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支払明細書と領収書の違いは?作成方法や記載項目などの概要を解説

支払明細書は、金銭のやりとりを行う際の内訳と、それぞれの金額を明らかにするための書類です。領収書も金銭の支払いを確認できる書類ですが、発行の目的や記載内容が異なるため、支払明細書の発行が必要になる場面が少なくありません。

そこで本記事では、経理や営業事務などの担当者に向けて、支払明細書の種類、領収書などの書類との違い、記載する項目などを解説します。

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支払明細書と領収書の違いは?作成方法や記載項目などの概要を解説

支払明細書とは

支払明細書とは、金銭のやりとりを行う際の内訳とそれぞれの金額、取引先などの情報を明記した書類です。支払った内容や金額などが1つずつ記載されています。取引上の支払明細と確定した金額を知らせるために、支払う側が発行します。

たとえば、レシートやクレジットカードの明細書、企業が従業員に対して発行する給与明細書は支払明細書の1つです。

原則として、どのような支払明細書も記載内容は同じで、記載項目は法律で厳密に決められていません。また、一部の支払明細書は発行義務がないため作成されない場合もあります。

一般的に企業間の取引の場合は、取引ごとではなく、1か月ごとや1週間ごとなどにまとめて発行します。

支払明細書を発行する目的

支払明細書を発行する主な3つの目的を、それぞれ解説します。

取引先との取引内容を確認する

支払明細書は、取引内容をお互いに確認するために発行します。支払明細書の発行段階ではまだ支払いが完了していないため、請求内容に相違がないことを事前に確認しておけるのがメリットです。支払明細書の発行側は支払額、相手側は入金額を確認できます。

経費精算する際の証明書にする

支払明細書は領収書の代わりともなる書類です。公共交通機関の運賃や個人のクレジットカードでの支払いなど、領収書やレシートが出ない場合に支払いが発生した証明として、支払明細書を作成します。一般的には、経費精算のときの証明書として利用されます。

支払う金額を詳細に説明する

支払いの内訳を詳細に説明する際にも支払明細書が使われます。受け取る側に内容を確認してもらうことで、認識の違いによるトラブルを防げるのもメリットです。

内訳を示す支払明細書の例を以下で紹介します。

給料

給与明細書に記載する主な内容は以下のとおりです。

  • 振込金額
  • 基本給
  • 残業代
  • 住居手当、通勤手当などの手当金額
  • 厚生年金保険料、所得税などの控除の内訳
  • 勤務日数、休暇などの勤怠の内訳
  • 団体保険、持株会など従業員ごとの控除の内訳

給与明細書は、所得税法231条によって交付が義務付けられています。

近年は、従業員の取り違え、書類紛失などのリスク軽減、発行業務の効率化などのために、給料明細書を紙ではなく電子データとして発行する企業も増えています。電子発行に切り替える際は、従業員の承諾を得なければならない点に注意しておきましょう。

賞与

賞与明細書も代表的な支払明細書の1つです。主な記載内容を以下に示します。

  • 支払額の内訳
  • 厚生年金保険料、所得税などの控除の内訳

賞与明細書も所得税法231条で交付が義務付けられている文書です。給料明細書と同様に電子データとして発行する企業が増えています。

退職金

退職金明細書に記載する主な項目は以下のとおりです。

  • 入社日、退社日
  • 勤続年数
  • 支給額の内訳
  • 所得税・住民税の控除額の内訳 など

入社日や退社日、勤続年数を記載するのは、これらの項目によって退職金が変動するためです。退職金については、給与や賞与とは別の所得控除制度がある点に注意しておきましょう。

なお、退職金明細書は交付が義務付けられていないため、会社によって発行しないこともあります。

業務委託先への報酬の支払

業務委託で働いている個人に対しては給与明細書がないため、報酬を通知するために支払明細書を発行します。内容は以下のとおりです。

  • 委託した業務の内訳
  • 報酬金額
  • 報酬の支払日
  • 源泉徴収額 など

業務内訳を記載するのは報酬対象の業務を明確にしておき、後で認識のズレが生じないためです。

配当金

配当金支払書は、会社が株主に対して発行する書類です。支払通知書と兼用で発行される場合もあります。主な記載項目は次のとおりです。

  • 配当金、分配金
  • 利金単価(額面100円に対していくらか)、利率
  • 枚数、口数、額面
  • 支払確定日または支払年月日

株主が証券会社の特定窓口を利用している場合は、配当金支払書が発行されないこともあります。

利息

利息に関する書類としては、カードローンの利用者に対して、クレジットカード会社が発行する明細書がよく知られています。企業が発行する支払明細書としては、「借入金及び支払利子の内訳書」として、期末残高のある借入金について記述するのが一般的です。

主な項目を示します。

  • 借入残高
  • 発生した利息
  • 次回の支払額
  • 借入先

利息に関する支払明細書は確定申告のために必要です。

高額な賞金

支払明細書を発行する場合がある高額な賞金とは、以下のようなものです。

  • 競馬や競輪などの払戻金
  • 懸賞や福引きなどの賞金

上記は運営側が作成するため、一般的な企業が作成するケースはほとんどありません。

支払明細書と領収書の違い

支払明細書と領収書は目的と記載項目が異なります。

領収書は、国税庁の定める「金銭または有価証券受領書」にしたがって、金銭または有価証券の受領事実を証明するために受領者側が発行します。支払明細書は支払いの事実を記録するために、支払う側が作成する書類です。

記載項目について、支払明細書は項目が厳密に定められていません。一方で領収書は取引日、宛名、金額、但し書き、金額の内訳、発行者名など項目が決まっています。また、支払明細書は一定期間の取引をまとめられますが、領収書は支払いごとに作成しなければなりません。

支払明細書の作成方法・記載項目

ここでは支払明細書の作成方法と、どの支払明細書にも共通して記載する項目について解説します。

支払明細書の主な作成方法

支払明細書を作成する手段は、大きく分けて下記のとおりです。

  • 紙媒体のテンプレートを元に手書きで作成する
  • ExcelやWordで作成したテンプレート、またはインターネットで入手したテンプレートをもとにパソコンで作成する

近年増えているのは、帳票発行ツールを用いて作成する方法です。

支払明細書の記載項目

支払明細書の記載項目は作成する文書によって多少違いますが、ここではどの文書にも記載する基本項目を紹介します。

支払明細書の役割は取引内容と支払金額の確認のため、以下の項目の記述が必要です。

  • 書類名
  • 管理ナンバー
  • 発行日
  • 相手側の企業名・個人名
  • 発行側の企業名・個人名
  • 押印
  • 取引内容の金額・内訳

これらの項目が書かれていれば、領収書の代わりとして認められます。それぞれの記述内容を解説します。

書類名

書類名には、支払明細書とわかるように一番上に「支払明細書」と記載します。支払明細書のフォーマットは請求書と似ているため、タイトルで容易に識別できることが大切です。必要に応じて、「給与支払明細書」のように種類も記載するとよいでしょう。

管理ナンバー

支払明細書の管理ナンバーがある場合は記載します。帳簿書類は文書の種類や管理部門、作成年度などでコード化、ナンバリングされているケースが多いでしょう。見積書や請求書などと同じようにコードとナンバーを付けると、明確に管理できるようになり、検索性も向上します。

発行日

支払明細書を発行した日付を記載します。西暦・和暦のどちらかに統一すると管理しやすくなります。

日付の記載は支払いに関するトラブルを未然に防いだり、月締めの取引をまとめやすくしたりするために必要です。また、財務報告や税務申告を正確に記述するためにも、支払明細書の日付が欠かせません。

相手側の企業名・個人名

相手方(支払先)の企業名や氏名を記載します。企業の場合は「御中」、個人の場合は「様」と敬称を付けるのがマナーです。

なお、支払明細書に相手方の住所や電話番後は必要ありません。しかし、企業や個人を識別したり郵送手続きをしたりするために、管理システム上では登録しておくのが一般的です。

発行側の企業名・個人名

支払明細書を発行する側の企業名や事業主名などを記載します。この企業名・個人名は、取引に責任を持つ発行者を明確に提示する意味もあります。住所、電話番号、メールアドレスなども、文書に不備があった際に相手方が連絡しやすいように併記しておきましょう。

押印

会社印となる角印を企業名や住所と一部かぶるように押印します。この押印は、正式な書類であることを証明するために必要です。電子署名の場合には、真実性を担保するため電子署名を付し、電子証明書を添付することが推奨されています。

取引内容の金額・内訳

支払日・納品日・商品名・数量・単価などの内訳、小計、総計などを記載します。また、小計や小計に対する消費税額も記載します。現在はインボイス制度の導入によって、消費税の税率ごとに区分する場合もあるので注意が必要です。

支払明細書は領収書として利用可能か?

支払明細書は領収書の代わりにする場合があります。具体的には、以下のように領収書を発行してもらえない場合です。

  • 個人のクレジットカードや電子マネーなどでのキャッシュレス決済
  • 電車やバスなどの交通費
  • ご祝儀や香典など冠婚葬祭に関する支出
  • 自動販売機で購入した費用

領収書の代わりとするには、支払先や日付、金額、支払内容の4つが必須項目です。支払いを担当する従業員に対しては、情報を控えておくように伝えておきましょう。

ただし、支払明細書を作成しなくても、クレジットカードの明細書や預金通帳、電子メールの注文確定書などがあれば、これらを領収書の代わりにすることも可能です。

支払明細書の方が領収書よりも重要になるケース

企業間取引の場合は、領収書より支払明細書が望ましい場合があります。取引ごとに領収書を発行すると双方の手間になるため、一定の期間で区切って、まとめて支払明細書に記載した方が支払いや入金がスムーズになるからです。

このため、相手方から支払明細書の発行を望まれる場合が少なくありません。企業としては、支払明細書の発行にいつでも対応できる体制を整えておくとよいでしょう。

まとめ

支払明細書は取引内容を相手側に共有したり、経費精算をしたりするために作成されています。領収書と似た部分がありますが、それぞれ目的や記載内容が違うので、本記事で解説した内容を知っておくとよいでしょう。

支払明細書の作成における人的ミスを減らしながら、書類作成や管理業務を効率化するには、電子発行、送付サービスの活用が効果的です。

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