地方自治体の業務でクレジットカード決済は可能?実際の事例も紹介

地方自治体におけるクレジットカード支出の話題では、公共料金や住民税のクレジットカード納付など、住民側のメリットが注目されがちです。しかし、実は地方自治体もクレジットカードの導入で大きなメリットがあります。支出管理が容易になり、業務効率の向上や不正防止にも役立ちます。

この記事では、地方自治体がクレジットカードを支出管理に使用するためのポイント、導入するメリット・デメリット、導入事例を紹介します。

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地方自治体の業務でクレジットカード決済は可能?実際の事例も紹介

地方自治体でもクレジットカードなど幅広い支出方法に対応

日常生活で現金以外の支払方法が進み、現在では全国の各地方自治体でもクレジットカード決済をはじめ、キャッシュレス決済が導入されています。2006年には地方自治体法が改正され、クレジットカードで公共料金や住民税を納付できるようになりました。

地方自治体がクレジットカードを決済手段として導入することで、税金などの徴収以外にもメリットがあります。支出の処理においても有効であり、業務の効率化に伴って行政サービスの品質向上も期待できます。

クレジットカードは地方自治体が使ってもいい?

地方自治体が諸経費の支払にクレジットカードを利用するのは、地方自治体法および関係法令の規定に抵触しません。総務省の通達では、利用するクレジットカードサービスや利用させる職員への権限委任、会計管理者における支出負担行為などが留意事項として示されています。以下で詳しく解説するので参考にしてください。

※参考:地方公共団体の支出について職員をしてクレジットカードを利用させることによる場合の留意事項について(通知)|総務省

法人カードの活用を推奨

地方自治体の支出手続きでクレジットカードを使用するケースとしては、物品の購入や役務の提供を受けたときが挙げられます。その際、総務省の通達では、個人カードではなく法人カードの使用が推奨されています。実際にクレジットカードを利用する職員に対しては、その職員が名義人となる法人カードを使わせるのが適切です。

法人カードの利用に関する職員の権限とルール

クレジットカードを使用する行為は、法的にいうと契約の締結および支出負担行為と捉えられるため、使用させる職員に対しては事前に権限が委任されている必要があります。ただし、資金の前渡しを受けた職員については、その範囲内で権限委任は不要です。

物品の納入権限は会計管理者とされ、会計管理者からクレジットカードを利用する職員に権限が委譲される必要があります。クレジットカードを利用する職員自身が出納員や会計職員の場合、納入権限の委任は不要です。

職員がクレジットカードを使う際は、透明性と適正性の確保が求められます。具体的には所属長の了承を得ること、利用額や使途の制限も設けること、利用後に報告することなどです。

クレジットカード利用時の手続きと注意事項

地方自治体の職員がクレジットカードを利用する場合、購入した物品の支払処理は、店舗がクレジットカード事業者に委任する形で行わなければなりません。クレジットカード事業者の規約によっては、購入者が支払を完了するまで、商品などの所有権がクレジットカード事業者に留保されることがあります。その場合は、商品の保管と使用に注意が必要です。

支出の決定・命令と適正管理

地方自治体では、支出を決定する役割(支出負担行為)は長の担当ですが、実際の支払は会計管理者が担当します。両者が分離しているため、互いにチェックし合うことで、適切な支出が行われる仕組みになっています。

実際にクレジットカードを使う職員に対しては、支出命令や検査の権限を持たせない方がよいでしょう。万一、職員がクレジットカードを個人的なことに使い、地方自治体に損害を与えた場合は、当該職員に対して賠償を求める必要があります。なお、クレジットカードの支出は、購入した年度の予算で処理してください。

会計管理者による支出確認と管理の手順

クレジットカードでの支出命令を受けた場合、会計管理者は支出が法令や予算に違反していないか、支出に関する債務が確定しているかどうかを確認しなければなりません。加えてクレジットカード事業者から請求書が届いた際、個々の支出がどの職員によるものなのか確認が必要です。具体的な金額や利用日などを特定できるよう、事前に必要な措置を講じておきましょう。

スマホ決済サービスの利用と事務処理の透明性確保

基本的には、スマートフォンアプリでの決済サービスも法律に違反しないと考えられます。利用するかどうかは、各決済サービスの内容などに応じて適切に判断する必要があるでしょう。利用を決定した手続きについては規則を設けて明確にし、事務処理の透明性と公平性を保つことが重要です。

地方自治体でクレジットカードを活用できる具体的な場面

具体的に地方自治体がクレジットカードを利用できる場面の1つが、海外出張時の支払です。海外出張前に利用希望者からの申請を受け、目的や限度額を定めて貸与してください。出張後は報告を受けてクレジットカードも返却してもらい、クレジットカード事業者から請求が届いたら、審査を経て支出します。ほかにも、公用車のETC利用や庁舎の水道料金、少額の物品購入もクレジットカードでの支払が可能です。

地方自治体がクレジットカードで支出を管理するメリット

クレジットカードで支出を管理する大きなメリットは、現金を数えたり受け渡したりする手間がなくなることです。業務で現金のやり取りが多くなると管理が煩雑になるものの、クレジットカードが使えれば現金を管理する手間は減るでしょう。現金を紛失するリスクも抑えられます。

クレジットカードで支出を管理すれば、請求を一元化することも可能です。継続して発生する経費に関してはチェックの効率化が図れ、会計フローがスムーズになります。クレジットカードの導入で経費精算の自動化が進めば、手動での管理に比べてごまかしが効かなくなり、不正防止にも効果的です。

地方自治体がクレジットカードで支出を管理するデメリット

法人カードを利用するためには、カードを利用する職員に、支出負担行為や契約締結の権限を委任する必要があります。そのための手続きが煩雑になるのはデメリットの1つでしょう。現金などで長年管理をしてきた人にとっては、複雑だと感じる可能性もあります。

法人カードを持たせた職員が、個人的な目的でクレジットカードを不正に利用するケースも考えられます。会計責任者は支出が法令や予算に適合しているかどうか、確認しなければなりません。支出の透明性を確保するための追加手続きも必要になり、その分の業務は負担になります。

クレジットカード業者との契約条件によっては、購入した物品の所有権について、一時的とはいえカード会社に保留される場合があるのもデメリットです。物品管理に制約が生じれば、業務に支障をきたす恐れもあります。

地方自治体の支出改革に効果的なパーチェシングカード

パーチェシングカードは法人カードのなかでも、BtoB決済に利用できる購買専用のクレジットカードです。カード本体を発行しないカードレスに対応しているため、管理の手間がかかりません。任意の名義に対応しており、地方自治体での導入では、部局やプロジェクト単位で名義を決めて支払を一本化できます。

支払う用途の制限が可能であることから、不正利用の防止にも効果的です。支払先を事前に登録する必要があるものの、継続的な支払があるサービスの利用では、支払漏れを防止するのにも役立ちます。

パーチェシングカードとは?コーポレートカードとの違いも解説

 

バクラクビジネスカードを導入した三重県桑名市の事例

三重県桑名市では、生成AIなど最新テクノロジーの活用や、業務改善に向けた取り組みをしているスマート推進課で「バクラクビジネスカード」を導入頂いています。

三重県桑名市が「バクラクビジネスカード」を導入。利用通知機能と利用制限機能で、不正利用防止と会計事務のDXを推進

当初は海外のツール導入を検討していたものの、決済手段がクレジットカードに限定されていることが多く、導入したくてもできない状況があったとのことです。バクラクビジネスカードの決め手になったのは、「年会費が無料で導入ハードルが低い」点や「管理画面で細かいところまで設定することができる点」などを挙げて頂いています。

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法人向けクレカは【バクラクビジネスカード】企業の決済・精算をスムーズに

 

まとめ

地方自治体がクレジットカードを利用することは、地方自治体法や関係法令の規定に抵触しません。適正な管理や透明性の確保などが必要ですが、手間を省いて会計フローをスムーズにしたり、不正利用の防止につながったりするなど、クレジットカードで支出を管理するメリットがあります。

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