
深夜手当とは?計算方法をケース別の具体例とあわせて解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-10-07
- この記事の3つのポイント
- 深夜手当は、深夜帯の労働に1時間あたりの賃金の25%以上を上乗せする制度である
- 深夜手当の計算方法は給与形態により異なるため、1時間あたりの賃金を正しく把握することが重要
- 18歳未満の深夜労働や裁量労働制・固定残業代制度における手当支給などに注意する
深夜労働が発生する職場では、深夜手当を正しく計算しなければいけません。しかし、給与形態や残業・休日出勤の有無により計算方法が異なるため、注意が必要です。
本記事では、深夜手当の計算方法を具体例とともに解説し、割増率や支給時の注意点も紹介します。
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深夜手当とは?計算方法をケース別の具体例とあわせて解説
深夜手当とは?
深夜手当とは、午後10時から午前5時までの時間帯に労働した従業員に対し、1時間あたりの賃金の25%以上の割増賃金を支払う制度です。なお、厚生労働大臣の承認により、午後11時から午前6時までとなる場合もあります。
たとえば時給1,000円のケースでは、深夜手当は1,000円×0.25=250円となり、深夜労働1時間あたり1,250円以上が支給義務です。
割増率は労働基準法第37条第4項で定められており、違反すると法的処罰の対象です。深夜労働は生活リズムの乱れや健康リスクを伴うため、割増賃金は従業員保護の観点から設けられています。
夜勤手当との違い
深夜手当と夜勤手当の主な違いは、法律上の支払い義務の有無です。
夜勤手当は企業が任意で設定する賃金であり、支給の有無や金額、計算方法は会社によって異なります。夜勤1回につき一定額を支給する場合や、勤務時間に応じて支給する場合があるほか、夜勤手当を深夜手当と同じ意味で設けている会社もあります。
ただし、夜勤手当が支給されていても、法定の深夜手当を満たしているとは限りません。手当の扱いについては、就業規則や給与規程を確認することが重要です。
時間外手当との違い
時間外手当とは、法定労働時間を超えて労働した場合などに支払われる割増賃金です。労働基準法第32条では、原則として休憩時間を除き、1日8時間・1週間40時間を超えて労働させてはいけないと定められています。
法定労働時間を超えた場合は原則25%以上、さらに1カ月の時間外労働が60時間を超えた部分には50%以上の割増賃金の支払いが必要です。月60時間を超える時間外労働への割増率は、2023年4月から中小企業にも適用されています。
一方、深夜手当は労働時間の長さではなく、午後10時から翌午前5時までの時間帯に働いた場合に発生します。
時間外労働と深夜労働が重なる場合は、割増率の合算が必要です。通常の時間外労働では50%以上、月60時間を超える時間外労働では75%以上割増されます。
深夜手当の計算方法
深夜手当の計算方法は、月給制・時給制・日給制などの給与形態によって異なります。正しく計算するためには、1時間あたりの賃金を把握することが重要です。
本章では、給与形態ごとの計算方法を具体例とあわせて見ていきましょう。
月給制の場合
月給制の場合は、月給を1カ月の平均所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金を算出します。月平均所定労働時間は、一般的に以下の計算式で求めます。
(365日-年間休日数)×1日の所定労働時間÷12カ月=月平均所定労働時間
たとえば、月給25万円・年間休日125日・1日の所定労働時間8時間の場合、月平均所定労働時間は160時間です。1時間あたりの賃金は1,562.5円であり、深夜労働8時間の深夜手当は「1,562.5円×25%×8時間=3,125円」です。
なお、1時間あたりの賃金は家族手当や通勤手当など、法令で定められた除外対象の手当を除いて計算します。また1カ月の割増賃金総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げる処理が認められています。
月平均所定労働時間については、以下の記事をご覧ください。
時給制の場合
時給制の場合は、設定されている時給を基準に深夜手当を計算します。計算式は以下のとおりです。
深夜手当=時給×25%×深夜労働時間
たとえば、時給1,200円で当月に30時間の深夜労働をした場合、深夜時間帯の1時間あたりの支給額は「1,200円×1.25=1,500円」です。「1,200円×25%×30時間=9,000円」であり、通常の賃金とは別に9,000円の深夜手当が発生します。
日給制の場合
日給制の場合は、日給を1日の所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金を算出してから深夜手当を求めます。計算式は以下のとおりです。
深夜手当=(日給÷1日の所定労働時間)×25%×深夜労働時間
たとえば、日給10,000円・1日の所定労働時間8時間のうち4時間が深夜労働だった場合、1時間あたりの賃金は1,250円です。したがって、深夜手当は「1,250円×25%×4時間=1,250円」であり、日給と合わせた支給額は11,250円です。
残業時間の概要や計算方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:時間外労働とは?定義や法改正された上限規制内容、計算方法を解説
深夜時間帯における残業や休日出勤には追加の割増賃金が発生
深夜帯に残業(法定労働時間超の労働)が発生したら、時間外割増(25%以上)と深夜割増(25%以上)が加算され、合計50%以上の賃金支払いが必要です。
たとえば、時給1,000円で深夜残業した場合、1時間あたり1,500円以上の賃金支払いが求められます。
法定休日の場合は、休日割増(35%以上)を手当として支給しなくてはいけません。ただし、あらかじめ振替休日を設定していた場合は、支給対象から外れるため注意しましょう。
なお、休日出勤が深夜帯に及ぶと、休日割増(35%以上)と深夜割増(25%以上)が両方適用され、合計60%以上の支給が義務付けられます。
割増賃金の計算例については、以下の記事でも紹介しています。
深夜労働に関わる手当の計算方法
本章では、深夜労働に関わる手当の計算方法を解説します。
所定労働時間に深夜労働が含まれる場合や、残業が深夜労働時間帯に及んだ場合、休日出勤が深夜労働時間帯に及んだ場合について、それぞれ見ていきましょう。
所定労働時間に深夜労働が含まれる場合
所定労働時間内に深夜帯が含まれる場合は、午後10時から翌午前5時までの時間帯に25%以上の割増賃金が発生します。たとえば、所定労働時間が午後4時から午前0時までの従業員は、午後10時以降の2時間が深夜労働の割増対象です。
具体的には、日給8,000円・労働時間8時間の場合、1時間あたりの賃金は「8,000円÷8時間=1,000円」です。そのため、午後10時から午前0時までの2時間に対する深夜割増分は「1,000円×0.25×2時間=500円」となります。
上記のようなケースでは、深夜時間帯の開始時刻を厳密に把握しなくてはいけません。打刻システムを導入するなど、正確な記録を取ることが不可欠です。
残業が深夜労働時間帯に及んだ場合
定時終了後の業務が深夜帯に及ぶと、時間外割増と深夜割増が同時に適用されます。時給1,800円で午後9時から午前2時(深夜の2時)まで残業する例を見ていきましょう。
午後9時から10時までの1時間は時間外割増25%が適用されるため、割増分は「1,800円×0.25×1時間=450円」です。さらに午後10時から午前2時までの4時間は深夜割増25%も加わり、割増率は合計50%となります。「1,800円×0.5×4時間=3,600円」です。
したがって、追加で支給する割増分は「450円+3,600円=4,050円」となります。午後10時をまたぐ残業では、時間外労働と深夜労働が重なる時間帯を正確に把握して計算しましょう。
休日出勤が深夜労働時間帯に及んだ場合
休日出勤が深夜労働時間帯に及ぶと、60%以上(休日割増35%以上+深夜割増25%以上)の割増が適用されます。
休日に午後9時から午前3時まで6時間勤務した例を見ていきましょう。
上記のケースでは、休日割増と深夜割増が重複する午後10時〜午前3時の5時間分に合計60%以上の割増が適用されます。
たとえば時給2,000円の場合、深夜時間帯の1時間あたりの時給は最低3,200円(2,000円×1.6)であり、5時間で16,000円が支給対象です。60%以上の割増は、休日と深夜の条件が重なる時間帯のみが対象となる点に注意しましょう。
休日出勤手当については、以下の記事でも詳しく解説しています。
深夜労働に対する手当で注意したいポイント
本章では、深夜労働に対する手当で、注意したいポイントを4つ紹介します。
18歳未満の深夜労働禁止
満18歳未満の午後10時から午前5時の深夜労働は原則禁止です。労働基準法第61条において「満18歳に満たない者を午後10時から午前5時まで労働させてはならない」と決められているため、注意しましょう。
高校生を含む年少者の就労では、学業や成長への影響を考慮すべきとされています。深夜労働は健康被害リスクが高いため、違反すると罰則対象です。
ただし、災害その他の緊急時や交替制業務(16歳以上男性)、農林水産業や保健衛生の事業に従事しているケースなど、例外はあります。
裁量労働制における手当の支給
裁量労働制でも、深夜帯に労働した場合は割増賃金の支払いが義務付けられています。裁量労働制とは、実際の労働時間が長時間に及んだとしても、あらかじめ労使間で決められた時間を労働時間とする制度のことです。
会社が裁量労働制を採用しており、みなし労働時間が適用されたとしても、実労働時間が深夜に及べば25%以上の割増が必要です。
管理監督者は、時間外・休日割増の適用は除外されますが、深夜割増賃金は支払義務があります。裁量労働制において残業代が発生するケースの紹介と、計算方法については以下の記事をご覧ください。
関連記事:裁量労働制は残業代が出ない?発生するケースと計算方法を解説
固定残業代制度における手当の支給
固定残業代制度はみなし残業代制とも呼ばれています。実際の残業時間にかかわらず、あらかじめ決められた時間分の残業代を、毎月の給与に含めて支払う制度のことです。
固定残業代(みなし残業代)を導入していても、深夜労働分は別途割増賃金を支給する必要があります。
固定額に深夜分が含まれていない限り、実労働時間に基づく追加支給が必須であり、制度設計時に深夜割増の扱いを明文化することが重要です。
固定残業代制度(みなし残業代制)と似た言葉にみなし労働時間制があります。固定残業代との違いやメリット・デメリットについても解説していますので、以下の記事で確認しましょう。
関連記事:固定残業代とは?みなし労働時間制との違いやメリット・デメリットを解説
管理職への深夜手当の支給
管理監督職は時間外割増の対象外です。管理職になると残業代が出ない代わりに基本給や手当が上がるのが一般的です。しかし、一般職の残業代込みの手取りのほうが多く、逆転が起こるケースも珍しくありません。
なお、深夜労働に対する25%の割増賃金の支払いは、義務であることに留意しましょう。健康保護の観点から例外なく適用され、未払いだと労働基準法違反となります。
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深夜時間帯における残業や休日出勤には追加の割増賃金が発生します。所定労働時間に深夜労働が含まれる、休日出勤が深夜労働時間帯に及ぶなど、状況によって計算方法はさまざまです。
賃金の支払いミスをなくすためにも、従業員が何時から何時まで働いたか、確実に把握しなくてはいけません。深夜労働の適切な管理には、勤怠状況のリアルタイム把握が不可欠です。
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