有給休暇はいつ消滅する?リセットされる日数や繰り越しのルールを紹介

有給休暇はいつ消滅する?リセットされる日数や繰り越しのルールを紹介

有給休暇は労働者がもつ権利の一つですが、請求権を行使しないまま時効を迎えると、消滅するため注意が必要です。 本記事では、有給休暇の付与・消滅のタイミングや、繰り越し・買い取りのルールについて詳しく解説します。企業が罰則の対象になりうるケースや、従業員に有給休暇を消化してもらう方法も紹介しますので参考にしてください。

1.有給休暇が付与される日・消滅する日

有給休暇は、以下2つの要件を満たした従業員に対し、法定の日数が付与されます。

  • 全労働日の8割以上出勤していること
  • 雇入れの日(入社日)から6カ月が経過していること

基準日や付与日は、前倒しであれば変更しても問題ありません。複数の従業員の基準日を統一すると、企業側は有給休暇の取得進捗を管理しやすくなるメリットがあります。

有給休暇が消滅するのは、付与日を起算日とした2年後です。有給休暇の請求権を2年間行使しなかった場合、時効によって消滅する旨が労働基準法第115条に記載されています。

付与後に消化しないまま2年が経過した有給休暇は、取得の権利を失うため注意しましょう。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法第115条

なお、有給休暇の付与日数は雇用形態によって異なります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

関連記事:有給休暇とは?法律上の最大付与日数やタイミング・ルールについて解説

2.有給休暇の消滅日数の考え方

初年度は入社から6カ月、次年度以降は毎年4月1日に有給休暇を付与する企業を例に挙げます。このケースにおける消滅日数の考え方を見ていきましょう。

2025年6月1日にフルタイム労働者として入社した場合、従業員に有給休暇が付与されるタイミングは以下のとおりです。

  • 入社から6カ月後の2025年12月1日に、有給休暇が10日付与される
  • 2026年4月1日に11日、2027年4月1日に12日がそれぞれ付与される

初年度に付与された有給休暇10日の消滅日は、2年後の2027年12月1日です。2回目に付与された11日は2028年4月1日、3回目の12日は2029年4月1日に消滅します。

3.有給休暇の消滅は法改正の対象外

2020年4月の法改正で、労働基準法における賃金の消滅時効が原則5年(当面の間は3年)に引き上げられています。対象は未払いの残業代や休業手当、給与などのさまざまな賃金で、法改正以降、従業員は過去の未払い賃金を請求しやすくなったといえるでしょう。

しかし、消滅時効の引き上げに関する法改正に、有給休暇の時効は含まれていません。有給休暇の消滅時効を引き上げることで、消化の先延ばしが生じる可能性があり、従業員の権利を脅かしかねないためです。

有給休暇の取得は労働者を守るために労働基準法で定められたルールのため、消滅時効に注意しながら適切に取得しましょう。

4.有給休暇の繰り越しルール

年度内に消化できなかった有給休暇は、次年度に繰り越しが可能です。本章では、有給休暇の繰り越しルールについて解説します。

4-1.有給休暇の繰り越しは1回のみ

消化できなかった有給休暇は、次年度に1回のみ繰り越しが可能です。たとえば、2025年12月1日に付与された有給休暇が5日残った場合、翌年は2026年12月1日に付与される11日と合わせて16日の有給休暇を保有できます。

4-2.繰り越し可能な最大日数

1年間に付与される有給休暇は最大20日で、年5日の取得義務があることから、翌年には最大15日の繰り越しが可能です。当年・翌年ともに最大日数の20日が付与された場合、繰り越し分と新規付与分の合計で、35日の有給休暇を保有できます。

ただし、繰り越された前年分の有給休暇のみを消化した場合、当年度の新規付与分(20日)をすべて翌年に繰り越せます。つまり、繰り越し可能な最大日数は20日です。

最大保有日数は、次年度の新規付与分(20日)と合計した40日であることも理解しておきましょう。

4-3.時間単位年休の有給も繰り越し可能

時間単位年休は、年間5日分までの有給休暇を時間単位で取得できる制度です。時間単位年休も繰り越しが可能ですが、取得の上限は繰り越し分を含む5日以内のため注意が必要です。

たとえば、所定労働時間が8時間の企業において、従業員が有給休暇1日と時間単位年休4時間分を繰り越したとします。次年度に20日の有給休暇が付与された場合、当該従業員の保有日数は21日と4時間です。

ただし、次年度に取得できる時間単位年休は5日分(40時間)のみです。繰り越した4時間分との合計(44時間)ではないため、注意しましょう。

4-4.時効が早い有給から消化される

有給休暇は消滅時効が早いものから消化されるのが一般的ですが、消化の優先順位に法的な決まりはありません。

たとえば、前年の繰り越し分15日と当年の新規付与分20日で、合計35日の有給休暇を保有する従業員がいたとします。当該従業員が有給休暇を5日取得した場合、基本的には前年分から5日を差し引き、新規付与分の20日は翌年に繰り越されるのが基本の考え方です。

5.有給休暇の消滅に関して企業が罰則を受ける可能性があるケース

有給休暇の取り扱いを誤ると、労働基準法違反で罰則を受ける可能性があります。罰則対象に該当するのはどのようなケースか、詳しく見ていきましょう。

5-1.付与されてから2年以内に消滅させた

有給休暇は、付与から2年間保有できることが労働基準法で定められています。そのため、企業側の独断で時効を2年以内に短縮することは認められません。雇用契約書や就業規則に記載しても、無効となるため注意が必要です。

ただし、企業独自のルールとして、時効を2年以上に設定することは問題ありません。労働基準法の定めは最低基準であり、労働者が有利になる条件への変更は原則認められることを知っておきましょう。

5-2.正当な理由なく有給休暇を消化させた

正当な理由なく、企業の都合で従業員に有給休暇を消化させてはいけません。たとえば、以下のような日に有給休暇を取得させた場合、労働基準法に抵触する可能性があります。

  • 設備機器の不具合による休業日
  • 閑散期などで来客減少が見込まれる日

有給休暇は、従業員の自由な意思に基づいて取得するものです。企業の都合による働きかけで、労働者の権利を侵害しないように注意しましょう。

5-3.年5日の取得義務を怠った

有給休暇は、付与日数が10日以上のすべての従業員に、年5日以上の取得義務があります。5日以上取得できなかった場合、違反者1人につき30万円以下の罰金が企業側に科せられます。

有給休暇の取得義務や保有日数について理解できていない従業員がいる可能性も踏まえて、企業側は各従業員の取得進捗を適切に管理しましょう。期限間際の無理な取得は事業運営に影響することもあるため、計画的な有給消化が求められます。

有給消化が法律で義務化された背景や注意点について理解を深めたい方は、以下の記事をご一読ください。

関連記事:有給消化のルールとは?法律で義務化された背景や注意点を解説

6.有給休暇の買い取りは企業による

有給休暇の買い取りは、労働者の権利を奪うとみなされることから原則違法です。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、買い取りが認められます。

  • 有給休暇が消滅時効を迎えた場合
  • 退職時に未消化の有給休暇がある場合
  • 労働基準法で定められた日数以上の有給休暇を付与している場合

有給休暇の買い取りに関するトラブルを回避するには、自社の運用ルールを従業員に明示することが重要です。買い取りの条件・金額を記載した書面を作成し、従業員の同意を得たうえで手続きを進めましょう。

7.従業員に有給休暇を消化してもらう方法

有給休暇に関する法律違反や従業員とのトラブルを避けるには、社内の環境を整えて、取得しやすい雰囲気づくりをすることが重要です。

本章では、従業員に有給休暇を消化してもらう方法を5つ紹介します。大切なポイントを理解して、自社の運営に活かしましょう。

7-1.計画年休や時季指定を取り入れる

有給休暇を消化してもらう方法の一つに、計画年休や時季指定の活用があります。計画年休は、企業側が有給休暇の取得日をあらかじめ指定できる制度で、労使協定の締結と就業規則による定めがあれば導入が可能です。

計画年休には、以下のような方式があります。

  • 事業内容などに応じて全従業員に同一の日を指定する方法
  • 班・グループごとに異なる日を指定する方法
  • 従業員ごとに個別で指定する方法

計画年休を導入すると、企業側は有給休暇の取得進捗を効率的に管理でき、年5日の取得義務を果たしやすくなります。企業から事前に指定されることで、気軽に有給休暇を取得できる従業員側のメリットもあるでしょう。

なお、計画年休に指定できるのは、取得義務分を除く日数のみです。従業員が自由な意思で取得できるように、5日分は留保する必要があります。従業員の意向を確認しつつ、計画的な付与を行いましょう。

7-2.従業員に合わせて柔軟な取得方法を検討する

周囲への配慮から、有給休暇の取得を躊躇する従業員もいるでしょう。従業員が気兼ねなく休暇をとるには、半日または時間単位の取得を促すのが効果的です。

時間単位年休は、労使協定の締結と就業規則による定めがあれば、年間5日まで取得可能です。たとえば、消化義務のある5日分の有給休暇を、半日単位で10回取得しても問題ありません。

「午前中のみ」「4時間のみ」など、柔軟な取得方法を検討・提案することで、従業員は仕事とプライベートを両立しやすくなるでしょう。

7-3.積立有給休暇を導入する

積立有給休暇とは、本来2年で消滅する有給休暇を積み立てる制度のことです。

積立有給休暇を導入することで、従業員の定着率の向上が見込めます。福利厚生の一環として社外へアピールすれば、企業のイメージアップや求職者への訴求力向上にもつながるでしょう。

なお、積立有給休暇の導入に法的な決まりはなく、労働基準法の範囲内で企業独自のルールを設定できます。取得日数や理由に制限を設ける企業もあるため、就業規則を事前に確認しましょう。

7-4.属人化をなくし取りやすい環境を整える

業務が属人化していると、従業員が有給休暇を取得しにくくなります。従業員と定期的に面談を行い、業務量や休暇取得中の代理担当者などを確認しておくことが重要です。

日頃から、個人ではなく部署全体で業務の遂行や情報共有を行い、社内の協力体制を整えて休みやすい環境をつくりましょう。

7-5.個別に有給休暇取得進捗を管理する

企業側は各従業員の有給休暇取得進捗を確認・管理する必要があり、状況を正確に把握するには、専用システムの導入が効果的です。機能性はシステムごとに異なり、有給休暇の残日数管理機能や、残日数などを通知するアラート機能が搭載されたものもあります。

有給休暇の取得に関する自社の課題を洗い出し、必要な機能が搭載されたシステムを導入しましょう。

8.有給休暇の管理なら「バクラク勤怠」を導入しよう

有給休暇は労働者に与えられる権利の一つですが、付与から2年で消滅するため注意が必要です。企業側には、取得義務の年5日を最低ラインとした、適切な働きかけが求められます。

有給休暇の取得進捗を正確かつ効率的に管理するには、専用システムの導入がおすすめです。勤怠管理システムのバクラク勤怠は、システム上の出勤簿から、各従業員の有給休暇取得義務日数を一目で確認できます。

また、チャットツールのSlackと連携することで、打刻や勤怠承認、打刻漏れアラートなどの複数の機能を一つのツールに集約できます。自動通知の対象者や休日の種類など、あらゆる項目を企業が独自に設定できる点も特長です。

法令を遵守しつつ、従業員に有給休暇のスムーズな取得を促したい方は、バクラク勤怠の導入をご検討ください。詳しいサービス内容は、以下のページからご覧いただけます。

Slackと連携 使いやすい勤怠管理「バクラク勤怠」

バクラク勤怠は、チャットベースでの仕事やフレックスタイム制、リモートワークといった柔軟な働き方を推進する企業の勤怠管理をサポートするサービスです。Slackと連携し、リモートワークやフレックスタイム制に対応。打刻や承認、リマインドをSlack上で完結でき、時間外労働や有給休暇の状況を一目で把握可能。ぜひお試しください。

クラウド勤怠管理システム
【バクラク勤怠】

バクラク勤怠は柔軟な働き方を推進する企業の勤怠管理をサポートするサービスです。以下よりお好みの方法でぜひ確認してみてください。