パスポートの発行や更新費用を経費(会社負担)にする際の勘定科目や注意点
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-20
パスポート発行費用は、業務上必要な場合に限り、経費として計上することができます。ただしいくつか注意点もあるため、気をつけなければなりません。
この記事では、パスポート発行(申請)費用を経費にする方法などについて解説します。勘定科目や、経費にできないケース、注意点にも触れるので、参考にしてください。
パスポートの発行や更新費用を経費(会社負担)にする際の勘定科目や注意点
パスポート発行費用は経費になる?
パスポート発行費用は、業務上必要な場合に限り、経費として計上できます。「業務上必要な場合」とは、業務上の出張や海外赴任のことです。これらに該当する場合のみ、経費での処理が可能となります。
一方、個人の旅行や私的な利用のためのパスポート発行費用は、経費として認められません。そのほか、一見して会社関連の用事であっても、経費申請できないケースがあります。詳しくは後述するので、あわせて判断材料としてください。
パスポートの申請・発行にかかる費用と金額
条件が合えば経費として認められるパスポートの発行費用には、申請手数料・収入印紙代が含まれます。
日本では、10年用パスポートの取得には16,000円、5年用パスポートでは11,000円がかかります。申請手数料は、国に納める分は収入印紙で、自治体に収める分は収入証紙や現金などで納めることになっていますが、いずれも経費処理が可能です。
また、パスポートの申請時には、パスポート用の証明写真の費用も必要となります。写真代は証明写真機で800~1,000円程度、写真館では2,000円前後のことが多いでしょう。
パスポートを申請する際に必要な書類
パスポート申請には、有効な身分証明書(運転免許証など)、戸籍謄本または戸籍抄本、証明写真が必要です。
さらに、パスポートの申請書類が申請所に用意されています。漏れのないように記入し、前出の書類と合わせてパスポート申請窓口に提出しましょう。
書類が1つでも欠けていると、申請ができず発行が遅れてしまいます。必要書類を漏れなく準備することが重要です。
パスポートの申請費用を支払うタイミング
パスポート申請費用は、申請時に支払います。申請書類を提出し、窓口で収入印紙や手数料を支払いますが、具体的な方法は自治体によって違うため、お住まいの自治体の支払い方法を確認してください。収入印紙の購入窓口が別になっており、事前購入が必要なケースもありますが、この場合、多くは申請窓口の近くに収入印紙の購入窓口があります。
支払いが確認されると、申請手続きが正式に受理される流れです。
パスポート発行費用の勘定科目
パスポート費用を経費で処理する際には、次の勘定科目を用います。
租税公課
パスポート発行費用の一部は「租税公課」として計上します。
「租税公課」は、政府や自治体に支払う手数料や税金を含む勘定科目です。パスポート申請においては、パスポート申請時に支払う収入印紙代などが該当します。
収入印紙は租税や手数料を国へ納めるときに使われるものです。パスポート申請料の内訳は、国へ提出する収入印紙と自治体への手数料となっているため、いずれも租税公課での経費処理が可能であるといえます。
旅費交通費
業務上の出張や移動に関連する費用として「旅費交通費」に計上することもできます。
計上できる内容は、あくまでも業務に必要な範囲に限られます。海外出張のためにビザやパスポートなどを申請した場合は、それらにかかる費用も旅費交通費に含められます。
パスポート発行費用を旅費交通費と考えることによって、業務遂行に伴う正当な経費として認めることが可能です。
雑費(証明写真の撮影代金)
パスポート用の証明写真代は「雑費」として計上されます。雑費は、他の主要な勘定科目に該当しない細かい費用が含まれる項目です。パスポート発行費用そのものではない証明写真代は、雑費に分類するのが適しています。
雑費を用いることにより、パスポート取得に必要な細かい支出を正確に処理することが可能です。証明写真の撮影費は、領収書もパスポート発行費用とは別になっているため処理がしやすいでしょう。
パスポートの発行手数料を経費にできないケース
パスポートを発行しても、手数料を経費にできないケースには、以下のようなものがあります。
出張の予定がないのに申請したパスポート費用
出張の予定が具体的に決まっていないにもかかわらずパスポートを申請した場合は、私用目的とみなされます。
私用目的とは、仕事とは無関係な目的を指しているため、申請費用を経費にすることはできません。
「もしかしてこの後、海外出張をすることになるかもしれないが、まだ決まっていない」という時点では、パスポートの申請を行わないようにしましょう。またパスポートの申請から発行までは最短でも1週間以上の時間がかかることを見越して、予定を立てる必要があります。
プライベート用に取得したパスポート発行費用
海外出張や海外赴任の際、もともとプライベート用に取得したパスポートを海外出張に使用するケースがあるでしょう。この場合は、たとえ領収書があったとしても仕事のために取得したとはいえず、経費として計上するのは難しいといえます。
社内において経費でパスポートを申請している人がいると、不公平感が生じるかもしれません。こうした不公平感をなくすために、一律の出張準備金を支給する方法があります。
社員旅行を目的としたパスポート発行費用
出張や海外赴任ではなく、海外への社員旅行を目的としたパスポートの発行費用は、経費とは認められません。経費計上の対象は、あくまでビジネスで使用するために取得した場合に限られます。
社員旅行は通常、義務的なものであれば交通費や宿泊費などを福利厚生費に計上可能です。ただしパスポートについては例外があるため注意しましょう。
パスポート発行費用を経費にする際の注意点
パスポート発行費用を経費として計上する際、以下の点に注意して処理を行ってください。
パスポートが業務に使われたのか確認する
パスポートの発行費用を経費として処理する際は、実際にパスポートが業務に使われたのか確認することが大切です。
先述のとおり、パスポート発行費用を経費にできるのは、海外出張や海外赴任で業務に従事した実績がある場合のみとなります。したがって、宿泊先の領収書や海外の取引先と交わした資料、やり取りの記録などを確認し、業務の実態を把握したうえで経費に計上する必要があるでしょう。
事前に会社規定を確認する
海外取引がメインでない企業にとって、パスポートはプライベートで使うことが多いため、業務に必要でもパスポート申請費用を個人負担とする会社もあります。しかし近年増加しているのが、業務上必要な場合のパスポート発行費用は会社が経費負担する、というケースです。
そこで、パスポート費用の経費を処理する場合は、まず会社の規定を確認する必要があります。業務規定においてパスポートの費用負担が明記されている場合は従わなければなりません。
取得にかかる諸費用の課税/非課税をしっかり分類しておく
パスポート取得費用のうち、印紙代など租税公課で処理できる費用は非課税となります。しかしパスポートは個人利用もできてしまうため、その取得にかかる諸費用の「どこからどこまで」を何の科目で仕分けるのかはっきりさせておかなければなりません。
パスポート発行に関わる一部の費用に課税対象の科目が含まれる場合もあるので、写真代は雑費とするなど、発生する費用ごとの区別と経費処理のルールを設けておくと良いでしょう。
まとめ
パスポートを経費申請するためには、一定の条件があります。経費として処理する際、これらの条件を満たしていることを必ず確認するようにしましょう。一部に、パスポートの発行費用が経費とならないケースもあるため注意してください。
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