小口現金による経費精算のメリット・デメリットは?振込がよい理由も解説

経費精算について、小口現金による精算を検討している経理担当者もいるでしょう。この記事では、小口現金による経費精算のメリット・デメリットとともに、仕訳例を解説します。銀行振込がよいといわれている理由にも触れるため、スムーズな経費精算を実現するための参考としてぜひ役立ててください。

小口現金による経費精算のメリット・デメリットは?振込がよい理由も解説

小口現金による精算とは?

小口現金とは、経費精算を目的としてそれぞれの部署や支店に常備しておく少額の現金のことです。たとえば、従業員が立て替えて支払った交通費や備品代などを精算する際に小口現金が使用されます。

小口現金があると簡単に経費精算でき、従業員にとって便利です。ただし、管理の手間もかかります。小口現金による精算については、後述するメリット・デメリットを確認したうえで慎重に検討する必要があるでしょう。

小口現金による精算の業務フロー

小口現金による経費精算のフローをまとめると、以下のとおりです。

1.従業員から領収書を受け取る
2.領収書を確認して小口現金で精算する
3.会計処理を行う
4.小口現金出納帳の残高と実際の残高を照らし合わせる

規模の大きい企業での銀行振込による精算では、従業員が上長の承認を得る必要がありますが、小口現金による精算では上長の承認が不要なケースが多いです。従業員から申し出があればすぐに対応できるため、当日中の精算も実現できます。

小口現金を管理する方法

小口現金の管理方法は、定額資金前渡制度と随時補給制度の2種類があります。定額資金前渡制度は、一定期間ごと現金を補充する方法です。それに対し、随時補給制度は、必要なタイミングで随時現金を補充する方法となります。

また、小口現金のやり取りについては小口現金出納帳で管理します。小口現金による経費精算が発生するたびに、小口現金係がその内容を小口現金出納帳に記載します。

小口現金での精算時と補充時の仕訳例

小口現金で精算や補充をする場合、どのように仕訳するのでしょうか。ここでは、それぞれの仕訳例を紹介します。

精算時の仕訳例

小口現金で経費精算したら、費用ごとに金額が分かるように仕訳をする必要があります。たとえば、水道光熱費、通信費、雑費、消耗品費、旅費交通費の支払いのために6万円分の小口現金の出金報告を受けた場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方

貸方

水道光熱費

20,000円

小口現金

60,000円

通信費

15,000円

雑費

10,000円

消耗品費

5,000円

旅費交通費

10,000円

補充時の仕訳例

すでに触れたとおり、小口現金は定額資金前渡制度または随時補給制度で管理します。いずれかの方法で小口現金を補充した際は、仕訳が必要です。たとえば、4万円支出して小口現金として補充した場合、以下のように仕訳します。

借方

貸方

小口現金

40,000円

預金

40,000円

小口現金による精算のメリット

小口現金があると、業務のために使える現金が手元にあり、急な出費が必要になった際も従業員にとって安心感があります。従業員から立替申請があっても、すぐに対応可能です。頻繁に経費の立て替えを行っている担当者がいる場合、負担の軽減につながります。また、領収書の紛失に後から気づいて経費精算できなくなるリスクも少なくなります。

加えて、特に小規模な企業であれば小口現金に目が届きやすいため、不正も防ぎやすいです。

小口現金による精算のデメリット

小口現金の管理や精算には、手間がかかります。1円でも金額が合わなければ問題になるため、担当者は常に細心の注意を払って計算や確認をしなければなりません。また、その場で領収書をチェックしたり、小口現金出納帳や帳簿に記入したりする手間もかかります。

常に現金を常備しているため、紛失や盗難のリスクもあります。日頃から注意して管理する必要があり、担当者に大きなプレッシャーがかかる可能性が高いです。

小口現金ではなく銀行振込での精算がよいといわれる理由とは?

経費精算については、小口現金よりも銀行振込による対応のほうがよいといわれています。ここでは、その理由について解説します。

精算にかかる手間や時間を削減できる

銀行振込なら、精算にかかる手間や時間の削減が可能です。小口現金による精算の場合、領収書のチェックや金銭の確認など担当者が1人で対応すべき内容が多く、手間と時間がかかります。人的ミスを防ぐ必要があるため、心理的な負担も大きいです。

しかし、銀行振込の場合、現金をその場で手渡しする必要がないため、担当者にとってネックとなる作業がなくなります。手間を減らしつつ、正しい金額で適切に精算しやすくなります。

小口現金の盗難などのトラブルを防止できる

銀行振込での精算では小口現金を各部署や各支店に置いておく必要がなく、紛失や盗難といったトラブルは発生しません。一方、小口現金による精算をしている場合は現金がオフィスにあるため、紛失や盗難などが発生する可能性は少なからずあります。銀行振込での精算なら小口現金による精算で起こりうる問題を防げるため、より安全に運用できます。

経費精算業務のミスを防止できる

銀行振込での精算の場合、業務上のミスも発生しにくくなります。小口現金での精算では、担当者がその場で対応する内容が多いです。そのため、精算金額のズレ、領収書の確認漏れ、記帳漏れといったミスが発生するケースは少なくありません。

銀行振込ならすぐに現金を手渡すわけではないため、余裕をもって確認作業を進められます。万が一ミスが発生しても、実際に精算する前に修正できる可能性があります。

小口現金から銀行振込での精算に変更する際の注意点

小口現金から銀行振込での精算に変更する場合、気をつけたいことがあります。ここでは、小口現金から銀行振込での精算に変更する際の注意点を解説します。

すぐに精算できない

小口現金から銀行振込での精算に変えると、経費精算にかかる時間が長くなります。小口現金なら申請された際にすぐ精算できるものの、銀行振込で従業員の口座へ現金が振り込まれるのは数日後です。振込のタイミングや回数などは企業のルールによっても異なります。

ただし、経費の立て替えから精算までの期間が長くなると、従業員の負担も大きくなるため注意しましょう。なるべく負担にならないよう、可能な限り早いタイミングで精算できるようにする必要があります。

振込の際手数料がかかる

経費精算に限らず、銀行振込をするには手数料がかかります。手数料は振込のたびにかかるため、頻繁に行うと余計な費用が多くなります。手数料の負担を減らすには個別の精算を避け、一定期間の立て替えについてまとめて精算するとよいでしょう。

たとえば、銀行振込での精算を月1回とし、毎月の経費精算を一度に済ませる方法があります。なお、給与とともに振り込めば、手数料をさらに減らせます。

振込口座と給与口座を分けなければならないケースもある

なかには、経費精算と給与の振込を別の口座で管理したいという要望をもつ従業員もいます。この場合、企業はそれぞれの口座情報を管理したり、手数料を多く負担したりしなければなりません。従業員から要望があった場合は、従業員の意見を考慮しつつ自社の状況も踏まえて、対応を判断する必要があります。

小口現金による精算業務を効率化・削減するなら「バクラク経費精算」

小口現金による精算から銀行振込での精算に切り替える場合は、バクラク経費精算の導入がおすすめです。自動仕訳や会計ソフトと連携できる機能があり、よりスムーズに銀行振込による経費精算に対応できます。スマートフォンからの申請や承認にも対応しているため、従業員と経理担当者の両方にとって便利です。

また、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、常に適切に経費精算できるようになっています。

まとめ

小口現金による精算にはメリットもあります。申請すればすぐに精算できるため、経費を立て替えた従業員にとっては便利な方法だといえます。しかし、手間や盗難のトラブルなどを考えると、銀行振込での精算のほうがおすすめです。

バクラク経費精算は、最新の法令や制度に対応している経費精算システムです。ミスを防いで手続きできるようになっており、経費精算業務の全体の流れを効率化できます。銀行振込による精算をよりスムーズに管理できるようになるため、ぜひ導入を検討してください。

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