請求書の封筒に「請求書在中」と記載すべき理由と正しい方法について
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-12-12
- この記事の3つのポイント
- 「請求書在中」の記載はビジネスマナーの1つで必須ではない
- 「請求書在中」には「紛失や見落としを防ぐ」「入金漏れのリスクを防ぐ」「請求書の担当者にスムーズに書類が渡る」などのメリットがある
- 「請求書在中」は一般的に、縦書きの封筒であれば表面の左下、横書きの封筒であれば表面の右下に記載するのがマナー
取引先に送付する請求書の封筒には「請求書在中」という記載があることが多いはずです。では「請求書在中」は、なぜ書かれているのでしょうか。
本記事では、請求書を発送する際「請求書在中」を記載すべきか否か、記載するメリットは何か、記載するときの正しい方法などについて解説します。
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請求書の封筒に「請求書在中」と記載すべき理由と正しい方法について
『請求書在中』と記載する理由
請求書を送付する際、封筒に「請求書在中」と記載しなければならないという決まりは存在しません。しかし「請求書在中」という記載は、古くからのビジネスマナーであり、発行側及び受領側双方にとって様々なメリットがあるため、今もなお当たり前のように記載され続けています。
「請求書在中」と記載する代表的なメリットとしては、次の3点が挙げられます。
- 紛失や見落としを防ぐ
- 入金漏れのリスクを防ぐ
- 請求書の担当者にスムーズに書類が渡る
請求書は、取引先に支払いを請求するために必要な重要書類であり、万が一紛失や見落としが発生してしまうと、入金されないといった事態になりかねません。同様に、経理担当者に請求書が渡らなければ、処理されないといったことも想定されます。
取引先には、日々大量の郵便物が届いており、優先度の低い郵便物であると判断されてしまうと、開封のタイミング自体が遅くなってしまうこともあり得ます。このような事態を避けるために「請求書在中」とあらかじめ記載し、目立たせることが大切です。
関連して、請求書の送付に用いる封筒には推奨される主なサイズが2種類存在します。
1つ目は、A4サイズの書類を三つ折りで入れることが可能な「長形3号(長3)120mm×235mm」です。こちらは、定形郵便物ですので、25g以内であれば84円切手、50g以内であれば94円切手で発送できます。
もう1つは、A4サイズの書類を折ることなくそのまま入れることができる「角形2号(角2)240mm×332mm」です。こちらは、定形外郵便物の規格内(長辺340mm以内、短辺250mm以内、厚さ30mm以内、重量1kg以内)料金が適用となるため、下記の表の金額となります。
重量
規格内料金
50g以内
120円
100g以内
140円
150g以内
210円
250g以内
250円
500g以内
390円
1kg以内
580円
さらに、封筒に請求書を入れる際にも、請求書の折り方及び入れ方の一般的なビジネスマナーも存在しているため、併せて覚えておきましょう。
請求書を折り畳んで封筒に入れる際には、まずは下から折り、次に上から折って三つ折りにし、取引先の担当者が請求書を開いた際に見やすいよう「請求書」と記載された面が上にくるようにします。添え状を同梱する際には、請求書の上に添え状を重ねて同様の折り方をします。
封筒に請求書を入れる際には、封筒を裏に返し、請求書の上の端の部分が右側にくるようにします。細かなことではありますが、受け取り手に煩わしさを感じさせることのないよう、意識することが大切です。
「請求書在中」と表記する位置
実際に請求書を送付する際、どの位置に「請求書在中」と表記するべきか悩むことがあるかもしれませんが、こちらも厳格な決まりがあるわけではありません。
一般的なビジネスマナーとしては、縦書きの封筒であれば表面の左下に記載し、横書きの封筒であれば表面の右下に記載します。この位置であれば目に入りやすいため、取引先が仕分ける際に担当者の手元に渡るよう配慮してもらえる可能性が高いです。
逆に宛名面ではなく、封筒の裏面に記載してしまうと目立たずに他の郵便物に埋もれてしまう可能性がありますので避けた方が無難でしょう。
スタンプと手書き、どちらでもOK
「請求書在中」と記載する際、スタンプにするべきか手書きにするべきかという問題がありますが、実はこちらも厳格な決まりはなく、どちらでも問題はありません。ただ、請求書の発行数が多い場合には、インク浸透印や朱肉印を使用することで書き損じることがないので効率的であると言えます。
「請求書在中」のスタンプは、多くの方は100円ショップで購入しようと考えるのではないでしょうか。実際Google検索では「請求書 在中 スタンプ ダイソー」や「請求書 在中 スタンプ 100均」といった予測ワードが出てきます。
2015年や2018年のブログでは、ダイソーで「請求書在中」のスタンプが販売されていたという情報がありますが、残念ながら2022年2月26日現在、ダイソーに限らずセリア、キャンドゥ等の大手100円ショップでは、「請求書在中」のスタンプは販売されていません。
そのため、実店舗で購入したい場合は、ある程度規模の大きい文房具雑貨を取り扱う販売店に足を運ぶ必要があります。
また、Amazonや楽天市場等のECサイトでは、1,000円前後で縦型及び横型の「請求書在中」スタンプが販売されています。
逆に請求書発行数が少ないという場合には、手書きになることがほとんどとなりますが、定規で「請求書在中」と文字の周りを四角い枠で囲い、強調させると親切です。
関連して「請求書在中」とスタンプで押印、あるいは手書き記載するタイミングは、封筒に請求書及び添え状を入れる前が推奨されます。請求書及び添え状を入れた後にスタンプで押印もしくは油性ペンで記載すると、中の請求書及び添え状にインクが移ってしまったり、請求書及び添え状に筆圧の線が出てしまうことが理由です。
請求書や添え状等への影響を最小限にするためにも「請求書在中」と記載するタイミングにも配慮が必要となります。
「請求書在中」スタンプの書式
「請求書在中」のスタンプの書式にも、厳格な決まりがあるわけではありませんが、見映えや見やすさに配慮することで、取引先に与える印象も良いものとなります。
最適な文字色としては、青でしょう。「請求書在中」のインク浸透印では、青色が採用されているものがほとんどと言っても過言ではありません。黒でも問題ありませんが、青と比較して目立ちにくく、他の郵便物に埋もれてしまう可能性があります。
また、赤を使用しても大きな問題があるわけではありませんが、請求書は金銭を取り扱う書類であるが故に「赤字」を連想させてしまい、縁起が良く無いと言う声もあるため赤は避けるのが無難です。
縦書きか横書きかという問題では、縦書きの封筒であれば縦書きのスタンプを押印し、横書きの封筒であれば横書きのスタンプを押印します。
「請求書在中」スタンプを押す場所としても、厳格な決まりは存在しませんが、前述したように見映えや見やすさに配慮し、縦書きの封筒であれば表面の左下に、横書きの封筒であれば表面の右下に押印することが一般的なビジネスマナーと言えます。
請求書の発送件数が多い場合
取引先が多い大規模な企業ほど、毎月発送する請求書の数は膨大になるでしょう。このような場合には、「請求書在中」とスタンプを押印あるいは手書きで記載することは非効率的で現実的とは言えません。
発送枚数が多いことがあらかじめ分かっているのであれば、市販されている「請求書在中」と既に印字された封筒を購入したり、自社で「請求書在中」と封筒に印字したり、印刷業者に依頼して「請求書在中」と印字された封筒を発注したりといった方法で、専用封筒を準備しておくことをおすすめします。
もし、自社で「請求書在中」と封筒に印字する場合には、Microsoft WordやMicrosoft Excel等のテキストボックスを用いて、データ作成することで簡単に印字することが可能です。
テキストボックスを用いる場合には、背景色を「なし」に設定し、文字色と枠線を青にします。テキストボックスを画像として保存してデータ上でスタンプのように利用したり、宛名と共に印刷したりすることで、効率よく請求書発送業務を行えます。
英語表記の場合
意外に思われるかもしれませんが「請求書在中」と記載するのは、日本国内だけではありません。海外の取引先に請求書を発送する際にも、請求書が入っていることを明記する必要があります。
英語表記であれば横書きの封筒であることが想定されるので「INVOICE ENCLOSED」と封筒の右下に記載しましょう。
ちなみに「INVOICE」は、日本語で請求書を意味し「ENCLOSED」は、日本語で添付や在中を意味します。
まとめ
「請求書在中」について、本記事では、請求書を発送する際「請求書在中」を記載すべきか否か、記載するメリットが何か、記載するときの正しい方法などについて解説しました。
厳格な決まりがあるわけではないのにも関わらず、一般的なビジネスマナーとして「請求書在中」という記載をすることが当たり前となっており、記載することで様々なリスクから請求書を守ることができることが理解できたのではないでしょうか。本記事を参考に、見栄えと見やすさを重視した請求書発送を行うようにしていただければ幸いです。
監修 畠山謙人
2010年に公認会計士試験合格後、約10年間大手監査法人や事業会社で主に上場企業での財務経理業務に従事。現在は畠山謙人公認会計士事務所の代表及び税理士法人赤坂共同事務所のパートナーとして、税務顧問、スタートアップ支援、財務アドバイザリー等を行う。