海外出張の経費精算の方法とは?為替レートの計算や領収書がないチップの仕訳について

海外出張の経費精算は、為替レートの計算や領収書の管理、チップの仕訳などが関係し、手続きが複雑になりがちです。

本記事では、経費精算の流れや注意点を解説します。海外出張における経費精算の対象や効率化の方法についても述べているので、ぜひ参考にしてください。

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海外出張の経費精算の方法とは?為替レートの計算や領収書がないチップの仕訳について

海外出張の経費精算手順

海外出張の経費精算には、為替レートを用いた日本円への換算作業が必要です。換算作業以外の処理手順については、国内出張の経費精算とほぼ同様です。

出張旅費精算について詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:出張旅費精算とは?混同しやすい他の経費や精算の流れ・ポイントを解説

海外出張の経費精算の注意点

海外出張における経費精算の注意点を、3つ紹介します。

為替レートの計算をする

TTSTTBTTM
金融機関による外貨の販売価格(円→外貨)外貨の買取価格(外貨→円)

外貨売買の基準となる数値(TTSとTTBの平均値)

仲値とも呼ばれる

TTSは金融機関が外貨を販売する際のレートで、円を外貨に両替する際に適用されます。TTBは金融機関が外貨を買い取る際のレートとなり、TTMはTTSとTTBの平均値で、外貨取引の基準レートです。

法人税法では取引日のTTMを適用するのが原則ですが、業務の簡便化のためにTTSを採用する企業も多くあります。海外出張時の経費精算では、現金払いの場合両替時のレートが適用されます。なお両替手数料を経費とする場合は、計算書を保管することが必要です。

クレジットカード決済では、利用明細に記載されている為替レートを基に精算しますが、請求額の確定はカード会社の処理日となるため、異なる可能性があることにも注意しましょう。

経費精算では経費を使用した日のレートを適用し、後日両替を行った場合も、支払日基準で計算することが求められます。

参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「本日の為替相場

証憑となる領収書などの書類を保管する

海外出張者は経費精算のため、証憑となる書類を適切に保管しておく必要があります。領収書や明細書が残っていないと、正しい経費精算ができません。

交際費の場合は、取引相手や使用目的などを記載済みの申請書も不可欠です。チップに関しては領収書や明細書がないケースもありますが、いつどこで何のためにいくら支払ったのか、正確に記録しておきましょう。

また海外出張費は、業務において必要な出張であったか、税務調査で確認される場合もあります。領収書などのほかに、市場調査や商談の資料も保管して、業務上の必要性を証明できるようにしておきましょう。

証跡を読めるようにしておく

経理担当者は証憑となる領収書や明細書について、内容の可読性を担保する必要があります。海外出張時の領収書や明細書は、現地の言語で記されているのが一般的です。

領収書や明細書をスムーズに読めるよう、高頻度で使われている単語の意味を理解しておく、使用される言語を学んでみるなどの対策が必要です。

また、支払い時には経費の内容がわかっていても、帰国後の精算時にはわからなくなってしまうケースも考えられます。領収書や明細書の内容が後からでも把握できるよう、出張者に簡単なメモを残してもらうのもおすすめです。

海外出張における経費精算の対象

海外出張にかかる費用のうち、業務に関連するものは経費精算の対象です。経費は大きく分けて、渡航前に発生するものと渡航中に発生するものがあります。

<渡航前の経費精算対象となる費用>

  • パスポートの申請費用
  • ビザの申請費用
  • 出張に必要な物品の購入費(スーツケースや変換プラグなど)
  • 現地までの往復航空券代

<渡航中の経費精算対象となる費用>

  • 移動のタクシー代 
  • 宿泊費
  • 食事代
  • 通訳
  • ガイド費

海外出張の経費精算は国内出張と基本的な考え方は同じですが、海外出張では経費精算を行う際に明確な社内規定を設け、精算対象となる費用の基準を定めることが重要です。

たとえば観光や個人的な土産代などの私的な出費が経費に含まれないよう、明確な規定を設定しましょう。

海外出張で支払った領収書のないチップ代も経費になる

海外出張中に利用したレストランやホテル、タクシーなどで支払ったチップについて、業務上必要なものは経費精算の対象となります。

国によってチップが必要となるシーンや、渡し方などのルールや文化はさまざまです。レストランやカフェといった飲食店では、支払伝票にチップが記載されている場合もあります。

しかし、ホテル宿泊時の荷物運びや、部屋の掃除、タクシーの利用時には現金でチップを支払い、領収書や明細書は発行されないことが一般的です。

海外出張が多い企業では、チップの支払いをスムーズにするため、日当にあらかじめ含めているところもあります。

海外出張中であっても経費の対象にならないチップ代もある

出張中であっても、プライベートの飲食・観光など、業務上必要といえないチップは経費精算の対象外です。

たとえば、同じ飲食店でも個人的に訪れて食事をした際のチップは経費精算対象外ですが、取引先と打ち合わせを兼ねて食事をした際のチップは経費精算の対象に変わるため注意しましょう。経費精算対象外例は、以下のとおりです。

  • 出張の自由時間にプライベートで観光した場合に支払ったチップ代
  • 個人的に訪れた飲食店やルームサービスに支払ったチップ代

逆に経費精算対象例は、取引先への接待を兼ねた観光で支払ったチップ代や、ミーティングを兼ねた食事で支払ったチップ代などです。

チップは用途ごとに勘定科目を設定する

海外出張でチップを支払った場合は、その用途にあわせて勘定科目を設定しましょう。

たとえば、レストランのウエイターにチップを支払った場合は「交際費」や「福利厚生費」、タクシーの運転手に支払った場合は「旅費交通費」などです。

海外出張の経費精算を効率化する方法

海外出張における経費精算業務を、スムーズにするポイントについて解説します。

クレジットカードで精算する

海外出張における経費精算をスムーズにする方法の一つが、クレジットカードでの精算です。クレジットカードを利用すると外貨決済が指定の為替レートで自動計算され、利用明細もデータ化されるため、精算業務の手間を軽減できます。

クレジットカードの明細には為替レートが記載されており、計算の手間が省ける点もメリットです。クレジットカードを使用すれば、盗難や紛失のリスクを軽減できます。

また現金を紛失すると補償が受けられないことが一般的ですが、クレジットカードなら不正利用に対する補償が期待でき、万が一の際もカード会社へ連絡すれば利用を停止できるため、損害を最小限に抑えられます。

ただし、出張先の国によってはクレジットカードでの支払いに対応していない場合もあるため、注意しましょう。

海外出張に便利な法人カードとして、バクラクビジネスカードの利用もおすすめです。リアルカードの利用で海外出張時の傷害保険が付帯し、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しているため、経費精算業務の効率化にもつながります。

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外貨に対応した経費精算システムを導入する

外貨の自動計算に対応した経費精算システムの導入も一つの選択肢です。経費精算システムによっては、為替レートを自動で取得し計算してくれるシステムもあります。

また、経費精算システムならインターネットさえあれば、海外からでも経費精算が可能なので、出張先から手続きを進めておけます。海外出張が長期にわたるケースでも、立替金や未精算の経費を溜めてしまわず、迅速に精算可能です。

経費精算システムを活用することで、海外出張時の経費はもちろん、日頃の業務もスムーズになり、大幅な効率化が実現できます。

経費精算システムについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

関連記事:経費精算システムとは?導入するメリット・デメリットや機能、選び方を解説

事前に外貨で仮払金を渡しておく

海外出張の費用を事前に仮払金として、外貨で渡しておく方法もあります。出張者にとっては円から外貨への交換手続きが必要なくなり、経費担当者にとっても精算業務がスムーズになる点が魅力です。

出張者の帰国時は、残った外貨と領収書・明細書を受け取り、精算手続きを行えば問題ありません。為替レートに悩む必要がなくなります。

しかし、仮払金として外貨を渡すためには、普段から出張先の国ごとの外貨を用意しておかなくてはなりません。外貨の管理作業が発生し、手間が増える点はデメリットといえます。

海外出張での面倒な経費精算も手作業で自動化できる「バクラク経費精算」

海外出張における経費精算は、為替レートの計算や領収書の管理など、手間のかかる作業が多く発生します。特に日当やクレジットカード利用明細との照合、証憑管理などは手作業では負担が大きくなりがちです。

「バクラク経費精算」を導入すれば、社内の規定に合わせた手当の自動計算が可能になり、海外出張時の日当や距離手当の処理をスムーズに行えます。

さらに、バクラクビジネスカードおよびお手持ちの法人カードと連携すれば、利用明細データをリアルタイムで取得し、証憑と自動で紐づけられます。手入力の手間を省きながら、正確な経費管理が実現可能です。

「バクラク経費精算」は押印申請や出張申請、休暇申請など、企業ごとの運用に合わせた多様な申請フォームを作成できるため、経費精算だけでなく、社内手続き全体の効率化にも貢献します。

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