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請求書にマイナスが発生した場合の書き方とは?インボイス制度に伴う処理など解説

取引件数の増加に伴い、請求書処理の担当者の負担が大きくなることが問題視されています。特に、大量発注による値引きが発生した際には、マイナス表記の処理が必要になるため悩むケースもあるでしょう。

本記事では、マイナス表記がある請求書の適切な処理方法について詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。

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請求書にマイナスが発生した場合の書き方とは?インボイス制度に伴う処理など解説

請求書におけるマイナス金額の書き方

マイナス金額を表記する際には、マイナス記号(-)を使用することが一般的です。しかし、マイナス記号ではなく、他の記号で表記する方法もあります。三角形(△)を使用してマイナスを表す方法もあれば、三角形のなかを塗りつぶした記号(▲)でマイナスを表す方法も一般的に使われています。

ただし、マイナス金額の書き方に法的なルールがあるわけではありません。値引きの詳細が分かるように記載すれば問題ないでしょう。

適格返還請求書(返還インボイス)とは

適格返還請求書(返還インボイス)とは、返品や値引きなどを理由として対価を返還する際に発行する書類で、適格請求書発行者が発行しなければいけません。2023年10月1日からインボイス制度が始まったため、低規格請求書発行事業者はさまざまな書類の発行が義務付けられました。そのなかには、返還インボイスの発行も含まれています。

返還インボイスは取引の修正や調整が行われた際に、適切な記録として交付されることが求められます。

振込手数料の実質値引きへの対応

売上代金を銀行振込で支払ってもらう場合、振込手数料を売り手が負担する慣行があります。これは、実質「値引き」とみなされるため注意しましょう。インボイス制度の開始後は、売り手は振込手数料の負担に対して返還インボイスを発行しなければいけません。少額であっても返還インボイスを発行しなければいけないため、事務負担が大きくなるでしょう。

ただし、令和5年度の税制改正の大綱によって、少額の返還インボイスについては交付義務が免除される措置が導入されています。

参考:総務省

適格返還請求書(返還インボイス)の保存期間

インボイス制度においては、適格請求書発行事業者が発行したインボイスや返還インボイスについては写しを保存することが義務付けられています。保存期間は、公布日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から「7年間」となっています。

たとえば、2023年5月1日返還インボイスを発行したとしましょう。その場合は、2030年の7月31日まで返還インボイスの写しを保管する義務があります。

インボイスの写しとは、髪の書類のコピーだけではありません。レジのジャーナルや電子データ、明細書や一覧表などの記載事項が確認できるものであれば写しとして認められます。電子データを紙に印刷して保存する場合には、整然とした形式であることと内容が明瞭な状態で出力することなどが求められるため注意しましょう。

請求書にマイナスが発生するケース

ビジネスでは請求書にマイナスが発生するケースは珍しくありません。しかし、実際にはどのようなケースでマイナスが発生するのかよく分からないという人もいるでしょう。ここでは、請求書にマイナスが発生する3つのケースを解説します。

大量購入に伴うボリュームディスカウント

取引先が大量に商品を購入した場合、売上割戻によって価格を下げて販売するケースが多いでしょう。売上割戻は、ボリュームディスカウントやリベートとも呼ばれており、大量購入やまとめ買いなどによる売上割戻があった場合には請求書にマイナスが発生します。

大量購入によって売上割戻があった場合には、契約時の販売価格を基準に割戻された金額を計算して、割戻した金額をマイナスにして計上します。

クレームに対する値引き

商品やサービスに不具合があった場合、返品や返金をするケースもあります。しかし、返品や返金までは必要のない小規模な問題を解決する方法として、値引きが選ばれるケースもあるでしょう。

商品やサービスに問題があり値引きした場合には、割引金額だけ表記すると契約書の金額との間に差異ができてしまいます。実際の販売価格と契約時の金額に差異がある場合の処理には細心の注意が必要です。詳細を省略せずに具体的な取引の経緯などを記載しておくとよいでしょう。

返金発生中の追加発注に伴う相殺

商品やサービスなどに不具合があり、返品などで返金義務が発生する場合もあるでしょう。過去の不良品などによる返品等で発生した返金義務が残っている場合には、新たな取引での請求金額から残っている返金額を相殺して値引きするケースが多いです。

たとえば、300,000円の返金が発生しているとしましょう。300,000円の返金義務が残っている状態で、新しく700,000円の発注があった場合には、返金分を相殺して300,000円を差し引いた金額、つまり400,000円を請求するという仕組みです。

請求書でマイナスを用いるときの注意点

請求書でマイナスを用いる際には、注意したいポイントがあります。マイナスを用いる際の注意点は以下の3つです。

  • 誤読や改ざんを防ぐためにカンマを使用する
  • 消費税よりも先に値引きの計算をしておく
  • 請求書発行・管理システムの導入も視野に入れる

誤読や改ざんを防ぐためカンマを使用する

請求書に金額を記載する際には、数字が読みやすくなるようにカンマ記号を使用しましょう。カンマは3桁ごとに使用するのが基本で、たとえば100万円であれば1,000,000というように表記します。カンマを用いることで数字の誤読や改ざんを防げます。

また、金額の戦闘に「¥」マークをつける、数字の最後に「-」をつけるのも改ざんを防ぐ方法として有効です。漢数字を使う場合には、「一」ではなく「壱」、「二」ではなく「弐」を用いることで改ざんしにくくなります。

消費税よりも先に値引きの計算をしておく

値引きと消費税の計算順序によっては経理処理が複雑になって分かりにくくなる可能性があります。消費税を値引きの前に計算してしまうと、売上時に税抜き価格の計算が必要になり端数の処理が煩雑になります。値引きを先に計算したうえで最終的に値引き価格を算出したほうが経理処理はスムーズになるため、事務負担も軽くなるでしょう。

また、請求書には値引きの金額を明確に記載して、計算のタイミングをはっきりさせることも重要です。

請求書発行・管理システムの導入も視野に入れる

値引き処理などを含む請求書作成業務は、計算や記載方法などの処理が煩雑になりがちです。そのため、担当者の事務負担は大きくなってしまうでしょう。担当者の事務負担を軽減するためには、請求書発行・管理システムの導入も視野に入れるのがおすすめです。

請求書管理システムを導入することで、請求書の作成や送付などがWebを通じて簡単かつ迅速に行えるようになります。

また、請求書や返還インボイスの発行などは、お金が絡む業務です。ほんの少しのミスでも大きな問題や損害に発展する可能性があるため、人的ミスを防げるような対策が必要です。請求書管理システムであれば、人的ミスや計算ミスなどを未然に防ぐことができるでしょう。

まとめ

大量発注による値引きやクレームによる値引きなどで、請求書にマイナス表記が必要になるケースもあります。マイナス金額の処理は煩雑になりがちで、計算ミスや人的ミスなどが発生しやすい処理です。取引件数が増加して請求書処理の負担が重くなっている場合は、請求書発行・管理システムを導入するのもおすすめです。

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