慶弔費の勘定科目は?適切に経費計上するための5つのポイントと注意点を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-11-22
慶弔費の勘定科目は、「交際費」または「福利厚生費」として仕訳するのが基本です。どちらの勘定科目を使用するのかは、渡す相手によって異なります。
この記事では、慶弔費の勘定科目を確認したい経理担当者に向け、慶弔費の仕訳や税務上のルールを解説します。具体例も挙げながら、慶弔費を適切に計上するための5つのポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
慶弔費の勘定科目は?適切に経費計上するための5つのポイントと注意点を解説
慶弔費の勘定科目は「交際費」または「福利厚生費」
慶弔費に使う勘定科目は「交際費」または「福利厚生費」」です。ただし、渡す相手によって勘定科目が違ってくるため、適切に使い分けてください。以下で交際費と福利厚生費の使い方について、それぞれ掘り下げて解説します。
相手が取引先やお得意様が相手なら「交際費」
ご祝儀や香典を渡すのが取引先やお得意様など、ビジネスで関係のある相手であれば「交際費」として計上します。交際費は、取引先との関係を築くために使用される経費です。交際費のなかには消費税が課税されるケースと課税されないケースがありますが、ご祝儀や香典などは非課税となっています。
なお、ご祝儀や香典を渡す時点で取引がなかったとしても、将来取引をする予定のある関係者であれば「交際費」としての計上が可能です。
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従業員が相手なら「福利厚生費」
ご祝儀や香典を渡す相手が自社の従業員や役員であれば「福利厚生費」として計上します。そもそも福利厚生費とは、給与や賞与とは別に、会社が従業員のために利用する費用です。福利厚生費の勘定科目は、従業員の医療や保険、厚生施設、慶弔・禍福、慰安などにかかる費用を処理するために使われます。
法人であるか、個人事業主であるかにかかわらず、福利厚生費は税金を計算するうえで損金算入することが可能です。過去に従業員・役員だった者や従業員の家族も、福利厚生費として経費処理ができる対象に含まれます。なお、福利厚生費も交際費と同様に消費税は非課税です。
慶弔費の税務上のルール
では、税務上では慶弔費をどう扱えばいいのでしょうか。交際費として扱う場合と、福利厚生費として扱う場合をそれぞれ解説します。
交際費の税務上のルール
慶弔費は、渡すのがビジネス上の相手なら交際費です。交際費の扱いは税務上、個人事業か法人かで違ってきます。個人事業は、交際費を損金算入する際の上限が設けられていません。一方で、法人は交際費の一部を損金算入できる可能性があります。法人が交際費を損金算入できるかどうかは条件によって異なるため、自社の規模に合わせて対応しましょう。
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福利厚生費の税務上のルール
従業員や役員に対して慶弔費を支払った場合は、福利厚生費の勘定科目で経費の処理を行います。個人事業者は、家族以外の従業員がいる場合のみ福利厚生の計上が可能です。法人が福利厚生費として計上するには「機会の平等性と金額の妥当性」の条件を満たす必要性があります。
慶弔費を適切に計上するための5つのポイント
慶弔費を適切に計上するためには、いくつかポイントを把握しておく必要があります。次の5つのポイントを押さえておきましょう。
事前に慶弔費支給規定を定めておく
そう頻繁なことではないとしても、自社の従業員や役員、その家族に慶事や弔事が起こることはあるでしょう。従業員に渡すご祝儀や香典を福利厚生費として処理するためには、あらかじめ慶弔費の支給に関する規定を設けておく必要があります。
福利厚生費とする場合は、全従業員を対象としてください。規定があれば出産のお祝い金や出産祝い、疾病見舞金や災害見舞金なども経費として処理することが可能です。ただし、金額は社会通念に照らし、妥当な金額を設定しなければなりません。
金額は「社会通念上で一般的」な範囲を超えないこと
慶弔費を経費として処理することに対し、上限金額は明確に定められていません。しかし、基本的に「社会通念上で一般的」であることが条件とされています。具体的な金額の目安としては、ご祝儀で30,000~50,000円、香典では5,000~10,000円程度です。
数十万円以上など、あまりにも高額な慶弔費は、税務調査で否認される可能性が高いため注意しましょう。渡す金額が高額になると、所得税や贈与税などの課税対象として判断される場合もあり、受け取った側に迷惑をかけてしまう恐れもあります。
慶弔に伴う交通費や宿泊費も経費に計上できる
結婚式やお葬式などに参列する際、会場が遠方であれば移動や宿泊を伴うこともあるでしょう。経理の処理では、移動や宿泊にかかった交通費や宿泊費も合わせて経費に計上することが可能です。ビジネス上の相手であれば、交通費や宿泊費もご祝儀や香典と同じ「交際費」の勘定科目を使います。
自社の従業員の場合、ご祝儀や香典は福利厚生費で処理しますが、交通費や宿泊費については「旅費交通費」の勘定科目です。なお、交通費や宿泊費も極端に高額になる場合は認められず、「社会通念上で一般的」な範囲の金額であることが求められます。
メモや案内状の保管が必要である
出費した分を経費として計上する場合、一般的には領収書などが必要になります。しかし、結婚式やお葬式に参列した際、通常はご祝儀や香典に対する領収書は発行されません。ご祝儀や香典を経費として処理をする場合は、渡したという何らかの証明が必要です。
式に参列したことが分かるよう、案内状や席次表、会葬礼状などを保管しておきましょう。支払った日付や金額、相手の名前や内容などもメモしておくか、出金伝票を作成しておくと証拠として使えます。
慶弔見舞金申請書を用意しておく
先述したように、ご祝儀や香典を福利厚生費として処理することを前提とし、社内で慶弔費の支給に関する規定を設けておく必要があります。その際、慶弔見舞金申請書などのフォーマットも準備しておくと手続きがスムーズです。
慶弔見舞金申請書には、申請者の所属や氏名、慶弔金の種類、金額、支給の理由や事柄の発生年月日など、自社の事情を考慮して必要事項を含めましょう。フォーマットを使って従業員や役員が自分で慶弔費を申請し、確認のうえ問題がなければ支出する流れです。
慶弔費の注意点
慶弔費を経費として処理する際、いくつか気をつけておくべきポイントもあります。以下の2つの注意点も把握しておきましょう。
経費にできるのはビジネスで関係のある相手のみ
慶弔費を経費にできるのは、あくまでもビジネスで関係のある相手のみです。自社と関係があれば企業や団体はもちろん、個人であってもかまいません。取引先の慶弔に対し、自社も含めた同業者などが共同で渡す場合、その分担費用も交際費として計上できます。
一方、親族や友人など個人的な付き合いの相手に渡す慶弔費は、基本的に経費にはできません。ただし、親族や友人であっても、ビジネスに関係しているのならば、経費として計上できるケースもあります。
交際費に計上できない場合がある
社外の人に対する慶弔費であっても、税務上は交際費として計上できない場合もあるため注意が必要です。具体的な例として、以下のようなケースがあります。
- 自社の従業員と同等の事情にある専属下請先の従業員
- 特約店のセールスマンに対するもの
- 取引先が災害に遭い、被災前の取引関係の維持・回復を目的に支出する災害見舞金
交際費は、基本的に得意先や仕入先などに対し、接待や供応、慰安や贈答のために支出する費用を指します。専属下請先の従業員や特約店のセールスマンなどは、ビジネスに関係があるといっても対象にはならないため、税務上は交際費になりません。また、災害を受けた取引先に対する災害見舞金なども、税法上は交際費に該当しないと規定されています。
慶弔費に関する仕訳の具体例
ここからは、慶弔費をどう仕訳すればいいのか確認していきましょう。以下で具体的な仕訳の例を4つのシチュエーション別に挙げます。
例1:従業員の結婚に対するご祝儀
従業員の結婚に際し、ご祝儀として3万円を渡した場合の仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
福利厚生費 | 30,000 | 現金 | 30,000 |
例2:取引先の上場に対するご祝儀
取引先の企業が上場するにあたり、ご祝儀として5万円を渡した場合の仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
交際費 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
例3:身内に不幸があった従業員に対する香典
身内に不幸があった従業員に対し、香典として1万円を渡した場合の仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
福利厚生費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
例4:取引先役員の葬儀に持参した香典
取引先役員の葬儀に参列し、その際に香典を1万円持参した場合の仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
交際費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
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