収入印紙に割印は必要?正しい押印方法や割印がない場合のペナルティを解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-11-15
文書を発行する際、取引金額によっては収入印紙が必要になります。しかし、収入印紙に割印がなくても問題はないのか、手続きを間違ったときのペナルティはあるのかと、疑問を抱える人は多いのではないでしょうか。この記事では、収入印紙の割印について、割印がない場合に課される過怠税やその金額、割印が必要な理由、割印の押し方などを解説します。割印に失敗した際の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
収入印紙に割印は必要?正しい押印方法や割印がない場合のペナルティを解説
収入印紙に割印が必要な理由とは?
収入印紙に割印が必要な理由は、法律(印紙税法第8条第2項)で定められているためです。また、再利用を防ぐためにも、収入印紙には割印が求められます。割印があれば、印紙を剥がして他の文書に使用することが不可能になるためです。割印が押されていなければ、印紙税を納付したことにならないため、必ず押印しましょう。
収入印紙については、以下の記事も参考にしてください。
割印なし・誤った押印方法の収入印紙は「過怠税」が課される
収入印紙に割印がない場合や、不適切または誤った方法で押印されている場合、発行側に過怠税が課されます。過怠税が課される理由は、印紙税法に違反するためです。詳しくは後述しますが、本来の印紙税額よりもはるかに高額な過怠税を命じられる場合もあります。高額な罰金を避けるため、正しい方法で慎重に割印を押しましょう。
なお、割印は発行側の法的義務であり、受取側に対するペナルティはありません。
割印なしの収入印紙に課される過怠税の額
「印紙の額面に相当する金額」の過怠税が課される
収入印紙に割印が押されていない場合、印紙の額面と同額の過怠税が課されます。例えば、印紙の額面が400円の場合は、過怠税400円が徴収されます。単に収入印紙を貼るだけではなく、正しい方法で割印を押し、ペナルティを回避しましょう。
収入印紙の貼付忘れは「印紙税額の3倍」の過怠税が課される
収入印紙を貼付し忘れた場合、納めるべき印紙税額の3倍にあたる過怠税が課されます。過怠税は、本来納めるべき印紙税額に加えて、その2倍に相当する金額が追加で課されるためです。
例えば、本来400円の収入印紙を貼付すべき文書に印紙を貼り忘れた場合、過怠税は以下のように算出されます。
- 本来の印紙税額:400円
- 追加される税額:400円×2=800円
- 過怠税:400円+800円=1,200円
高額な過怠税の支払を防ぐために、収入印紙の貼り忘れがないよう徹底しましょう。
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印紙税不納付事実申出書を提出した場合は「印紙税額の1.1倍」の過怠税が課される
収入印紙の貼付忘れに自主的に気づき、所轄税務署長に印紙税不納付事実申出書を提出した場合、過怠税は印紙税額の1.1倍に軽減されます。この軽減措置は、納税者の自主的な申告と是正を奨励するためのものです。例えば、本来400円の収入印紙を貼付すべきだった場合、印紙税不納付事実申出書を提出すると、過怠税は440円となります。
ただし、印紙税不納付事実申出書は、税務調査が始まる前に提出しなければ軽減措置を受けられません。収入印紙の貼付忘れに気がついたときは、早めに対応しましょう。
収入印紙の割印の正しい押し方と印鑑の種類・自署のポイント
収入印紙の割印について、正しい押し方と使用可能な印鑑の種類、自署のポイントなどを解説します。法令遵守のために理解しておきましょう。
収入印紙・領収書にまたがるように押印する
割印は、収入印紙と領収書にまたがるように押印してください。印紙税法第8条第2項でも「当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない」と明記されているためです。法律遵守のため、必ず、適切な位置に割印を押しましょう。
誰の割印か鮮明にわかるように押印する
収入印紙への割印は、押印者が誰であるか明確に分かるように行う必要があります。誰が押印したかが分かると、収入印が貼られた領収書の信頼性が高まるためです。例えば、従業員が押印する場合は、本人の名前が明確に分かる印鑑を使用します。代表者ではなく、代理人や従業員の印鑑でも問題ありません。
ただし、契約書に貼付する収入印紙に割印をする場合は、ビジネスマナー上契約締結者本人の印鑑が推奨されます。
シャチハタやゴム印の使用も可能
収入印紙の割印には、実印に限らず、さまざまな種類の印鑑が使用可能です。例えば、シャチハタやゴム印、社名が入っている角印、氏名が入っている日付印なども収入印紙の割印に使用できます。
手書きの場合は油性のボールペンを使用する
割印の代わりに手書きする場合は、油性ボールペンを使用し、署名者が分かるように明確に記載しましょう。油性ボールペンを使用する理由は、署名が消えないようにするためです。
以下の手書きは割印として認められないため注意してください。
- 鉛筆での記載
- 斜線や二重線のみの記載
- マル印などの記号のみの記載
- 誰のものかわからない記載
手書きでも適切に署名して、印鑑による割印と同様に、文書の有効性を確保しましょう。
収入印紙の割印に失敗した際の対処法
収入印紙への割印は慎重に行う必要がありますが、失敗することもあるでしょう。ここでは、失敗した際の対処法を解説します。
割印が不鮮明な場合は再度押印する
収入印紙の割印が不鮮明な場合、位置を変えて再度押印してください。割印の目的は、誰が押印したかを明確に示すことです。不鮮明な押印では、この目的を達成できないため、再押印が必要となります。
例えば、薄い、欠けている、ずれている状態の割印の場合は、重ねて押印するとより不鮮明になるリスクがあるため、場所をずらして押印する必要があります。なお、失敗した割印を二重線で消す必要はありません。
押印後に発行できない場合は還付制度を利用する
割印を押した後、領収書の書き損じなどで発行できない場合は、税務署で還付制度を利用してください。税務署の審査を通過すると、印紙税が還付されます。早急に手続きすることで、印紙税の無駄を防ぎましょう。
押印前に間違いがあれば郵便局で交換する
収入印紙を購入した後は、現金での払い戻しができない点にも注意が必要です。必要な量を十分にチェックしたうえで購入するよう注意しましょう。
ただし、現金での払い戻しはできませんが、未使用の収入印紙や課税文書ではない文書に貼られた収入印紙であれば、郵便局で他の収入印紙と交換できます。
まとめ
収入印紙に対する割印は、法律で義務付けられています。また、収入印紙の不正な再利用を防ぐためにも、割印は必要です。割印なしなど収入印紙への対応に不備がある場合、ペナルティとして過怠税が課される可能性があります。ペナルティを避けるため、収入印紙の適切な貼付と割印について理解し、適切に対応しましょう。
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