デジタルインボイスとは?電子インボイスとの違いやPeppolについて解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-06-03
- この記事の3つのポイント
- デジタルインボイスとは、請求に関する情報を人の手を介さずに直接データで連携・処理する仕組み
- Peppol(ペポル)とは、電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際標準規格
- デジタルインボイスを導入すると、業務効率化や保管、検索のコスト・手間を削減可能
インボイス制度の開始に伴い、電子的な請求書のやり取りが注目を集めています。中でも「デジタルインボイス」という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。
しかし「電子インボイス」との違いや、国際標準規格「Peppol(ペポル)」との関係について、正確に理解できている方は少ないかもしれません。
本記事では、デジタルインボイスの基本から電子インボイスとの違い、Peppol(ペポル)の役割まで、わかりやすくご紹介します。これからのビジネスに必須となる基礎知識を、ぜひ押さえておきましょう。
インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説
デジタルインボイスとは?電子インボイスとの違いやPeppolについて解説
デジタルインボイスとは?
デジタルインボイスとは、請求に関する情報を売り手のシステムから買い手のシステムへ、人の手を介さずに直接データで連携・処理する仕組みです。
2023年10月から導入されたインボイス(適格請求書)制度に対応するため、適格請求書を電子データでやり取りする必要性が高まっています。
特に、日本では国際標準の「Peppol(ペポル)」規格を活用し、データ形式の統一が進められています。
デジタルインボイスの導入により、請求処理の効率化や仕入税額控除の正確性が向上し、紙ベースのアナログ業務から完全なデジタル運用への移行が促進されている状況です。
海外でもEUや韓国を中心にデジタルインボイスの導入が進んでおり、日本でも業務負担の軽減と税務対応の円滑化を目的に、その普及が進行しています。
以下の記事も参考にしながら、インボイス制度の意義や、メリット・デメリットを理解しましょう。
関連記事:インボイス制度のメリット/デメリットや「誰が得する?」といった意義を解説
インボイス制度について詳しくは以下のページで解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説
デジタルインボイスと電子インボイスの違い
インボイス制度の中に電子インボイスが含まれ、電子インボイスの中にデジタルインボイスという仕組みがあります。「インボイス>電子インボイス>デジタルインボイス」とイメージするとわかりやすいでしょう。
電子インボイスとは、インボイス(適格請求書)を電子データ化したもので、PDFやCSVファイルなど、さまざまな形式が含まれます。
ただし、これらのデータはシステム間で自動連携されるわけではなく、受け取った側が手作業で情報を入力しなければならないケースも多くあります。
一方、デジタルインボイスは、Peppol(ペポル)規格に基づき、標準化・構造化されたデータ形式でやり取りされるものです。売り手から買い手のシステムに直接データ連携が可能で、手入力の手間を大幅に削減できます。
つまり電子インボイスの中でも、より効率的にデータ処理を行える仕組みが「デジタルインボイス」といえます。
Peppol(ペポル)とは
Peppol(ペポル)とは、請求書などの電子文書をネットワーク上でやり取りするために設計された国際標準規格です。
もともとは欧州で公的調達を効率化するために開発されましたが、現在ではヨーロッパ各国だけでなく、オーストラリアやニュージーランド、シンガポールなど、世界40カ国以上で利用が進んでいます。
Peppol(ペポル)では、文書の仕様、運用ルール、通信ネットワークのすべてに共通の基準が設けられており、異なるシステム間でもスムーズなデータ交換が可能です。日本でもデジタルインボイス推進に向け、デジタル庁がこのPeppol(ペポル)規格を正式採用しました。
Peppol規格の正式採用により、国内企業はもちろん、海外企業との取引にもスムーズに対応できる環境が整いつつあります。特に、消費税のインボイス制度に合わせて取引のデジタル化を加速させる狙いがあり、今後さらに注目される技術基盤となるでしょう。
また、日本ではPeppol(ペポル)規格に基づいた「JP PINT」という国内標準仕様が策定されています。デジタル庁が管理する「JP PINT」は、国際標準規格であるPeppol(ペポル)をベースに、日本独自の税制や商習慣に合わせてカスタマイズされたものです。
デジタルインボイス導入のメリット
デジタルインボイスを導入すると、主に5つのメリットがあります。
業務効率化
デジタルインボイスを導入する最大のメリットは、業務効率化です。
従来、紙の請求書やPDFデータを受け取った場合、担当者が会計システムに手入力する必要があり、膨大な手間と時間がかかっていました。さらに、入力ミスによる金額誤りや処理ミスが発生しやすく、確認作業にも多くのリソースを割かれていました。
デジタルインボイスは、標準化されたフォーマットで直接データ連携が行えます。人の手を介さずに請求情報を正確に取り込むことで、手作業によるミスも大幅に削減可能です。
また、複数税率への対応や仕訳作業もシステムが自動で処理できるため、会計処理スピードの向上が期待できます。企業のバックオフィス全体の業務負担が軽減され、より生産性の高い業務にリソースを振り向けられます。
データの改ざん防止
デジタルインボイスは、紙の請求書や電子インボイス(PDFなど)に比べ、データ改ざんのリスクを大幅に削減できる仕組みです。
デジタルインボイスには電子署名(eシール)の付与が検討されています。電子署名(eシール)とは、データに対して発行者の証明と改ざん防止の機能をもたせる技術です。
電子署名(eシール)は、第三者による内容改ざんを防ぎ、発行者情報とデータの真正性の保証といった役割があります。総務省は、今後この電子署名(eシール)を制度化し、インボイス制度におけるデータ信頼性をより強化する方針を打ち出しています。
保管や検索のコスト・手間を削減
インボイス制度では、売り手・買い手ともに適格請求書を7年間保存する義務があります。
紙の保管はスペース確保やファイリング作業が伴いますが、デジタルインボイスは、クラウドなどを活用して電子データとして保存でき、保管コストを大幅に削減可能です。
さらに、必要な請求書を後から検索する際も、ファイル名やキーワード検索ですぐに見つけられるため、管理や確認作業の効率化が期待できます。
以下の記事では、法人や個人事業主ごとの請求書の保管期間や、インボイス制度が与える影響について解説しています。請求書の管理方法を見直したい方は、ご一読ください。
関連記事:請求書の保管期間は?法人・個人事業主ごとの年数やインボイスの影響を解説
海外企業との円滑な取引
デジタルインボイスは国際標準であるPeppol(ペポル)に準拠しているため、海外企業との取引もスムーズに行えるようになります。
すでに欧州をはじめ、アジア太平洋地域など40カ国以上で採用されており、言語や税制が異なる相手でも標準フォーマットでやり取りできるのが大きな強みです。
特に、海外企業とのやり取りが多い場合は、事務手続きの効率化や取引の迅速化が期待できます。グローバル展開を目指す企業には、導入のメリットが非常に大きいでしょう。
テレワークの推進
デジタルインボイスを導入し、クラウド上でデータ管理を行うことで、社外からでも安全にアクセスできる環境が整います。
出社せずに請求書の作成や確認、保存といった業務が可能になることは、テレワーク推進の大きな後押しとなるでしょう。柔軟な働き方を実現し、業務の効率化や生産性向上にもつながります。
デジタルインボイスを導入する際の注意点
デジタルインボイスを導入する際には、いくつか注意すべき点があります。
まず、電子データの保存や運用に関する社内ルールを整備しましょう。社員への周知・教育を行う必要があり、労力がかかります。また、システム導入費用や運用に伴うコストも発生するため、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
具体的には、Peppol(ペポル)に対応したデジタルインボイスシステムやクラウドサービスにかかる利用料、システムの初期設定費用、場合によっては自社向けのカスタマイズ開発費などが必要です。
次に、取引先がデジタルインボイスに対応していない場合、紙の請求書も併用が必要となる場合があります。デジタルとアナログが混在することで、業務が煩雑化するリスクが生じる点に注意しましょう。
請求書受領の効率化なら「バクラク請求書受取」を検討しよう
デジタルインボイスは、単なる請求書の電子化にとどまらず、国際標準規格Peppol(ペポル)に準拠することで、企業間取引をよりスムーズかつ安全に進める新たな仕組みです。
電子インボイスとの違いや、世界中で広がるPeppol(ペポル)ネットワークの意義の理解は、今後のインボイス制度対応やグローバルビジネスへの備えにもつながるでしょう。
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また、受け取った請求書等を電子帳簿保存法の要件に準拠した形で保存できるため、法令遵守もスムーズに行えます。さらに、証憑の受領から仕訳作成、振込データの出力まで、すべてのプロセスをバクラク上で完結できる点も大きな魅力です。
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