【事例別】経費精算の返金処理に必要な仕訳・勘定科目
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-13
経費精算において、返金処理が必要な事例や処理方法を知りたい方もいるのではないでしょうか。
返金処理は返金を「した」のか「受けた」のか、商品の返品有無などで仕訳方法が異なり、個別の事例で対応が必要です。
本記事では、経費精算の概要と手続きの流れ、返金処理が発生する状況、返金処理が発生した場合の仕訳・勘定科目を事例別に解説します。併せて、経費精算の効率化のポイントとバクラク経費精算サービスを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【事例別】経費精算の返金処理に必要な仕訳・勘定科目
返金が発生するのはどんなとき?
事業活動をおこなうなかでは、さまざまな場面で返金処理が発生します。具体的には、次のような状況が考えられます。
商品の返品にともない発生する返金
商品の購入がキャンセルされて返品を受けた場合や、商品を仕入れたもののキャンセルして返品した場合などに発生する返金です。
過払いや過入金により発生する返金
取引先から本来の金額より多く入金された場合や、取引先に対して多く入金した場合などに発生する返金です。
その他
上記以外には、次のような場合に返金処理が必要になります。
- 保険契約を解約し解約返戻金を受け取る
- 年末調整での所得税の還付
- 借入金の返済
- オフィスの移転にともなう敷金の返金 など
返金理由などにより勘定科目が異なるため、仕訳をおこなう際には注意が必要です。
【事例別】返金が発生した場合に必要な仕訳・勘定科目
売上代金を返金した場合
販売した商品のキャンセルにより返金したケースと、過入金により返金したケースに分けて解説します。販売した商品のキャンセルにより返金した場合
商品の購入がキャンセルされて返金した場合は、商品販売時の売り上げを取り消すか、「売上戻り」の勘定科目を用いて返金処理をおこないます。 以下は、商品販売時の売り上げを取り消す場合の例です。 ≪例≫1万円で販売した商品の購入がキャンセルされ、全額返金した場合 商品を1万円で販売して現金を受け取った際には、次のように仕訳をします。借方 | 貸方 | ||
現金預金 | 10,000円 | 売上 | 10,000円 |
借方 | 貸方 | ||
売上 | 10,000円 | 現金預金 | 10,000円 |
取引先から過入金があり返金した場合
取引先から過入金があった場合は、過入金分を「仮受金」の勘定科目で仕訳をします。仮受金は、内容が不明な入金を処理する際に、一時的に用いる勘定科目です。 ≪例≫本来の売上代金5万円に対して6万円が振り込まれ、1万円を返金する場合 本来の売上代金5万円に対して6万円が振り込まれた場合は、次のように仕訳をします。借方 | 貸方 | ||
現金預金 | 60,000円 | 売上 | 50,000円 |
仮受金 | 10,000円 |
借方 | 貸方 | ||
仮受金 | 10,000円 | 現金預金 | 10,000円 |
仕入れ代金を返金された場合
仕入れた商品のキャンセルや過払いなどで発生します。商品を仕入れたがキャンセルのより返金された場合
商品を仕入れたものの、キャンセルをして返金された場合には、仕入れを取り消す形で仕訳をします。 ≪例≫5万円で仕入れた商品の注文をキャンセルして、返金を受けた場合 商品を5万円で仕入れた際には、次のように仕訳をします。借方 | 貸方 | ||
仕入 | 50,000円 | 現金預金 | 50,000円 |
借方 | 貸方 | ||
現金預金 | 50,000円 | 仕入 | 50,000円 |
取引先へ過払いがあり返金してもらった場合
取引先への過払い金については、「仮払金」の勘定科目を用いて仕訳をします。仮払金は、内容が未確定な支払い金を処理する際に、一時的に使う勘定科目です。 ≪例≫本来の仕入代金5万円に対して6万円を振り込んでしまい、1万円の返金を受けた場合 本来の仕入れ代金5万円に対して6万円を振り込んだ場合は、次のように仕訳をします。借方 | 貸方 | ||
仕入 | 50,000円 | 現金預金 | 60,000円 |
仮払金 | 10,000円 |
借方 | 貸方 | ||
現金預金 | 10,000円 | 仮払金 | 10,000円 |
保険を解約し解約返戻金を受け取った場合
保険商品の解約にともない解約返戻金を受け取った場合は、通常「雑収入」の勘定科目で仕訳をします。 ≪例≫保険料を経費計上している保険商品を解約して、100万円の解約返戻金を受け取った場合借方 | 貸方 | ||
現金預金 | 1,000,000円 | 雑収入 | 1,000,000円 |
借入金を返済した場合
借入金は、返済期間によって勘定科目が異なります。返済期間が1年以内の借入金は「短期借入金」、1年を超える借入金は「長期借入金」の勘定科目で仕訳をします。 ≪例≫短期借入金200万円と利息2万円の合計202万円を口座から返済した場合借方 | 貸方 | ||
短期借入金 | 2,000,000円 | 普通預金 | 2020,000円 |
支払利息 | 20,000円 |
年末調整で所得税の返金をした場合
年末調整で従業員の所得税還付をする際には、「預り金」の勘定科目で仕訳をするのが一般的です。預り金は、取引先や従業員が支払うお金を、一時的に預かった場合に用いる勘定科目です。 年末調整の仕訳は、次の流れでおこないます。- 源泉所得税を毎月の給与仕訳で預かる
- 預かった源泉所得税を翌月10日までに税務署に納める
- 年末調整で過不足のある源泉所得税を調整する
給与を支払うときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
給与 | 300,000円 | 現金預金 | 237,000円 |
預り金(源泉所得税) | 6,000円 | ||
預り金(住民税) | 13,000円 | ||
預り金(社会保険料) | 44,000円 |
従業員から預かった源泉所得税を税務署へ納付する際の仕訳
借方 | 貸方 | ||
預り金(源泉所得税) | 6,000円 | 現金預金 | 6,000円 |
年末調整で1万円を従業員に還付するときの仕訳
借方 | 貸方 | ||
預り金(源泉所得税) | 10,000円 | 現金預金 | 10,000円 |
敷金に関する返金の場合
敷金は、賃借人が入居する際に、賃貸人に対して預けるお金のことです。預り金のため返金義務があり、「敷金」あるいは「差入保証金」の勘定科目を用いて仕訳をします。 上記のうち、どちらの勘定科目を用いても問題ありませんが、一度決めた勘定科目は原則変更できません。 また、敷金の仕訳方法は、返金されない償却額が事前に確定されている場合と、確定されていない場合で異なります。ここでは、償却額が確定されていない場合の仕訳を紹介します。敷金が返金された場合
預けた敷金が返金された場合は、次のように仕訳をします。 ≪例≫敷金として現金30万円を預け、返金された場合 現金30万円を敷金として預けた際には、次のように仕訳をします。借方 | 貸方 | ||
敷金 | 300,000円 | 現金 | 300,000円 |
借方 | 貸方 | ||
現金 | 300,000円 | 敷金 | 300,000円 |
借方 | 貸方 | ||
現金 | 200,000円 | 敷金 | 300,000円 |
修繕費 | 100,000円 |
敷金を返金した場合
続いて、賃貸人として敷金を受け取り、返金した場合の仕訳について解説します。敷金を受け取ったときは「預り敷金」の勘定科目を使用します。 ≪例≫敷金として現金30万円を受け取り、返金した場合 現金30万円を敷金として受け取った際には、次のように仕訳をします。借方 | 貸方 | ||
現金 | 300,000円 | 預り敷金 | 300,000円 |
借方 | 貸方 | ||
預り敷金 | 300,000円 | 現金 | 300,000円 |
借方 | 貸方 | ||
預り敷金 | 300,000円 | 売上 | 100,000円 |
現金 | 200,000円 |
出張のキャンセルにより返金を受けた場合
出張で新幹線や飛行機、ホテルなどを予約したものの、急遽キャンセルすることもあるでしょう。その際に、一部返金があった場合の仕訳について解説します。 ≪例≫航空券を4万円で購入したものの、キャンセルにより払戻手数料500円と取消手数料2,000円が差し引かれ、37,500円が返金された場合 まず、航空券を購入した際には、サービスを受けていないので「前渡金」の勘定科目を使用します。借方 | 貸方 | ||
前渡金 | 40,000円 | 普通預金 | 40,000円 |
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 37,500円 | 前渡金 | 40,000円 |
支払手数料(課税) | 500円 | ||
雑損失(不課税) | 2,000円 |
まとめ:効率良く経費精算をするなら「バクラク経費精算」がおすすめ
経費精算では、商品購入のキャンセルや取引先からの過入金など、さまざまな場面で返金処理が発生します。
返金処理の仕訳は返金を「した」のか「受けた」のか、商品を返品するかどうかなどで仕訳の処理方法が異なり、個別の事例で対応が必要です。正確さが求められるため、経理担当者の業務負担は大きいといえます。
返金処理を含め、経費精算を速く正確におこなうには、経費精算システムを導入するのも選択肢の一つです。
「バクラク経費精算」では、領収書の一括自動読み取りや二重申請自動検知、交通系ICカードの読み取りなどにより、経費精算の効率化を実現します。仕訳も自動で入力するため、返金処理をおこなう際も安心でしょう。
経費精算の負担軽減を図る際には、ぜひ導入をご検討ください。