由に取得できる5日間以外の日数について決められます。
計画的付与制度を実行するには、企業と労働者代表の間で労使協定を締結しなくてはいけません。
7.有給休暇の取得状況の管理は「バクラク勤怠」で手間なくできる
有給休暇には2年間の時効があります。従業員が付与された日から1年以内に有給を消化しきれなかった場合、残った日数は翌年に繰り越されます。
しかし有給休暇の付与や繰り越し、年5日の取得義務の管理は、従業員数が増えるほど人事労務担当者の負担になり、Excelなどでの手動管理では限界があるでしょう。
バクラク勤怠を導入すれば、法改正に対応した正確な有給管理と、従業員が有給を取得しやすい環境づくりを同時に実現可能です。
出勤簿の画面では有休取得義務日数や残日数が自動で計算され、一目で確認できるため、企業は年5日の取得義務を確実に履行できるでしょう。
また、自社の基準で有休消化日数の少ない社員を特定し、自動で通知を送れるため、管理者が手動で取得を促す手間が省けます。
休暇の申請や承認作業は、Slack上で完結し、従業員も管理職もストレスなく手続きを進められるため、有給が取得しやすい環境も整います。
有給の取得義務の管理を効率化し、従業員が安心して働ける環境を構築するために、ぜひバクラク勤怠の活用をご検討ください。
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