海外出張の経費精算はどう行う?チップや為替レートの扱いや領収書の注意点
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-10-09
- この記事の3つのポイント
- 海外出張経費は ①証跡の回収 ②費用のチェック ③為替レート計算 ④会計処理の4ステップで進める
- 海外で使った経費は「TTM」や「TTS」といった外国為替レートで計算する
- 海外で支払ったチップについても用途にあわせて勘定科目の設定をする
経費を外貨で支払う場合もある海外出張は、国内出張時の経費精算とは違う処理を行います。
海外出張の経費精算は、チップや為替レートについても考慮しなくてはなりません。
また、経費が高額すぎると、税務調査で私的利用ではないかと追求される可能性があるため、費用の内容については正確に把握しておくことが必要です。
この記事では、海外出張における経費精算の手順や注意点とあわせて、経費精算業務をスムーズに行う方法も紹介します。ぜひ参考にしてください。
海外出張の経費精算手順
海外出張の経費精算には、為替レートを用いた日本円への換算作業が必要となります。換算作業以外の処理手順については、国内出張の経費精算とほぼ同様です。
海外出張の経費精算の注意点
海外出張における経費精算の注意点は、「為替レート計算」「証憑となる書類の保管」「証跡の内容を読めるようにする」の3点です。
為替レート計算
為替レートには基本的に、「TTS」「TTB」「TTM」の3種類があります。
TTS | TTB | TTM |
金融機関による外貨の販売価格(円→外貨) | 外貨の買取価格(外貨→円) | 外貨売買の基準となる数値(TTSとTTBの平均値) 仲値とも呼ばれる |
法人税法においては経費精算の為替レートについて、取引日のTTMが適用されることになっています。
しかし、それでは業務が煩雑になるため、社内で海外出張の経費に関するルールを設け、TTSの適用を規定している企業が少なくありません。
外国為替の各種レートは、以下のような銀行Webサイトで確認できます。
経費は両替時の計算書をもとに、手数料込みのレートで計算する方法が一般的です。
クレジットカードで支払いをした場合は、利用明細に記載される為替レートをもとに計算されます。
証憑となる書類の保管
海外出張者は経費精算のため、証憑となる書類をきちんと保管しておく必要があります。
領収書や明細書が残っていないと、正しい経費精算ができません。
交際費の場合は、取引相手や使用目的などを記載済みの申請書も不可欠です。
チップに関しては、領収書や明細書がないケースもありますが、いつどこで何のためにいくら支払ったのか、正確に記録しておく必要があります。
また、海外出張費は業務において必要な出張であったか税務調査で確認される場合もあります。領収書などのほかに、市場調査や商談の資料も保管して業務上の必要性を証明できるようにしておきましょう。
証跡を読めるようにしておく
経理担当者は証憑となる領収書や明細書について、内容を読めるようにしておかなければなりません。
海外出張時の領収書や明細書は、現地の言語で記されているのが一般的です。領収書や明細書をスムーズに読めるよう、高頻度で使われている単語の意味を理解しておく、使用される言語を学んでみるなど対策が必要です。
また、支払い時には経費の内容が分かっていても、帰国後の精算時には分からなくなってしまうケースも考えられます。領収書や明細書の内容が後からでも把握できるよう、出張者に簡単なメモを残しておいてもらうのもおすすめです。
海外出張における経費精算の対象とは?
渡航前にかかる経費精算対象となる費用 | 渡航中にかかる経費精算対象となる費用 |
・パスポート申請費用 ・現地までの往復航空券代 ・スーツケースなど出張に必要な物品の購入費 ・ビザ申請費 | ・移動のタクシー代 ・宿泊費 ・食事代 ・通訳・ガイド費 |
海外出張で支払ったチップ代を経費精算するには?
海外出張中に利用したレストランやホテル、タクシーなどで支払ったチップについて、業務上必要なものは経費精算の対象となります。
国によってチップが必要となるシーンや、渡し方などのルールや文化はさまざまです。
レストランやカフェといった飲食店では、支払伝票にチップが記載されている場合もあります。しかし、ホテル宿泊時の荷物運びや、部屋の掃除、タクシーの利用時には現金でチップを支払い、領収書や明細書は発行されないことが一般的です。
海外出張が多い企業では、チップの支払いをスムーズにするため、日当にあらかじめ含めているところもあります。
チップの勘定科目は用途ごとに仕訳する
海外出張でチップを支払った場合は、その用途にあわせて勘定科目を設定しましょう。たとえば、レストランのウエイターにチップを支払った場合は「交際費」や「福利厚生費」、タクシーの運転手に支払った場合は「旅費交通費」などです。
経費精算の対象にならないチップ代とは
出張中のプライベートでの飲食・観光など、業務上必要といえない場面でのチップは経費精算の対象外となります。
たとえば、同じ飲食店でも個人的に訪れて食事をした際のチップは経費精算対象外、取引先と打ち合わせを兼ねて食事をした際のチップは経費精算の対象となります。
経費精算対象外例 | 経費精算対象例 |
出張中の自由時間に、プライベートで観光した場合に支払ったチップ代 | 取引先への接待を兼ねた観光の際に支払ったチップ代 |
個人的に訪れた飲食店やルームサービスに支払ったチップ代 | 取引先や同僚とのミーティングを兼ねた食事の際に支払ったチップ代 |
海外出張における経費精算業務をスムーズに行う方法
海外出張における経費精算業務を、スムーズにするポイントについて解説します。
クレジットカードで精算する
海外出張における経費精算をスムーズにする方法の1つが、クレジットカードでの精算です。
経費をクレジットカードで支払えば、外貨の決済が指定のレートで請求され、利用明細もデータ化されるので、業務負担の削減につなげられます。
海外出張に便利な法人カードなら、リアルカードの利用で海外出張時の傷害保険が付帯する、バクラクビジネスカードがおすすめです。
インボイス制度・電子帳簿保存法などの法対応もスムーズに実現しており、海外出張の経費精算業務も楽になります。
外貨に対応した経費精算システムを導入する
外貨の自動計算に対応した経費精算システムの導入も1つの選択肢です。
経費精算システムによっては、為替レートを自動で取得し計算してくれるシステムもあります。また、経費精算システムならインターネットさえあれば、海外からでも経費精算が可能なので、出張先から手続きを進めておけます。
海外出張が長期にわたるケースでも、立替金や未精算の経費を溜めてしまわず、迅速に精算可能です。
経費精算システムを活用することで、海外出張時の経費はもちろん、日頃の業務もスムーズになり、大幅な効率化が実現できます。
事前に外貨で仮払金を渡しておく
海外出張の費用を事前に仮払金として、外貨で渡しておく方法もあります。
出張者にとっては円から外貨への交換手続きが必要なくなり、経費担当者にとっても精算業務がスムーズになる点が魅力です。出張者の帰国時に残った外貨と領収書や明細書を受け取り、精算手続きを行うため、為替レートに悩む必要がなくなります。
しかし、仮払金として外貨を渡すためには、普段から出張先の国ごとの外貨を用意しておかなくてはなりません。外貨の管理作業が発生し、手間が増える点はデメリットといえます。
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